「孫の世話をお願いされるのは嬉しいけれど、頻繁に連れて来られるのは大変」「孫の面倒を見るために自分の時間が減ってしまい、憂鬱だ」
このように孫疲れ(孫ブルー)を感じるシニア世代が最近増えています。時々顔を見せてくれるなら可愛いと思える孫でも、毎日活発に動き回られてしまえば、体力的にも経済的にも大きな負担となってしまうでしょう。
そこで今回のコラムでは、孫疲れの原因と対策、そして子ども家族との上手な付き合い方についてご紹介します。
1.孫疲れ(孫ブルー)とは?
孫の世話が大きな負担となり、肉体的・精神的に疲れてしまう「孫疲れ」は、若い世代で共働きが当たり前になった現代では珍しいものではなくなりました。食事の用意やお泊まりの世話、遊び相手などで心身ともに消耗してしまい、孫を預かるのが嫌になるケースも多くなっています。
また、周囲に愚痴を漏らす程度の孫疲れを超えてしまうと、孫の顔を見るだけで落ち込んでしまう「孫ブルー」に至ることも考えられます。子ども家族との良好な関係を続けていくためには、ご自身でも孫疲れ・孫ブルーに陥らないための対策をしなければなりません。
1-1.孫育てで不満を感じる「ばぁば」は52%
株式会社主婦の友社が実施した「『孫育て』をしている女性の意識調査」によれば、『孫育て』で不満を抱くことがある女性は52%にのぼっています。孫の面倒を見ている方の半数以上が、モヤモヤを抱えているのが現実です。
また、モヤモヤする瞬間として挙げられるシーンとして「自分の体調が良くなかったり、疲れている時」「自分の時間を犠牲にしていると感じる時」などが挙げられています。ご自身の時間や体調よりも孫のことを優先してしまう結果、大きなストレスを抱えてしまっているのでしょう。
1-2.95.9%が自分のために時間を使いたいと回答
同調査では、「お孫さんとの時間も大切だが、自分のためにも時間を使いたいと思いますか?」という質問に対して、「はい」と答えたのは95.9%となっています。孫の世話をしている方のほぼ全員が、ご自身のために時間を使いたいと考えているという結果です。
このように孫の世話にモヤモヤやストレスを抱えている人は決して珍しくはなく、むしろ孫疲れは多くの女性が悩む問題といえます。子どもや孫よりも自分を優先することに、罪悪感を持つ方も多いかもしれません。しかし世の中の女性のほとんどがあなたと同じ悩みを抱えていることを知ると、気分も楽になるのではないでしょうか。
2.孫疲れを感じてしまう原因は?可愛い孫でもモヤモヤする理由
孫疲れを感じてしまう原因には、主に以下の4つの要素が考えられます。
- 経済的な負担が大きいから
- 食事の準備や片付けが大変だから
- 上手な接し方が分からないから
- 体力が持たないから
可愛い孫でもモヤモヤしてしまう理由を、それぞれ詳しくご紹介しましょう。
2-1.経済的な負担が大きいから
孫のためにプレゼントや買い物、外食に行くことによって、ご自身の家計に大きな影響を与えることも多いでしょう。おもちゃやゲームをおねだりされたり、お小遣いが欲しいと言われたりすれば、「嫌われないように」とついお金を渡してしまうことも多いかもしれません。
しかし少額のお小遣いであっても、頻度が多くなればまとまった金額になります。また、孫が成長して高額なプレゼントを要求するようになれば、さらに負担は増すことでしょう。年金と貯金の切り崩しで暮らしている方にとっては、孫のご機嫌取りのために出費が多くなることに対してストレスを抱えることは珍しくありません。
2-2.食事の準備や片付けが大変だから
孫の面倒を見る時には、家族のための家事負担も大きくなります。孫の好みに合わせて食事を用意したり、散らかしたおもちゃを片付けたりする手間が増え、毎日疲れてしまうことも多いでしょう。
孫がアレルギーを持っている場合には、食材のチェックにも気を使うことになるほか、おやつの準備や量を調節する手間も必要になるでしょう。食事を食べてくれず、ぐずったり泣かれたりしてしまえば、精神的な疲労も蓄積してしまいます。
2-3.上手な接し方が分からないから
癇癪を起こしやすい孫やわがままな孫に対しては、強く叱るべきなのか甘やかすべきなのか、接し方に迷うことも多いでしょう。こちらの言うことを聞かなかったり、走り回って周りに迷惑を掛けたりしてしまうのは小さい子どもによくあることですが、孫が相手だとどう接するべきか困ってしまいます。
子育ての経験があるからと孫を預ったとしても、長年のブランクがあるせいで子どもの扱いが分からなかったり、精神的に疲れてしまうことも多いようです。
2-4.体力が持たないから
小さな子どもの活動量に体力が追いつかず、肉体的に消耗してしまうことも孫疲れの原因です。公園などへ遊びに行く際にも、動き回る孫についていけず体力が持たないと感じることも多いでしょう。
