近年、一生独身でいる人の割合が増加しています。生涯未婚率が上昇している背景には、個々の価値観やライフスタイルの多様化が関係しています。
この記事では、国立社会保障・人口問題研究所の調査データをもとに、独身でいる理由やそのメリット・デメリットについて詳しく解説します。さらに、一生独身で過ごす場合に備えて考えておきたい経済的な準備や人とのつながりの重要性についても触れ、独身生活を充実させるためのポイントをご紹介します。
- 日本社会において生涯未婚率が上昇し、一生独身で過ごす人が増加している
- 独身でいる理由には、適当な相手との出会いの難しさや結婚の必要性を感じないことなどがある
- 独身生活には自由や経済的余裕といったメリットがある一方で、孤独感や老後の不安などのデメリットも存在する
- 充実した独身生活を送るためには、貯蓄、継続的な就労、趣味の充実、人間関係の構築などが重要である
生涯未婚率の上昇
近年、日本社会において一生独身で過ごす人が増加しています。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50歳時の未婚割合(生涯未婚率)が年々上昇しています。
2020年における50歳時の未婚割合は、男性が28.25%、女性が17.81%となっています。これは2015年の数値と比較すると、男性が24.77%から3.48ポイント、女性が14.89%から2.92ポイント上昇しており、大幅な増加が見られます。
特に2000年代に入ってからの上昇傾向が顕著です。例えば、2000年における50歳時の未婚率は男性12.57%、女性5.82%でしたが、2010年には男性20.14%、女性10.61%まで増加しています。それ以降も上昇が続いており、2015年には前述の通り男性24.77%、女性14.89%となりました。
このように、21世紀に入ってからの約20年間で、50歳時の未婚率は男女ともに2倍以上に増加しています。この傾向は、日本社会における結婚観や生活様式の変化、経済状況などさまざまな要因が複雑に絡み合った結果と考えられます。
なぜ一生独身の人が増えているのか
日本社会において、一生独身で過ごす人々の割合が年々増加しています。この現象の背景には、さまざまな社会的、経済的、そして個人的な要因が複雑に絡み合っています。
ここでは、国立社会保障・人口問題研究所が実施した調査結果を基に、一生独身の人が増えている理由を探っていきます。
国立社会保障・人口問題研究所の調査から見る「独身でいる理由」
国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した第16回出生動向基本調査によると、25~34歳の未婚者が独身でいる主な理由が明らかになりました。男女ともに最も多かった回答は「適当な相手にまだめぐり会わないから」で、男性の43.3%、女性の48.1%がこれを選択しています。
次いで多かった理由は、男性では「独身の自由さや気楽さを失いたくないから」(26.6%)、「結婚する必要性をまだ感じないから」(25.8%)でした。女性も同様の理由を選択しており、割合はそれぞれ31.0%、29.3%でした。
これらの結果から、適切なパートナーとの出会いの難しさや、結婚に対する必要性の低下、経済的な不安、そして独身生活の自由さへの執着が、未婚率上昇の要因となっていることがわかります。
結婚をする意思がない未婚者の増加
同調査では、結婚の意思を持たない未婚者の割合も増加傾向にあることが明らかになりました。18~34歳の未婚者のうち、「いずれ結婚するつもり」と答えた人の割合は、男性で81.4%(前回調査85.7%)、女性で84.3%(前回調査89.3%)と、前回調査から減少しています。
特筆すべきは、この傾向が性別や年齢、生活スタイルの違いに関わらず見られることです。つまり、結婚に対する意欲の低下が、社会全体で広がっていると考えられます。この変化は、個人の価値観の多様化や、結婚以外の生き方に対する社会的認知の高まりを反映しているとも解釈できます。
交際経験や交際相手のいない未婚者の増加
第16回出生動向基本調査では、未婚者の恋愛事情についても興味深い結果が示されました。18~34歳の未婚者のうち、現在、恋人と交際中の割合は、男性で21.1%(前回調査とほぼ横ばい)、女性で27.8%(前回調査から微減)となっています。
さらに注目すべきは、18~34歳の未婚者の約3人に1人が異性との交際を望んでいないという事実です。これは、個人の生活や価値観の変化を示唆しており、必ずしも結婚や恋愛を人生の目標としない人々が増加していることを表しています。
一方で、18~34歳の未婚者のうち、異性との交際経験がある人の割合は、男性で60.0%、女性で64.8%と、過半数を超えています。この数字は、多くの人々が恋愛経験を持ちながらも、最終的に結婚に至らない、あるいは結婚を選択しない傾向があることを示唆しています。
これらの調査結果は、日本社会における恋愛や結婚に対する価値観の変化、そして個人のライフスタイルの多様化を反映しており、一生独身の人が増加している背景を多角的に説明しています。
一生独身でいるメリットとは?
