カビやぬめりなどといった汚れが付きやすいお風呂の排水口は、掃除が面倒だと感じる方が多いのではないでしょうか。汚れの原因や性質を知り、それに合わせた掃除ができれば、ゴシゴシ手洗いしていた排水口掃除が今より楽になるかもしれません。このコラムでは、お風呂の排水口が汚れる原因や効果的な掃除方法、汚れを溜めにくくするテクニックなどをご紹介します。
お風呂の排水口が汚れる原因
家族みんなで使うお風呂は、毎日掃除をしていても汚れが溜まる場所です。その中でも特に気になるのが、排水口まわりではないでしょうか。お風呂の排水口が汚れやすいのにはいくつかの理由があります。ここではまず、排水口の汚れの原因を見ていきましょう。
髪の毛
お風呂の排水口に溜まるゴミの中で、最も目立つのが髪の毛です。人間の毛髪は1日におよそ50~100本抜けるといわれているので、家族全員分が集まるとかなりの量になります。髪の長い女性が多い家庭では特にゴミ受けに溜まる髪の毛が多く感じられるため、こまめな掃除が必要になるでしょう。
皮脂汚れ
皮脂汚れとは、身体に付着した老廃物が蓄積したものです。お風呂で身体や頭髪を洗うと、皮脂汚れが流れ落ち、排水口のゴミ受けに蓄積します。また、排水口に髪の毛が溜まっている状態は特に皮脂汚れが蓄積しやすく、ヌメヌメ汚れの原因になります。
カビ
湿度と温度が高いお風呂はカビが発生しやすい場所です。カビは湿度70%程度、温度20~30℃の場所で繁殖しやすく、お風呂は基本的にこの条件が揃っています。石鹸カスや皮脂汚れが栄養源となり、カビはどんどん増えていくでしょう。
石鹸カス
石鹸カスは、皮脂汚れと同じく排水口のヌメヌメの原因です。水道水に含まれるミネラルと、石鹸に含まれている脂肪酸が組み合わさり白くて細かい汚れが発生します。石鹸カスはプラスチックにくっ付きやすいため、排水口や浴槽、洗面器などに溜まりやすいのが特徴です。
お風呂の排水口は掃除をしないとどうなる?
お風呂は、身体の汚れを落とすだけでなくリフレッシュ目的で入る方も多いのではないでしょうか。入浴タイムを気持ち良く過ごすには、日々の掃除が欠かせません。お風呂の排水口に溜まった髪の毛や皮脂、石鹸カスなどの汚れはヘドロとなり、掃除しなければどんどん蓄積されていき、不衛生な上に二次災害を引き起こす可能性もあります。
ここでは、お風呂の排水口を掃除しないとどのような悪影響を及ぼすのかについて見ていきましょう。
水の流れが悪くなる
排水口の掃除を怠ると、蓄積した汚れが原因で詰まりが生じる可能性があります。最初は水の流れが遅くなったと感じる程度でも、少しずつ詰まりがひどくなり、排水自体全くできなくなるケースもあります。排水管が詰まったことによる逆流のリスクもあるため、排水口のこまめな掃除で詰まりのリスクをなくしておくことが大切です。
臭いが発生する
排水口に溜まった水や汚れは雑菌を繁殖させます。雑菌はやがてヌルヌルした汚れに変わり、不快な悪臭の原因になるので注意しましょう。換気扇を回しても消えないイヤな臭いは、排水口の汚れを放置したことが原因の可能性があります。
カビの原因になる
高温多湿であるお風呂は、もともとカビが好む場所です。排水口に蓄積した髪の毛や皮脂汚れを放っておくことで、カビや細菌の温床になります。排水口をはじめ、汚れが溜まりやすい場所をこまめに掃除しないでいるとすぐにカビが生え、あっという間に浴室中に広がってしまうので気を付けましょう。
カビによって肌トラブルを引き起こすことも
カビが繁殖した不衛生なお風呂に入ることは、肌トラブルの発生にもつながりかねません。カビが肌に触れることで、アトピー性皮膚炎などの疾患を引き起こす可能性もあります。健康のためにも、こまめな掃除でカビのない清潔なお風呂をキープすることが重要です。
参照元:第一三共ヘルスケア
虫が発生する可能性も
お風呂の排水口が、コバエやゴキブリなどといった害虫の侵入経路になるケースも考えられます。温かくて汚れているお風呂は、虫にとって栄養源が豊富で居心地が良い場所だからです。お風呂に不快な害虫を発生させないために、汚れの溜まりやすい排水口をはじめ、浴室全体を清潔に保つようにしましょう。