また、夜遅くまで起きている孫が泊まりに来た場合には、生活リズムが合わずに寝不足に陥ってしまう可能性もあります。心の内では孫の面倒を見てあげたいと思っても、体力的に難しければ孫疲れ・孫ブルーを引き起こす原因となってしまいます。
3.孫疲れで不満を感じる前にできる3つの対策
孫疲れや孫ブルーを感じてしまうと、孫の顔を見るのが嫌になってしまう可能性もあります。そうなる前にできる孫疲れ対策として、以下の3つについて解説しましょう。
- まずは短時間から預かる
- 教育方針を話し合っておく
- 大変なことや苦労することを伝える
それぞれ紹介していきます。
3-1.まずは短時間から預かる
孫の面倒を見る際には、体力的・時間的な余裕がある際に、短時間から預かることをおすすめします。
たとえば、子どもが帰省した際にまずは1時間だけ孫と一緒に出掛けたり、家で留守番したりして、普段どんな過ごし方をしているのかをチェックしてみると効果的です。慣れてきたら半日、1日と預ってみて、一泊させるなど、少しずつ時間を伸ばしてみましょう。そうすることで、いきなり長時間預かって孫疲れしてしまうことを防止できます。
3-2.教育方針を話し合っておく
孫の育て方を合わせるために、子ども夫婦と教育方針についてしっかり話し合っておくことが大切です。スマホやタブレットの使い方や就寝時間、宿題やおやつの量など、事前にルールを決めておけば孫を預かる際に迷うことも少なくなります。孫の育て方について相談に乗り、ご自身の経験からアドバイスすることで、子ども夫婦から感謝されることもあるかもしれません。
3-3.大変なことや苦労することを伝える
孫を預かってみて大変に感じたことや苦労したことは、遠慮することなく子ども夫婦に伝えておきましょう。子ども夫婦からすれば「ばぁばもうちの子も喜んでいるから問題ない」と感じる心理が働くため、大変なことや苦労することがなかなか伝わらないことも少なくありません。
しかし孫疲れ・孫ブルーになって孫を預かれなくなってしまったり、子ども夫婦との関係にヒビが入ってしまったりすることを防ぐためにも、嫌なことははっきりと伝えておくことが重要です。
4.孫や子ども家族との上手な付き合い方
最後に、孫や子ども夫婦と上手に付き合いながら、孫疲れを防ぐ方法についてご紹介しましょう。子ども夫婦と良好な関係を続けるためには、以下の3つのポイントを押さえておくことをおすすめします。
- 孫にとっての親を尊重する
- お金やプレゼントの与えすぎに要注意
- お金を払ってシッターに依頼することも選択肢
一つひとつ解説していきます。
4-1.孫にとっての親を尊重する
当たり前のことですが、孫にとっての親はあなたではなく、子ども夫婦です。あくまでも子育ての中心となるのは子ども夫婦の家庭で、ご自身が積極的に子育てに口出ししてしまうのは望ましくありません。
もちろん頼られた時にアドバイスしたり、手助けしてあげたりすることは重要ですが、子ども夫婦の教育方針を無視してご自身のやり方を押し付けるのは避けた方が良いでしょう。裏方から支える存在として、子ども夫婦のサポートに徹してあげましょう。
4-2.お金やプレゼントの与えすぎに要注意
孫が可愛いからと、お金やプレゼントをあげすぎてしまうのは、教育的にもご自身の家計にも良くありません。孫が訪れるたびに毎回プレゼントを買ってあげたりしていると、愛情ではなく、お金のために頼られる関係になってしまう危険性があります。
そのためお小遣いやプレゼントを与える際には、月に1回だけなどのルールを決めたり、クリスマスや誕生日などのイベントの時だけに限定したりすることをおすすめします。特別な日のプレゼントであれば、孫も子ども夫婦からも喜ばれるでしょう。
4-3.お金を払ってシッターに依頼することも選択肢
ご自身の時間や体力が犠牲になって孫疲れを感じてきた場合には、お金を払ってシッターに預けることも検討すると良いでしょう。ご自身の都合で孫を預かれない場合にも、シッターを利用して面倒を見てもらうことでお互いの負担を軽減することができます。
子ども夫婦がシッターの利用に積極的でない場合には、依頼料の一部を援助したり、孫を預かるのが難しい理由をはっきり伝えたりする必要があります。孫ブルーに陥ってしまう事態を防ぐためにも、お金を払って外部の方の力を借りることも検討してみてください。
おわりに
孫疲れは、孫の世話のせいで肉体的・精神的に疲れてしまうことを指し、経済的な負担によって孫を預かるのが苦痛になってしまうことをいいます。ご自身のことを犠牲にし続けてしまえば、孫の顔を見るだけで落ち込んでしまう孫ブルーに陥ってしまう可能性もあります。
孫疲れ・孫ブルーを防ぐためには、孫を預かる時間を短くしたり、子ども夫婦との話し合いを重ねたりすることが重要です。大変に感じていることや苦痛なことはも遠慮なく伝え、場合によってはシッターの利用も検討してみましょう。