ほとんどの方が毎日入るであろうお風呂ですが、温かさをキープするには、追い焚き機能が欠かせません。追い焚きは、配管から温かいお湯が供給されることで湯船を温められます。
そんな追い焚き配管の掃除をきちんと行っている方は、もしかすると少ないかもしれません。そこで今回は、追い焚き配管の掃除方法を詳しく解説していきます。
また、追い焚き配管が汚れる原因や、おすすめの掃除頻度など、清潔なお風呂に入るための知識もご紹介します。
追い焚き配管の汚れの原因
お風呂の追い焚き配管は、目に見える場所にないためどのくらい汚れているかがはっきり分からないことがほとんどです。また、直接こすって掃除をするのも困難です。そのため、気付かぬうちに想像以上に汚れていることもあります。
汚れの主な原因
追い焚き配管が汚れる主な原因として、湯垢や皮脂汚れなどが考えられます。また、入浴剤やバスソルトなどをよく使用する場合には、これらが追い焚き配管内に入り込み、汚れの原因となることも考えられます。
また、給湯器メーカーによっては入浴剤の使用を認めていないこともあります。使用できる場合でも、追い焚き配管の汚れを軽減したい場合は、頻繁に使用するのは控えましょう。
そして、季節によっても追い焚き配管の汚れ具合に違いが出ることもあります。追い焚き機能を頻繁に使う冬などの気温が低い時期は、特に汚れやすくなるでしょう。
汚れが溜まると発生する可能性があるトラブル
追い焚き配管に溜まった汚れをそのまま放置すると、その汚れを栄養分にして雑菌が繁殖します。代表的なのが、サルモネラ菌や大腸菌、レジオネラ菌などです。
サルモネラ菌は、少量の菌でも食中毒を発症するといわれており、卵や食肉などに付着しているケースが多い菌です。また、大腸菌は腸に炎症を起こします。
これらは、追い焚き配管の汚れによっても発生する菌です。口から体内に入れば、発熱や腹痛などの辛い症状が現れます。
そして、レジオネラ菌は、肺炎や気管支炎などの感染症を引き起こす菌です。菌に汚染された水が身体に入ることによって感染します。
そのため、追い焚き配管は感染源になりやすく、厚生労働省からも注意喚起が出ているほどです。特に小さな子どもや年配の方などは感染しやすいといわれているため、注意しなければなりません。
このように、体に害を及ぼす菌を発生させないためにも、追い焚き配管の掃除は重要といえるでしょう。
追い焚き配管には2種類ある
普段何気なく使用している追い焚き機能ですが、設置されている追い焚き配管には2種類存在しています。
自然循環型
自然循環型とは、お風呂に設置されたフィルターが二つ穴タイプの追い焚き配管です。下の穴から冷たい水を吸い込み、その水が温まったら自然に上昇して上の穴からお湯がでる仕組みになっています。
そのため、浴槽の上の方だけ熱く、下の方は冷たい状態になりやすい特徴があります。
また、湯船の水を吸い込んだのちに温めて排出するため、皮脂汚れや湯垢などが配管内に入り込みやすく、汚れが溜まりやすいタイプです。また、勢いが弱いことでも汚れが蓄積されやすいと考えられます。
強制循環型
強制循環型とは、お風呂に設置されたフィルターが一つ穴タイプの追い焚き配管です。風呂釜の内部で、お湯を出す配管と吸い込む配管の2つに分かれているのが大きな特徴です。
お湯を循環させる仕組みのため、温度が均一に温まりやすい点がメリットです。比較的汚れが溜まりにくいタイプの配管ですが、配管自体の長さが長いことにより、汚れが溜まることがあります。
追い焚き機能がなく、お湯の給水や排水のみの機能しかない場合は、配管を通って汚れが湯船に排出されないため、頻繁に掃除をしなくても問題ないでしょう。
昨今では、自然循環型よりも強制循環型の方が主流になってきているようです。
追い焚き配管をご自身で掃除する際の手順