自分で掃除するなら知っておこう!排水口のパーツ
お風呂の排水口には、古いタイプの「排水トラップ」と新しいタイプの「封水筒」が存在します。以前はほとんどの家庭で排水トラップタイプが使われていましたが、現在は封水筒タイプが主流です。また、ユニットバスは封水筒タイプの排水口が多いのも特徴です。ここでは、排水口のパーツとその役割をひとつずつご紹介しましょう。
排水カバー
排水カバーは、全てのパーツの一番上にあるフタのことです。目皿や受け皿を覆い、フラットになるように取り付けられています。
ヘアキャッチャー(目皿)
ヘアキャッチャーや目皿は、排水口のすぐ下に位置するパーツです。髪の毛や垢など、お風呂で発生するゴミや汚れが排水管に流れてしまわないように、絡め取る役割をしています。古いタイプである排水トラップの場合は、平らで網目状の目皿の下にさらに受け皿があるのが特徴です。封水筒タイプに使用されているヘアキャッチャーは、お椀型の形状をしています。
受け皿
排水トラップタイプにのみ存在するのが受け皿というパーツです。目皿だけでは防ぎきれないゴミをキャッチする役割を担っています。フラットな作りの目皿とは違い、ヘアキャッチャーのようにお椀型の形状をしているのが特徴です。
排水トラップ
古いタイプの排水口は、排水管に一番近い場所に排水トラップがあります。排水トラップは受け皿の下に位置し、コップを伏せて被せたような見た目をしているパーツです。周りに水を溜める部分があることで、排水管からの臭い漏れを防ぐ役割を担っています。
封水筒
封水筒は、筒状の太い部品です。排水カバーと受け皿を外したときにパイプの奥が見えるようになっているのが封水筒タイプの特徴です。役割は排水トラップと同じですが、排水トラップより多くの水を貯められます。そのため、排水管の空気の逆流によって排水口の水がなくなる「破封」と呼ばれるトラブルが起きにくい構造になっています。
お風呂の排水口掃除!きれいにする方法
お風呂の排水口掃除は、一般的にゴム手袋や掃除用のスポンジ、歯ブラシなどとともにお風呂用洗剤を使用します。髪の毛や石鹸カス、水アカ、カビなど、付いている汚れによって性質に違いがあるため、効率良くきれいにするには汚れの程度や種類に合わせた洗剤を選ぶと良いでしょう。ここでは、お風呂の排水口掃除におすすめのアイテムを、それぞれの特徴や使い方とともにご紹介します。
中性洗剤
毎日の浴室掃除には、お風呂掃除用として市販されている中性洗剤を使う方が多いのではないでしょうか。壁や床などお風呂全体に使える中性洗剤は、排水口の掃除にも有効です。ヘアキャッチャーに溜まったゴミを取り除いたあと、浴槽や壁などと同様に、中性洗剤と掃除用のブラシまたはスポンジを使って排水口を洗いましょう。
頑固な汚れになる前であれば、中性洗剤でも充分きれいに掃除できます。毎日の使用を想定して、肌への影響を抑えられているのも中性洗剤を使うメリットです。
パイプクリーナー
排水口の詰まりや臭いが気になるときは、パイプクリーナーなどの商品を使うのが有効です。使用方法に従って適正量を排水管に直接流し込み、およそ15~30分後に水で洗い流すだけで臭いや汚れを取り除けます。
独特な粘り気を持つパイプクリーナーは、髪の毛や皮脂汚れなどのたんぱく質を溶かす性質を持っている反面、吸い込むと気分が悪くなる可能性もある強い薬剤です。掃除の際は、窓を開けたり換気扇を使用したり、換気を行いましょう。
塩素系漂白剤
汚れた排水口を触るのに抵抗があるという方は、塩素系漂白剤を使うのがおすすめです。塩素系漂白剤には泡タイプと液体タイプがあり、どちらも排水口に直接つけて使用します。泡タイプは、排水カバーやヘアキャッチャーに直接スプレーし、およそ20分放置したあと水で流すだけで掃除完了です。
液体タイプは、バケツやビニール袋にお湯と漂白剤を入れ、その中で排水口のパーツを30分くらいつけ置きしたあと、水で洗い流して使います。排水カバーやヘアキャッチャーなど、汚れが目立つパーツを直接触らずに掃除できるのが塩素系漂白剤の魅力です。皮膚に触れないよう事前にゴム手袋を装着し、マスクの着用や浴室の換気を行なった上で使用しましょう。
