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買い物付き添いサービスとは?種類や選び方を徹底解説

買い物付き添いサービスとは?種類や選び方を徹底解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

高齢になると、買い物という日常的な行為が大きな負担になることがあります。足腰が弱ったり、認知機能の低下により、ひとりでの外出が難しくなった方をサポートする「買い物付き添いサービス」の需要が高まっています。このサービスは単なる代行ではなく、高齢者の自立支援や生活の質の向上にも役立ちます。本記事では、買い物付き添いサービスの概要やメリット、種類、そして適切なサービスの選び方について徹底解説します。高齢者ご本人はもちろん、介護をされているご家族の方にも役立つ情報をお届けします。

この記事を読んでわかること
  • 買い物付き添いサービスは単なる買い物代行と異なり、自立支援の観点を重視しており、高齢者が自分で商品を選ぶ行為を支援する
  • 買い物サービス選びでは、単に価格だけでなく、相談窓口の対応や担当者の継続性、緊急時の体制、他の生活サポートとの連携など、総合的な視点から選ぶことが重要
  • 買い物付き添いサービスは高齢者の見守り機能も果たしており、定期的な利用によって健康状態の変化に気づきやすくなるため、離れて暮らす家族の安心にもつながる

高齢者の買い物付き添いサービスとは?

高齢者の買い物付き添いサービスとは?

高齢者の買い物付き添いサービスは、身体機能の低下や認知機能の変化により一人での買い物が困難になった方をサポートするサービスです。自分で選ぶ楽しみを維持しながら、安全に買い物ができるよう専門スタッフが同行します。このサービスは、高齢者の生活の質を向上させるとともに、自立支援や社会参加の促進にも役立つでしょう。

そもそも買い物付き添いサービスとは?

買い物付き添いサービスは、高齢者が一人で買い物に行くことが難しくなった際に、ヘルパーや支援員が付き添って買い物をサポートする身体介護サービスです。単に生活必需品を入手するだけでなく、自立支援の観点から利用者の残存機能の維持・向上を目指す点が特徴です。

たとえば、ヘルパーが車いすでの移動を介助しながら店舗へ行き、本人が自ら商品を選べるよう支援します。これは買い物代行と異なり、利用者自身が買い物という行為に参加できる点が大きな違いです。

買い物付き添いサービスを利用するメリット

買い物付き添いサービスを利用するメリットは以下のとおりです。

  • 身体的な負担なく買い物ができる
    足腰の弱った高齢者でも、支援を受けながら安全に買い物ができます。遠方への移動や重い荷物の運搬の心配がなくなります。
  • 自分で商品を選ぶ楽しみを維持できる
    実際に商品を手に取って選ぶという買い物の楽しみを感じることができます。
  • 外出の機会が増える
    家に閉じこもりがちな高齢者にとって、外出する貴重な機会となります。
  • 見守りの役割も果たす
    定期的な利用により、高齢者の状態変化に気づきやすくなります。離れて暮らす家族の安心にもつながります。
  • コミュニケーションの機会になる
    買い物付き添いスタッフとの会話が生活にハリをもたらし、気分転換になります。

買い物にまつわるサービスの種類

買い物にまつわるサービスの種類

高齢者や身体が不自由な方々の買い物をサポートするサービスは、現在さまざまな形で提供されています。単に代わりに買い物をする「代行」と、一緒に買い物に行く「付き添い」の二つの大きな区分があり、それぞれ特徴や利点が異なります。

また、サービスの提供主体も介護保険制度を利用したものから、自治体のボランティア、民間企業まで多岐にわたります。適切なサービスを選ぶことで、高齢者の生活の質を向上させながら、自立支援にもつながる買い物支援を実現できます。

介護保険の利用

介護保険を利用した買い物サポートは、要介護・要支援認定を受けた方が利用できる訪問介護サービスの一環です。このサービスには「買い物同行」と「買い物代行」の2種類があり、前者は身体介護として、後者は生活援助として位置づけられています。

買い物同行では、ヘルパーが利用者に付き添って店舗へ行き、利用者自身が商品を選ぶことをサポートします。利用には、ケアマネジャーの作成したケアプランへの位置づけが必要です。介護保険利用のメリットは費用負担が1~3割で済む点ですが、購入できる品目や利用時間などに制約があることを理解しておく必要があります。

購入できるものが限られている

介護保険による買い物サービスでは、購入できる商品に制限があります。

【購入できるもの】

  • 日用品(洗剤、トイレットペーパー、ティッシュなど)
  • 食品(食材や調味料)
  • 下着、肌着、パジャマなどの日常着
  • 生活に必要な家電

【購入できないもの】

  • タバコ、アルコール、雑誌などの嗜好品
  • お中元やお歳暮などの贈答品
  • 外出着や家具、娯楽品
  • 利用者本人以外の家族のもの

基本的に日常生活に欠かせない必需品が対象となり、それ以外は原則として購入できません。また、あまりにも重たい荷物の場合は、ヘルパーひとりで持ち帰ることが難しいため、店舗の配送サービスを利用することもあります。

