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親の介護のために仕事を辞めるのは危険?リスクと支援制度について徹底解説!

セゾンのくらし大研究 編集部

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親の介護が必要になった時、仕事との両立に悩む方は少なくありません。特に、介護のために仕事を辞めるべきかどうかは、誰にとっても大きな決断となるでしょう。しかし、安易に退職することにはリスクも伴います。

本記事では、介護離職の現状やメリット・デメリット、仕事と介護を両立するための制度・サービスについて徹底解説します。また、介護をサポートする便利なサービス「親サポセレクト」についてもご紹介します。親の介護に直面している方や、将来的に介護が必要になる可能性がある方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること
  • 親の介護を理由とした離職は年間約10万人おり、働き盛りの世代に大きな影響を与えている。
  • 介護離職にはメリットもあるが、収入の途絶えやキャリアの断絶、精神的負担などの深刻なデメリットがある。
  • 仕事と介護の両立を支援する介護休業や介護休暇などの制度が整備されており、活用することで離職を回避できる可能性がある。
  • 地域包括支援センターや介護保険、高額医療費制度など、公的な支援制度を利用することで介護の負担を軽減できる。
”選べる親御さまサポートサービス”「親サポセレクト」
”選べる親御さまサポートサービス”「親サポセレクト」

親の介護で仕事を辞める人と介護者の現状

親の介護で仕事を辞める人と介護者の現状

介護を理由とした離職は依然として多く、特に働き盛りの世代に大きな影響を与えています。また、高齢化の進展に伴い、働きながら介護をする人や高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も増加傾向にあります。

ここでは、このような状況を詳しく見ていきましょう。

1年間に介護・看護で退職した人は約10万人

2022年の調査によると、介護・看護を理由に前職を離職した人は10.6万人に上ります。内訳を見ると、男性が2.6万人、女性が8.0万人と、女性の離職者が多くなっています。2017年の前回調査では9.9万人でしたので、5年間で0.7万人増加しました。

この数字の推移を見ると、2007年から2017年にかけては減少傾向でしたが、2017年から2022年にかけては増加に転じています。

働きながら介護をする人は増加傾向

介護をしている人は全体で約628万人にのぼり、そのうち約346万人(約6割)が仕事を持ちながら介護を行っています。この数字は増加傾向にあり、今や多くの人が仕事と介護の両立という課題に直面しています。

介護をしながら仕事を持つ人の割合を男女別に見ると、男性が約99%、女性が約73%となっています。特に女性は5年前と比べて9.2ポイントも上昇しており、働きながら介護をする女性が増えていることがわかります。

老老介護も増加

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」も年々増加しています。2022年の調査では、65歳以上の介護者と要介護者の組み合わせは全体の63.5%を占めています。さらに、75歳以上同士の組み合わせも35.7%に達しています。

この傾向は年々上昇しており、2001年と比較すると、65歳以上同士の割合は41.1%から63.5%へ、75歳以上同士の割合は18.7%から35.7%へと大幅に増加しています。このように、高齢者が高齢者を介護する状況は、より深刻化していることがわかります。

親の介護で仕事を辞めるメリット・デメリット

親の介護で仕事を辞めるメリット・デメリット

介護離職には、一見すると介護に専念できるなどのメリットがあるように思えます。しかし、実際に離職した人の経験からは、予想以上のデメリットがあることがわかっています。

ここでは、介護離職のメリットとデメリットについて解説します。

メリット1:介護費用が節約できる

介護サービスの利用を減らし、家族が介護の担い手となることで、介護費用を抑えることができます。また、要介護4または5の方を介護する家庭で、1年間介護サービスを利用しなかった場合、「家族介護慰労金」を受給できる可能性があります。

ただし、要介護者の心身の状態によっては介護サービスの利用が必要不可欠な場合もあり、また介護者の負担軽減のためにも、介護サービスの利用は検討する必要があります。

メリット2:介護に集中できる

仕事の負担がなくなることで、介護に時間的にも精神的にも余裕を持って取り組めます。これまで仕事と介護の両立にストレスを感じていた人にとっては、介護に専念することで時間的な余裕が生まれ、心理的な負担も軽減されます。要介護者とじっくりコミュニケーションを取りながら介護に取り組めることで、介護終了後の達成感にもつながります。

デメリット1:収入がなくなる

退職により収入が途絶え、預貯金や親の年金で生活することになります。介護期間中は、おむつなどの介護用品の購入費用、介護サービスの利用料など、予想以上の出費がかさみます。

