老人ホームとは介護施設のうち、高齢者向けの介護サービスがある施設の総称です。老人ホームと一口に言っても有料老人ホームや特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者住宅など様々な種類があり、サービスや費用も一様ではありません。グループホームとはその中のひとつの介護施設のことを指します。ここではグループホームに焦点を当て、有料老人ホームと比較しながら解説していきます。
有料老人ホームとグループホーム違いは?
老人ホームは大きく分けて社会福祉法人や医療法人などが運営する「公的施設」と民間企業が運営している「民間施設」があり、役割に応じて細かく種類が分かれ、グループホームは民間施設に分類されます。
以下で、老人ホームの中でも最もポピュラーな有料老人ホームとグループホームの違いを比較してみます。
有料老人ホーム | グループホーム | |
---|---|---|
入居対象 | 自立~要介護 | 要支援2以上、認知症診断がある方 |
年齢 | 主に65歳以上 | 原則65歳以上 |
規模 | 定員:10~100人以上 | 定員:9~27人 |
雰囲気 | 豪華な外観や内装でホテルや旅館のような雰囲気を持つ施設もある | アットホームな雰囲気が強い |
医療処置 | 看護師配置(24時間常駐施設もあり) | 施設ごとに異なる |
看取り | 可 | 施設ごとに異なる |
入居金 | 0~数千万円 | 0~数百万円 |
月額料金 | 15~100万円 | 12~40万円 |
※上記は目安となり施設ごとに異なります。
有料老人ホームとは?
一昔前は介護が必要な高齢者は「特別養護老人ホーム」、元気かつ裕福な高齢者は「老人ホーム」という考え方がありました。その後、有料老人ホームの代名詞として「介護付有料老人ホーム」が登場しました。
有料老人ホームとは厚生労働者及び自治体が定めた設置基準をクリアし、都道府県への届け出を受理された高齢者住宅を指し、手厚い生活支援・介護サービスなどを提供し、入居者に満足度の高い生活を送ってもらうことを目的とする施設です。
有料老人ホームは基本的に「介護付」「住宅型」「健康型」の3つに分類され、協力医療機関が必ず設定されています。入居者の経済状況や症状、体調などに合わせて入居先を選ぶことができます。
医療施設ではないため医療行為は制限されていますが、医師の指示によって看護職員による一部の医療行為が許されています。看護職員ができる行為としてはインシュリン注射、床ずれの処置、たんの吸引、中心静脈栄養、胃ろうなどの経管栄養、在宅酸素、人工呼吸器の管理などがあります。
なお、看護職員が24時間常勤している場合は夜間のたんの吸引、朝食前のインシュリン注射、体調に合わせた経管栄養摂取などに対応できるため、より手厚い介護が受けられます。
※施設により異なります。
介護付有料老人ホーム
特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設で常駐するスタッフによって手厚い介護サービス、生活支援サービスを受けられるのが特徴となり、介護保険施設にあたる「特別養護老人ホーム(特養)」や「介護老人保健施設(老健)」と比べると費用は高額ですが、サービス内容の充実度が高いのがポイントです。
また、特定施設の指定を受けていることにより介護保険サービスが定額となり費用の大きな変動がないことも特徴となります。
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住宅型有料老人ホーム
基本的には要介護の方、自立の方のどちらも対象とした施設ですが「介護付」と異なるのは、食事、洗濯、清掃等の生活支援サービスが付いた高齢者施設である点です。
スタッフが介護サービスを提供することはなく、入居者が要介護となった場合は訪問介護などの在宅サービス事業所と契約して介護サービスを受けながらホームで生活することになります。つまり、介護サービスを受ける場合は在宅の場合と同じく外部の介護事業者と個別に契約する必要があります。
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健康型有料老人ホーム
自立の高齢者のみを対象とした施設で元気な方が充実した生活を送るための設備(トレーニングルームや露天風呂など)を豊富に揃えています。介護状態が重度になると、別の施設への転居が必要になります。
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グループホームとは?
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれており、認知症の診断を受けた方のみが入居可能です。その方の能力に応じて食事の準備や食材の買い出し、館内の掃除などといった日常の動作を職員と一緒に行い、認知症の症状の進行を抑えるのを目的としています。
小規模で家庭的な雰囲気の中、住み慣れた地域での生活を支えていく住まいです。介護保険では「地域密着型サービス」に該当し、入居後受ける介護サービスについては介護保険が利用できます(入居金、家賃等は対象外)。
グループホームにおけるユニットとは?
日々の生活は「ユニット」と呼ばれるグループ毎に共同生活を行います。入居定員は1ユニット当たり5~9人(事業所全体で最低4人以上)で、最大でも1ユニット9人×2フロア=18人の小規模な施設といえます。居室の定員は1人、部屋の作りとしては個室が基本となっており、プライベートな空間を確保することができます。
グループホームの入居条件
- 65歳以上の高齢者で、かつ要支援2以上の認定を受けている方
※特定疾病を持っている場合は65歳未満でも入居可能な場合もあります。 - 医師に認知症の診断を受けた方
- 集団生活を営むことに支障のない方
- 施設と同一の市区町村に住民票がある方
グループホームの特徴
できることは自分で
グループホームで提供されるのは認知症への正確な知識を持った介護スタッフによる食事や掃除、洗濯といった日常生活の介助や見守り、機能訓練、緊急時における対応です。
家庭的な環境によって認知症状の進行を穏やかにしつつ、その方の能力の維持を図ることがグループホームの役割といえます。入居者ができるだけ自立した生活を送ることができるように介護職員はサポートに重点を置いています。
人員配置は3:1以上
食事の提供、掃除や洗濯、見守り・生活相談、食事介助、入浴介助、排泄介助、着替え介助、レクリエーションなどはほとんどの施設が提供し、十分なサービスを受けられます。
人員配置は介護付有料老人ホームと同じ基準である介護職員が常勤換算で3:1以上(入居者3名に対して介護職員が1名以上いる)が義務付けられています。
医療対応は施設によって異なる
グループホームでの医療対応は基本的に手厚くはありません。グループホームでは医師や看護職員の常駐は義務付けられておらず、日常的な医療ケアが必要な方は入居が難しいのが現状です。入居後に身体の状況が悪化して、医療依存度が高まってしまうと退去せざるを得ないケースもあります。
施設によって受けられるサービスは異なる
医療連携体制や看取り対応などは施設のホームページやパンフレットに書かれている介護サービス費加算項目がどのようなサービスを受けられるかの手がかりになります。詳しいサービス内容は直接施設に確認してみましょう。
グループホームの費用
グループホームに入居する際、初期費用として敷金が発生します。 公的な基準はありませんが数十万円といったところが多いです。敷金は基本的には退去する際に返金されますが、現状復帰として返金されない場合もありますので注意が必要です。
入居後は月額利用料として、食費や居住費といった生活費のほか、介護サービス費を支払います。月々の費用のうち、居住費は居室の大きさなどの施設の設備や地域などによって左右されることが多く、一般的には都市部の方が高くなる傾向があります。
その他雑費として、おむつ代や散髪代、新聞・雑誌代などは別途負担することになります。
まとめ
グループホームをはじめ、老人ホームと呼ばれる施設では提供しているサービスが施設によって異なります。各施設がどのようなサービスを提供しているかは細かくチェックしましょう。
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