親の通院に付き添いが必要だけれど、「遠方に住んでいる」「仕事で都合がつかない」などの事情で、どうすれば良いか悩んでいませんか。高齢の親御さんだけで通院させるのは、心配ですよね。
この記事では、病院への付き添いが必要となる具体的なケースや、利用できるサービスの種類、そしてサービスを選ぶ際に確認すべき大切なポイントについて詳しく解説します。最適なサポートを見つけるための参考にしてください。
- 病院付き添いサービスが必要になる状況には、親と遠く離れて暮らしている場合や仕事の都合で付き添えない場合などがある
- 親の通院に付き添いサービスを検討する際の選択肢として、介護保険サービス、通院付き添い代行サービス、家政婦サービスなどがある
- 病院付き添いサービスを選ぶ際のチェックポイントとして、対応エリア、依頼できる範囲、利用料金などを確認することが重要である
病院付き添いサービスを必要とする場面

高齢の親がいる方にとって、病院への付き添いは大きな関心事です。仕事や家庭の事情で十分な時間が取れないなど、さまざまな理由から付き添いが難しいケースがあります。そんな時に役立つのが病院付き添いサービスです。
どのような状況で付き添いサービスが必要になるのか、具体的なケースを見ていきましょう。
【ケース1】親と遠く離れて暮らしている
遠方に住んでいる場合、通院の付き添いに対応することは難しいでしょう。緊急性が高い場合は、どうにかして駆けつけるでしょうが、定期的な通院の付添いのため、その都度帰省することは時間的にも経済的にも大きな負担となります。
仕事をしている方は、通院の度に仕事を休む必要があります。仕事をしていなくても子どもの送り迎えなどを誰かに頼まなければなりません。帰省先が遠方であれば飛行機や新幹線などを利用する場合もあり、その費用は家計の大きな負担となります。毎週付き添いのために帰省している方もいらっしゃるでしょうが、長期間続けることは体力的にも現実的ではありません。
【ケース2】仕事の都合で付き添いできない
仕事が忙しく時間的余裕がない場合も、親の通院に付き添うことが困難です。特に月に何度も通院が必要なケースでは、毎回仕事を調整して付き添うのは大変な負担になります。
急な会議や締め切りなどで、どうしても抜けられないスケジュールと通院日が重なることも少なくありません。また、仕事の性質上、休暇を取りにくい職種の方や、自営業で休業すると直接収入に響く方にとっては、通院の付き添いと仕事の両立が大きな課題となっています。
また、通院の度に仕事を休むことになり、職場のメンバーに負担をかけることやご自分のキャリアへの影響も心配になるでしょう。
【ケース3】親の移動手段がない
高齢になって運転免許を返納した場合や、配偶者を亡くして移動手段を失った場合も、病院への通院が困難になるケースです。特に公共交通機関が十分に整備されていない地域では、タクシーや介護タクシーなどの手段を利用する必要がありますが、頻繁に利用するには費用負担が大きくなります。
また、バスや電車などの公共交通機関があっても、高齢者にとっては乗り換えや長時間の歩行が体力的に厳しい場合もあり、結果として誰かの送迎や付き添いが必要になります。
【ケース4】体調が悪くひとりでの通院が困難である
病状の悪化や身体機能の低下により、ひとりで病院に行くことが難しいケースもあります。たとえば、足腰が弱くなって長時間の歩行ができない、体力が落ちて疲れやすくなった、パーキンソン病などの進行により歩行に不安がある、認知症の進行により道に迷う心配があるなどの場合です。
また、痰の吸引などの処置が必要な方や、医師の説明を理解できない状態の方も、安全に通院するためには誰かのサポートが欠かせません。
【ケース5】親がひとりでは通院しようとしない
高齢者の中には、ひとりで病院に行くことに不安や抵抗を感じ、通院を避けようとする方もいます。身体的にはひとりで通院できる状態でも、病院の受付や診察中の対応、薬の受け取りなどに不安を感じたり、待ち時間が長いことに億劫になったりして、結果的に必要な治療を先延ばしにしてしまうことがあります。
また、自分の体調の変化に気づかない場合や、病院に行くことを忘れてしまう場合も、誰かが付き添うことで適切な医療を受けることができます。
親の通院の付き添いサービスが必要になった際に検討したい選択肢は?