一生独身で過ごすことを選択する人々が増加している中、独身生活にはさまざまなメリットがあります。国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した第16回出生動向基本調査では、未婚者が感じている独身生活の利点が明らかになりました。この調査結果を基に、独身でいることの主なメリットを見ていきましょう。
生き方や行動を自由に決定できる
独身生活最大の利点として、多くの人が挙げているのが「行動や生き方が自由」であることです。調査結果によると、18~34歳の未婚男性の70.6%、未婚女性の78.7%がこれを主要な独身生活の利点として選択しています。
この自由は、日々の生活から人生の重要な決断まで、幅広い場面で発揮されます。例えば、仕事や趣味に打ち込みたい時に時間を惜しみなく使えたり、突然の旅行や転職の機会があっても躊躇なく決断できたりします。パートナーや家族との調整や妥協が不要なため、自分の意思だけで人生の舵を取ることができるのです。
さらに、「住環境の選択幅が広い」ことも自由の一環として挙げられています。独身者は、自分の好みや必要に応じて住む場所や住居のタイプを自由に選択できるのです。
家族を養う責任がなく気楽でいられる
独身生活の二つ目の大きなメリットは、「家族を養う責任がなく、気楽」であることです。調査では、18~34歳の未婚男性の27.7%、未婑女性の24.1%がこの点を独身生活の利点として挙げています。
家族を持つことは、経済的にも精神的にも大きな責任を伴います。一方、独身者は自分自身の生活のみに集中でき、他者の生活を支える義務から解放されています。これにより、仕事や人生におけるプレッシャーが軽減され、より気楽に日々を過ごすことができるのです。
また、「現在の家族との関係が保てる」ことも、独身生活の利点として挙げられています。新たな家族を持つことで生じる可能性のある、元の家族との関係の変化や複雑化を避けられるのです。
経済的に余裕を持てる
三つ目の重要なメリットは、経済的な余裕です。調査結果によると、18~34歳の未婚男性の24.9%、未婚女性の16.2%が「金銭的に裕福」であることを独身生活の利点として挙げています。
独身者は、自分一人の生活費のみを考慮すればよいため、収入の使い道を自由に決められます。家族のための出費や将来の教育費の心配がないため、自己投資や趣味、旅行などに多くの資金を割くことができるのです。
また、長期的な視点で見ると、老後の資金準備も比較的容易になります。家族を養う必要がないため、若いうちから自分の将来のために貯蓄や投資を行うことができるのです。
これらのメリットは、独身生活を選択する人々が増加している背景の一部を説明しています。個人の価値観や生活スタイルの多様化に伴い、こうした独身生活の利点がより多くの人々に認識され、評価されるようになってきているのです。
一生独身でいるデメリットとは
一生独身で過ごすことには、自由や経済的な余裕といったメリットがある一方で、看過できないデメリットも存在します。これらのデメリットは、日常生活から老後の備えまで、幅広い側面に影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、一生独身でいることの主なデメリットについて解説します。
日常生活も非常時も基本的にひとりで対処する必要がある
独身生活の大きな課題の一つは、生活全般を一人で担わなければならないことです。家事や日々の雑事はもちろんのこと、病気やケガといった突発的な事態にも、基本的に自力で対処することが求められます。
例えば、体調を崩した際に、病院への付き添いや日常生活のサポートを頼める人がいないことがあります。また、家の修繕や重い荷物の移動など、二人以上で行うことが望ましい作業も、一人で何とかしなければならない場合があります。
さらに、緊急時の対応も独身者にとっては大きな課題です。急な入院や手術が必要になった際、身元保証人や手術の同意書にサインをしてくれる人を見つけることが困難な場合があります。このような状況に備えて、独身者は日頃から信頼できる友人や知人とのネットワークを築いておくことが重要です。
孤独を感じることがある
独身生活の長期化に伴い、孤独感を覚える可能性も無視できません。特に、家族や親しい友人が結婚して新しい生活を始めると、自分だけが取り残されたような感覚を抱くことがあります。
例えば、休日や祝日、年末年始などの特別な日に、一人で過ごすことへの寂しさを感じる人もいるでしょう。また、仕事で疲れて帰宅した際に、誰もいない静かな部屋に戻ることへの寂寥感を覚える人もいるかもしれません。
さらに、友人や知人との付き合いにおいても、既婚者中心のグループから疎外感を感じたり、「結婚しないの?」といった周囲からの圧力に疲れたりすることもあります。これらの経験が積み重なることで、社会的な孤立感が深まる可能性があります。
老後の不安がある
独身生活の最大のデメリットの一つは、老後に対する不安です。年を重ねるにつれて、将来の生活や健康に関する不安が増大する傾向があります。
特に、体力が衰えたり、病気や怪我で身体が不自由になったりした際のサポート体制の不足が大きな懸念事項となります。家族がいれば、日常的な介護や緊急時の対応を期待できますが、独身者の場合、そういった支援を得ることが難しくなります。
