子どもや孫が、進学や就職で上京する際、引っ越しや家賃など、かなりの費用がかかることが想定されるため、できるだけ費用を抑えたいと考える方が多いのではないでしょうか。ここでは、上京にかかる費用にはどのようなものがあるのか、また金額の目安や費用を抑える方法をお伝えしていきます。子どもや孫が上京を控えている方は、参考にしてみてください。
1.上京費用の目安と内訳
上京に必要な費用は、家賃を6万円程度と見積もった場合で50万円以上と考えておきましょう。ここに含まれるのは、賃貸借契約の初期費用をはじめ、家電や家具、引っ越し代、上京にかかる交通費などです。
なお賃貸借契約の初期費用は、家賃の4.5〜5ヵ月分が必要といわれており、家賃や物件に応じて左右されます。交通費や引っ越し代も距離や内容により差があります。具体的な内訳を見ていきましょう。
1-1.敷金・礼金
家を借りる際、初期費用に含まれるもののひとつが「敷金・礼金」です。
敷金とは、契約期間中に家賃の滞納があったときや、部屋を破損してしまった場合の修理費の担保として、あらかじめ預けておくお金です。契約終了時、敷金から家賃の滞納分や修理費用などを差し引いた分が返金されます。礼金は、大家さんに対してお礼の意味で支払うお金のことで、こちらは退去時に返金されることはありません。
敷金・礼金それぞれ家賃の1ヵ月分が目安ですが、最近では敷金や礼金がかからない物件も増えてきています。
1-2.前家賃・日割り家賃
賃貸の家賃は前払いが一般的です。前家賃とは、賃貸借契約した際にあらかじめ支払う①契約日から月末までの当月分の日割り家賃と②翌月分の家賃のことで、敷金や礼金とともに、契約時に支払うのが一般的です。日割り家賃は、月の途中に入居した場合に入居日から月末までの日数で日割り計算して出した家賃のことです。
例えば5月20日に入居する場合、「5月20日から末日までの残り12日分と6月分の家賃」が契約時に必要になります。
1-3.仲介手数料
仲介手数料は不動産会社や仲介会社に支払うお金のことで、物件の案内や契約条件の交渉などをしてくれた対価として支払います。仲介手数料の相場は、「家賃の0.5ヵ月〜1ヵ月+消費税程度」とされています。
1-4.火災保険料
火災保険は、火災以外にも台風や大雨などの自然災害、盗難被害を受けたときに補償してくれるものです。賃貸の場合、加入が必須となっている場合が多いです。不動産会社から火災保険をすすめられることもありますが、ご自身で火災保険を選べる場合もあります。補償内容により、保険料を抑えることも可能なので、ご自身で調べておくと良いでしょう。
1-5.保証会社利用料
賃貸借契約をする際、最近では、連帯保証人ではなく保証会社の利用を求められるケースが多くなっています。保証会社を利用するのに必要なお金が、保証会社利用料です。家賃を滞納したときに、保証会社が家賃を立て替えてくれます。
保証会社利用料の相場は家賃の50%程度で、入居時に支払い、その後は1年毎に更新料がかかることが多いです。初回の利用料だけでなく、更新料や更新時期も確認しておきましょう。
また保証内容を限定することや、家賃保証会社を利用しながらも連帯保証人を立てることで家賃保証会社利用料を抑えられる場合もあります。大家さんとの交渉が必要になることもありますが、契約前に相談してみると良いでしょう。
クレディセゾンでもセゾンの家賃保証Rent Quickを提供しています。セゾンの家賃保証Rent Quickのメリットは、月々の家賃をセゾンカードで支払うことが可能です。もちろん、永久不滅ポイントも貯まります。
1-6.鍵交換代
入居時の鍵交換は防犯面で安心です。鍵交換をしていないと、前入居者がスペアキーを作っていた場合に侵入できてしまいます。家族や財産を守るうえでは、費用がかかったとしても鍵交換はしておいたほうが良いでしょう。鍵交換にかかる費用は、一般的には借主が負担します。
鍵交換代の相場は、マンションやアパートなどで一般的に使われている鍵で約15,000円、オートロック機能搭載の場合は30,000円程度です。
また、防犯で心配の方は、窓等に設置できるホームセキュリティSecualがおすすめです。
1-7.交通費
交通費は引っ越し当日だけでなく、物件探しの際もかかります。東京までの距離や手段によっても異なりますが、何度も足を運べば大きな金額になります。上京費用としてしっかりと計算しておきましょう。
1-8.引っ越し代