親の通院が必要になった際、さまざまな理由で自分自身が付き添えない状況になることがあります。そのような場合に検討できる付き添いサービスの選択肢にはいくつかの種類があります。
以下では、主な選択肢として、次の3つを解説します。
- 介護保険サービス
- 通院付き添い代行サービス
- 家政婦サービス
介護保険サービス
介護保険を利用した通院付き添いサービスは、要介護1〜5の認定を受けた方が対象となります。このサービスを利用するには、担当のケアマネージャーが「通院の付き添いが必要」と判断することが条件です。介護保険で提供される訪問介護には「通院等乗降介助」が含まれており、自宅から病院までの送迎をサポートしてくれます。
ただし、介護保険サービスには制限があります。院内での診察の付き添いや待ち時間中のサポートなどは基本的に対象外となっています。また、要支援の認定を受けている方や介護認定を受けていない方は利用できないため、そうした場合は自費で民間のサービスを検討する必要があるでしょう。
通院付き添い代行サービス
民間の通院付き添い代行サービスは、介護保険の適用がなくても利用できるのが大きな特徴です。一般的に、自宅からの送迎だけでなく、病院内での待ち合わせや診察の同席、医師からの説明の聞き取り、薬の受け取り、帰宅のサポートまで一貫したサービスを提供しています。
通院付き添い代行サービスの多くは、1時間あたり1,500円〜4,000円程度の料金設定となっており、最低利用時間が決められていることが多いです。また、移動費や早朝・夜間料金、延長料金などが別途発生する場合もあります。利用の際には、対応可能な地域や時間帯、具体的な料金などを事前に確認することが重要です。
家政婦サービス
家政婦サービスも病院付き添いの選択肢として検討できます。家政婦さんに依頼すれば、通院の付き添いだけでなく、通院準備から帰宅後の家事サポートまで幅広く対応してもらえる可能性があります。具体的には、診察券や保険証の準備、服薬管理、タクシーなどの移動手段の準備、診察室への付き添い、医師からの説明を家族に伝えるなどのサービスが含まれます。
さらに、診察後の薬の受け取りや会計の支払い、帰宅の付き添い、そして帰宅後の家事代行(掃除や料理など)まで頼めるケースもあります。家政婦サービスは、通常1時間あたり数千円程度の料金がかかりますが、家事全般を含めた包括的なサポートが必要な場合に適しています。
病院付き添いサービスを利用する際のチェックポイント

病院付き添いサービスを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントを確認しておくことが大切です。適切なサービスを選ぶことで、親の通院をスムーズにサポートでき、あなた自身の負担も軽減できます。
ここでは、サービス選びの際に必ずチェックしたい3つのポイントについて解説します。
対応エリア
病院付き添いサービスを利用する際、まず確認すべきなのが対応エリアです。サービスの提供範囲は会社によって大きく異なるため、親の自宅がある地域と通院先の病院がカバーされているかどうかを事前に確認する必要があります。
特に大都市圏以外の地方や小規模市町村では、サービスの選択肢が限られている場合もあります。また、同じ会社でも支店や営業所によって対応エリアが異なることもあるため、具体的な住所や病院名を伝えて確認することが重要です。さらに、対応エリア内でも、遠方になると追加料金がかかるケースもあるため、料金体系と合わせて確認しておくと安心です。
依頼できる範囲
サービスによって依頼できる内容の範囲は大きく異なります。たとえば、介護保険サービスの場合は、基本的に自宅から病院までの送迎が主なサービス内容となり、院内での診察の付き添いや待ち時間中のケアは含まれていません。
一方、民間の付き添いサービスや家政婦サービスでは、自宅での準備から診察室への同行、医師の説明の聞き取り、薬の受け取り、帰宅後のケアまで幅広く対応している場合があります。
サービスを選ぶ際には、診察券や保険証の準備、移動手段の手配、院内での車いす介助、診察中の同席、医師からの説明の理解と家族への伝達、会計や薬の受け取り、帰宅後の家事サポートなど、必要なサポート内容をリストアップし、それぞれのサービスでカバーされているかを確認しておくとよいでしょう。
利用料金
病院付き添いサービスの料金は、会社によって大きく異なります。一般的には、1時間あたり1,500円〜4,000円程度の料金設定が多く、最低利用時間が3時間からというケースも少なくありません。この基本料金に加えて、移動費や早朝・夜間の割増料金、急な依頼に対する緊急対応料、遠方への訪問料などが別途発生することがあります。
また、料金体系も会社によって異なり、時間単位で計算する場合や、一回の訪問でパッケージ料金を設定している場合、定期利用と単発利用で料金が変わる場合などがあります。
たとえば、ある事業者では単発利用の場合2時間で約10,000円、別の業者では1時間約3,500円からと料金設定が異なります。また、介護のレベルによって料金が変動する場合もあるため、具体的な条件を伝えて見積もりを取ることをおすすめします。できるだけ複数の会社から見積もりを取り、サービス内容と料金のバランスを比較検討するとよいでしょう。
おわりに
病院付き添いサービスは、高齢の親を持つ方々にとって大きな助けとなります。親と遠く離れて暮らしている場合や、仕事が忙しく時間が取れない場合、親の移動手段がない場合など、さまざまな状況で必要性が生じるでしょう。選択肢としては、介護保険サービス、通院付き添い代行サービス、家政婦サービスなどがあり、それぞれ特徴が異なります。
サービスを選ぶ際は、対応エリア、依頼できる範囲、利用料金などをしっかりチェックすることが大切です。親御さまと自分自身の生活の質を両立させるための一助として、ぜひ適切なサービスを見つけてください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。