実家の片付けは、親との意見の食い違いや物の多さに圧倒されて、思うように進まないことがよくあります。「片付けたいのに親が反対する」「どこから手をつければいいかわからない」など、多くの方が悩みを抱えているのではないでしょうか。この記事では、実家の片付けに関する具体的な進め方や、疲れてしまったときの対処法、プロに依頼するメリットなどをご紹介します。スムーズな片付けのヒントとしてご活用ください。
- 実家の片付けには適切なタイミング(高齢者施設入居時、死後)があり、状況に応じた対応が必要である
- 効率的な片付けのためには、不用品の処分方法の確認、期間・場所の設定、捨てる基準の明確化が重要である
- 片付けに疲れた際は一時的に作業を中断したり、方法を見直したりすることで状況を改善できる
- 片付けが困難な場合はプロのサービスを利用することで、効率的かつストレスなく作業を進められる可能性がある

実家を片付けるタイミング

実家の片付けは、親の生活環境を整え、将来の負担を軽減するために重要な作業です。特に、親の施設入居時、また不幸にして亡くなられた後には避けて通れません。それぞれのタイミングに応じた適切な片付け方法を知っておくことで、精神的・肉体的な負担を減らすことができます。
実家での一人暮らしに不安を感じたとき
親の足腰が弱くなり、つまずきやすくなったと感じたら、実家を片付けるタイミングかもしれません。床に置いた物に足が引っかかり転倒すると、骨折する可能性もあります。また、玄関までの廊下に物や棚が置かれていると、地震が起きた時に避難経路を塞いでしまい家から出られなくなる恐れがあります。このタイミングでの片付けには以下のメリットがあります。
1. 安全な住環境を整えられる
- 床に物が置かれていない状況を作ることで、転倒などの事故リスクを減らせる
- 災害時の避難経路を確保できる
- 必要に応じて介護のためのスペースを設けることができる
2. 生活の質が向上する
- 生活空間がすっきりすることで日々の暮らしが快適になる
- 必要な物がすぐ見つかるようになるため、探し物にかかる時間が減る
- 物が少ないため、掃除機をかけたり、掃き掃除をしやすくなる
高齢者施設に入居するとき
親が高齢者施設に入居する場合、高齢者施設に移すことになるため、入居前に親と一緒に実家の片付けを行うことがおすすめです。これは「生前整理」と呼ばれ、本人が元気なうちに身の回りの物を整理することです。
このタイミングでの片付けには以下のようなメリットがあります。
- 親の以降を確認しながら整理できる
- 必要なものと不要なものを親自身が判断できる
- 思い出の品や趣味の道具をどのように扱うか相談できる
- 家族に譲りたいと考えている物を確認できる
- 高齢者施設への入居が円滑に進む
- 施設に厳選したものを持ち込むことで、快適な生活空間を確保できる
- 施設への引っ越しの荷物が減り、荷造りの負担が軽減する
- 片付けを通じて人生を振り返り、心の整理をすることで、前向きに新しい生活に望める
- 将来の負担を軽減できる
- 家族が遺品整理をするときの負担が軽減できる
- 財産や重要書類の保管場所を確認でき、後々の手続き時に役立つ
- 賃貸物件の場合、退去時の片付けの手間が少なくなる
亡くなったとき
親が亡くなった後の片付けは遺品整理として行います。この場合、以下のような特徴とメリットがあります。
1.効率的な整理が可能
- 俯瞰して物の仕分けができるため、感情的な判断を避けやすい
- 処分の決定が比較的早いため、作業が順調に進む
- 期限を決めて集中的に作業できる
2.家族間のトラブルを防げる
- 片付けを通じて話し合いをおこない、遺品の分配を計画的に行える
- 個人の財産や重要書類を明確にし、相続手続きを円滑に進められる
- 遺品の処分方法について事前に合意を得ることで対立を防ぐ
3.心の整理になる
- 心の整理ができ、悲しみや喪失感を和らげることができる
- 個人との思い出を振り返り、前向きな気持ちになる
- 思い出の品に触れて、感謝の気持ちを持てる
ただし、遺品整理は心理的な負担が大きいため、必要に応じて専門業者に依頼することも検討するとよいでしょう。
実家の片付けが疲れる原因