利用時間が限られている

介護保険による買い物サービスでは、時間制限があります。買い物代行(生活援助)は通常、20分以上45分未満または45分以上の区分で算定され、多くの事業所では上限を60分または70分としています。

この時間内に往復の移動と買い物を完了させる必要があるため、遠方の店舗への買い物は難しいでしょう。買い物同行(身体介護)の場合も同様に時間区分があり、20分未満、20分以上30分未満、30分以上1時間未満などと細かく設定されています。

利用者の生活圏内にある店舗が対象となり、「安いから」という理由だけで遠方のスーパーに行くことは認められていません。地域によっては、近くに適当な店舗がない場合に限り例外が認められることもあります。

個人で依頼する買い物付き添い

個人で買い物の付き添いを依頼する方法として、シルバー人材センターの会員や個人事業主、SNSで募集している個人などに直接頼むケースがあります。このサービスの料金は一般的に時間制で、1時間あたり3,000円~5,000円程度が相場です。

介護保険サービスとは異なり、購入できる品物や店舗の制限が少ないメリットがありますが、個人間でのやり取りになるためトラブルが発生しやすい傾向があります。特にSNSなどで知り合った相手にクレジットカード情報を提供すると、不正利用されるリスクもあるため注意が必要です。

信頼できる人や実績のある事業者を選ぶことが重要で、可能であれば知人からの紹介や評判を確認するとよいでしょう。

自治体の買い物同行サービス

地域によっては、自治体が主体となって買い物支援サービスを提供しているケースがあります。たとえば「お買い物クラブ」として、地域の住民ボランティアが公用車で高齢者を自宅からスーパーマーケットへ送迎するサービスがあります。このようなサービスは無料または低額で利用できることが多く、登録制となっています。

利用条件として、70歳以上のみの世帯で徒歩や自転車以外の交通手段がなく、介助なしで車の乗降や買い物ができることなどが設定されていることがあります。また、官民連携で買い物に付き添い見守るボランティアを募集している自治体もあります。

これらの情報は、市町村の高齢者福祉担当課や地域包括支援センター、社会福祉協議会などに問い合わせると得られます。自治体のサービスは介護保険よりも柔軟に対応できる場合もあるため、まずは地域でどのようなサービスが提供されているか確認することをおすすめします。

ネットスーパー

ネットスーパーは、インターネットで注文するとスーパーマーケットの商品を自宅まで配送してくれるサービスです。パソコンやスマートフォンの操作が難しい高齢者でも、離れて暮らす家族が代わりに注文することで利用可能です。

多くの場合、注文した当日か翌日に商品が届き、一定金額以上の注文で配送料が無料になることも多いです。イオンやアピタなど一部のスーパーでは、カタログから電話やファックスで注文できるところもあります。コンビニエンスストアでも宅配サービスを始めているところがあり、セブン-イレブンでは電話やファックスでの注文も受け付けています。

これらのサービスを選ぶ際は、取り扱っている商品の種類や価格、配送料、配達にかかる時間などを比較するとよいでしょう。ただし、配送エリアが限定されていたり、大雪や台風時には配送に時間がかかったりする場合があるので、これらの点も考慮する必要があります。

家事代行サービス

家事代行サービスを提供する企業に買い物を依頼するのも有効な方法です。家事代行サービス会社では、掃除や洗濯、調理などのサービスに加えて、買い物の代行や付き添いも行っています。介護保険サービスとは異なり、購入できる品物に厳しい制限がなく、日常生活必需品だけでなく、趣味のものや嗜好品なども購入してもらえるメリットがあります。

料金は会社によって異なりますが、一般的に1時間あたり3,000円~5,000円程度です。月額プランや回数券などを用意している会社もあり、利用状況に応じて選べます。支払い方法も多様で、クレジットカード決済や銀行振込、コンビニ支払いなどから選択できることが多いです。家事代行サービスのメリットは、買い物だけでなく他の生活サポートも同時に依頼できる点にあります。全体的な生活支援が必要な高齢者にとって、便利なサービスといえるでしょう。

買い物付き添い・同行サービスの選び方

買い物付き添い・同行サービスの選び方

高齢者の方や体が不自由な方にとって、買い物付き添いサービスは日常生活を支える重要なサポートです。しかし、サービスの種類は多岐にわたり、どれを選べばよいか迷うかもしれません。適切なサービスを選ぶためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

ここでは、買い物付き添いサービスを選ぶ際のチェックポイントを解説します。あなたやご家族の状況に合った最適なサービスを見つけるための参考にしてください。

担当エリアかどうか確認する

買い物付き添いサービスを選ぶ際、まず確認すべきは自宅が対象エリア内かどうかです。サービス提供エリアは各事業者によって異なり、都市部ではほぼ全域で対応していても、地方では対応外となる場合もあります。

