資金の調達を考えている方のなかには、リースバックについて興味を持っている方が数多くいます。リースバックは自宅に住み続けながら自宅を売却する方法であり、自宅を離れたくない方にとって魅力的な資金調達の方法だからです。しかし、リースバックは決してメリットだけの「魔法の裏技」というわけではありません。メリットや注意点も多く存在するため、注意点と利点をよく理解しておくことが非常に重要です。
- 「リースバックのメリットは?」
- 「リースバックを利用する際の注意点が知りたい」
そこでこのコラムでは、リースバックのメリットや注意点について詳細に解説していきます。リースバックを検討しているなら、このコラムを参考にしてみてください。
リースバックとは?わかりやすい定義
リースバックとは、不動産を活用した資金調達の手段になります。不動産の売却後も継続して不動産を活用することが可能なのが特徴です。例えば、リースバックを利用して自宅を売却したあとも、そのまま自宅で生活を続けることができます。このような特徴があるので、最近注目されている資金調達の手段です。
リースバックの仕組みをわかりやすく解説
リースバックは不動産をリースバック会社に売却して、そのあと、リースバック会社と賃貸借契約を結ぶことで、引っ越しをせずに生活を続けることができる仕組みです。そのため、不動産は「所有」から「賃借」に切り替わります。リースバック会社に売却することになるため、通常の売買と比較してもすぐに現金を手に入れることができるなど、メリットが多くあるのでおすすめの資金調達の方法です。
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リースバックのメリット:5つのポイント
リースバックのメリットは、以下の6つです。
- まとまった資金を短期間で手に入れられる
- 売却後も継続して生活できる
- 資金の用途が制限されていない
- 家の維持にかかるコスト・リスクがなくなる
- 引っ越し費用がかからない
- 将来的に買い戻すことができる
それぞれについて説明していきます。
まとまった資金を短期間で手に入れられる
通常の不動産売却では、買い主の募集や売買手続きなどに時間がかかり、売却代金を得るのに数ヵ月はかかってしまいます。一方でリースバックの場合、リースバック業者が自宅を一括現金で買い取るため、資金を調達するまでの時間が短縮されます。例えば、最短2週間程度で資金を手に入れられるケースもあります。できるだけ早く資金を調達したいなら、通常の不動産売却よりもリースバックが有利だといえるでしょう。
売却後も継続して生活できる
不動産を売却したあとも同じ不動産で継続して生活できます。買主と賃貸借契約を交わすことができる仕組みになっているためです。
この長年住み慣れた家で生活ができる仕組みは、リースバックの大きな利点になります。引っ越しをしないため、ご近所に余計な詮索をされることがないうえ、子どもが転校する必要もありません。そのため、まとまった資金の調達は必要だけど住み慣れた家を離れたくないという方は、リースバックがおすすめです。
資金使途が制限されていない
リースバックの利点の一つに、資金使途が決められていないことがあります。融資ではなく、不動産を売って得た資金であるためです。
例えば、金融機関から事業用の資金を借りる場合には、事業にしか使うことができないなど資金使途が制限されているため、資金使途が自由であることはリースバックにとって大きな利点だといえます。老後の生活費や教育費、借金の返済に充てることを考えている方は、リースバックを検討してみてください。
関連記事:リースバックで家を現金化!売却と賃貸借の両立でそのまま住み続ける
家の維持にかかるコスト・リスクがなくなる
リースバックで自宅が賃貸になれば、固定資産税や都市計画税、修繕費など、自宅の維持管理にかかる費用は基本的にリースバック業者が負担します。これにより、コストを大幅に削減できます。さらに、災害で建物が損壊・倒壊し、建物の資産価値が損なわれるといったリスクを負うこともなくなります。ただし、リース契約によっては修繕費が借主負担になる場合もあるため、契約内容をよく確認しておくことが重要です。
引越し不要
リースバックの場合は売却後も同じ家に住み続けられるため、引越しにかかる手間がありません。新居を探したり、引越し業者を手配したりする必要がなく、生活環境が変わらないため引越しによるストレスも減らせます。また、外見からでは自宅を売却したかどうかわからないため、近隣住民に知られたくない場合にも有効です。
将来的に買い戻すことができる場合もある
リースバックは将来的に物件を買い戻すことができる場合があります。ただし、契約するリースバック会社によっては物件の買い戻しができないケースや、買い戻せる期間が決まっているケースもあります。
しかも、買い戻す際の金額は、売却したときよりも金額が高くなるなどの場合もあるため注意が必要です。
リースバックの5つのデメリット
リースバックの注意点は以下の5つです。