実家の片付けに取り組んでみたものの、思うように進まず疲れてしまう方は少なくありません。特に「物が多すぎて片付けが終わらない」「親と意見が合わず喧嘩になってしまう」という悩みをよく耳にします。
なぜ実家の片付けは、これほど疲れてしまうのでしょうか。主な原因を見ていきましょう。
物が多い
実家の片付けで最も疲れる原因の一つが、物の多さです。以下のような状況が、片付けを困難にしています。
- 収納スペースが広すぎる
- 家族で済んでいた家は収納が多いため、ものが溜まりがち
- 空いている収納に新しい物を入れ続けてしまう
- 使っていない部屋が物置化している
- 仕分けの手間
- 実家にある物を必要か不要か一つ一つ判断しなければならない
- 大量の物を前に途方に暮れてしまう
- 分別や処分方法の確認に時間がかかる
- 世帯人数の減少に対して物が減っていない
- 家族が多かった頃の家具や食器がそのまま残っている
- 一人暮らしになっても家族分の布団や客用布団を保管
- 子どもが小さい頃の思い出の品が大量に保管されている
このように物が多いと、片付けに時間がかかるだけでなく、途中で投げ出したくなるほど精神的にも疲れてしまいます。
親と揉める
生前整理をしようとすると、親との意見の食い違いで喧嘩になってしまうことがあります。
以下のような場面でよく揉めます。
- よくある対立の例
- 子:「使っていない古い服は処分しよう」親:「まだ着られるから取っておきたい」
- 子:「同じような鍋が3つもあるから減らそう」親:「それぞれ使い道があるから全部必要」
- 子:「健康食品や健康グッズが増えすぎ」親:「いつか使うから捨てないで」
- 揉めない工夫
- かつての子ども部屋など、親の抵抗感が少ない場所から始める
- 3秒ルールを提案(3秒以内に必要か判断できないものは一時保管)
- スッキリし過ぎない程度の片付けを心がける
- 防災や安全面を理由に片付けを提案する
- コミュニケーションの工夫
- 「早く片付けなさい」といった命令口調を避ける
- 親の気持ちに寄り添い、思い出話に付き合う
- 一気に片付けようとせず、少しずつ進める
- 捨てるのではなく「片付ける」「整理する」という表現を使う
このように、親の気持ちに配慮しながら、上手なコミュニケーションを心がけることで、揉めずに片付けを進めることができます。
片付けをスムーズに終わらせる方法

