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配偶者の死に対する喪失感はいつ癒える?悲しみを乗り越える方法

配偶者の死に対する喪失感はいつ癒える?悲しみを乗り越える方法
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

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配偶者を亡くした時の喪失感は、言葉では表せないほど深いものです。このような悲しみは、時間が経てば自然と癒えるわけではなく、心が回復するためのプロセスを経ることが必要です。

本記事では、喪失感がいつまで続くのか、またその悲しみをどのように乗り越えていくかについて詳しく解説します。さらに、配偶者を失った後の孤独や不安に対処するための具体的な方法や、必要なサポートを得るためのリソースについてもご紹介します。この記事を通じて、少しでも心の負担を軽くし、前に進む力を得るための助けとなれば幸いです。

この記事を読んでわかること
  • 配偶者との死別による喪失感は個人差があり、長期間続く可能性がある
  • 死を受け入れて心が回復するプロセスは12段階に分けられる
  • 喪失感から早く立ち直るための具体的な方法が6つ提案されている
  • グリーフケアの専門家に相談することが回復の一助となる可能性がある
ひとりのミカタ

配偶者を亡くした喪失感はいつまで続く?

配偶者を亡くした喪失感はいつまで続く?

配偶者との死別は、人生において最も大きな心の負担となるライフイベントの1つです。アメリカの心理学者トーマス・ホームズ氏と内科医のリチャード・レイ氏が作成した「社会的再適応評価尺度」によると、配偶者の死は100ポイントとされ、ライフイベントの中で最大のストレス要因として位置づけられています。

喪失感の持続期間は個人差が大きく、一概に「いつまで」と断言することは困難です。しかし、国立がん研究センターが実施した調査によると、がんで家族を亡くした遺族のうち、33%が1年以上経過しても喪失感を抱えており、さらに20%の方は3年以上経っても喪失感が続いているという結果が出ています。

また、同調査では17%の遺族が1年以上経過した時点でも抑うつ状態に悩まされていることが明らかになりました。これらの数字は、配偶者との死別による喪失感が長期にわたって影響を及ぼす可能性を示しています。

大切な伴侶を失った悲しみは、時に想像を超えるほど深く、その回復には個人によってさまざまな時間がかかります。ある人は数ヶ月で日常生活に適応できるようになる一方で、何年もの時間をかけてゆっくりと回復していく人もいます。喪失感の持続期間に正解はなく、それぞれのペースで悲しみと向き合い、乗り越えていくプロセスが大切なのです。

死を受け入れて心が回復するプロセス

死を受け入れて心が回復するプロセス

「死生学」という学問があります。死や命に関連するテーマについて、哲学、医学、心理学、文学、宗教などの幅広い立場から研究し、生きることは何かを考える学問です。ドイツ出身の哲学者で、日本における「死生学」の第一人者である]アルフォンス・デーケンは、大切な人との死別後の心の回復プロセスを12段階に分類しました。このプロセスは、喪失感を抱える人々が経験する感情や反応を理解する上で有用な指標となります。

ただし、これらの段階は必ずしも順序通りに進行するわけではありません。個人の性格や環境、故人との関係性などによって、各段階の経験の仕方や順序、期間は大きく異なります。時には複数の段階を同時に経験したり、以前の段階に戻ったりすることもあります。

以下に、デーケンが提唱した12段階のプロセスについて説明します。

【1】精神的打撃と麻痺状態

配偶者の死という衝撃的な出来事に直面すると、心身が防衛反応を示します。この段階では、現実を受け止めきれずに頭が真っ白になり、感情が麻痺したような状態に陥ります。

周囲の人からは「冷静に見える」と評されることもありますが、これは心を守るための本能的な反応です。葬儀などの記憶があいまいになったり、涙が出なかったりすることもあります。

【2】否認

麻痺状態から少し回復すると、配偶者の死という現実を受け入れがたい気持ちから否認が始まります。「これは夢に違いない」「きっと間違いだ」といった思いが強くなります。特に突然の死別の場合、この段階が顕著に表れやすくなります。

最初は自分を落ち着かせるために楽観的な考えを持つこともありますが、時間の経過とともに死が事実であることを確信し始めると、それを強く否定しようとする心理が働きます。

【3】パニック

この段階では、配偶者の死を事実として認識し始める一方で、それを否定したい気持ちが混在し、情緒が不安定になります。「もう二度と会えない」という現実に直面し、悲しみや寂しさ、無念さ、恐怖などの感情が一気に押し寄せてきます。

普段は冷静な人でも、泣き叫んだり、暴れたりするなど、極端な行動を取ることがあります。この状態が長時間続く場合は、専門家による介入が必要になることもあります。

【4】怒りと不当感

ショック状態から少し落ち着いてくると、「なぜ自分だけがこんな辛い思いをしなければならないのか」という不当感や、配偶者の死に対する怒りが湧き上がってきます。

この怒りは、直接の原因となった人や物事だけでなく、間接的に関わった人々や組織、時には亡くなった配偶者自身にも向けられることがあります。感情を抑え込むとストレスになりますが、むやみに表出すると周囲との軋轢を生む可能性があるため、適切な表現方法を見つけることが重要です。

