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親の死後の親戚付き合いはどうする?ライフスタイルの変化に合わせた方法をご紹介

親の死後の親戚付き合いはどうする?ライフスタイルの変化に合わせた方法をご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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親の死後、親戚との関係をどのように維持するかは、多くの人にとって悩ましい問題です。かつては家族の結びつきが強く、親戚との付き合いが当たり前でしたが、都市化や核家族化の進展により、その形は大きく変化しています。現代では、親戚付き合いが希薄になる一方で、ライフスタイルに合わせた関係の築き方が求められています。

本記事では、親の死後の親戚付き合いに関する基礎知識や、付き合いをしなくなるきっかけ、昔と今の親戚関係の違いについて詳しく解説します。また、親戚との関係を続ける際に気をつけるべきポイントや、無理のない付き合い方についても紹介します。さらに、親戚に頼らず安心して暮らすための選択肢についても触れていきます。親戚との関係を見直したい方や、負担を感じずに付き合いを続けたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること
  • 親戚付き合いは時代とともに変化しており、核家族化や価値観の多様化により従来のような関係性を維持することが難しくなっている
  • 親戚との関係が途切れる主な要因は遺産相続や金銭トラブル、価値観の違いなど、現代特有の課題が多い
  • 昔は年中行事や冠婚葬祭を通じて親戚の絆を深めていたが、現代は個人の生活を重視する傾向が強まっている
  • 親戚付き合いは無理に続ける必要はなく、相手の意向や自身の状況に応じて柔軟に調整することが望ましい
ひとりのミカタ
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親の死後の親戚付き合いはどうする?トラブルにならないための基礎知識

親の死後の親戚付き合いはどうする?トラブルにならないための基礎知識

親を亡くした後の親戚付き合いについて悩む方は少なくありません。「親戚」と一口に言っても、その関係性は人それぞれ異なり、法律で定められた義務が発生する場合もあります。

まずは、親戚付き合いの基礎となる知識について理解を深めましょう。

そもそも親戚とは

親戚とは、血縁関係や婚姻関係によってつながりがある人々を指します。この言葉には明確な範囲の定めはなく、実の祖父母も配偶者の祖父母も同じく親戚と呼ばれます。

一方、親族は民法第725条で明確に定められており、「6親等内の血族」「配偶者」「3親等内の姻族」の3つに該当する人を指します。血族とは血のつながりがある実の親子や兄弟姉妹、姻族とは結婚によってできた関係のことを表します。このように、親族は法律で範囲が定められているのに対し、親戚は個人の判断で使用できる幅広い概念となっています。

参考:民法第725条

直系血族と兄弟姉妹には扶養義務がある

扶養義務とは、病気や高齢などの理由で自力での生活が困難な親族に対して、経済的な援助を行う義務のことです。民法第877条では、直系血族(父母・祖父母・子・孫など)と兄弟姉妹に扶養義務があると定められています。

この扶養義務は、親が亡くなった後も継続します。たとえば、経済的に困窮している兄弟姉妹がいる場合、扶養義務者として支援を求められる可能性があります。そのため、親の死後に親戚付き合いを完全に断ち切ることは難しい場合もあることを理解しておく必要があるでしょう。扶養義務の存在は、親戚付き合いを考える上で重要な要素の一つとなっています。

参考:民法第877条

親戚付き合いをしなくなるきっかけ

親戚付き合いをしなくなるきっかけ

親戚との関係は、親が存命中は比較的円滑に保たれていることが多いものですが、親の死後にさまざまな要因で関係が希薄になったり、断絶してしまうケースが少なくありません。時には些細なきっかけから深刻な対立に発展することもあります。

以下に、親戚付き合いが途絶えてしまう主な要因を見ていきましょう。

遺産相続でもめる

親戚間で最も関係が悪化しやすいのが遺産相続の問題です。それまでどれほど良好な関係を築いていても、遺産分割の話し合いがこじれてしまうと、修復が難しくなってしまうことが多いのが現状です。

特に財産が不動産中心の場合や、遺言書がない状態だと話し合いが紛糾しやすく、最悪の場合は裁判にまで発展することもあります。

考え方のすれ違いが生じる

各家庭の生活水準や価値観の違いにより、会話が噛み合わなくなることがあります。親が健在な頃は表面的な付き合いで済ませていた関係でも、親の死後はそれぞれの考え方の違いが顕在化し、自然と疎遠になっていくケースが見られます。

このような場合、無理に親密な関係を保とうとせず、適度な距離感を保つことが望ましい場合もあるでしょう。

育児や介護で忙しくなる

親戚同士であっても、介護や育児の協力体制に温度差が生じると、関係が気まずくなることがあります。特に親の介護において、最初は協力的だった親戚も、時間の経過とともに負担感が増すと、徐々に支援が減っていくことがあります。このような状況で支援する側とされる側の認識の違いが生まれると、深刻なトラブルに発展する可能性があります。