- 売却価格が安くなる傾向にある
- 家賃を払わなければならない
- 住宅ローンの残債が売却金より多い場合は利用できない
- 不動産の所有者ではなくなる
- 賃貸借契約を更新できないケースがある
それぞれについて説明していきます。
売却価格が安くなる傾向にある
リースバック業者は利回りを重視して査定を行うため、売却価格は市場価格より低くなる傾向にあります。また、売却価格が高かったとしても、その分家賃が高くなり、結果的に負担が増えてしまう可能性もあるため注意が必要です。売却価格が高ければ高いほど良いと考えるのではなく、売却後に支払う家賃がどれくらいになるかも考慮して、売却価格を検討しましょう。
家賃を払わなければならない
リースバック後は毎月家賃を支払わなければなりません。家賃は、築年数・立地・売却価格・家賃相場などによって決定されますが、リースバック時の売却価格などをふまえた結果、家賃が相場より高くなることもあるでしょう。リースバックで資金を得られても、毎月の家賃が高いと、家計の負担になってしまいます。支払いが大きくなりすぎないよう、慎重に家賃を設定することが大切です。家賃を低く抑えるには、複数の不動産会社に査定を依頼したり、売却価格を下げる代わりに家賃を下げるよう交渉したりする方法があります。
住宅ローンの残債が売却金より多い場合は利用できない
多額の住宅ローンが残っている場合は、リースバックを利用できないケースがあります。売却金で住宅ローンが返済できないと、借入先の金融機関が抵当権を外してくれない場合があります。抵当権が残ってしまう場合には、リースバックを利用することができません。
そのため、金融機関と交渉して抵当権を外してもらうようにするか、資金を用意して住宅ローンを完済する必要があります。特に住宅ローンの残債が多い場合は、あらかじめリースバック会社に相談するようにしてください。
不動産の所有者ではなくなる
リースバックを利用することで不動産の所有者ではなくなります。リースバック会社に不動産を売却するためです。不動産の所有権は、ご自身からリースバック会社に移ります。マイホームでリースバックを利用する際は、所有者でなくなることを理解したうえで、利用するかを検討してみてください。
賃貸借契約を更新できないケースがある
リースバックでは、不動産売買契約とともに賃貸借契約を締結します。この賃貸借契約には「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があり、リースバックの場合は両方のケースが見られます。
普通借家契約の場合、借主が希望する限り、基本的には同一物件に住み続けることができます。ただし、家賃を何度も滞納しているなどの問題がある場合は、更新を拒絶される可能性があるので注意が必要です。
一方、定期借家契約の場合は賃貸期間が設定され、契約期間終了後に貸主と借主の合意があれば再契約できます。しかし、両者の合意が得られなければ、再契約できず退去しなければならないリスクがあります。例えば、5年間の契約を結んだ場合、5年後に契約更新ができず退去を求められる可能性があります。
長期間住み続けたい場合は、普通借家契約を選択するか、定期借家契約であれば契約期間をできるだけ長く設定することをおすすめします。いずれにしても、リースバック会社と契約を結ぶ前に、賃貸借契約がどのような契約形態になるか、また更新条件などについて事前によく確認しておくことが重要です。
リースバックの活用事例:具体例でわかりやすく
リースバックの活用事例として以下のものが挙げられます。
- 老人ホームへの入居費用などの資金
- 住宅ローン返済のための資金
- 事業用の資金
- 借金の返済
- 住み替えのための資金
- 大学などの教育費
上記のなかでも老人ホームに入居する際の費用の調達方法として、リースバックは非常に向いています。老人ホームはすぐに入居できるケースが少なく、入居待ちをしなければならないためです。そのため、資金を得たあとでも自宅で住み続けることができるリースバックは有効な手法になります。
リースバックと任意売却の違い
リースバックと任意売却は全く異なる資金調達の方法になります。任意売却は住宅ローンの返済が難しくなった場合に、通常の不動産売却と同じ手法で物件を売却して売却金額を返済にあてる方法です。そのため、不動産を売却したあとに住み続けることはできません。
リースバックとリバースモーゲージの違い
リースバックと似た資金調達の方法として、リバースモーゲージが挙げられます。どちらの方法も自宅を利用して資金を調達しますが、以下の違いがあるのでよく理解しておくことが重要です。
リバースモーゲージの特徴として以下が挙げられます。
- 不動産を売却せずに不動産を担保として融資を受ける
- 家賃を支払うのではなく利息を支払う
- 資金の利用用途に制限がある場合がある
よくある質問:リースバックについてわかりやすく回答
リースバックに関するよくある質問について、それぞれに回答していきます。
- リースバックの家賃は事前に分かるの?