【5】敵意と恨み

配偶者の死が事故や病気など不可抗力によるものであっても、敵意や恨みの感情は増幅することがあります。特に医療関係者は、こういった感情の対象になりやすい立場にあります。現代医学の進歩にもかかわらず、すべての命を救うことはできません。

しかし、冷静な判断力を失った遺族は、医師に対して過剰な期待を寄せがちです。救えると信じていた命が失われると、それまでの信頼が一転して憎悪に変わり、理不尽な怒りがぶつけられることもあります。

【6】罪意識

罪意識は、過去の行動を振り返って「もっと別の対応をしていれば」と自分を責める感情です。配偶者との生前のやり取りを思い出し、「もっと優しくすればよかった」「もっと時間を一緒に過ごせばよかった」などと後悔の念に駆られます。

この感情は責任感の強い人ほど強く現れやすく、うつ症状や引きこもりの原因となることがあります。深刻な場合は自殺のリスクも高まるため、周囲の注意が必要です。

【7】空想形成・幻想

この段階では、配偶者の死を受け入れられず、まだ生きているかのように振る舞う行動が見られます。例えば、亡くなった人の分の食事を用意したり、いつ帰ってきても良いように部屋の状態を変えずに保ったりします。

これらの行動は、罪意識を軽減したいという心理から生じることもあります。周囲が強引に現実と向き合わせようとするのは避け、遺族のペースを尊重することが大切です。

【8】孤独感と抑うつ

葬儀や告別式が終わり、日常生活に戻ると、突然の寂しさや深い悲しみに襲われます。配偶者を失った悲しみそのものは自然な感情ですが、過去ばかりを振り返っていては前に進むことができません。

特に高齢者の場合、生活環境や年齢的な要因から孤独感が強くなりやすく、抑うつ状態に陥るリスクが高まります。この時期は周囲のサポートが非常に重要になります。

【9】精神的混乱と無関心

この段階では、愛する配偶者を失った喪失感から、あらゆることに対して無気力になります。「アパシー」と呼ばれるこの状態では、周囲の出来事に関心を示さなくなり、自分の身の回りのことにも無頓着になりがちです。「無気力」「引きこもり」「対人関係の拒否」などの症状は、孤立死につながる危険信号となる可能性があるため、周囲の人々の継続的な見守りと支援が必要です。

【10】あきらめ・受容

この段階に至ると、少しずつ配偶者の死を受け止めようとする努力が始まります。「あきらめる」という言葉には「物事を明らかにする」という意味合いもあります。

配偶者の死という厳しい現実をあきらかにすることで、自分の置かれた状況を受容し、悲しみを乗り越えていこうとする意志が芽生えます。この過程は決して簡単ではありませんが、回復への重要なステップとなります。

【11】新しい希望・ユーモアと笑いの再発見

人生には辛いこと、苦しいこと、悲しいことが数多くありますが、それらをすべて鮮明に記憶していては心が持ちません。忘却は、苦しみを和らげるための心の防衛機制の一つです。

悲しみを忘れることは、必ずしも配偶者への思いが薄れることを意味しません。楽しかった思い出や嬉しかった経験は心に残り続けます。笑顔で配偶者の思い出話ができるようになったとき、悲嘆のプロセスを乗り越えつつあるサインといえるでしょう。

【12】立ち直りの段階・新しいアイデンティティの誕生

悲嘆のプロセスを経て、最終的に立ち直りの段階を迎えます。ここから始まるのは、過去の延長ではなく、新たな人生の出発点です。

配偶者を失う前の状態に完全に戻ることはありませんが、喪失の苦しみを乗り越えて新たな自己認識を獲得することで、人間的に成長し、新しい人生に向けて歩み始めることができます。この段階では、失った絆を大切にしながらも、自分らしい生き方を見出し、前を向いて歩んでいく力が芽生えます。

喪失感から早く立ち直る方法

喪失感から早く立ち直る方法

配偶者との死別による喪失感からの回復は、個人の状況や性格によって大きく異なります。しかし、悲しみを乗り越えるためのアプローチはいくつか存在します。

ここでは、より早く立ち直るための方法をご紹介します。ただし、焦らずに自分のペースで回復することが最も重要であることを忘れないでください。

自分の悲しみ・苦しみを肯定する

配偶者を失った悲しみは、想像を超えるほど深く大きなものです。周囲への気遣いから無理に明るく振る舞おうとすることもありますが、そのような態度は心身の負担を増大させかねません。