重曹とクエン酸
小さな子どもやペットがいるご家庭で、パイプクリーナーや塩素系漂白剤のような強力な薬剤を使いたくない場合には、代わりに重曹とクエン酸を使用すると良いでしょう。それぞれ単体でも掃除に使えるアイテムですが、組み合わせることで泡が発生し、より効果的に排水口の汚れを落とせます。
まずは、ペットボトルなどの容器に100mlの水と小さじ2分の1のクエン酸を入れてよく混ぜ、クエン酸水を作っておきます。次に、排水カバーを開けて、重曹100gを排水口に向かってまんべんなく振りかけましょう。その上からクエン酸水を流し入れ、発泡した状態でおよそ30分放置します。泡が汚れを剥がしてくれるので、最後によく水で洗い流せば完了です。
オキシクリーン
オキシクリーンは粉末状の酸素系漂白剤であり、頑固な汚れにも効くアイテムです。ビニール袋に40~50℃のお湯200mlとオキシクリーン1杯を入れて混ぜたら、排水カバーやヘアキャッチャーなどのパーツをつけ置きしましょう。
2~6時間放置したら袋から取り出し、汚れが残っていればブラシなどでこすり洗いをします。パイプクリーナーとは違い、オキシクリーンには髪の毛や皮脂汚れを溶かす効果はないので、ヘアキャッチャーに溜まった汚れを取り除いてからつけ置きするのがポイントです。
お風呂の排水口掃除の頻度は?
汚れが蓄積しやすいお風呂の排水口は、放置することでさまざまなリスクが生じるため、できる限りこまめに掃除するのが理想的です。特に髪の毛はその他の汚れも誘発するので、ヘアキャッチャーに溜まった毛髪を毎日取り除くようにするだけで不快なヌメヌメ汚れの予防につながります。
ティッシュやビニール袋を使ってゴミを取るという簡単な掃除は、2~3日に1回ほどのペースでやりましょう。日常的な掃除をこまめに行なった上で、月に2~3回はパイプクリーナーや漂白剤などを使った掃除を行うのがおすすめです。
お風呂の排水口掃除の回数を減らす予防術
気持ち良い入浴タイムを過ごすには、こまめな排水口掃除が欠かせません。しかし、お風呂を使うたびに隅々まで丁寧に洗うのはなかなか骨が折れる作業です。
実は、毎日汚れていくお風呂の排水口は、家にある身近なアイテムを使って気軽に掃除の回数を減らすことができます。ここでは、日々のお手入れを少しでも楽にしたいという方のために、排水口をきれいな状態でキープするコツをご紹介しましょう。
ゴミ受けにアルミホイルを入れる
一つ目は、ヘアキャッチャーの中に直径3cm程度に丸めたアルミホイルを入れておく方法です。アルミホイルと水が反応して金属イオンが発生し、ぬめりの原因である雑菌の繁殖が抑えられます。アルミホイルを入れたままお風呂を使うだけで、排水口の不快なヌルヌル汚れを減らせる手軽な予防術です。
排水口にカバーを付ける
二つ目は、溜まったゴミを捨てやすくするために、排水口カバーを利用する方法です。目皿やヘアキャッチャーでは防ぎきれない細かい汚れも絡め取ってくれる上、カバーごと剥がして捨てるだけという気軽さも持ち合わせています。100円ショップなどでも販売されているコスパの良さも魅力です。
自分で落とせない汚れはプロにお願いしよう!
長年蓄積した水アカやカビなど、ご自身で落としきれない頑固な汚れにお困りの場合は、プロに依頼しましょう。くらしのセゾンが提供する「浴室クリーニング」では、汚れが溜まりやすい排水口はもちろん、手の届きにくい壁や天井部分なども含め、浴室全体を隅々まできれいにできます。溜まった汚れを一旦リセットできれば日々のお手入れも楽になるため、忙しい方にもぴったりです。ぜひこの機会に一度お試しください。
おわりに
お風呂の排水口の汚れは、髪の毛や石鹸カスなど毎日必ず出るゴミが蓄積していくのが原因です。日々のお手入れでヘアキャッチャーのゴミをこまめに捨て、定期的にしっかりとした掃除を行うというサイクルを繰り返すのが良いでしょう。市販されているお風呂用洗剤やご紹介した予防策、浴室クリーニングなどをうまく活用しながら、清潔で快適なお風呂タイムを目指しましょう。