昨今、供養の在り方として注目されているが納骨堂や樹木葬などの永代供養です。ライフスタイルや宗教観の変遷、また少子高齢化・価値観の多様化などを背景に、年々需要が伸びています。
立地や形態、デザインなどが異なるあらゆる納骨堂が次々と建立されている今日ですが、和歌山県にある世界遺産にして日本最大の仏教の霊場「高野山」に近代的かつ絢爛豪華な本格納骨堂が2022年3月末までに建立されます(2021年12月現在)。
このコラムでは昨今の供養の事情や世界遺産高野山の魅力をお伝えするとともに、非常に希少性の高いこちらの納骨堂についてもご紹介します。
時代によって変わりゆく供養の形 納骨堂がなぜ注目されているのか?
納骨堂を選択する時代背景
現代日本において、あらゆるライフスタイルの変化から供養に対する様々な課題が浮き彫りになっています。
例えば、
- 次男なので自身の墓を用意しなくてはならないが、独身なので新たにお墓を建てる必要性を感じない。
- 都心に在住で地方の実家はとても遠く、地元に親族がほとんどいないため、お墓の手入れをできる親族もいない。
- 兄弟はおらず子どもたちは女の子だけで全員嫁いでしまい、自分たちの後にお墓に入る親族や手入れをしてくれる親族がいなくなった。
- 夫とは熟年離婚をして今更実家のお墓に入る気もしないので、自分ひとりで入れるお墓がほしい。
など、さまざま理由で改葬(お墓のお引っ越しすること)や寿陵(生前に新しいお墓を購入すること)を選択される方がいます。
その際に、墓石を購入して霊園にお墓を建ててしまったらこれまでと同じ課題で後世の親族の頭を悩ませてしまう可能性があり、納骨堂と比較し価格も高額になるケースがほとんどです。
そこで、永代供養の納骨堂であれば、納骨堂の提供事業者(主にお寺)が手入れや供養を一定期間行ってくれて、期間満了後にお骨は合祀墓に移され、その後も永代に渡り供養をしてくれます。
納骨期間は主に、16年(17回忌まで)、22年後(23回忌まで)、26年(27回忌まで)と年忌に合わせることが多く、最大でも50回忌までとしていることがほとんどで、その期間に合わせて価格も変動することが一般的です。
サイズも家族で入れるものもあれば、夫婦二人用、個人用まで多岐にわたります。
屋内型で都心や駅から近いなど立地も良い納骨堂が多く、残された家族がお参りに行く際にも便利です。
これにより後世に手間をかけることなく、供養をしてもらうことが可能です。
「終活」という言葉がありますが、遺産相続や事業承継、遺言作成だけでなく、ご自身の死後の葬儀や供養まで生前に段取りしておいて、家族になるべく面倒をかけないようにしておこうという考え方を持つ方が増えています。
宗教観念が希薄化し、核家族化が進み、家族の中でも個人主義の価値観を持つ方が増えてきている時代背景を反映しているといえるでしょう。
納骨堂を選ぶ判断材料とは?
では、納骨堂を購入される方は何を決めてとして選んでいるのでしょうか。その要素は主に、以下の4つの軸で選ばれる方が多いです。
- 価格
- 立地
- 仕様
- 宗派
価格にあった価値があるか、参拝の利便性など立地は良いかなどの基本的な選定要素に加え、納骨堂はロッカー式や棚式、仏壇式など様々な形態があります。
もちろんデザイン性が好みに合うかもありますし、特定の宗派を信仰している場合は、宗派が合うか、もしくは宗派・宗旨を選ばない納骨堂なのか、なども重要です。
そんな中、そういった要素とは異なる理由で納骨堂を選ぶ方も増えてきています。
それは、「ステータス」だったり、立地でも利便性ではなく「思い出の場所に眠りたい」というニーズで場所を選ぶケースです。
経営者や実業家など経済的にも成功されている方は、本家のお墓はあるものの、あらゆる場所に墓を作り分骨することがあります。ご自身の生前の威光や行いを後世に伝えたいという想いからくるものといえるでしょう。
また、生前「ハワイが好きだった」など、特定の思い出の詰まった場所で永遠の眠りにつきたいと望む方も少なくありません。