実家の片付けを効率的に進めるためには、事前の準備と計画が重要です。不用品の処分方法を確認し、期間や場所を決め、明確な基準を設けることで、円滑に片付けを進めることができます。
ここでは、実践的な片付けの方法をご紹介します。
不用品の処分方法を確認する
不用品の処分は適切な方法で行う必要があります。まずは自治体の粗大ごみの受付方法や料金、収集日、分別ルールを確認しましょう。
大型の家具や家電製品は、自治体での処分のほか、不用品回収業者への依頼も検討できます。業者に依頼する場合は、複数社から見積もりを取得し、料金の内訳や古物商許可証、一般廃棄物収集運搬業許可または産業廃棄物収集運運搬業許可の有無を確認することが大切です。
また、まだ使える家電製品や家具は、リサイクルショップでの買取サービスやフリマアプリの利用も考えられます。特にテレビやエアコン、冷蔵庫、洗濯機は家電リサイクル法の対象となるため、正しい処分方法を確認する必要があります。
処分のタイミングも重要です。収集日に合わせて片付けを計画し、ゴミの一時保管場所を確保しておきましょう。天候も考慮して日程を決めると、スムーズに作業を進められます。
片付けをする期間と場所を決める
計画的な片付けは、効率的に作業を進められるだけでなく、精神的な負担も軽減できます。一日に片付ける量を決め、休憩時間も含めた無理のないスケジュールを立てましょう。定期的な片付け日を設定することで、継続的に整理を進めることができます。
場所の選定も重要です。比較的物が少ない場所から始めると、達成感を得やすく、モチベーションを保ちやすくなります。親と相談しながら、一部屋ずつ順番に片付けを進めるとよいでしょう。
また、家族で役割分担を決めることで、効率的に作業を進められます。親の得意分野を任せたり、休憩のタイミングを合わせたりすることで、協力し合う雰囲気が強まり、家族の絆が深まる片付けが実現できます。
捨てる基準を設定する
明確な基準があると、物の仕分けがスムーズになります。基本的な判断基準として、1年以上使用していない物、破損や故障している物、同じ用途の物が複数ある場合、期限切れや劣化している物は処分を検討しましょう。
衣類であれば、サイズが合わないものや着用せずにシーズンを2回越えたもの、書籍は再読する予定がないものや情報が古いもの、食器は現在の家族人数以上の余剰品、家電は修理費用が新品より高いものを処分の対象とすると判断しやすくなります。
判断の効率化のために、3秒ルールを採用するのも効果的です。即座に判断できないものは保留にし、必要品・不要品・保留品の3つに分類します。このような基準を家族で共有することで、迷いが少なくなり、作業効率が上がるとともに、親との意見の対立も減らすことができるでしょう。
片付けに疲れてしまったときの対処法

実家の片付けは想像以上に体力的にも精神的にも負担がかかるものです。親との意見の食い違いや、膨大な量の荷物に圧倒されて疲れてしまうことも珍しくありません。
以下では、片付けに疲れてしまったときの具体的な対処法をご紹介します。
一度片付けから離れてみる
片付けや親との揉め事で疲れが溜まっているときは、一度作業から離れることをおすすめします。ストレスを抱えたまま無理に片付けを進めようとすると、親との関係が悪化したり、大切なものを誤って処分してしまったりする可能性があります。
実家の片付けは長期戦です。親が健在で一緒に暮らしている場合、すぐに片付ける必要性は低いでしょう。一時的に片付けから離れることで、お互いの気持ちが落ち着き、冷静に物事を考えられるようになります。この休憩期間中に、親の気持ちを理解しようと努めたり、自分の要求が強すぎなかったか振り返ったりすることで、より良い片付け方法が見えてくるかもしれません。
焦らず、お互いの体調や心情に配慮しながら、無理のないペースで進めていくことが、最終的には効率の良い片付けにつながります。
片付けの方法や場所を見直す
片付けが思うように進まず疲れてしまう場合は、作業の方法や順序を見直してみましょう。
たとえば、親の思い入れが強いリビングや寝室から始めてしまい、話し合いに時間がかかっているかもしれません。その場合は、まず自分の子ども部屋や物置など、比較的親の抵抗が少ない場所から始めることで、スムーズに片付けられる可能性があります。
また、一度に大量の物を片付けようとして疲れている場合は、一日の作業量を見直すことも有効です。「今日はクローゼット1つだけ」「今週は子ども部屋の本棚のみ」というように、範囲を限定して取り組むと、達成感を得やすく、モチベーションも維持しやすくなります。
さらに、親が片付けに抵抗を感じる理由を理解し、アプローチを変えてみるのも一案です。たとえば「物を減らす」という言い方ではなく、「より安全に暮らせるように整理する」という視点で提案すると、親の理解を得やすくなるかもしれません。
片付けのプロへの依頼も検討してみよう