また、対応エリア内であっても、事業所から離れた地域では出張費が発生することもあるため注意が必要です。一般的に、買い物同行サービスは利用者の普段の生活圏内が対象となり、遠方の店舗への同行は認められないケースが多いです。「安いから」という理由で遠くのスーパーを利用することは難しいかもしれません。

ただし、近くに適切な店舗がない地域では、例外として認められる場合もあります。サービス選びの第一歩として、希望する店舗が対象エリア内にあるか、またその店舗へのサービス提供が可能かを事前に確認しましょう。

相談しやすい窓口があるサービスを選ぶ

買い物付き添いサービスを選ぶ際は、相談窓口の対応も重要なポイントです。高齢者本人や家族が気軽に相談できる窓口があると、サービスの詳細や利用方法についての疑問をスムーズに解決できます。電話だけでなく、メールやLINEなど複数の連絡手段を提供している事業者だと便利です。

相談窓口を設置している事業者であれば、離れて暮らす親への心配事も気軽に相談できる場合もあり、サービス開始前に窓口の対応を実際に体験することで、その事業者の姿勢や誠実さを判断することができます。

また、担当者が変わらず、一貫した対応を受けられる事業者を選ぶことも大切です。特に高齢者は新しい関係を構築するのに時間がかかる場合が多いため、長期的に同じ担当者からサポートを受けられると良いでしょう。さらに、緊急時の対応体制が整っているかも確認しておくと安心です。

サービス内容と料金を調べる

買い物付き添いサービスを選ぶ際、サービス内容と料金体系を事前にしっかりと確認することが欠かせません。まず、どのようなサービスが含まれているかを確認しましょう。単なる付き添いだけなのか、車での送迎や荷物の運搬まで対応してくれるのかは事業者によって異なります。

また、料金体系も時間制、回数制、定額制など様々です。介護保険サービスの場合、自己負担額は1~3割ですが、家事代行サービスなどは全額自己負担となります。これらの民間サービスの相場は1時間あたり3,000円~5,000円程度で、初回割引や回数券などもあります。

また、初回お試し価格や回数券などを提供している事業者もあるようです。支払方法についても、現金のみか、クレジットカードや銀行振込なども可能かを確認しておくと便利です。サービス内容と料金のバランスを考慮し、自分のニーズに合った事業者を選びましょう。

対応の早さを確認する

買い物付き添いサービスを選ぶ際は、対応の早さも重要な判断基準です。依頼から実際のサービス提供までどれくらいの時間がかかるか、急な依頼にも対応してくれるかを事前に確認しておきましょう。

特に食品など生鮮品の買い物は、タイミングが重要です。一般的には、依頼から数時間~当日中には対応してくれますが、予約状況によっては当日対応が難しい場合もあります。また、定期利用と臨時利用の両方に柔軟に対応してくれる事業者が理想的です。サービス提供エリアが広すぎると、移動に時間がかかり迅速な対応が難しくなることもあるため、地域密着型の事業者を選ぶのもひとつの方法です。

実際に利用した方の口コミやレビューを参考にすると、対応の早さや正確さについての情報が得られることもあります。生活に必要な物品を購入する買い物は緊急性を伴うことも多いため、迅速な対応力は重要な選定基準といえるでしょう。

買い物面以外のサービスがあるかどうか調べる

買い物付き添いサービスを選ぶ際は、買い物以外の生活サポートも提供しているかどうかを確認すると良いでしょう。たとえば、身の回りの介助、通院付き添い、料理、掃除、洗濯など総合的な生活支援サービスを提供している事業者なら、高齢者の生活をトータルでサポートできます。

買い物代行だけでなく、日中・夜間の見守りやさまざまな外出付き添いサービスも提供している事業者もあります。特に介護が必要な高齢者の場合、買い物だけでなく他の生活面での支援も必要になることが多いため、複数のサービスを一括して依頼できると便利です。

また、遠方に住む家族にとっては、親の状態変化に気づける見守りの機能も安心材料になります。このような総合的なサポートができる事業者を選ぶことで、高齢者の状態変化に応じて必要なサービスをスムーズに追加できるメリットもあります。将来的なニーズも見据えて、幅広いサービスメニューを持つ事業者を選択することをおすすめします。

おわりに

高齢者の買い物付き添いサービスは、日常生活の質を向上させる重要な支援です。身体機能の低下した高齢者でも外出の機会を持ち、自分で商品を選ぶ楽しみを維持できます。介護保険サービスから自治体のボランティア、家事代行サービスまで、さまざまな選択肢があるため、利用者のニーズに合ったサービスを選ぶことが大切です。

サービス選びでは、対応エリア、相談窓口の対応、料金体系、対応の早さ、そして買い物以外のサポート体制を確認しましょう。適切なサービスを選ぶことで、高齢者の自立を支援しながら、離れて暮らす家族も安心できる環境を整えることができます。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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