引っ越し代は荷物の量や移動距離、引っ越し時期で大きく変わるため、まずは相場を知っておくことが大切です。単身の場合、閑散期で30,000〜50,000円、繁忙期で40,000〜60,000円程度が相場になります。
単身での引っ越し代の平均は下表のとおりです。
【単身での引っ越し代相場】
単身荷物小(繁忙期) | 単身荷物大(繁忙期) | |
全平均 | 45,341円(54,936円) | 59,125円(78,449円) |
~15km未満 (同市町村区程度) | 37,465円(43,753円) | 50,018円(60,463円) |
~50km未満(同都道府県程度) | 39,844円(48,337円) | 51,462円(64,938円) |
~200km未満(同地方程度) | 48,316円(54,975円) | 66,321円(85,696円) |
~500km未満(近隣地方程度) | 57,155円(66,343円) | 84,660円(106,498円) |
~500km以上(遠距離地方程度) | 69,007円(77,214円) | 102,203円(125,601円) |
繁忙期は2〜4月で、閑散期と比較すると単身でも10,000〜20,000円程度金額が上がりますが、平日や時間帯によっては料金を抑えることも可能です。また荷物の量によっても数万円単位で差が生じることがあります。大きな家具は転居先で購入するのもひとつの方法でしょう。
なお、クレディセゾンでは引っ越しされる方にも役立つサービスを取り揃えています。引越し&新生活ナビ by saison cardで、引っ越しの見積りも簡単にできるサービスも紹介しています。
1-9.家具・家電代
生活をするのに必要なものには、ベッドや冷蔵庫、洗濯機などの家具や家電もあります。新しく購入するとなると、10〜15万円程度は必要になります。電子レンジや掃除機など、ご自身の生活スタイルを想定し、必要なものを揃える必要があります。
1-10.日用品代、当面の生活費
これら以外に必要な費用は、日用品や当面の生活にかかるお金です。シャンプーや洗剤などの消耗品をはじめ、食費、光熱費、スマートフォンなどの通信費など、リストアップすると意外にも多いことが分かります。
単身世帯の1ヵ月の生活費は、政府統計の2021年度家計調査によると勤労者世帯で175,509円、勤労者以外の世帯で138,444円です。上京したばかりだと就職やアルバイトを始めたとしても賃金が支払われるまでに時間がかかるため、少なくても1ヵ月分の生活費は準備しておきましょう。
参照元:政府統計の総合窓口|家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表
2.上京費用を抑える8つのポイント
ここからは、上京費用を抑えるポイントを紹介していきます。下記記事では一人暮らしに必要なものについて、『一人暮らしに最低限必要なものをリスト化!初期費用を抑える3つの方法も解説』で詳しく解説しています。リストはPDFでダウンロード可能です。併せて参考ください。
2-1.家賃が安い物件を探す
家賃を安く抑えられれば、必然的に敷金や礼金などの出費が少なくなります。安い物件を探すコツは、都心から離れることや駅から離れることです。都心や駅から少し離れるだけで、家賃に大きな差が出ることがあります。
また、築年数が古い物件も狙い目です。最近はリノベーションでおしゃれになっている物件も多くあるため、内見(内部見学)で確認してみてください。
2-2.敷金・礼金がかからない物件を探す
最近では、敷金や礼金がかからない物件があります。初期費用を安く抑えたいのなら、こういった物件を探すこともおすすめです。また敷金や礼金は、多少の金額なら交渉次第で安くなる場合もあります。契約の意思を表明をしたうえで、交渉してみるのも良いでしょう。
注意していただきたいのは、敷金がかからない物件の場合、退去費用が高くなる可能性があることです。また、クリーニング費用という項目として初期費用に含まれていることもあるため、契約の際にしっかり確認しておきましょう。
2-3.月初めに入居する
上京の初期費用を抑えるためには、1日(ついたち)に入居するのもひとつの方法です。1日に入居できれば当月の家賃のみを支払い、翌月分からは引き落とし日に支払うことになるため、前家賃を準備する必要がなくなります。
2-4.シェアハウスを検討する
