シマトネリコは庭木におすすめの樹木ですが、剪定が欠かせません。放っておくとどんどん枝が伸びてしまい、お手入れが困難なほど背が高くなります。庭木がうっそうとしていれば、家自体の印象も悪くなりかねません。
本記事では、シマトネリコの剪定方法を解説します。剪定時期や必要な道具、注意点などもまとめました。シマトネリコの剪定でお困りの方、庭木にシマトネリコを検討している方は、剪定方法を把握しておきましょう。
この記事を読んでわかること
シマトネリコは、常緑性の樹木です。小さくて軽やかな葉がつき、涼しげな雰囲気を演出してくれます。日陰でも成長しやすく、初心者でも育てやすいことから、住宅のシンボルツリーとしても人気を集めています。
ただし、育てやすいといっても、シマトネリコは枝が年間50~60cmも伸びるほど成長が速いため、剪定が欠かせません。必要に応じて、不要な枝を根元から切る「間引き剪定」や、伸びた枝を切る「切り戻し剪定」を行いましょう。
シマトネリコを剪定する際に注意したいのが、道具の清潔さや実施時期などです。切り口から病原菌が侵入しないよう、きれいな剪定バサミやノコギリを使用してください。また、木への負担を軽くするため、真夏や真冬を避けて剪定しましょう。
シマトネリコについて知ろう!
まずは、シマトネリコの基本情報や特徴を把握していきましょう。
科名/属名 | モクセイ科/トネリコ属 |
園芸分類 | 花木、庭木 |
原産地 | 沖縄県、台湾、フィリピン、中国、インド |
樹高 | 高木(10m) |
常落区分 | 常緑性 |
開花期 | 5月下旬~7月上旬 |
花言葉 | 偉大、荘厳、高潔、服従、思慮分別 |
シマトネリコは、モクセイ科トネリコ属の花木です。5月下旬から7月上旬にかけて小さな白い花を咲かせ、結実して種になります。原産地は、沖縄県をはじめ、台湾やフィリピンなどです。小さく軽やかな葉が涼しげな雰囲気を演出し、南国風の印象を与えてくれます。
また、シマトネリコという名前は、原産地である沖縄県などの「島」から由来しています。花言葉が、偉大・荘厳・高潔といった高貴なイメージを持つワードが多いところが特徴的です。
シマトネリコの特徴
シマトネリコは、1年中緑の葉をつける常緑性の樹木です。ただし、寒さにやや弱く、冷え込みが厳しいと葉の色が変化したり、落葉したりする場合があります。
シマトネリコの特徴として、幹のタイプが2種類ある点も挙げられるでしょう。幹が1本の「単幹」は、街路樹として植えられているケースが多くなっています。一方、数本の細い幹からなる「株立ち」タイプは、住宅の庭木に選ばれています。
シマトネリコは初心者にもおすすめの庭木
シマトネリコは、丈夫で日陰でも成長しやすいことから、初心者でも育てやすい樹木です。庭に地植えしてから2年以上経てば、水やりの必要もありません。そのため、住宅のシンボルツリーとして人気を集めています。
シマトネリコの剪定時期
シマトネリコは初心者でも育てやすい樹木ではありますが、枝が年間50~60cmも伸びるため剪定が欠かせません。
剪定時期は、真夏と真冬を避けた3~11月頃が適しています。というのも、真夏に剪定すると強い日差しによってシマトネリコが傷みかねないためです。加えて、シマトネリコは寒さにやや弱く、真冬に剪定すると枝を切ったダメージで木が枯れるリスクがあります。
ただし、真夏や真冬であっても、形を整える程度の剪定であれば差し支えありません。
また、枝先に花が咲くことから、開花時期の剪定を控えめにしてください。シマトネリコの枝が伸びてきたら随時剪定しつつも、真夏と真冬、開花時期は大きく切ってしまわないようにしましょう。
シマトネリコの剪定に必要な道具
シマトネリコを選定する際は、次の道具を準備してください。
【選定に必要な道具】
- 剪定バサミ
- 高枝切りバサミ
- ノコギリ(剪定用)
- 脚立
- 癒合材
ハサミやノコギリは、剪定専用のものを用意しましょう。ある程度太さのある枝にも対応しているものがおすすめです。脚立に登って高い場所の枝を切っても良いですが、高枝切りバサミで対応した方が安全でしょう。
癒合剤は、枝の切り口を保護する薬剤です。詳しくは、後ほど説明します。
シマトネリコの剪定方法
続いて、シマトネリコの選定方法を解説します。シマトネリコはぐんぐん成長するからといって、伸びた枝を適当に切るのはおすすめできません。シマトネリコの選定方法としては、次の3種類があります。