金銭問題などのトラブルが発生する

親戚間での金銭の貸し借りは、最も避けるべき事柄の一つです。たとえ親しい関係であっても、返済が滞ると関係が悪化する原因となります。

また、誹謗中傷のメールや手紙を送りつけるなどの嫌がらせ行為や、ニートやひきこもりの問題など、金銭以外のトラブルが発生した場合も、親戚関係は急速に冷え込んでしまう可能性があります。

昔の親戚付き合いの特徴

昔の親戚付き合いの特徴

かつての日本では、親戚付き合いは単なる社交の場ではなく、生活を支える重要な相互扶助の仕組みでした。年中行事や冠婚葬祭を通じて親戚同士の絆を深め、困ったときには助け合う関係を築いていました。現代とは大きく異なるその特徴を見ていきましょう。

家族の結びつきが強い

第二次世界大戦が終わるまでの日本では、「家父長制」という仕組みがあり、長男が代々家を継いでいく習慣がありました。家族の中心となる家長のもと、3世代にわたる大家族が同じ屋根の下で暮らすのが一般的でした。子どもの数も平均4人以上と多く、家系を絶やさないよう、なるべく多くの子どもを育てていました。

このような大家族の暮らしの中で、お祖父さんやおばさんなど、さまざまな年代の家族から生活の知恵や作法が受け継がれ、子どもたちの教育やしつけの場としても重要な役割を果たしていました。

年中行事や儀式を親戚で行う

日本の伝統的な年中行事や儀式は、親戚が集まって共に過ごす大切な機会でした。現代でも、地域や家庭によっては親戚で集まって行事を行う習慣が残っています。

一年を通じて行われる主な行事を見ていきましょう。

新年の挨拶

お正月は一年の始まりを祝い、五穀豊穣や無病息災を願う重要な行事です。特に結婚後の最初の年始は、夫の実家、妻の実家の順に挨拶に伺うことが一般的でした。3,000円程度の手土産を持参し、両家の親に新年の挨拶をするのが慣わしとなっています。

お彼岸(春・秋)

春分の日と秋分の日を中日として、前後3日を含めた7日間がお彼岸の期間です。この時期には家族でお墓参りに行き、先祖を供養します。3,000円から5,000円程度のお供え物を用意し、「御供」の熨斗をつけて持参するのが一般的です。

お盆

先祖の霊を迎えて供養する大切な行事です。家族でお墓参りをしたり、親戚が集まって会食したりする機会となっています。地域によって時期は異なり、東京などでは7月15日前後、その他の地域では8月15日前後に行われることが多いです。

お歳暮やお中元のやりとり

お世話になっている方への感謝を込めて贈る季節の贈り物です。最近では「虚礼廃止」の考えから簡素化される傾向にありますが、3,000円から5,000円程度の品物を贈る習慣は今でも残っています。お中元は7月1日から15日、お歳暮は12月初旬から25日頃が贈答の時期とされています。

相互扶助の精神がある

昔から人々は集落生活や大家族の中で、不幸があった際にはお互いに助け合う工夫をしてきました。しかし、現代では核家族化が進み、家族の単位が小さくなったことで、一家の大黒柱を失った際の家族への影響は以前より大きくなっています。

かつての親戚付き合いでは、困ったときの助け合いが生活の基盤となっており、付き合いを絶つことは生活の維持が難しくなるというリスクを伴いました。現代では、その役割の多くを生命保険などの制度が担うようになっていますが、人と人とのつながりの重要性は今でも変わっていません。

現代の親戚付き合いの特徴

現代の親戚付き合いの特徴

高度経済成長期以降、日本の家族形態や生活様式は大きく変化し、それに伴い親戚付き合いの形も変わってきました。

従来の密接な関係性から、より個人を尊重した新しい形へと移行していく中で、親戚付き合いのあり方を見直す時期に来ているといえるでしょう。

都市化・核家族化により親戚と疎遠になりがち

近年の日本では、三世代世帯が減少し、夫婦と子どもだけの核家族世帯や単独世帯が増加しています。この核家族化の進展により、親族間の日常的な交流の機会は確実に減少しています。

さらに、若年層の都市部への人口集中も親戚関係の希薄化に拍車をかけています。地方から東京などの大都市圏に就職や進学で移住する若者が増加し、地元に戻らないケースも多くなっています。このように物理的な距離が開くことで、親戚との交流は自然と少なくなり、お正月やお盆など限られた機会のみの付き合いとなっていく傾向にあります。

コミュニケーションの手段が変化している

インターネットやスマートフォンの普及により、人々のコミュニケーション手段は劇的に変化しました。かつては直接会って話をすることが基本でしたが、現代ではメールやSNS、チャットアプリを通じた非対面のやり取りが一般的となっています。

特にコロナ禍以降、対面でのコミュニケーションを避ける傾向が強まり、ビデオ通話やオンライン会議システムを活用した交流が日常的になりました。親戚付き合いにおいても、LINE等のメッセージアプリで近況報告や連絡を済ませることが増え、実際に会う機会は以前に比べて大幅に減少しています。

個人の生活を重視する傾向がある

現代社会では、既存の習慣や慣習にとらわれず、自分の価値観に基づいて判断し行動する「自立志向」が強まっています。同時に、責任や煩わしさを避け、なるべく楽に暮らしたいという「安楽志向」も顕著になってきています。

