親の家を片付けたいけれど、どこから手をつければいいわからない――。
高齢の親が住む実家の片付けは、単なる整理整頓とは違い、思い出や親のこだわりとも向き合う繊細な作業です。「いつかやらないと」と思いつつ、時間も気力も必要で、なかなか進まないという声は少なくありません。
この記事では、「親の家の片付け」をスムーズに進めるための手順や心構え、片付けを成功させるポイントをわかりやすくご紹介します。実家の片付けを通じて、親との関係をよりよいものにするためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
- 親の家の片付けには高齢者特有の事情や心理的要因があり、事前に理解しておく必要がある
- 実家の片付けは準備と計画を立てて段階的に進めることで効率的に作業できる
- 親とのコミュニケーションとストレス軽減が片付けを成功させる重要なポイントである

親の家を片付ける前に知っておくべきこと

親の家を片付ける際は、高齢の親ならではの事情を理解し、無理のないタイミングと方法で進めることが重要です。特に、親の「価値観」や「気持ち」に寄り添う姿勢がスムーズな片付けにつながります。
片付けを成功させるためには、片付けが思うように進まない背景、つまり「なぜ親が片付けられないのか」という根本的な理由を把握し、親が安心して片付けに向き合える環境を整えることが欠かせません。
高齢者が片付けられない理由
親の家が片付かないのは、高齢者特有の心理的・身体的な理由によるものです。昭和の時代を生きた親世代は、「もったいない」と感じる心理が強く、使わないものでも手放すことが難しい傾向があります。
加齢に伴い、足腰が弱くなる、手が届かない、重いものを動かせないなど、身体的な制約が大きくなり片付け作業が思うようにできなくなる可能性があります。視力や嗅覚の低下により汚れや腐敗に気づかない、認知機能の低下で、ごみの分別ルールが覚えられず、ゴミを捨てることが難しくなるといった問題も生じます。これらの理由を理解することで「なぜ片付かないのか」が見えてきます。親を責めるのではなく、寄り添う気持ちを持つことが大切です。
実家の片付けを始めるタイミング
実家の片付けは、親が元気なうちに始めておくのが理想です。体調の急変や入院、施設への入所がきっかけで、突然片付けが必要になるケースは少なくありません。
親が健康なうちに一緒に話し合いながら行うことで、親の意志を反映した片付けができ、生前整理にもなります。「これは大切に取っておきたい」「これは処分してもいい」といった話を聞きながら進めることで、家族の納得感ある片付けが実現します。
親の荷物を整理する際の心構え
親の荷物を整理する際は、「親のための片付け」であることを忘れずに進めましょう。子どもが良かれと思って勝手に処分してしまうと、親が不信感を持ってしまい、その後の片付けが進まなくなることもあります。
子どもには一見不要に見えるものでも、親にとっては思い出が詰まった大切な品かもしれません。コミュニケーションを重ねながら、親のペースを尊重して進めていくことが円滑な片付けの鍵となります。
親の家の片付け方と具体的な手順

親の家を効率的に片付けるためには、事前の準備と計画が欠かせません。実家の片付けは、どこから手をつけるべきか迷いやすいですが、適切な順序を決めて進めることで、作業をスムーズに進めることができます。
また、物が多くて手をつけづらいと感じる実家でも、工夫次第で快適な住環境を整えることができます。ここでは、片付けを始める前の準備から、部屋ごとの具体的な手順、整理整頓のコツまでをわかりやすく解説します。
片付けの準備と計画の立て方
親の家を片付ける際は、思いつきではなく”計画的に”取り組むことが成功の鍵です。
①基準を決めておく
残すものと処分するものの基準をあらかじめ家族で共有しておきましょう。現場で都度判断していると迷う時間が増え、片付けが進まなくなります。
【具体的な基準例】
- 日用品のストックは3つまで残す
- 1年以上着ていない衣類は処分
- 未開封の贈答品は処分
- 趣味のコレクションは親の気持ちを尊重して保留・確認
②日時を決めて”予定に組み込む”
片付けは時間がかかるもの。「時間がある時に・・・」ではなく、あらかじめスケジュールに入れておくことが大切です。
③ゴミ出しルール・粗大ごみ処分方法を確認
自治体によって分別方法・回収ルールが異なるため、特に粗大ごみや家電リサイクル品の処分は事前確認が必要です。市役所やホームページで確認しておくと安心です。
親の部屋を効率的に片付ける方法
親の家は、物が多く、どこから手をつけていいかわからないことがほとんど。そこでおすすめなのが、“思い入れの少ない場所”からスタートする方法です。
①洗面所・風呂場から始める
比較的物が少なく、親も執着が少ない場所。洗剤などのストックをきっかけに、「これって使ってるの?」と自然な会話が生まれやすく、片付けをスムーズに始めることができるでしょう。
②一部屋ずつ完結させる
家全体を一度に片付けるのは困難です。1部屋ずつ終わらせることで、達成感が得られ、親のやる気も維持できます。
③家族で役割を分担する
「ものを運び出す人」「掃除する人」など分担すれば、効率が上がり、家族間のストレスも軽減されます。

