実家に帰省するたびに「物が増えているな…」と感じることはありませんか?多くの人が実家の片付けに頭を悩ませています。この記事では、実家に物が多くなる理由から、放置するとどんなリスクがあるのか、そして具体的な片付け方まで、専門家の視点から詳しく解説します。親の気持ちに寄り添いながら、実家の片付けを進めるためのヒントが見つかるはずです。
- 実家の片付けには親の同意と理解を得ることが重要
- 計画を立てて段階的に進めることで無理なく片付けられる
- 専門家のサポートを活用することで効率的に片付けを完了できる
- 早めに片付けることで親子ともに安全で快適な生活環境を実現できる

実家のものの多さを気にする人は少なくない

実家に帰省すると「昔より物が増えている」「部屋を歩くのが大変」と感じることはありませんか?久しぶりに実家に立ち寄ると、親の生活環境の変化に気づくことが多いものです。コロナ禍での外出自粛をきっかけに、不要な物が徐々に増えていったケースも見受けられます。
特に両親が高齢になってくると、体力的な問題から片付けが難しくなり、結果として物が増え続けてしまうことがあります。この悩みを抱えているのは、決して珍しいことではありません。
株式会社AlbaLinkが2023年に実施した調査によると、「実家に物が多い」「少し多い」と感じている人は実に76.0%にのぼります。同調査では、実家の物の多さに悩む理由として「遺品整理が大変そう」「生活スペースが狭くなる」「不衛生」といった声が多くあがっています。
実家にものが多くなる理由

実家にものが多くなる背景には、親世代特有の価値観や高齢化による身体的な制約など、さまざまな要因が絡み合っています。なぜ実家に物が溜まっていくのか、以下で理由を説明していきます。
「いつか使うかも」と捨てられない
「まだ使えるから」「いつか必要になるかもしれない」という思いから、物を手放せない親は少なくありません。特に、大家族時代の布団や食器類が、親が一人暮らしになっても、そのまま残されているケースがよく見られます。
また、家族や知人からもらった贈り物も、感謝の気持ちから手放すことができず、次第に収納スペースを圧迫していきます。
繰り返し買いものをしてしまう
収納スペースに余裕がある実家では、つい必要以上に買い物をしてしまう傾向があります。特に日用品や食料品のストックが既にあるにもかかわらず、セールで見かけるとついつい購入してしまうことも。
さらに収納の奥に物を詰め込んでいくうちに、何がどこにあるのか把握できなくなり、同じものを重複して購入してしまうという悪循環に陥りやすくなります。
ものを捨てることが後ろめたい
戦後の物が少ない時代を経験している親世代は、物を持つことが「豊かさの象徴」とされた高度経済成長期を生きてきました。まだ使える物を捨てることは「もったいない」「バチが当たる」という罪悪感を伴うため、不要な物を溜め込む要因となっています。
片付ける体力がない
年齢とともに体力が低下してくると、重い家具や家電を動かすことが困難になります。また、長時間の作業が負担となり、途中で疲れて片付けを諦めてしまうことも。整理したくても体力的な限界から、必要のない物が徐々に増えていってしまう状況に陥りがちです。
捨て方がわからない
大型の家具や電化製品は、通常のゴミとして出すことができません。自治体によって粗大ごみの出し方や回収方法が異なり、また一度に出せる量にも制限があります。処分方法が分からないために、使わなくなった物がそのまま家に残されているケースも多く見られます。特に高齢の親にとって、粗大ごみの予約や搬出作業は大きな負担となります。
このように、実家に物が多くなる背景には複数の要因が存在します。これらの理由を理解した上で、親の気持ちに寄り添いながら片付けを進めていくことが重要です。
実家にものが多いままにしておくリスク