また、経済面での不安も無視できません。老後の生活費や医療費を一人で賄わなければならないため、十分な貯蓄や年金がなければ、経済的に苦しい状況に陥る可能性があります。
さらに、独居高齢者の増加に伴い、孤独死のリスクも社会問題として注目されています。このような不安を軽減するためには、早い段階から老後の生活設計を行い、経済面と健康面の両方で十分な準備をすることが重要です。
これらのデメリットは、独身生活を選択する上で慎重に考慮すべき要素です。しかし、適切な対策と心構えがあれば、これらの課題を最小限に抑え、充実した独身生活を送ることも可能です。一生独身を選択する際には、これらのデメリットを十分に理解し、対策を講じておくことが大切です。
一生独身で過ごす場合に考えておきたいこと
一生独身を選択する方が増える中、充実した独身生活を送るためには、いくつかの重要な点に注意を払う必要があります。独身生活には自由や気楽さといったメリットがある一方で、さまざまな課題も存在します。
ここでは、一生独身で過ごす場合に心得ておきたいポイントについて解説します。
貯金や保険加入で老後に備える
独身生活を続ける上で、経済的な準備は非常に重要です。特に、老後の生活に備えた貯蓄や保険加入は、独身者にとって欠かせません。家族がいる場合と比べて、独身者は自分一人で生活を支える必要があるため、より慎重な経済計画が求められます。
老後に向けた貯蓄は、できるだけ早い段階から始めることが望ましいでしょう。年金だけでは十分な生活費を賄えない可能性があるため、個人年金や投資信託などを活用し、計画的に資産形成を行うことが大切です。
また、病気やケガに備えた医療保険や、介護が必要になった際の介護保険なども検討すべきです。独身者の場合、家族のサポートを期待しにくいため、より手厚い保障が必要になる可能性があります。
できるだけ仕事をつづける
独身生活を送る上で、仕事を続けることは経済的な面だけでなく、精神的な面でも重要です。定年退職後も、パートタイムや契約社員として働き続けることで、安定した収入を確保できるだけでなく、社会とのつながりも維持できます。
仕事を通じて得られる人間関係や達成感は、孤独感の軽減にもつながります。また、定期的に外出する機会があることで、生活にリズムが生まれ、心身の健康維持にも効果があります。
さらに、仕事を続けることで、新しい知識やスキルを身につける機会も得られます。これは、変化の激しい現代社会において、自己価値を保ち続けるためにも重要なポイントです。
趣味や目標を持つ
一生独身で過ごす場合、生活に彩りを添え、充実感を得るために趣味や目標を持つことが大切です。趣味は生活に潤いをもたらし、ストレス解消や自己実現の手段となります。また、明確な目標を持つことで、日々の生活に意味と方向性を見出すことができます。
例えば、語学学習や楽器演奏、スポーツ、ガーデニングなど、興味のある分野に挑戦してみるのもよいでしょう。これらの活動を通じて、新たな才能を発見したり、同じ趣味を持つ人々との交流を深めたりすることができます。
また、旅行や文化体験など、新しい経験を積むことも人生を豊かにする一つの方法です。これらの活動は、視野を広げ、人生の満足度を高めるのに役立ちます。
友人関係など人とのつながりを大切にする
独身生活において、友人関係をはじめとする人とのつながりは非常に重要です。家族がいない分、友人や知人との絆がより大切になります。既存の友人関係を大切にするだけでなく、新たな交友関係を広げることも、人生を豊かにする上で重要です。
また、実践的な面でも、信頼できる友人の存在は大きな意味を持ちます。例えば、入院時や各種手続きの際に同意書にサインしてくれる人が必要になることがあります。そのような場面で頼れる関係性を築いておくことは、独身者にとって大きな安心につながります。
さらに、ボランティア活動や地域コミュニティへの参加なども、新たな人間関係を構築する良い機会となります。これらの活動を通じて、社会貢献しながら自己実現を図ることができます。
終活をしておく
独身者にとって、終活は特に重要です。万が一のことがあった場合に備えて、自身の希望や財産関係を明確にしておくことは、残された人々への配慮にもなります。
具体的には、エンディングノートを作成し、自身の交友関係や財産状況、希望する葬儀の形式などを記しておくとよいでしょう。また、遺言書の作成も検討すべきです。これらの準備をしておくことで、自身の最期に対する不安を和らげることができます。
加えて、専門的な終活サポートサービスの利用も考えられます。これらのサービスを活用することで、より確実に自身の希望を実現し、残された人々の負担を軽減することができます。
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おわりに
一生独身で過ごす選択が増加している現代社会において、その理由や影響を理解することは重要です。独身生活には自由や経済的余裕といったメリットがある一方で、孤独や老後の不安などのデメリットも存在します。これらを踏まえた上で、貯蓄や人間関係の構築、趣味の充実など、独身生活を充実させるための準備が不可欠です。特に、終活サービスの活用は、将来の不安を軽減し、より安心した独身生活を送るための有効な手段となります。一生独身を選択する人々が、これらの情報を活用し、自分らしい充実した人生を送ることができるでしょう。
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