まずは自分の感情をありのまま受け入れ、悲しみや苦しみを肯定することが大切です。泣きたいときに泣き、怒りを感じたときはその感情を認識することで、少しずつ心が軽くなっていくでしょう。自分の感情と向き合うことが、回復への第一歩となります。

共感できる親しい人と話す

悲しみを乗り越えるには、その感情を誰かと共有することが効果的です。親戚や友人など、亡くなった配偶者のことをよく知る人と思い出を語り合うことで、心が癒されていく場合があります。

また、同じように大切な人を失った経験のある人と話をすることで、「自分だけではない」という気持ちが生まれ、孤独感が和らぐこともあります。身近に話せる人がいない場合は、同様の経験をした人のブログや体験談を読むことも、心の支えになるでしょう。

亡くなった人への気持ちを吐き出す

故人への思いを言葉にすることは、悲しみを癒す重要な手段となります。信頼できる友人や家族、あるいは専門のカウンセラーに話を聞いてもらうことで、心の整理がつきやすくなります。

また、日記をつけたり、亡き配偶者への手紙を書いたりすることも効果的です。文章化することで、自分の感情や考えを客観的に見つめ直すことができ、心の整理に役立ちます。

自分自身を大切にする

喪失感を乗り越えるためには、自分自身を大切にすることが欠かせません。例えば、配偶者が生前大切にしていたことを引き継ぐことで、新たな生きがいを見出すこともできます。亡き人が育てていた花を続けて育てたり、配偶者の夢だった旅行先に行ってみたりすることで、故人との絆を感じながら、自分の人生を前に進めることができるでしょう。

仕事や趣味に集中する

一人でいると悲しみに押しつぶされそうになる場合、何かに没頭することで気を紛らわせるのも有効な方法です。仕事で成果を上げたり、スポーツで体を動かしたり、趣味の時間を充実させたりすることで、一時的にでも悲しみから離れることができます。

ただし、過度に没頭して現実逃避にならないよう注意が必要です。適度なバランスを保ちながら、自分の心と向き合う時間も大切にしましょう。

グリーフケア(遺族ケア)の専門家に相談する

「グリーフケア(遺族ケア)」とは、死別の悲しみを抱える遺族に寄り添い、立ち直りをサポートすることです。喪失感が長期化したり、日常生活に支障をきたすほど深刻化したりした場合は、専門家の助けを借りることを検討しましょう。近年では、「グリーフケア外来」や「遺族外来」といった専門的な診療科を設けている医療機関も増えています。

これらの専門機関では、経験豊富な医師やカウンセラーが、個々の状況に応じた適切なサポートを提供してくれます。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的に喪失感を乗り越えていくことができるでしょう。

1人で生きていくことに不安があれば「ひとりのミカタ」へ

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セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する「ひとりのミカタ」は、おひとりさまの日常生活から終活に関するさまざまな不安や悩みを総合的にサポートするサービスです。配偶者を失った後の喪失感を乗り越えても、これからひとりで生きていくことに不安を感じる方にとって、心強い味方となるでしょう。

「ひとりのミカタ」は、クレディセゾングループの安心と信頼を背景に、専門家と連携して幅広いサービスを提供しています。例えば、入院や高齢者施設入居時の身元保証、緊急連絡先代行、24時間365日の電話健康相談など、日々の暮らしの安全と安心をサポートします。さらに、エンディングサポート(死後事務手続き)まで含めた終活の総合サポートも行っています。

日常生活においても、家事代行やハウスクリーニング、パソコンの訪問サポートなど、さまざまな生活サービスを提供しており、会員様限定の優待サービスも用意されています。また、生前整理・遺品整理の相談や、相続・葬儀・お墓に関する無料相談も受け付けており、おひとりさまの悩み事に関するWEBセミナーも定期的に開催しています。

「ひとりのミカタ」は、身元保証が中心のエルダープランとエンディングサポート(死後事務手続き)までカバーしたプラチナプランの2つのプランを用意しており、必要なサポートに応じて選択できます。さらに、遠方に住む親御さまのサポートプランもあり、離れて暮らす親の見守りや病院・施設等への付き添いサポートサービスなども行っています。

配偶者を失った後の人生を、安心して前向きに歩んでいくためのサポートが必要な方は、「ひとりのミカタ」のサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

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おわりに

配偶者との死別による喪失感は、人生で最も大きな心の負担となるライフイベントの一つです。その回復には個人差があり、時間がかかることを理解しておくことが重要です。悲嘆のプロセスを経て、少しずつ立ち直っていくことが自然な流れですが、そのプロセスを円滑に進めるためには、自分の感情と向き合い、周囲のサポートを受け入れることが大切です。専門家のアドバイスを求めたり、「ひとりのミカタ」のようなサービスを利用したりすることで、一人で生きていく不安を軽減し、新たな人生の一歩を踏み出すことができるでしょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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