シェアハウスは仲介手数料や鍵交換費用などがかからないケースもあり、初期費用相場は10〜15万円程度と、大幅に節約できる可能性があります。ただし家賃は高額な場合もあり、入居後の生活費にお金がかかる場合もあります。家賃や光熱費などをきちんと調べて検討してみましょう。
2-5.閑散期に引っ越しする
融通が利くようであれば、引っ越し閑散期である5月〜1月に引っ越しをすると費用が抑えられます。閑散期であれば予約も取りやすく、希望日に引っ越しすることも可能です。繁忙期は2月〜4月で、中でも3月下旬〜4月上旬は引っ越しが集中し費用が上がります。
どうしても繁忙期に引っ越しをしなければならない場合でも、3月中旬までや4月中旬以降に日程をずらすだけで費用を抑えられるため、検討してみましょう。引っ越しは、何社か見積もりを取るようにしましょう。
2-6.必要最低限の家具家電や日用品に絞って購入する
家具や家電は一度にすべて購入すると負担が大きくなります。最初は最低限必要な寝具や冷蔵庫、洗濯機、カーテンなどに絞って購入し、徐々に揃えていくと良いでしょう。また家電店のキャンペーンの活用、ディスカウントショップでの購入なども費用を抑えることにつながります。
2-7.荷物を極力減らす
引っ越し代は荷物の量にも左右されます。引っ越し前にできるだけ荷物を減らしておくことで、引っ越し費用を抑えられます。
2-8.上京支援サービスを活用する
上京支援サービスとは、地方に住んでいる方が東京で就職する際にサポートを受けられる人材紹介会社などが展開しているサービスです。サービスによっては、東京での就職活動にかかる交通費や宿泊費を負担してくれたり、上京のための引っ越し代を負担してくれたりします。
また、サービス側がワンルームマンションなどの物件を提供している場合もあります。仲介手数料や敷金・礼金が無料だったり、家具や家電付きだったりするため、上京費用を大幅に削減できる可能性があります。
交通費や宿泊代などの負担には条件があるため、支援内容をよく確認してから利用してみましょう。また上京支援サービスを利用できるのは、東京への就職や転職を考えている方だけです。進学での上京や目的のない上京では利用できないので注意してください。
3.家賃が抑えられるおすすめの街
上京するといっても、どこに住んだら良いのか分からない方も多いでしょう。東京は地域によって家賃相場が大きく異なり、23区と郊外とでは同じような物件でも3万円以上も家賃が変わることもあります。ここでは家賃を抑えられて、なおかつ住みやすい街を紹介します。家賃相場は、ワンルームマンションを想定したものです。ホームズを参考にしています。
3-1.赤羽駅エリア(東京都北区・JR埼京線)
- 家賃相場:7.3万円
- 主要駅までの所要時間(乗り換え回数)
- 渋谷:約20分(0回)
- 新宿:約15分(0回)
- 東京:約18分(0回)
赤羽駅は5路線利用でき、都心に出やすい場所です。駅周辺は、駅ビルやショッピングモールが充実しており、買い物に便利なのが特徴です。飲食店も多いため、外食が好きな方にも向いています。東口エリアは居酒屋が多く立ち並んでいるため、治安を考える方は西口で物件探しをすると良いでしょう。
3-2.荻窪駅エリア(東京都杉並区・JR中央線)
- 家賃相場:約7.3万円
- 主要駅までの所要時間(乗り換え回数)
- 渋谷:約22分(1回)
- 新宿:約10分(0回)
- 東京:約24分(0回)
荻窪駅エリアは、夜でも明るい通りが多く治安が良いため、女性の一人暮らしにも安心なエリアと言われています。駅の北口は繁華街、南口は複数の商店街があり、どちらも少し歩くと静かな住宅地が広がっています。東京メトロ丸の内線とJR中央・総武線が通っているため、都心へのアクセスも良好です。
3-3.田端駅エリア(東京都北区・JR山手線)
- 家賃相場:約7.3万円
- 主要駅までの所要時間(乗り換え回数)
- 渋谷:約24分(0回)
- 新宿:約18分(0回)
- 東京:約16分(0回)
田端駅周辺は、JR山手線の中では家賃相場が安いエリアです。駅周辺は深夜まで営業しているコンビニやスーパーがあるため、日常の買い物はしやすい場所です。飲食店や娯楽施設は少なく繁華街もないため治安が良く、静かな住宅地が広がっています。JR山手線が通っているため、都心へも出やすく、アクセスの良い地域です。
3-4.亀有駅エリア(東京都葛飾区・JR常磐線)
- 家賃相場:約6.7万円
- 主要駅までの所要時間(乗り換え回数)
- 渋谷:約40分(1回)
- 新宿:約36分(1回)
- 東京:約30分(1回)