実家のものが多い状態を放置しておくことは、親の生活の質を低下させるだけでなく、将来的に大きな問題を引き起こす可能性があります。
以下では、実家の片付けを先送りにすることで生じる具体的なリスクについて見ていきましょう。
生活スペースが狭くなる
ものが増え続けることで、本来くつろぐはずのリビングや寝室といった生活スペースが圧迫されていきます。物が床に溢れ出してしまうと、日常の動作にも支障をきたすようになります。
特に広い一戸建ての実家では収納スペースが豊富なため、「まだ置けるから」と物を増やし続けてしまい、気づいたときには部屋の多くが物置と化してしまうことも少なくありません。
災害時に危険が及ぶ
東京消防庁の調査によると、高齢者の救急搬送の多くが転倒によるものだといいます。物が散乱した環境では、つまずいて転倒するリスクが著しく高まります。
また、地震の際には家具や積み重なった物が倒れてきたり、避難経路が物で塞がれたりする恐れがあります。災害時の安全確保のためにも、整理整頓された環境を維持することが重要です。
必要なものが埋もれてしまう
物が多くなりすぎると、重要な書類や貴重品が他の物に紛れ込んでしまい、必要なときに見つけられないという事態が起こりがちです。探し物に多くの時間を費やすことになり、災害時に持ち出すものが見つからず避難が遅れてしまったり、書類が見つからずに提出期限に間に合わないといったトラブルにもつながりかねません。また、期限切れの食品や薬が放置されるなど、衛生面での問題も懸念されます。
相続・遺品整理で苦労する
もし親が亡くなった後に片付けを始めることになれば、遺品の整理や相続手続きと同時進行となり、子どもたちの精神的・肉体的な負担は計り知れません。特に実家が遠方にある場合、片付けのために何度も足を運ばなければならず、時間的・金銭的なコストも大きくなります。
また、物に埋もれた状態では、重要な資産が見落とされる可能性もあります。通帳や権利書、貴重品などが適切に管理されていないと、相続手続きに支障をきたすことになりかねません。
さらに、片付けが進まないまま空き家の状態が長期化すると、家の管理費用や固定資産税などの支払いが続く一方で、建物の劣化が進んでしまいます。売却や賃貸という選択肢を取る際にも、片付いていない家の方が市場価値は下がってしまいます。
これらのリスクを避けるためにも、親が元気なうちから計画的に片付けを進めることをおすすめします。
ものが多い実家を片付けるコツと注意点

実家の片付けは、親の思い出や価値観に深く関わる繊細な作業です。スムーズに進めるためには、計画的なアプローチと親の気持ちへの配慮が欠かせません。
ここでは、実践的な片付けのコツと注意すべきポイントをご紹介します。
独断で片付けない
実家の片付けで最も避けるべきことは、子どもが勝手に物を処分してしまうことです。たとえ不要に見える物でも、親にとっては大切な思い出の品かもしれません。無断で物を捨ててしまうと、親との信頼関係が崩れ、その後の片付けが進まなくなる可能性があります。
まずは親に片付けの必要性を理解してもらうことから始めましょう。「家族が帰省しやすくなる」「安全に暮らせる」といった具体的なメリットを伝え、親の同意を得てから作業を進めることが重要です。
片付けの計画を立てる
効率的に片付けを進めるためには、具体的な計画を立てることが重要です。特に以下の点について、事前に家族で話し合っておきましょう。
- 片付ける場所の優先順位
- 作業の分担と役割
- 作業可能な日程調整
- 不用品の処分方法
- 必要に応じた業者への依頼
計画を立てることで、限られた時間を有効活用でき、また家族全員が同じ目標に向かって協力することができるでしょう。
必要なものと不必要なものに分別する
物の仕分けは、必ず親と一緒に行うようにしましょう。判断の基準として、「1年以上使っていない」「サイズが合わない」といった具体的なルールを決めておくと作業がスムーズになります。
すぐに判断できない物は、一時保管のスペースを設けて保管しておくのがおすすめです。特に思い出の品は感情的な判断が必要になるため、基本的な生活用品の整理が終わってから扱うようにしましょう。
災害時のリスクを意識する
片付けを進める際は、防災の観点も重要です。特に以下の点に注意を払いましょう。
- 玄関や廊下など避難経路の確保
- 家具の転倒防止
- 不安定に積み上げられた物の整理
- 消火器へのアクセス確保
これらの対策は、日常生活における転倒防止にもつながります。
ものをため込まない習慣作りに協力する
片付けた後も元の状態に戻らないよう、新しい生活習慣作りをサポートしましょう。
サポート例として以下があります。
- 収納場所を明確にし、使いやすく整理する
- 新しい物を買ったら、古い物を手放す習慣をつける
- 定期的に一緒に整理整頓する時間を設ける
- 収納力の8割程度までにものを抑える
こうした習慣づけにより、快適な住環境を長く維持することができます。また、親子のコミュニケーションの機会としても活用できるでしょう。
不用品の処分方法はおもに3つ