【シマトネリコの選定方法】
- 間引き剪定
- 切り戻し剪定
- 芯止め
どこを切るのか、どのような目的で行う剪定なのかを確認していきましょう。
間引き剪定
間引き剪定とは、不要な枝を切り取って樹木の形を整える方法です。不要な枝を切り取れば見た目が美しくなるだけでなく、風通しが良くなるので病害虫の発生も防げます。間引き剪定は、不要な枝を根元から切って間引くことから「枝抜き剪定」や「透かし剪定」とも呼ばれています。
間引き剪定を行う時期は、初夏や秋がベストです。先ほどもお伝えしましたが、真夏や真冬に大きく剪定するのは避けましょう。それでは、詳しい剪定手順を解説します。
不要な枝を根元から切る
まず、不要な枝を剪定バサミや高枝切りバサミなどで切ります。必要な枝まで切ってしまわないよう、不要な枝の特徴を把握して見極めましょう。
【不要な枝の特徴】
- 密集している場所の枝
- 病気になって弱っている枝
- 枯れて勢いの無い枝
- 成長し過ぎている枝
- 下や内側に向かって伸びている枝 など
不要な枝と判断したら、根元から切ることを意識してください。根元から剪定すれば、再び不要な枝が伸びるのを防げます。また、残す枝の太さを揃えておくのもポイントです。
理想の形に整える
不要な枝を間引いたら、理想の形に整えます。あらかじめ樹冠のラインや高さをイメージしておくと良いでしょう。シマトネリコらしさを際立たせるには、樹高を低くし過ぎず、2~3mに整えるのがおすすめです。あまり高くし過ぎると手入れが大変になるので、剪定のしやすさも考慮して樹高を決めてください。
枝の量を調節する
続いて、枝の量を調節します。少し離れた場所からシマトネリコを観察し、バランスを見てみましょう。形を崩している枝を切ったり、量が多い部分を減らしたりと、調整を加えます。うっそうと茂っている部分は、思い切ってバッサリ切ってしまいましょう。向こう側が見えるくらいまでボリュームを減らし、シマトネリコ全体が日光に当たるように仕上げてください。
最後に、癒合剤を枝の切り口に塗布したら間引き剪定の完了です。
切り戻し剪定
切り戻し剪定は伸びた枝を途中で切る方法です。枝の若返りや新しい枝の生育促進、樹木の大きさの維持といった目的で行われます。なお、切り戻し剪定には「弱剪定」「強剪定」があります。それぞれの違いを把握しておきましょう。
剪定方法 | 方法 | 目的 |
弱剪定 | 枝先のみを切る込み合った枝を減らす | 花や実のつきを促進する |
強剪定 | 根元の近くから大きく切る太い枝を切る | 木や枝の生育を促進する大きくなった木をコンパクトにする |
シマトネリコの切り戻し剪定を行う時期としては、春を推奨します。というのも、春は新芽が成長する時期であり、枝が伸びやすいためです。春に切り戻し剪定を行えば、より効果的な生育が見込めるでしょう。
芯止め
シマトネリコの高さを抑えたい場合は、芯止めという作業が必要です。芯止めは樹木のメインとなる幹の先端を切り落とし、上への成長をストップさせる目的で行います。まず、シマトネリコの高さを決め、その付近にある節目を確認します。ジャストの高さで切るのではなく、確認した節目より数ミリ上を切りましょう。
芯止めは真夏と真冬以外ならいつでも可能です。ただし、秋や冬に行う際は切り過ぎにご注意ください。
株立ちにしたシマトネリコを剪定する方法
幹が数本ある株立ちのシマトネリコを剪定する方法も確認しておきましょう。株立ちのシマトネリコの剪定は以下の手順で進めます。
【株立ちのシマトネリコの剪定方法】
- 一番太い幹を確認する
- 幹の根元付近(1/3程度)の枝や一番太い幹に向かって伸びている枝を剪定する
- 不要な枝を切る
株立ちのシマトネリコの場合、一番太い幹の周囲を他の幹が囲むように剪定するのが理想です。幹がしっかり見えるように根元付近の枝を切ることで、清涼感のある印象に仕上がるでしょう。
よりスッキリさせたいなら、複数の幹のうちいずれか1本を根元から切ってしまうのも1つの方法です。幹の本数は3~4本を目安に調整してください。
ただし、幹を根元から剪定すると木に大きなダメージを与えかねません。幹を減らす作業を行うのであれば、シマトネリコへの負担を考慮し、木に元気がある春に実施しましょう。
シマトネリコの剪定で注意するポイント!