そんな価格や実用性以外の価値を提供する納骨堂が選択肢のひとつとして増えてきているのも事実です。
今回ご紹介するのが、そういった納骨堂の中でも特に希少性の高い、高野山 遍照尊院の「遍照閣」です。
弘法大師空海が開創した日本随一の霊場 世界遺産「高野山」
日本国内でも有名な世界遺産として観光の人気も高い高野山は、弘法大師空海が1,200年前に開創した日本仏教における聖地のひとつです。
標高1,000m級の山々に囲まれた高野山は全域が寺の境内地とされており、総本山は金剛峯寺、山内には100を超える子院があり、その半数が宿坊と呼ばれる宿泊施設を営んでいます。
「壇上伽藍」というかつて空海が修行をした場所と、空海が今でも修行を続けているといい伝えられているパワースポットとしても注目されている「奥之院」があり、これが山内の二大聖地となっています。
高野山に眠る著名人たち
高野山には歴史上の著名人の墓が多く存在しており、上杉謙信、武田信玄、伊達政宗、石田三成、明智光秀、柴田勝家、豊臣秀吉、織田信長などの名だたる戦国大名をはじめ、親鸞上人、法然上人、春日局、陸奥宗光、赤穂浪士四十七士、初代 市川團十郎、霊元天皇~孝明天皇、ジャニー喜多川などあらゆる著名人が眠っています。
また、企業墓も多く建立されており、著名な企業が個性豊かな企業墓を建てています。
高野山真言宗はとても寛容で、中にはキリスト教のお墓も存在しており、宗派・宗旨どころか、あらゆる信仰を受け入れる場所であるといえます。
なぜ歴史上の著名人たちがこぞって高野山に墓を建立したのか?
お経に書かれているところによると、高野山奥之院は56億7,000万年後に弥勒菩薩さまが現れる場所のひとつであるといわており、弥勒は釈迦の死後56億7,000万年後再び人間世界に下生し釈迦滅後の人々を救うとされています。
空海はその弥勒菩薩に付き従いこの世界に来生され、その様をより近くで見るために多くの歴史上の人物が高野山に墓を建てたといわれています。
そんな高野山に墓を持つ方法は、現代では非常に少なくなってきています。
奥之院の南西に鬱蒼と広がる森の反対側に位置する、中の橋霊園という金剛峯寺が運営する墓地に墓を建てるという方法や、一部の寺院が主に檀家向けに提供している納骨堂があります。
深い山中に存在する霊園のお墓は定期的に手入れをするのは大変ですし、中の橋霊園は本申し込みから2年以内に建墓が必要です。
一般向けに提供されている、位牌や五輪塔をモチーフとした骨壺を安置するタイプの比較的簡易的な納骨堂はありますが、昨今都市部で増えているような本格的な納骨堂に相当するものは存在していませんでした。
一方で、高野山の準別格本山である「遍照尊院」において、新しく建立される本堂内の高級納骨堂である「遍照閣」は、これまで高野山になかった本格納骨堂なのです。
高野山真言宗 準別格本山 遍照尊院納骨堂 「遍照閣」
壇上伽藍の眼前に位置する高野山真言宗の準別格本山である遍照尊院。かつて、征夷大将軍 坂上田村麻呂の勅命によって開創された由緒正しい寺院です。
その本堂に広大な地下が広がり、そこに展開される絢爛な納骨堂が「遍照閣」です。
本堂地上には金剛界大日如来(こんごうかいだいにちにょらい)が鎮座し、その真下の地下には胎蔵界(だいぞうかい)大日如来が鎮座します。金剛界大日如来と胎蔵界大日如来の両方があるお寺は高野山で遍照尊院のみで、それを両界(りょうがい)大日如来と呼びます。
地下では空海の手彫りともいい伝えられている胎蔵界大日如来の傍で故人様を手厚く供養してくれます。
遍照閣の特徴
・あらゆるものを受け入れる慈悲深く寛容な高野山 真言密教
宗旨・宗派を問わず、どなたでもご利用いただくことが可能です。
・本堂内で日々のご供養・ご法要も
遍照尊院の僧侶が365日毎日故人を供養いたします。ご法要も執り行えます。また遠方の方へは遥拝 ( リモート参拝 ) 環境も整えております。
・永代供養は聖地奥之院に合祀されます
最終納骨者様の納骨から各ご利用プランに応じた利用年数が経過すると、預けていたお骨は高野山奥之院の御廟に隣接する納骨堂へ、仏様は遍照尊院寺紋入り過去帳に永代にわたりご供養され、お大師様の傍らで永遠の眠りにつくことができます。
