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運転免許を返納したらお金はどうなる?費用と暮らしの変化をやさしく整理

運転免許を返納したらお金はどうなる?費用と暮らしの変化をやさしく整理
伊藤 真二 (ファイナンシャルプランナー)

監修者

ファイナンシャルプランナー

伊藤 真二

介護福祉士の資格を持つファイナンシャルプランナー。
デイサービス、デイケアセンターなどの現場にて高齢者のケアを行ってきた経験から、老後の暮らしや節約・資産運用など、安心できる未来、無駄のない今を生きるための提案を行う。
FPとしての活動だけでなく、自動車メディアやアプリ紹介メディアの運営にも携わる。
1978年生まれ。青森県出身。

運転免許の自主返納制度とは、加齢による認知・身体機能の低下などで運転に不安を感じている高齢者が、自主的に運転免許取り消しの申請ができる制度です。

最寄りの警察署や運転免許センターで手続き可能で、2024年には約42万人が免許を自主返納しています(警察庁調べ)。

この記事では免許返納(めんきょへんのう)により移動手段としての車がなくなると、生活やお金の収支がどう変わるのか、そしてその変化にどう備えればいいのか、シミュレーションも交えながら解説します。

免許返納で生活はどう変わる? 減る支出と増える出費を比較

免許返納で生活はどう変わる? 減る支出と増える出費を比較

運転免許を返納すると車が運転できなくなるため、交通事故の当事者になるリスクが減る一方で、身近な移動手段が一つなくなってしまいます

生活リズムや行動範囲にも変化が生じることを踏まえておく必要があります。

具体的な変化について、個別に見ていきましょう。

ガソリン代や自動車の維持費はなくなる

自家用車を利用しなくなれば、それまで支払っていた日々のガソリン代や、車検代・自動車税・自動車保険料といった維持費はなくなります

統計局の家計調査によれば、1世帯あたりのガソリン代の全国平均は年間70,887円。自動車の整備費や保険料などの維持費は106,486円となっています。合計で年間約18万円の支払いがなくなります。

公共交通機関の運賃や配送サービスなどの配送料は増える

買い物などの日常的な用事や、趣味でのお出かけに車を利用していた場合は、代替手段が必要となります。

電車やバスといった公共交通機関の運賃が増えるほか、スーパーの配送サービスを利用するならその配送料もかかってきます

実際にどれくらい支出が増減するかは、自分の環境に大きく左右されます。保有している車種によって燃費や維持費は異なりますし、都市部に住んでいるのか郊外に住んでいるのかによっても、車の利用頻度は変わってきます。

また、スーパーや商業施設までの距離や利用する頻度はどれくらいか、コミュニティバスやデマンド型交通などコスパの良い移動手段はあるかなど、免許を返納する前に自分の生活習慣や環境を一度見直してみることが大切です。

実際にどれくらいのお金が減る?

免許返納を行い自家用車を運転しなくなることで、どれくらい収支の影響があるのでしょうか。実際にシミュレーションしてみましょう。

想定条件

  • 車の利用頻度は週に20回(往復)、距離にして110km、うち買い物は8回(往復)
  • 燃費は10km/1L、ガソリン代は1Lあたり160円
  • 車は軽自動車として、維持費は、自動車税が年間10,800円、重量税が年間3,300円(2年間で6,600円)、車検基本料が印紙代込みで約15,000円(2年間で約30,000円)、自賠責保険が8,825円(2年間で17,650円)、任意保険が約50,000円
  • コミュニティバスの運賃は1回200円、スーパーの配送サービスは1回500円
実際にどれくらいのお金が減る?
[表]免許返納による収支シミュレーション

ただし、上記は生活スタイルを全く変えなかった場合の試算となります。例えば、移動がバス中心になったと仮定すると、バスの本数が少なかったり、バス停まで距離があったりと不便な部分が生じ、外出の頻度が少なくなるかもしれません。

また、上記は従来の買い物での外出をすべて配送サービスに置き換えたとして計算していますが、お金がかかるなら、買い物もなるべくまとめて行うようになるでしょう。

もし、買い物の頻度が現状の週に4回から1回に減ったとすると、配送サービスの利用料は年間26,000円にまで抑えられます

年間増加額の合計は150,000円に減るため、収支は年間で29,445円のプラスになります。

バスの発着時刻など、生活のなかに待つ時間が増えることをはじめとした不便をどこまで許容できるか、例えば車を全く使わない期間を1〜2日設けて実際に試してみるのもいいでしょう。