シマトネリコを剪定する際、気をつけたいポイントがあります。「変な形になってしまった」「元気が無くなって枯れてしまった」といった事態にならないよう、次に紹介する注意点を頭に入れておきましょう。
枝の切り過ぎに注意する
一度の剪定で、枝をたくさん切らないようご注意ください。あまりに枝を切り過ぎると木に大きな負担がかかったり、うまく光合成できなかったりと、シマトネリコが弱ってしまいます。病原菌に対する抵抗力も弱まるでしょう。
枝の切り過ぎは枯れる原因にもなるので、必要に応じて数本ずつ剪定してください。
寒い時期の切り戻し剪定は避ける
繰り返しになりますが、シマトネリコの切り戻し剪定は寒い時期を避けましょう。シマトネリコは耐寒性に弱い一面があるため、冷え込む季節に切り戻し剪定をすると木へのダメージが大きくなります。秋や冬は負担がかかりにくい弱剪定に留めておくのがベターです。
清潔な道具を使用する
剪定に使用する道具は清潔にしておいてください。不衛生な道具を使って枝を剪定すると、切り口に汚れが付着したり余計な傷がついたりして、病原菌が侵入するきっかけを作ってしまいます。シマトネリコを病気から守るためにも、道具をきれいにしてから剪定しましょう。
剪定後には必ず癒合剤を塗る
シマトネリコの剪定後は枝の切り口に癒合剤を塗布します。癒合剤の役割は次のとおりです。
【癒合剤の役割】
- 切り口の保護
- 病原菌や害虫の侵入予防
- 水分・養分の流出予防
- カルス(かさぶた)の形成補助 など
癒合剤を切り口に塗ることで、病原菌などの侵入を防ぐだけでなく、本来樹木が持っている治癒力を最大限発揮できるようサポートしてくれます。枝を切って終わるのではなく、剪定後もシマトネリコが元気でいられるよう癒合剤を塗る作業も忘れないでください。
病害虫にも注意する
正しく剪定しても、シマトネリコが枯れることがあります。その要因となるのが病害虫の影響です。特にシマトネリコにつきやすいのが次の5つの害虫です。
【シマトネリコにつきやすい害虫】
- ハマキムシ
- スズメガの幼虫
- シマケンモンの幼虫
- コガネムシ
- カイガラムシ
これらの害虫はシマトネリコの根や葉を食べたり、栄養を奪ったりといった危害を加えます。そのため、防虫ネットや殺虫剤を使用して対策を講じておきましょう。
害虫がすでに発生してしまい、ご自身での作業が困難であれば、専門会社へ依頼すると効果的な駆除が叶います。くらしのセゾンが行う「害虫駆除」では、さまざまな害虫の駆除が可能です。人体や環境に配慮した薬剤を使用しているので、安心してご依頼いただけます。くらしのセゾンの「害虫駆除」で、大切な庭木を守りませんか。
シマトネリコの剪定失敗例
ここでシマトネリコの剪定失敗例をお伝えします。よくある事例を把握し、ミスを防いで理想の形を目指しましょう。
何も考えず切ってしまい葉が無くなる
思い切り良く剪定することは大事ですが、何も考えずにどんどん切ってしまうのはおすすめできません。無計画で進めると「気づいたら葉がほとんど無くなっていた」という事態になってしまいます。
ポイントは全体のバランスを考えることと、骨格となる枝を決めて残しておくことです。ときどき離れた場所からバランスを確認し、計画的に剪定しましょう。
少しずつ切って樹形が乱れる
先ほど、一度にたくさん剪定するとシマトネリコが枯れる要因になるとお伝えしました。しかしながら、枯れることを恐れて弱剪定ばかり繰り返すと樹形が乱れる可能性があります。その理由は、切ったところから細かい枝がいくつも伸びてしまうためです。想定外に枝が伸びてくるとバランスが崩れ、全体的な樹形も乱れます。
理想の形や見た目の美しさをキープできるよう、春にはしっかり強剪定を行ってください。
大きくなり過ぎたシマトネリコの剪定はプロに任せよう!
シマトネリコが大きくなり過ぎてしまったり、ご自身での剪定が大変だったりする場合は、プロに任せてみてはいかがでしょう。プロに依頼すれば「切り過ぎた」という失敗も起こりません。
シマトネリコのお手入れなら、くらしのセゾンが提供する「庭木のお手入れ」にご相談ください。専門知識と資格を持つ職人が、丁寧に庭木を剪定します。見積もりや出張費が無料なので、お気軽にお声がけいただけます。
おわりに
住宅のシンボルツリーとしても人気のシマトネリコ。初心者でも育てやすいですが成長スピードが速いので、今回紹介した選定方法を参考にシマトネリコを整えてみてください。大きくなり過ぎていたら、一度プロに任せるのも良いかもしれません。
シマトネリコが持つ爽やかさを最大限引き出すためにも、適切に剪定し美しさをキープさせましょう。