定年退職時期が延長され、以前よりも長い期間にわたって働くことができるようになった昨今。とはいえ、日本人の平均的な寿命は男性で81歳、女性で87歳程度。定年退職は遅くとも65歳前後であると考えて、10〜20年は勤労での収入がない状況での生活になります。そんな定年退職後、老後の生活をゆったりと過ごせるように、資金を積み立てておきたいものです。老後の資金を積み立てるにあたって、個人年金保険の利用も検討したいところです。
1.そもそも個人年金保険とは?
個人年金保険とは、個人で老後に向けて保険料を積み立て、将来、年金を受け取ることができる保険です。万が一、年金を受け取る前に亡くなった場合には、それまで保険料として支払った分に相当する額を死亡保険金として受け取ることができます。年金の受け取り方は、商品やプランによって異なります。主な受け取り方には、以下の種類があります。
1-1.終身年金
終身年金は保険料が高めではありますが、公的年金と同じく、一生涯にわたって年金を受け取り続けることができます。もしも早い時期に亡くなった場合、支払額よりも受取額が少なくなってしまう恐れがあります。亡くなったときに、保険料の支払いも年金の受け取りも終了します。
1-2.有期年金
有期年金は、年金を受け取る期間が10年や20年など、一定期間と決まっている年金です。亡くなった場合、それ以降は年金が給付されません。そのため終身年金と同じく、もしも早い時期に亡くなった場合には、支払額よりも受取額が少なくなってしまう可能性があります。その代わり、保険料が比較的安価という特徴があります。
1-3.確定年金
確定年金も、年金を受け取る期間が決まっています。期間は5年、10年、15年であることが多くなっています。年金を受け取ることができる期間に亡くなった場合、有期年金とは異なり、その後の年金を遺族が受け取ることが可能です。そのため終身年金や有期年金とは異なり、もしも早い時期に亡くなったとしても、支払額よりも受取額が少なくなることはありません。
1-4.保証期間付終身年金
一生涯にわたって年金を受け取れる終身年金に、保証期間が付いているのが保証期間付終身年金です。この保証期間中に亡くなった場合、その残りの保証期間分の年金が支払われます。この支払いは、残りの保証期間中に年金を受け取れる場合と、残り分の年金を一時払いで受け取れる場合があります。
1-5.保証期間付有期年金
10年、20年など年金を受け取る期間が決まっている有期年金に、保証期間が付いているのが保証期間付有期年金です。保証期間付終身年金と同じく、この保証期間中に亡くなった場合、その残りの保証期間分の年金が支払われます。残りの保証期間中に年金を受け取れる場合と、残り分の年金を一時払いで受け取れる場合があります。
1-6.夫婦年金
夫婦年金は、夫婦のどちらかが生存している限り、受け取り続けることができる年金です。
2.加入するメリット・デメリット
個人年金保険に加入するメリットのひとつは、老後の資金を確実に貯められるという点です。銀行預金で老後の資金を貯めることも可能ですが、銀行預金だと「少しお金が足りなくなったから」と引き出してしまうことが考えられます。また、口座を分けていたとしても使用してしまう場合があります。この点、個人年金であれば口座から引き落とされていくため、着実に資金を貯めることができます。
銀行に普通預金しておく状態よりも資金が増やせるという点もメリットのひとつです。個人年金保険の保険料として支払っておくほうが、一般的な銀行の普通預金よりも利率が良いため資金が増えやすいのです。
デメリットとして考えられるのは、もしも加入した保険の保険会社が倒産してしまった場合には、受取額が減額される可能性があるという点です。生命保険契約者保護機構によって一定額は保証されますが、それでも年金の受取額が減ってしまう可能性はあるため、メリットとデメリットについて良く考えて加入するかどうかを决定することが大切です。
3.お得に利用するには
個人年金保険を利用する際には、せっかくならお得に利用したいものです。個人年金保険をお得に利用するには、どうすれば良いのでしょうか。
3-1.保険料を抑えよう
個人年金保険をお得に利用するために、支払う保険料を安く抑えましょう。保険料を安く抑えるには、月々支払うのではなく年間でまとめて保険料を支払う方法などで支払額の総額を安く抑えることが可能です。また、保険料を安く抑えるためにどのような商品やプランを選ぶのかも重要です。
3-2.個人年金保険料控除を受けよう
保険料の支払額に応じた金額がその年の所得から差し引かれ、住民税や所得税が軽減される制度が個人年金保険料控除です。個人年金保険に加入するのであれば、この個人年金保険料控除を利用しましょう。
個人年金保険料控除で注意したいのが、個人年金保険のすべてが控除の対象になるわけではないという点です。個人年金保険料控除の対象となるのは、次の4つの条件をすべて満たし、「個人年金保険料税制適格特約」が付加されている場合のみです。個人年金保険に加入する際には、この控除を受けられる条件を満たした商品やプランを選ぶようにするのが望ましいといえます。
<個人年金保険料控除の対象となる条件>
- 年金受取人が契約者(保険料負担者)または契約者の配偶者であること
- 年金受取人が被保険者であること
- 保険料払込期間が10年以上あること
- 年金の種類が確定年金の場合、年金支払開始日の被保険者の年齢が60歳以上であり、かつ年金支払期間が10年以上あること
おわりに
個人年金保険をお得に利用するためには、その種類や加入するメリット・デメリット、個人年金保険の商品やプランの詳細をよく理解して、比較検討を行うことが大切です。月々の支払金額が小さなものでも、長期にわたって支払うことで大きな金額となります。費用対効果を考えて、自身にあった個人年金保険を選びましょう。
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