遍照閣の販売区画と基数
遍照閣は納骨壇のサイズやご利用期間によって4つの区画に展開し販売いたします。
・特別納骨堂 紫雲の間(しうんのま)
高野山は紫雲たなびく山に真言密教の聖地として開創されました。その弘法大師空海が自ら彫ったといい伝えられる本尊「胎蔵界大日如来像」の慈しみの光にもっとも近くで包まれる高貴な納骨壇です。
永代個別納骨壇使用期間:32年(33回忌)
納骨壇内装変更:変更可能
納骨可能霊位数:2霊
※3霊目からは追加料金(= 1霊100万円)で何霊でも納骨可能
中過去帳位牌奉安 (オプション):150万円
※改葬時などご先祖の霊が何霊であっても過去帳に記載し位牌に入れてご供養いたします。
※お骨がある場合は奥之院の納骨堂にて合祀いたします。
限定172基
納骨志納金 750万円
護持会費 30,000円/1年
・大型納骨堂 金剛の間(こんごうのま)
紫雲の間の裏側に配置された納骨壇。彼方が胎蔵界の真理の世界ならば、此方は金剛界の悟りの世界。大日如来の知恵の力が堅固な悟りとなり極楽へと導かれる尊い納骨壇です。
永代個別納骨壇使用期間:32年(33回忌)
納骨壇内装変更:変更可能
納骨可能霊位数:2霊
※3霊目からは追加料金(= 1霊100万円)で何霊でも納骨可能
中過去帳位牌奉安 (オプション):150万円
※改葬時などご先祖の霊が何霊であっても過去帳に記載し位牌に入れてご供養いたします。
※お骨がある場合は奥之院の納骨堂にて合祀いたします。
限定190基
納骨志納金 500万円
護持会費 30,000円/1年
・中型納骨堂 登天の間(とうてんのま)
黄金色に輝く室内で、落ち着きと洗練が調和する納骨檀。本尊と同じ大日如来に抱かれながら、極楽浄土へと翔け登り、木々の生い茂る高野山の四季の移ろいを見守り続ける世界です。
永代個別納骨壇使用期間:22年(23回忌)
納骨壇内装変更:変更不可
納骨可能霊位数:2霊
限定645基
納骨志納金 300万円
護持会費 30,000円/1年
・個人向け納骨堂 萬燈の間(まんとうのま)
本尊と同じ大日如来につつまれながら安らかにお眠りいただく納骨壇。故人の想いが1,104もの「ともしび」となり、残された私たちを導く光として照らし続けます。人生の締めくくりにふさわしい世界です。
永代個別納骨壇使用期間:16年(17回忌)
納骨壇内装変更:変更不可
納骨可能霊位数:1霊
限定1,104基
納骨志納金 100万円
護持会費 30,000円/1年
高野山真言宗 準別格本山 遍照尊院について
遍照尊院の「遍照」は弘法大師空海のご宝号である「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」に由来します。また、大日如来の名も「遍照金剛」であり、光明があまねく照らし、金剛のように不滅であることからそう呼ばれます。
つまり「遍照」とは高野山真言宗においても非常に尊い名称です。
その名を寺名の由来とした遍照尊院は、聖地壇上伽藍の目の前に位置し、かつての征夷大将軍「坂上田村麻呂」の勅命によって開創されたといい伝えられている1,000年以上の歴史を持った由緒正しい寺院です。
おわりに
- 先祖代々のお墓を墓じまいして永代供養の納骨堂や樹木葬を検討している
- 後世に負担をかけずに自分ひとりで入れるお墓を探している
- 自分が眠りたいと思える、想いがこもった場所にも一部のお骨を分骨したい
現代日本の供養の在り方においては、様々なニーズがあるでしょう。
高野山は都心から離れた決して便利な場所とはいえませんが、その代わりに非常に神聖で神秘的でパワーを感じる特別な場所です。
かつて大勢の著名人たちが憧れた地であり、誰しもが簡単にお墓を持てる場所でもありません。また1,200年も続く土地柄のため、容易に納骨堂を建立できるような場所でもありません。
終の住処に、世界遺産で眠るという新たな選択肢を視野に入れるのも良いかもしれません。