亀有駅エリアは、家賃相場が低めで物件数が多いため、安い部屋が探しやすい地域です。駅周辺はスーパーやコンビニ、大型商業施設が充実しているため、買い物や外食に便利といえるでしょう。東京メトロ千代田線に直通しているJR常磐線が通っているため、国会議事堂前や大手町などのオフィス街に出やすいエリアです。
3-5.三鷹駅エリア(東京都三鷹市・JR中央線)
- 家賃相場:約7.2万円
- 主要駅までの所要時間(乗り換え回数)
- 渋谷:約27分(1回)
- 新宿:約20分(0回)
- 東京:約30分(0回)
三鷹駅はJR中央線が通っているため、新宿まで20分ほどで行けます。大型スーパーや商業施設が整っている一方で、静かで緑豊かな住宅地が広がり、治安も良く住みやすいエリアです。隣の駅は、公園や商業施設など遊べるスポットが満載の吉祥寺駅です。吉祥寺駅より家賃相場が低いため、費用を抑えた物件選びができるでしょう。
4.賃貸借契約書!主に確認すべきポイント
賃貸借契約書は、賃貸借契約を交わす際に必ず署名と捺印をする書類です。中には賃貸借契約の条件が記載されており、法的にも効力があるため、賃貸借契約において最も重要といえます。その中でも特に確認しておくべきポイントをお伝えします。
4-1.物件や設備の情報
まずは借りる物件が正しく記載されているか確認しましょう。次に部屋の設備をチェックしてください。例えばエアコン設備が「有」となっていたら、あらかじめエアコンが設置されており、過失や故意以外で故障した場合、貸主の負担で修理してくれるということです。
契約期間も必ず確認し、始期日以降に部屋に入るようにしましょう。契約を終えると不動産会社によっては、鍵を渡してくれる場合があります。しかし、契約期間外は火災保険が適応されないため、万が一火災が発生しても保証されないので、注意してください。
このほか、賃料や支払方法もしっかりと確認しておいてください。
4-2.貸主と管理業者の詳細
物件を貸してくれる貸主と物件を管理している管理会社の詳細も確認しておきましょう。管理会社がいる場合、トラブルは基本的に管理会社に報告します。すぐに連絡できるようにスマートフォンなどにメモしておくと良いでしょう。
4-3.禁止事項
取り決めには、「禁止や制限されている行為の取り決め」「乙からの解約の取り決め」「明け渡し時の原状回復の取り決め」があります。禁止や制限されている行為の取り決めには、例えば、以下のような禁止されている項目が記載されています。許可をもらいたいものがあれば、不動産会社に相談してみましょう。
- ペットの飼育
- 賃借権の譲渡または転貸
- 大音量でのテレビや楽器の使用
- 物件を反社会的勢力の事務所等に利用すること
4-4.退去予告義務違反・早期解約違約金・現状回復
退去予告義務の取り決めは、「解約する際、何日前までに通知する必要があるのか」という内容です。通知が遅れると余計な家賃を支払うことになってしまうため、必ず確認しておきましょう。また、契約後1年間の間に解約する場合には、早期解約違約金がかかりますという場合もありますので合わせて確認をしておきましょう。
原状回復の取り決めには、退去後のクリーニングについて書かれています。敷金を支払っている場合、部屋をきれいに使用していれば全額返ってくることもあります。しかし、契約条件により汚れや傷の修繕負担を貸主と借主のどちらが受け持つのかは異なるため、内容を把握しておきましょう。
5.上京費用の支払いにセゾンカードがおすすめ
上京時には何かと出費が多くなります。特に引っ越し業者への支払いや大型家具の購入など、まとまったお金を急に用意できない場合は、最短5分で使いたいときにすぐにカードが作れる「SAISON CARD Digital」(セゾンカードデジタル)がおすすめです。
スマートフォンで利用できる「SAISON CARD Digital」は、お店での利用やオンラインショッピングのほか、急な出費の際にはONLINEキャッシングも利用可能。また、発行されるプラスチックカードは国内初のクレジットカード番号の記載がないナンバーレスカードなので、スキミングや不正利用の心配も軽減されます。
おわりに
上京には引っ越し代や交通費、生活費などかなりのお金が必要であることが分かりました。しかし、できるだけ家賃の安い物件を探したり、引っ越し時期をずらしたりすれば費用を抑えることが可能です。またどのくらいのお金が必要になるのか、あらかじめ計算し準備しておくと安心です。スムーズに上京できるように、早めに準備を進めておきましょう。