例えば、介護サービスの自己負担だけでも月4万円以上かかることがあります。さらに、住宅改修費用や介護用品の購入など、まとまった費用も必要となります。

デメリット2:キャリアを築きにくい

40〜50代は職場で重要なポジションを任されることが多い世代です。介護離職によってこれまで築いてきたキャリアが分断され、離職前と同じポジションでの再就職は困難になります。また、ブランクが長引くほど、年収やポジションの低下は避けられません。特に、仕事にやりがいを感じていた人にとって、これまでのキャリアを手放すことは大きな損失となります。

デメリット3:精神的に疲れやすい

介護の期間は長期化することが珍しくなく、見通しが立ちにくいことで不安が生じやすくなります。また、介護中心の生活により社会との接点が減少し、相談できる相手がいないことで孤立感が強まります。

さらに、収入源が絶たれることで、今後の生活への不安も重なります。このような将来への不安や介護疲れは、メンタル疾患の発症につながるケースも少なくありません。

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親の介護と仕事の両立に便利な制度・サービス

親の介護と仕事の両立に便利な制度・サービス

介護離職を選択する前に、活用できる制度やサービスを知っておくことが重要です。公的な制度から自治体独自のサービスまで、さまざまな支援策が用意されています。

以下では、仕事を続けながら介護を両立するために利用できる制度やサービスについて解説します。

介護休業

介護休業制度は、要介護状態にある家族を介護するための長期休業制度です。対象となる家族1人につき、通算93日まで取得でき、3回を上限として分割して取得することができます。休業中は、休業前賃金の67%が介護休業給付として支給されます。

日々雇用される方以外の労働者であれば利用できますが、入社1年未満の方や週の所定労働日数が2日以下の方は、労使協定の締結により対象外となる場合があります。取得を希望する場合は、休業開始予定日の2週間前までに会社に申し出る必要があります。

介護休暇

介護休暇は、要介護状態にある家族の介護や世話をするための短期休暇制度です。対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は年10日まで取得できます。2023年時点では、1日または時間単位での取得が可能です。

労働基準法の年次有給休暇とは別に取得でき、有給か無給かは会社の規定によります。申し出は口頭でも可能で、書面での提出は必須ではありません。通院の付き添いや介護サービスの手続き代行、ケアマネージャーとの打ち合わせなどに活用できます。

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、高齢者の健康や安心な暮らしを総合的に支援する無料の相談窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家が常駐し、介護保険の申請手続きや介護サービスの情報提供、施設入居の相談など、幅広い支援を行っています。

専門家が連携して相談内容に応じた具体的な解決策を提案し、必要に応じて介護サービスの手続きもサポートしてくれます。また、高齢者の権利を守ることや暮らしやすい地域づくりも行っており、市区町村に1つ以上設置されています。

介護保険

介護保険は、要介護状態にある65歳以上の方が利用できる制度です。サービスの利用には要介護認定が必要で、要介護度に応じて支給限度額が設定されています。例えば、要介護3の場合、月額の支給限度額は270,480円で、自己負担は原則1割(27,048円)となります。

申請から認定までは原則30日以内で、認定されると介護サービス計画(ケアプラン)に基づいてサービスを利用できます。給付は要介護度によって異なり、要支援1から要介護5まで7段階に分かれています。

高額医療費制度

70歳以上で年収が約370万円から770万円の方の場合、医療費の自己負担には上限があります。

例えば、医療費が100万円で自己負担が3割(30万円)の場合、自己負担限度額の計算式(80,100円+(総医療費-267,000円)×1%)により、実際の自己負担額は87,430円となり、差額の212,570円が後から支給されます。

なお、差額ベッド代や入院時の食事代は対象外となりますので注意が必要です。

介護サービス

介護保険で利用できる主なサービスには、訪問介護(ホームヘルプ)、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)などがあります。訪問介護では、ホームヘルパーが自宅を訪問して入浴や食事の介助、家事援助を行います。

デイサービスでは、施設で食事や入浴の支援、機能訓練などを日帰りで受けることができます。ショートステイは、介護者の負担軽減のため、要介護者が施設に短期間宿泊しながらケアを受けるサービスです。

自治体独自の介護サービス

自治体によって独自の介護サービスが提供されています。例えば、緊急通報システム、おむつの支給、食事の宅配、住宅改修の助成、外出支援(タクシー、バス料金の助成)、定期巡回、訪問理美容、マッサージ、ゴミの戸別回収などがあります。

これらのサービスの内容や料金は自治体によって異なりますので、お住まいの地域の窓口に確認することをお勧めします。多くの場合、介護保険と同様に1〜3割の自己負担で利用できるケースが多くなっています。

介護離職に関するQ&A

介護離職に関するQ&A

介護離職を考える際、失業保険や退職の伝え方など、多くの方が不安に感じる点があります。

以下では、介護離職に関してよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。

親の介護で退職する場合でも失業保険はもらえるのか?

