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東洋医学でセルフメディケーション 花粉症のツボについて

東洋医学でセルフメディケーション 花粉症のツボについて
瀬戸 郁保 鍼灸師・登録販売者・国際中医師

執筆者

鍼灸師・登録販売者・国際中医師

瀬戸 郁保

1970年神奈川県箱根町出身。青山学院大学経営学部卒業後、日本鍼灸理療専門学校にて学び、鍼灸師・按摩指圧マッサージ師免許を取得。さらに北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で中医学・漢方薬を学び、国際中医師を取得。2004年東京の表参道に源保堂鍼灸院を開院し、その後漢方薬店薬戸金堂も併設。『黄帝内経』『難経』などの古医書を源流にした古典中医鍼灸を追究しながら、併せて漢方薬や気功など、東洋医学・中医学を幅広く研究し、開業以来多くの患者様のからだとこころの健康をサポートしてきている。さらに現在は東洋遊人会を主宰し、後進の指導にもあたっている。(株)薬戸金堂の代表取締役。著書に『長生きをしたければ、「親指」で歩きなさい』(学研)がある。

花粉症は病気でしょうか?寒い冬が終わって暖かくなりだした頃、気分も春めいてうきうきしてきます。しかし花粉症の方にとっては憂鬱な季節の到来です。鼻水が出たり、くしゃみが出たりと、とても不快な症状が続き、花粉症さえなければ…と思う方も多いのではないでしょうか。

このような不快な花粉症に対して、ほとんど多くの方は花粉症を病気と思われているのではないでしょうか?さらに、花粉症は病気なのだから、抗アレルギー薬を飲むのは当然だろうという方がほとんどだと思います。といいますか、それ以外の選択肢はあるの?と及びもつかないかもしれません。

しかし、そもそも論から考えてほしいのです。花粉症は病気なのでしょうか?薬を飲まなければいけないような病気なのでしょうか?このような疑問に対し、私が専門にしている東洋医学は花粉症をどのように考えているかをまずはお話したいと思います。

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防衛機能が過剰になっているのが花粉症

スギ花粉

身体の外から異物が入ってくると、私たちの身体は抗原抗体反応という防衛機能を働かせます。花粉も外から入ってくるものなので、同じく防衛機能で対処します。通常であれば、それほど症状が出ずに済むわけですが、しかし花粉症は、防衛反応が過剰になっているがためにやっかいな症状が出てしまうわけです。これがいわゆるアレルギー反応ということになります。

花粉症は、“身体の防衛機能がしっかり働いている”という点においては正しい身体の反応ということができます。しかし、それが度を越して過剰に攻撃しすぎているという点があるからこそ、そこが問題になるわけです。

東洋医学では、このような、通常よりも強くはみ出している過剰な部分のことを“実(じつ)”といいます(不足や低下している場合は“虚(きょ)”といいます)。花粉症によくある鼻水にしても、くしゃみにしても、これらは通常の生理的な範囲にある体の潤いが過剰になって湿・痰となったものです。

以上をまとめてみますと、東洋医学では、花粉症は何かが壊れていくような病気ではなく、身体が過剰に攻撃しすぎている“実”の状態と考えますので、その“実”を取り除くことをしてあげれば良いということがわかるかと思います。しかもそれが東洋医学に伝わるツボを使ってご自身でできるのですから、活用しない手はないと思います。

ツボケアの場合、自分自身でケアできるということだけではなく、薬のような副作用・副反応がないというメリットもあります。これからは、ご自身の身体はご自身でケアする、セルフメディケーションの時代になってきますので、ぜひこの花粉症の機会からでもツボと親しんでほしいと思います。

花粉症への東洋医学的対策とツボ

実際に使うツボに入る前に、ここまでのお話を踏まえて、花粉症への東洋医学的対策を挙げてみます。

“実”は過剰な状態とお話ししましたが、まずはじめに、当然ながら花粉が過剰に身体に入って来ないようにすることが大事です。身体の外といえば皮膚や粘膜になります。そこで、皮膚や粘膜の守りを強くしてあげることが1つ目の対策になります。