目に見えない汚れが溜まりやすい追い焚き配管ですが、実はご自身でも掃除することが可能です。健康トラブルを発生させないためにも、追い焚き配管の基本的な掃除方法をマスターしておきましょう。
必要な道具
追い焚き配管を掃除する際に必要な道具は、比較的手に入りやすいものばかりです。自然循環型と強制循環型、それぞれの配管掃除をする際に必要な道具は以下のとおりです。
【強制循環型】
- 強制循環型(一つ穴)専用洗剤、酸素系漂白剤、過炭酸ナトリウムのいずれかひとつ
- ゴム手袋
- スポンジ
【自然循環型】
- 自然循環型(二つ穴)専用洗剤、酸素系漂白剤、過炭酸ナトリウムのいずれかひとつ
- ゴム手袋
- タオル
- 注ぎ口が長めのやかんや、ポット
- スポンジ
追い焚き配管の種類によって準備物が異なります。自宅の追い焚き配管がどのタイプなのかしっかり確認してから道具を揃えましょう。
自然循環型(二つ穴タイプ)の掃除手順とコツ
まずは、自然循環型の掃除方法を解説していきます。掃除をする際は、衛生面の確保と手荒れ防止のため、ゴム手袋をしてから掃除を始めましょう。
手順
- フィルターを取り外し、下穴から水が出ないようタオルを詰めます。
- 上の穴に洗剤を入れ、やかんやポットを使って40~50度程度に温めたお湯を注ぎ入れましょう。上の穴から溢れない程度のお湯を入れるのがポイントです。
- 配管内の汚れを浮かすため、2時間程度放置しましょう。
- 下の穴のタオルを外し、水圧を強めにしたシャワーを穴に向け、配管内の洗剤と汚れを流します。
- 下穴に詰めていたタオルやスポンジなどを使って、フィルターを優しくこすり洗いして完了です。
コツ
浴槽によっては、穴にフィルターが付いていない場合もあります。フィルターがない場合は、そのまま掃除に取りかかって問題ありません。
シャワーで洗剤を流す際は、上下両方の穴に水を流して、中の汚れをかき出すようなイメージで流すのがコツです。
掃除の仕上げに、きれいにしたフィルターを設置するのを忘れないようにしましょう。酸素系漂白剤を使用する場合は、50gを目安量にしてみてください。
強制循環型(一つ穴タイプ)の掃除手順とコツ
続いては、強制循環型の掃除方法を解説していきます。掃除をする際は、自然循環型と同様に衛生面の確保と手荒れ防止のためにゴム手袋をはめましょう。
手順
- まずは浴槽に、給水口の上5cmあたりまで水を溜めましょう。掃除に使用する洗剤の種類によっては、残り湯が使える場合もあるため、パッケージや説明書などで確認してみてください。
- 溜めた水の中に、洗剤を投入します。洗剤の量は、商品に記載のある量を参考にしましょう。
- 40~50度程度の設定で追い焚きを開始します。
- 2~3時間程度放置しましょう。このとき、浴槽用の蓋をすると、温度をキープできるため効率良く汚れを落とすことができます。
- 放置後、再び5分程度追い焚きをし、排水しましょう。その後もう一度、5分程度の追い焚きと排水を行います。
- 仕上げに、フィルターに付いた髪の毛や汚れをスポンジで優しくこすり洗いして完了です。
コツ
追い焚き配管を掃除する際は、お湯で行うよりもまずは水を溜めたのちに追い焚きをする方が効果的です。また、残り湯を使用する際は、汚れの原因となりうる入浴剤が入っていないことを確認してから掃除を行いましょう。
強制循環型の掃除は、つけ置きが一般的です。そのため、お風呂のイスや洗面器など汚れが気になるものを一緒につけておくと、一気に掃除ができます。
使用する洗剤の種類によってつけ置き時間が異なる場合もあるため、洗剤ごとにしっかり確認しましょう。酸素系漂白剤を使用する場合は、200~300g程度を目安量にしてみてください。
追い焚き配管の掃除はプロにお願いすることも可能!