実家の片付けを自力で行うのは、想像以上に大変な作業です。特に遠方に住んでいる場合や、物が多く処分に困っている場合は、プロの力を借りることで負担を大きく軽減できます。
以下でプロへの依頼のメリットと注意点についてご説明します。
プロに片付けを依頼するメリット
プロの片付けサービスを利用することで、さまざまなメリットを得ることができます。
まず、片付けにかかる時間を大幅に短縮できます。経験豊富なプロのスタッフは、効率的な片付けの手順を熟知しており、短時間で作業を完了することができます。一般家庭では数週間かかるような作業でも、3~5日程度で終わらせることも可能です。
また、不用品の仕分けから処分まで一括して対応してくれます。家電リサイクル法対象品目の処分や、粗大ごみの搬出など、専門的な知識が必要な作業もお任せできます。さらに、買取可能な物は適正価格で買い取ってもらえる場合もあり、処分費用の軽減につながります。
精神的な負担の軽減も大きなメリットです。遺品整理士などの資格を持つスタッフがご家族の思いに寄り添いながら作業を進めてくれます。また、親との意見の食い違いで悩んでいる場合も、専門家が間に入ることで、円滑に片付けを進められる可能性があります。
依頼する際に注意したいポイント
片付けサービスを利用する際は、いくつかの注意点があります。まず、費用面での検討が必要です。
プロに依頼すると自分で行うよりも費用がかかります。ただし、自分で片付ける場合でも、交通費や処分費用、道具の購入費など、予想以上にコストがかかることもあります。複数の業者から見積もりを取り、費用対効果を考慮して判断しましょう。
また、悪質な業者とのトラブルを避けるため、業者選びは慎重に行う必要があります。見積もり時の対応が丁寧で、料金の内訳が明確な業者を選びましょう。無料回収を謳って高額な請求をする業者や、不法投棄を行う業者もいるため、許可証や資格の確認は必須です。
さらに、作業前には必ず詳細な打ち合わせを行い、作業内容や範囲、重要書類の扱いなどについて確認しておくことが重要です。生前整理の場合は、親の同意を得ることも忘れずに。大切な思い出の品を誤って処分されるなどのトラブルを防ぐためにも、コミュニケーションを密に取ることが大切です。
実家の片付けに悩んだら「くらしのセゾン」にご相談を!

実家の片付けで悩むことは、誰にでもあるでしょう。そんなときは、セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社、くらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」サービスが心強い味方となってくれます。同社は、思い出の詰まった家財を大切に整理するプロフェッショナル集団として定評があります。
「遺品整理・生前整理」サービスの特徴は、遺品整理士をはじめとする専門スタッフによる丁寧な対応です。思い出の品、貴重品、供養が必要な品などを独自の分別基準で細かく仕分けし、大切な物を誤って処分することのないよう、細心の注意を払って作業を進めます。
サービスを利用する際の不安要素の一つである費用面についても、安心できる体制が整っています。現地調査と見積もりは無料で実施され、経験豊富なスタッフが訪問してご予算や状況、要望を丁寧にヒアリングし、納得のいく内容で提案してくれます。見積もり後の追加費用も一切発生しません。
また、貴重品の買い取りや不用品の回収については、適正価格で買い取る専門業者や、有資格の不用品回収業者を紹介してくれます。これにより、無資格業者による違法な回収を防ぎ、安全に整理を進めることができます。さらに、もしも実家が空き家になった場合、不動産活用についても相談可能です。
思い出がたくさん詰まった実家の片付けは、経験豊富なプロの力を借りることで、安心して整理を進めることができるでしょう。まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

おわりに
実家の片付けは、親の健康と安全な暮らしを守るために重要な取り組みです。物が多すぎたり親との意見の食い違いがあったりして疲れてしまうことも多いですが、計画的に進めることで効率よく作業を行うことができます。片付けのタイミングや方法を適切に選び、必要に応じてプロの力を借りることで、親子ともに快適な生活環境を整えることができます。片付けに悩んだら、一度立ち止まって方法を見直したり、専門家に相談したりすると良いでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。