物が多い実家の整理整頓のコツ
物が多い実家で、「どこから片付ければいいのか」「何を処分すべきか」悩んでしまう場合は、「捨てる」ことを前提にせず、整理・整頓から始めるのも一つの方法です。
①3つのボックスで仕分ける
「残す・処分・保留」のボックスを用意することで、迷わず仕分けができる環境を作りましょう。「保留」を用意しておくことで、親が即決できないときでも「とりあえず保留」にできるため、心理的なプレッシャーを軽減できます。
②収納を”見直す・増やす”
どうしても捨てられないのであれば、収納方法を工夫するのも現実的な対策です。
例えば、押し入れに引き出し式の収納棚を設置したり、棚の中に仕切りを設けて整理しやすくしたり庭やガレージ物置を設置して収納スペースを増やすこともでき、既存の空間を有効活用できます。
無理に捨てずに整理整頓で生活空間を確保する現実的なアプローチが重要です。高齢の方は「物を捨てることはもったいない」という価値観を持っていることが多いため、「捨てること」を目的とせず、快適な暮らしのための整理整頓だと伝えることが大切です。無理に処分を迫らず、「収納を工夫することで生活空間をスッキリさせることができる」など、前向きなビジョンを示すよう心掛けましょう。
親の家の片付けを成功させるポイント

親の家の片付けを成功させるためには、「親との向き合い方」と「自分自身の負担の減らし方」の両面に目を向けることが大切です。ここでは、高齢の親との上手なコミュニケーション法・片付けのストレスを減らす工夫・プロへの相談を検討スべきケースについてお伝えします。
高齢の親とのコミュニケーション方法
親に片付けを受け入れてもらうためには、具体的なメリットを分かりやすく伝えることが効果的です。例えば「探しものが減る」「物につまずいて転ぶことを防げる」「災害時の避難経路を確保できる」など、実生活に直結する利点を示すことで、片付けに前向きになってもらいやすくなります。
特に「防災のため」は効果的です。地震や豪雨が増えている今、多くの高齢者が災害に対して敏感になっています。「これが地震で落ちてきたら危ないね」「ここがふさがれていると逃げづらいよね」といった具体的な防災の観点から提案することで、親も納得しやすくなります。
また、親の価値観や想いを尊重しながら、「一緒にどうするか考えよう」というスタンスで進めることが、信頼関係を維持しながら片付けを進めるコツです。
片付けのストレスを軽減する工夫
片付けを成功させるには、「完璧を目指さないこと」がポイントです。「誰が来ても恥ずかしくない家にしよう」ではなく、「親が安全で快適に過ごせる環境にしよう」と目的を明確にすると自分の気持ちがラクになります。自分が思う完璧ではなく、親にとって過ごしやすい部屋作りを目指しましょう。
また、一度にすべてを終わらせようとせず、長期的に取り組む覚悟を持つことも大切です。「毎月1回」「1日1部屋」など、達成可能な小さな目標を立てることで、親も自分も無理のないペースで継続的に取り組むことができます。遠方に住んでいる場合は、「年2回の帰省でここまで進める」などの計画を立てると、気持ちの整理にもつながります。
外部サポートを検討すべきケース
以下のような場合は、専門の片付け事業者に依頼する選択肢も検討してみましょう。
- 親が高齢・病気で片付けが困難
- 実家が遠方で通うことが難しい
- 仕事や育児で片付けの時間が取れない
- 物が多すぎて自分たちだけでは手に負えない
- ゴミ屋敷のような状態になっている
専門業者なら、安全面や衛生面に配慮しながらスピーディーに進めてくれるため、自分たちの心身の負担を減らすことができます。親の家の片付けを自力でなんとかしようと抱え込みすぎず、必要なときはプロに頼る勇気も大切です。
くらしのセゾンの遺品整理・生前整理で安心サポート

自力での片付けが難しい場合は、専門会社のサポートを活用することで、効率的に作業を進めることができます。特に実家が遠方にある方や、重い荷物の運び出しが困難な方には、くらしのセゾンの「遺品整理・生前整理」サービスがおすすめです。
このサービスでは、片付けに精通した専門スタッフが、大切な家財を心を込めて整理・仕分けします。また、書類などの個人情報を含むものは適切に処理し、家財についても無断で売却・転売せず、必ずご依頼主の意向を確認したうえで丁寧に対応。情報の取り扱いやプライバシーへの配慮も徹底しており、グレーな業者との違いが明確です。
加えて、現地での無料調査・無料見積りにより、状況に応じた最適なプランをご提案。作業当日に立ち会えない場合でも、事前に仕分けのご希望を伺うことで、立ち会い不要の整理代行が可能。仕事や育児で忙しい方でも、安心してご利用いただけます。
さらに、空家整理、リフォームにも対応。親の施設入居や相続準備に伴う財産整理・家財整理のアドバイスを含めて作業を依頼でき、将来を見据えた片付けをトータルで支援します。

おわりに
親の家の片付けは、高齢化が進む現代において、多くの家庭が直面する重要な課題です。「物を捨てられない価値観」や「体力の限界」など、親世代特有の事情を理解したうえで、無理のないタイミングと手順で進めることが成功のポイントです。親の気持ちを尊重しながら少しずつ進めていくことで、片付けは家族の前向きな時間にもなります。必要に応じて専門サービス会社を活用すれば、安全な住環境の確保や将来の相続準備にもつながるでしょう。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。