このような価値観の変化により、多くの人々が自身のキャリアや生活を最優先に考えるようになり、負担を感じる親戚付き合いは控えめにする傾向が出てきました。特に若い世代では、個人の時間やプライバシーを重視し、必要以上の親戚付き合いを望まない人が増えています。ただし、この変化は必ずしも否定的なものではなく、より対等で自由な関係性を築くきっかけともなり得るでしょう。

これからの親戚付き合いで気をつけるべきポイント

これからの親戚付き合いで気をつけるべきポイント

近年は核家族化や少子化の進展により、親戚との付き合い方も大きく変化しています。アンケート調査によると、親戚付き合いをしている人は全体の46.8%と半数を下回っているものの、63.4%の人が親戚付き合いは必要だと感じています。親を亡くした後の親戚付き合いを円滑に続けていくためのポイントをご紹介します。

相手の意向を確認して付き合いを続ける

親戚との関係は、個人の価値観や相性によって大きく異なります。会うと楽しいと感じる人がいる一方で、気を遣って疲れてしまう人も少なくありません。コミュニケーションの取り方に悩む場面も多いでしょう。

特に大人数が集まる場では、どのように振る舞えばよいか戸惑う場面も多くみられます。相手も同じように親戚付き合いに負担を感じているかもしれません。まずは相手の意向を確認し、互いに無理のない関係を築くことが大切です。

親戚の集まりは負担がないようにする

調査によると、親戚と会う頻度は「冠婚葬祭のみ」が33.4%と最も多く、「帰省時のみ」「お正月・お盆くらい」と続いています。頻繁な集まりは生活リズムを乱してしまう可能性があります。

近くに住んでいないと、移動時間や交通費なども負担になりがちです。年賀状のやり取りなど、できる範囲での付き合いを心がけましょう。無理に対面での付き合いにこだわる必要はありません。

葬儀の際は配慮をする

親を亡くした際、家族葬で近親者だけで見送りたいと考える方も増えています。その場合、普段付き合いの少ない親戚への配慮も必要になります。家族葬後に手紙やはがきで故人の死去を報告し、「故人の遺志により家族だけで見送らせていただいた」旨を伝えると、相手への気遣いを示すことができます。

無理して親戚付き合いを続けなくても良い

金銭問題や誹謗中傷など、トラブルに発展してしまうケースもあります。そのような場合、無理に付き合いを継続する必要はありません。

具体的な対応としては、電話の着信拒否設定やSNSのブロック、引っ越しによる住所の非開示などが考えられます。自分や家族の生活を第一に考え、適切な距離感を保つことが重要です。

親戚に頼らず万が一の時に備えるなら「ひとりのミカタ」

親戚に頼らず万が一の時に備えるなら「ひとりのミカタ」

親を亡くした後、親戚との関係が疎遠になったり、そもそも頼れる親戚がいない方にとって、将来の不安は大きな悩みとなります。特に病気やケガで入院が必要になった際の身元保証人の問題や、高齢者施設への入居時の保証人確保など、一人では解決が難しい課題に直面することがあります。

セゾンカードでおなじみのクレディセゾンのグループ会社「くらしのセゾン」が提供する「ひとりのミカタ」は、そんなおひとりさまの「いつも」と「もしも」をトータルでサポートする総合支援サービスです。親戚に頼らずとも安心して暮らせるよう、ライフステージに応じて選べる充実のプランが用意されています。

65歳未満限定の「エントリープラン」は、入会金や年会費の負担を抑えながら、入院時の身元保証を中心に必要なときに必要なサービスを選べる手軽なプランです。将来の入院に備えて不安を少しでも軽減したい方におすすめです。

「エルダープラン」では、入院時はもちろん、高齢者施設入居時の身元保証も何度でも利用可能。さらに電話健康相談サービスも含まれており、日々の健康面での不安にも対応します。病院や施設からの緊急連絡先としての役割も担うため、もしものときの安心感が違います。

より包括的なサポートを求める方には「プラチナプラン」がおすすめです。エルダープランの内容に加え、自宅で突然の体調不良が生じたときの見守り・駆けつけサービスと、「エンディングサポート(死後事務手続き代行)」までもカバーしてくれます。

また、おひとりさまならではの悩みや終活をテーマにしたセミナーも定期的に開催されており、相続や遺言、身元保証、任意後見制度など将来に向けた準備に必要な知識も学べます。

ひとりのミカタ」を活用することで、親戚に頼らない選択をした方も安心して自分らしい生活を送ることができるでしょう。まずは無料の資料請求から始めてみてはいかがでしょうか。

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おわりに

親戚付き合いのあり方は時代とともに大きく変化しています。核家族化や価値観の多様化により、従来のような親族間の関係性を維持することが難しくなってきました。しかし、親戚付き合いは一律に継続や断絶を決めるのではなく、自身のライフスタイルに合わせて柔軟に調整していくことが重要です。必要に応じて専門サービスを活用することで、親族関係に頼らない新しい支援の形も選択できます。状況に応じた付き合い方を選択することで、精神的な負担を軽減し、より充実した生活を送ることができるでしょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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