実家の片付けを始めたら次は、不用品の処分方法を検討する必要があります。処分方法は大きく分けて次の3つあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
- 自治体の収集を利用する
- リサイクルや寄付に出す
- 専門のサービスを使って処分する
実家の状況や予算、時間の制約などに応じて、最適な方法を選びましょう。
自治体の収集を利用する
最も一般的な処分方法は、自治体のごみ収集サービスを利用することです。通常のごみ収集日に出せる物に加え、粗大ごみの戸別収集なども利用できます。
ただし、自治体の収集を利用する場合、1DK~2DKの部屋でも1~3ヶ月、一軒家なら半年から1年ほどかかることもあります。これは、以下のような制約があるためです。
- ごみの分別が必要
- 収集日や時間が決められている
- 1回の収集で出せる量に制限がある
- 粗大ごみは予約が必要
費用は比較的抑えられますが、長期的な計画と労力が必要になります。
リサイクルや寄付に出す
「もったいない」という親の気持ちに配慮しつつ物を手放すには、リサイクルや寄付という選択肢があります。まだ使える家具や電化製品、衣類などは、以下のような方法で活用できます。
- リサイクルショップへの売却
- フリーマーケットやネットオークションでの販売
- 古着の寄付
- 地域のリサイクルセンターの利用
特に親世代は「物を大切にする」という価値観が強い傾向にあるため、「誰かの役に立つ」と説明することで、物を手放すことへの抵抗感を和らげることができます。
専門のサービスを使って処分する
大量の不用品を一度に処分したい場合や、重い家具・家電の処分が必要な場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。1DK~2DKの部屋なら1~2日、一軒家でも3~5日程度で片付けが完了します。
ただし、業者選びは慎重に行う必要があります。
必ず以下の点を確認しましょう。
- 一般廃棄物収集運搬業許可または産業廃棄物収集運搬業許可の有無
- 古物商許可の有無(買取サービスを行う場合)
- 具体的な見積もり内容
- 過去の実績や口コミ
特に許可については重要で、無許可の業者に依頼して不法投棄が発覚した場合、依頼者も罰則の対象となる可能性があります。料金は自治体の収集に比べると高くなりますが、短期間で確実に処分できる利点があります。
また、遺品整理の経験が豊富な業者であれば、貴重品の取り扱いや思い出の品の整理など、デリケートな対応も期待できます。見積もりの際は複数の業者に相談し、サービス内容や料金を比較検討することをおすすめします。
実家のものの多さに悩んだらくらしのセゾン「遺品整理・生前整理」へ

実家の片付けに悩む人のために、セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社、くらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」サービスは最適な解決策となります。実家が遠方のため頻繁に通えない、重い家具を運び出す体力がない、入院や施設入居を控えているものの整理が進まないといった状況でも、専門スタッフが丁寧にサポートします。
予算や状況に応じた見積もりの提案は無料で利用可能。現地調査でしっかりと希望をお聞きし、その内容に沿って整理を進めてくれます。作業の際は、独自の分別基準を持ち、実績豊富な専門スタッフが必要品と不要品を細かく仕分け、大切な思い出の品を誤って処分することのないよう配慮します。また、遺品整理・生前整理をきっかけに実家が空き家になってしまう場合は、不動産管理についても相談が可能です。
将来、家族が相続問題や遺品整理で苦労することのないよう、実績豊富な専門スタッフが、家族の状況に合わせた最適な整理作業を提案してくれますので、ぜひ一度問い合わせてみてはいかがでしょうか。

おわりに
実家の片付けは、親世代の価値観を理解し、計画的に進めることが重要です。ものが多くなった実家を放置すると、生活環境の悪化や災害時のリスク、相続時の負担増大につながります。親の気持ちに寄り添いながら、段階的に片付けを進め、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、親も子も安心して暮らせる環境を整えることができます。早めに片付けに着手することで、実家の価値を維持し、将来の選択肢を広げることができるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。