親の介護を理由に退職した場合、「特定理由離職者」として失業保険が給付されます。通常の自己都合退職よりも早く給付を受けることができます。

ただし、給付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。まず、退職日を含めた過去2年間で12ヶ月以上雇用保険に加入していることが必要です。また、再就職する意思があり、積極的に就職活動を行っていることも条件となります。

失業保険は期限が設けられているため、給付が終了するまでに収入面での不安を解消しておくことが重要です。

親の介護で退職する際の伝え方は?

退職をスムーズに進めるためには、伝え方を工夫する必要があります。デリケートな問題であるため、病名は伝える必要はありません。「プライベートな話ですので」と説明を控えめにしつつ、毅然とした態度で退職を申し出ることが大切です。

介護に伴って転居が必要な場合は、その旨を伝えるとよいでしょう。強い引き止めにあった場合は、診断書を提出することも検討してください。

なお、このように配慮して伝えた場合でも、失業保険の給付に影響することはありません。また、診断書の提出を視野に入れておくと、万が一の場合に対応できます。

親の介護が必要になったらくらしのセゾンの「親サポセレクト」が便利!

親の介護が必要になったらくらしのセゾンの「親サポセレクト」が便利!

親の介護が必要になったとき、仕事と介護の両立は多くの人にとって大きな課題です。介護に専念するために仕事を辞めるという選択肢もありますが、かならずしもそれが最善の解決策であるとは限りません。

クレディセゾングループの「くらしのセゾン」が提供する「親サポセレクト」は、離れて暮らす親御さまの暮らしをサポートするサービスです。ご自宅での見守りサービスから日常生活のサポート、緊急時の対応まで、親御さまの状況に応じた支援を受けることができます。

親サポセレクトのサービスメニュー

親サポセレクトは、毎日の見守りから入院・施設入居など「もしもの時」の支援まで、親御さまの生活状況にあわせてサービスを選ぶことができます。豊富な支援メニューをご紹介します。

「いつも」のサポート

親の日常生活をきめ細かくサポートするサービスを提供しています。見守りサービスでは、ご自宅で突然の体調変化が生じたときに専門のスタッフの緊急駆けつけやセンサーによる安否確認、熱中症の注意喚起など、24時間365日体制で親御さまの安全を遠隔で見守ります。また、病院や買い物など外出時の付き添い、掃除・洗濯・食事の準備といった家事代行サービスも利用できます。

「もしも」のサポート

突然の入院や高齢者施設入居が必要になった場合のサポートを提供しています。介護施設の見学付き添いから、入院セットの準備、施設入居時の荷造り・引っ越しまで、必要な支援をワンストップで受けられます。

親サポセレクトの特徴

親サポセレクトは、3つの特徴を持つ安心のサービスです。

第一に、クレディセゾングループによる信頼性の高い運営体制です。セゾンカードでおなじみのクレディセゾングループの会社として、シニアの困りごとに寄り添う確かなサービスを提供しています。

第二に、必要なときに必要なサービスだけを選択できる柔軟性です。親御さまのライフステージに合わせて自由にサービスを組み合わせることが可能で、サービスの選択に迷った際は専門スタッフが最適な提案を行います。

第三に、経験豊富な専任スタッフと提携企業による充実したサポート体制です。相談内容に応じて、厳選された専門士業事務所や専門サービス会社と連携し、きめ細やかな支援を提供します。

まずは無料の資料請求から。親サポセレクトの詳しい情報を確認してみてはいかがでしょうか。

「親サポセレクト」の詳細はこちら

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おわりに

親の介護と仕事の両立は、決して簡単なことではありませんが、介護離職を選択する前に、活用できる制度やサービスを知ることが重要です。介護休業や介護休暇などの法定制度、介護保険サービス、地域包括支援センターなど、多様な支援策を組み合わせることで、仕事を続けながら介護に取り組むことが可能です。また、民間サービスである親サポセレクトなどを利用すれば、より柔軟な支援を受けることができます。介護と仕事の両立に向けて、まずは利用可能な制度やサービスを確認し、計画的に取り組むことをお勧めします。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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