運転ができなくなると、荷物を持って歩くという負担も増えます。

また、不便になることで外出自体の回数が減ってしまうと、健康にも影響を及ぼしかねません。例えば、生活スタイルが変わって節約できたお金を趣味や旅行に使うなど、社会へ参加する機会を維持するよう心がけたいですね。

手放した後もムダにしない!駐車場や車の活用アイデア

手放した後もムダにしない!駐車場や車の活用アイデア

運転免許を返納したあと、ほかに運転する人がいなければ車や駐車スペースを持て余してしまいます。

いずれも車検や固定資産税など、保有しているだけでも維持費がかかるので、手放したり、貸し出したりすることも検討しましょう。

車を手放す方法としては、廃車などが挙げられますが、手元により多くの現金を残したいのであれば、中古車として売り出すのも一つの手です。

ただし、個人売買は未払いや名義変更などのトラブルが起きやすいので避けたほうが無難。中古販売店に買い取りを依頼するなど、第三者が関与する手段で売却するのが安心です。

車を売却したあとは駐車スペースが空になります。物置など、自分で利活用するのもいいですが、もし自宅近辺が観光地などで需要がありそうなら、貸し出しで収入を得ることも期待できます。

近年は、スマホ一つで駐車スペースを貸し出せるサービスも提供されています

最近では車のフリマともいえるサービスも生まれており、中古車はより手軽に、安心して売買できるようになってきています。

また、どんなに中古車としての売却が難しい状態の車でも、鉄くずとしての価値が残っているため、0円になることはめったにありません。

車の処分にはお金がかかると思っている人も少なくありませんが、ぜひ一度買い取り査定に出してみることをおすすめします。

免許返納後の移動はどうする?生活を支える交通・宅配サービス

免許返納後の移動はどうする?生活を支える交通・宅配サービス

前述のとおり、自分で車を運転しなくなったあとは、代わりとなる移動手段が必要になります。

バスや電車など、公共交通機関を利用する場合は、高齢者割引やシルバーパス(高齢者が定額で公共交通機関に乗れる制度)などを活用すれば支出を抑えられます。

また、免許を返納すると運転経歴証明書を受け取ることができます。運転経歴証明書は身分証明書の代わりとなるほか、提示することで期間・回数限定で公共交通機関の割引を受けることも可能です。

なお、運転経歴証明書の特典はほかにも以下のようなものがあります。

免許返納後の移動はどうする?生活を支える交通・宅配サービス
[表]東京都の免許返納特典の例

また、自治体によっては事前予約に基づいて運行を行うデマンド型交通を試験導入しているケースもあります。運行する車両はバスやタクシーなどさまざまで、利用者の予約に応じて運行ルートや時刻が決まる仕組み。

自分の都合に合わせて利用でき、さらにタクシーなどよりも比較的安価という特徴があります。導入の有無や運行状況は各自治体のウェブサイトなどから確認できます。

スーパーが遠方だったり、荷物を運んでの移動が難しかったりする場合は、宅配サービスや生協、Amazonフレッシュなどで自宅まで食材や日用品を届けてもらうのも選択肢の一つです。

デマンド型交通は非常に便利ですが、導入している自治体が少なく、また試験導入であることも多いため、突然サービスが休止することもあります。長期での利用を考えている場合は注意が必要です。

免許返納は事前にデメリットも把握し、生活水準や健康の維持も踏まえてじっくり考えたいところです。家族が同居しているのなら、車は残して代わりに運転してもらうことも視野に入れるといいですね。

また、補助機能で高齢者の運転をサポートする「サポカー」も販売されています。免許返納に迷ったら、こちらを検討してみるのもいいでしょう。

おわりに

免許返納は、節約だけでなく、自分や家族、身の回りの人の安全と安心を守る行動といえます。自分で運転できなくなるというデメリットはありますが、各種割引制度やサポート制度を活用し、新しい生活スタイルを楽しみましょう。

※本記事は2025年10月時点の一般的な情報提供を目的としています。制度内容や特典は自治体により異なります。それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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