次に、身体に入ってきた花粉が過剰に溜まってしまっているから“実”になるのですから、入ってきたものを排泄してあげれば良いことになります。そこで、次に挙げる対策は、花粉を排泄しやすくする、つまりデトックスをするツボを使うことになります。

そして最後の3つ目は、過剰なっている免疫と花粉との戦いを和らげてあげることです。花粉症の場合は、東洋医学ではアレルギー反応で熱がこもっていると考えますので、この熱がうまく逃げるようにしてあげることがアレルギー反応の緩和となります。

以上のことをまとめてみますと、花粉症の対策は以下の3つに集約されることになります。

対策1 花粉を身体に入れない

対策2 花粉を身体の外に出す

対策3 花粉からの身体の反応を和らげる

それでは、具体的にそれぞれの対策の内容とツボを見ていきましょう。

対策1 花粉を身体に入れない

身体に花粉が入るために花粉症になるわけですから、当然ながら、なるべく花粉を身体に入れないようにすることが最初の対策になります。そのためには、身体のバリアをしっかりとしておくことが大切になります。皮膚の防御力を強化しておくことで、身体に入る花粉の量をできるだけ少なくなるようにできます。

ではそのためのツボはといいますと、それは上関(じょうかん)というツボになります。

上関
上関の位置:上関はまなじりを耳のほうにたどっていったほほ骨の突き当り、もみあげ付近にあります

この上関を押すことによって、身体の表面の皮膚が密になりますので、花粉が入りにくくなります。つまり、防御力が強くなるということになります。ちなみにこの上関というツボは頭にあり、精神的なストレスをとるのにも効果的です。つまり、ストレスが多い方は皮膚の守りも弱くなるということもいえます。上関を押すことで、花粉症だけではなく、ストレスも軽くすることができるという、一石二鳥のツボになります。

対策2 花粉を身体の外に出す

対策1をしても、花粉は細かいですから絶対に花粉の侵入を防ぐということは難しいです。あくまで入ってくる花粉の量を減らすもの。そこで、入ってきた花粉を外に出す、つまり花粉をデトックスすることが次に求められる対策になります。

花粉を外に出すためのツボが中渚(ちゅうしょ)というツボです。身体の老廃物のデトックスは肝臓で行われますが、この中渚は肝臓と関係があり、とくに肝臓のデトックス機能につながるとされています。

中渚
中渚の位置:中渚は手の甲側で、小指と薬指の間を手首方向へ辿っていって止まる凹みのところ

ちなみに花粉症はアルコール飲料で悪化することがありますが、これは、アルコールの処理のために肝臓のデトックス機能に負担がかかってしまうからです。本音をいえば、花粉症の時期はアルコール類を減らして欲しいと思いますが、どうしても止められないという方は、中渚を念入りに押して欲しいと思います。

対策3 花粉からの身体の反応をやわらげる

身体に入る花粉の量を減らしても、蓄積していく量を減らしても、それでも花粉と身体が強く反応し過ぎてしまう。このような場合も、これも“実”の状態になります。東洋医学では、身体は中庸な状態に保たれていると考えますが、花粉症の場合は身体がやや熱が強い方に傾いていると捉えます。そこで、その余計な熱を逃がしてあげることが、“実”から中庸へ戻すこと、つまりは花粉症の反応を和らげるということにつながります。

そこで使いたいツボが通里(つうり)。通里は血管と関係するツボですが、東洋医学では、熱は血管に影響すると考えます。通里を使うことで、花粉症でできる熱を回避して、その反応を抑えることができます。

通里
通里の位置:通里は手首の内側で、手首にできる横しわの小指側の端から2センチくらいにあります

いずれの場合も、ツボは気持ち良く押すのが基本です。ご自身の感覚で良いので、じわぁっと気持ちよく、1回に5~10秒くらいを3~5セットくらい押します。くれぐれも痛くならないように気をつけてください。

ツボは、自身でできるもっとも簡単な養生法のひとつであり、かつ継続して行うととても効果が上がるものです。未病治療としても、活用していただけたら幸いです。

参考文献『針灸経穴辞典』東洋学術出版社

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