追い焚き配管は、専門の知識や道具を揃えた清掃会社にお願いすることも可能です。
プロの清掃会社にお願いした方が良いケース
追い焚きをした際や、浴槽にお湯を溜めた際などに、湯ドロ(白くフワフワした汚れ)や黒い粒が浮いている場合は、配管がかなり汚れている可能性があります。
そうなると、市販の洗剤だけでは汚れを取りきることが難しいほか、雑菌の繁殖なども考えられるため、専門会社に依頼してきちんと除去するのがおすすめです。
また、ご自身で掃除してもキレイになっているかどうか不安な場合や、掃除したのに湯ドロや黒い粒などが浮いてくる場合なども、プロにお願いすると良いでしょう。
他にも、一度も追い焚き配管を掃除したことがないケースも、汚れが多く蓄積されている可能性があるため、プロによる掃除が向いています。
清掃会社にお願いするメリット
プロに追い焚き配管の掃除をお願いするのは費用もかかるため少々ためらわれるかもしれません。しかし、プロならではの専用機械や強力な洗剤を用いて本格的に掃除できるため、よりしっかりと追い焚き配管内を掃除できます。
また、会社によっては掃除前後に専用の機器を使用して汚れや菌を測定し、どの程度きれいになったか、目に見える形で教えてくれる場合もあり、より明確な成果が知りたい方にもぴったりの方法です。
専門会社に頼んだ場合の相場
追い焚き配管の掃除を専門会社に依頼した場合、およそ25,000~30,000円程度が相場です。会社によって、追い焚き配管のみの掃除や水質チェック込みなど掃除内容に幅があり、その内容によって料金が前後することを覚えておきましょう。
基本の料金に加えて、オプションメニューを用意している会社もあるため、見積もりなどで詳細確認を行い、必要な費用を確認しましょう。
場合によって、追い焚き配管掃除の他に、浴室全体のクリーニングなどの他メニューとセットにすると、割引が受けられる場合もあります。
専門会社を選ぶ際のポイント
追い焚き配管の掃除をプロに依頼する際、まずは自宅の配管に対応しているサービスを選ぶのがポイントです。また、使用する洗剤にも注目してみましょう。
特に小さな子どもがいる場合には、アレルギー等が気になることもあります。こういった場合は、できるだけ刺激の少ない洗剤を使用している会社を選ぶのがおすすめです。
会社によっては、地球環境に配慮したエコ洗剤を使用しているサービスもあります。サービスの特徴などを考慮して、ご自身にぴったりな会社を選びましょう。
また、依頼する会社が損害賠償保険に加入済みかどうかもチェックポイントです。損害賠償保険に加入している会社であれば、万が一破損があった場合でも、しっかり対応してもらえるでしょう。
おすすめの会社
追い焚き配管掃除サービスを提供している数ある専門会社の中でもおすすめは『くらしのセゾン』です。キッチンやエアコン、バスルームなどの幅広い場所のハウスクリーニングを提供しています。
中には、戸建てを丸ごとクリーニングするメニューもあり、ライフスタイルにマッチした掃除プランが人気のサービスです。
配管内をきれいにするのはもちろん、市販の洗剤では落としにくい細菌の減少にも注力したクリーニングを提供しています。
浴槽エプロンの内部洗浄のオプションもなども用意されており、希望の内容に合わせることもできます。セゾンカード・UCカード会員の方は、割引価格でサービスを受けることが可能なためさらにおすすめです。
追い焚き配管の掃除をするタイミングと頻度
追い焚き配管の掃除は、いつどのくらいの頻度で行えば良いか知っておくことで、清潔な状態がキープできるはずです。
追い焚き配管を掃除するタイミング
追い焚き配管を掃除するタイミングの目安は、お湯を沸かした際に汚れが浮いている、お湯が濁っている、黒い粒が出るなどの、目に見える汚れが気になったときです。
また、目に見える汚れが無くても、お風呂に入ると肌にかゆみを感じる、浴室内に虫が飛んでいるといった場合なども、追い焚き配管内が汚れている可能性があるため、早急に掃除をしましょう。
追い焚き配管の理想的な掃除頻度
先ほどご紹介した、追い焚き配管掃除をいつ行うか見極めるタイミングを踏まえつつ、定期的に掃除をすることが大切です。特に追い焚き機能を頻繁に使う冬場などには、こまめに掃除を行いましょう。
定期的に追い焚き配管を掃除しておくことで、気付かぬうちに汚れたお湯でお風呂に入る、汚れが溜まって落としにくくなる、といったことが避けられます。
掃除頻度の目安としては、1ヵ月に1度程度がおすすめです。忙しくてなかなか掃除できない場合でも、最低でも3ヵ月に1度程度は掃除するよう心掛けましょう。
おわりに
追い焚き配管内は目で直接汚れが確認しづらいため、気付かぬうちに汚れが溜まりやすい場所です。しかし、汚れを放置すると体に害を及ぼす感染症を引き起こすケースもあります。
ご自身で定期的に追い焚き配管の掃除を行い、清潔なお風呂に入れるよう配慮しましょう。ご自身で掃除するのが難しい、汚れがひどい場合は、プロに依頼する方法もあります。ご自身にマッチした方法で、適切に追い焚き配管の掃除を行いましょう。