- リースバックの家賃は、契約前に確認することができます。リースバックの利用を検討しているリースバック会社に契約前に事前に確認するようにしましょう。
- リースバックには審査が必要ですか?
- リースバックを利用するためには審査が必要です。審査内容はリースバック会社によって異なります。以下の内容に該当した場合はリースバックを利用できません。
- 売却金額で住宅ローンが返済できない
- リースバック会社が対応していないエリアに不動産がある
- 不動産に大きな欠陥がある
- 事故物件である
- 名義人全員の了承がとれてない
- 家賃保証会社の審査に通らない
- リースバックを利用するためには審査が必要です。審査内容はリースバック会社によって異なります。以下の内容に該当した場合はリースバックを利用できません。
- リースバックした物件は買い戻しできますか?
- 基本的に買い戻しすることは可能です。買い戻しを希望する場合は、契約前にリースバック会社にあらかじめ問い合わせておくことが重要です。
- 住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか?
- リースバックを利用して住宅ローンの残債が完済可能な場合は、利用することができます。ただし、売却金で完済できない場合はリースバックを利用できない可能性が高いです。
- どれぐらいの期間住むことができますか?
- 「普通借家契約」であれば、家賃滞納などがない限り、借主が希望すれば住み続けることができます。ただし、リースバック会社によるので、長期間住み続けたい場合は事前に確認するようにしてください。
- リースバックを利用すると固定資産税はどうなりますか?
- リースバックを利用すると固定資産税を支払う必要はありません。
リースバック利用までの契約の流れ
リースバックを利用するまでの契約の流れは以下になります。
- リースバック会社のWEBサイトや電話で問い合わせを行う
- 簡易査定を行い、おおよその買取価格と家賃を提示する
- 面談と現地調査を行なって正式な買取価格と家賃を提示する
- 条件面に納得できたら不動産売買契約と賃貸借契約を行う
上記のような手順で契約を行います。例えば、セゾンのリースバックの場合は最短2週間で契約を完了することが可能です。
リースバックはこんな方におすすめ
リースバックは以下の方におすすめです。
- 急遽現金が必要な方
- 老後の資金に不安を持っている方
- 住み替えを考えている方
- 住宅ローンの支払いが苦しい方
- 資金が必要だけど自宅に住み続けたい方
上記のような方はリースバックを利用することで資金的な余裕が生まれ、無駄な経費を削減することができます。売却後も自宅に住み続けられる仕組みをお探しの方はリースバックがおすすめです。
関連記事:【リースバックの活用事例7選】うまく活用するためのポイントを解説
おわりに
以上、リースバックについてわかりやすく解説してきました。リースバックは自宅を売却しながらも住み続けられる仕組みで、資金調達の新しい選択肢として注目されています。メリットと注意点をよく理解し、自分の状況に合うかどうか慎重に検討することが大切です。