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就業不能保険の支払い条件は厳しい?加入のメリット・デメリットや選び方について

セゾンのくらし大研究 編集部

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病気やけがなどで働けなくなった場合の備えのひとつとして検討していただきたいのが就業不能保険です。病気やけがで働けない状態が続いた場合、給付金が受け取れるため生活費の不足に備えられます。

しかし、条件が複雑な商品でもあるため、加入を迷っている方もいらっしゃるかもしれません。このコラムでは、そのような方のために、就業不能保険のメリットやデメリット、加入する際のコツをまとめてお伝えします。

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就業不能保険の基本情報

日本の場合、比較的公的保障が充実していますが、それだけでは万全といえない部分もあります。補完する役割を果たす商品のひとつが就業不能保険です。

ここでは、就業不能保険の性質と、加入に向いている方の特徴について詳しくご紹介します。

就業不能保険とは?

就業不能保険とは、病気やけがで長期間働けない場合、生活費を賄うために給付金を受け取れる保険のことです。民間の保険会社が販売しています。

日本の場合、病気やけがで長期間働けない場合、程度に応じて障害年金を受け取ることが可能です。ただし、それだけでは生活費をすべて賄うことが難しいので、補完するための商品として就業不能保険があると考えましょう。

就業不能保険の加入に向いている方は?

就業不能保険は便利な商品であるものの、向いている方とそうでもない方がいるのが実情です。

ここでは、就業不能保険の加入に向いている方として、以下の4例をご紹介します。

  • 自営業の方やフリーランスの方
  • 貯蓄に不安がある方
  • 住宅ローンなどの返済を抱えている方
  • 教育費がかかる子どもを持つ方

自営業の方やフリーランスの方

自営業やフリーランスの方は、会社員や公務員に比べ、社会保障制度によるサポートが少なくなっています。病気やけがをした場合に利用できる社会保障制度の代表例は傷病手当金と障害年金ですが、これらに関しても自営業・フリーランスの方と会社員・公務員の方の場合とで扱いが違うので注意しましょう。

制度名概要会社員・公務員の場合自営業・フリーランスの場合
傷病手当金標準報酬月額の2/3が最長で1年6ヵ月受け取れる対象対象外
障害年金障害の程度(障害等級)に応じた年金が受け取れる障害等級の1級または2級に該当する時は国民年金の障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給され、3級に該当する時は厚生年金保険単独の障害厚生年金が支給される。障害年金のみ  

このように、自営業やフリーランスの方の場合、働けないことが収入減に直結するため、就業不能保険で備えておく必要があります。

貯蓄に不安がある方

貯蓄に不安がある方も、就業不能保険に加入すると良いでしょう。貯蓄が十分にあるなら、例え病気やけがで長期療養を余儀なくされても、生活には困らないかもしれません。しかし、貯蓄が少ない状態で収入が減ってしまうと、生活に困窮する可能性が高くなります。収入が減った分を就業不能保険で補完することで、生活に困窮しないよう備えることが可能です。

住宅ローンなどの返済を抱えている方

住宅ローンや奨学金など、毎月返済しなくてはいけない借入金がある方にも、就業不能保険は役立ちます。これらの返済が滞ると、家を手放さなくてはいけなかったり、クレジットカードやカードローンが使えなくなったりと、生活に支障が生じるので注意が必要です。しかし、就業不能保険の給付金があれば、収入病気やけがでの療養中でもコンスタントに支払いができるようになります。

教育費がかかる子どもを持つ方

教育費がかかる子どもをお持ちの方も、就業不能保険を検討すると良いでしょう。乳幼児のうちはさほど教育費はかかりませんが、小学校~大学入学にかけては、年齢が上がるごとに教育費がかかります。特に、大学に入学するとなると初年度だけで数十~百数十万円近い出費が生じるので注意が必要です。

万が一病気やけがでの長期療養を余儀なくされたとしても、家計をサポートし、お子さんが希望する進路を選べるよう、就業不能保険で備える意味があるでしょう。

就業不能保険の加入条件も支払い条件も厳しいといわれる理由

就業不能保険は加入条件も支払条件も厳しいといわれています。審査に落ちてしまう方がいたり、精神疾患で長期療養を余儀なくされている場合に支払いが受けられなかったりなど、注意すべき点もいくつかあります。

ここでは、注意すべき点について詳しくご紹介しましょう。

職業・年収・健康状態などを厳しくチェックされる

加入時に、職業・年収・健康状態について厳しくチェックされます。

そもそも、就業不能保険は病気やけがで働けなくなった場合に給付を行う性質上、加入の時点で健康状態に問題がないかを確かめなくてはいけません。そのため、健康状態の告知は必須となるので、持病がある場合は契約が難しくなるでしょう。

また、働いている方の収入の減少に備えるという性質上、職業や年収についても詳しく調査されます。これらのデータを知ることで「現在、どれぐらいの収入があるのか」がわかるためです。新たに契約できる年齢の範囲は生命保険会社により異なりますが、下限は15歳など、上限は75歳などとなっています。併せて確認しましょう。

免責期間があるためにすぐに支払われるわけではない

病気やけがで療養を余儀なくされ、働けなくなった場合でもすぐに給付金を受け取れるわけではありません。免責期間といって、給付金が支払われない期間が設定されているためです。

つまり、免責期間が30日だった場合、病気やけがで働けない期間が31日以上続かないと、給付金は受けとれません。免責期間が短いほうが給付金を受け取れる可能性が高まりますが、その分保険料は高くなりがちな点に注意しましょう。

支払事由となる就業不能状態が限定されている

給付金の支払い対象となる就業不能状態は限定されています。また、何をもって就業不能状態とするかは、保険会社によっても異なるため事前に確認しましょう。

ここで、就業不能保険における就業不能状態の一例をご紹介します。就業不能状態と判断されるには、次のいずれかに当てはまらなくてはいけません。

入院している           病気またはけが(精神疾患によるものを除く)の治療を目的として日本国内の病院または診療所に入院している  
在宅療養している  1)病気またはけが(精神疾患によるものを除く)により、公的医療保険制度における医科診療報酬点数表の在宅患者診療・指導料(往診料および救急搬送診療料を除きます)に列挙されている診療料や管理指導料等が算定され、医師の指示にもとづき、日本国内の自宅等で、治療に専念すること
2)約款所定の3大生活習慣病、肝硬変または慢性腎不全により、医師の指示にもとづき、日本国内の自宅等で、治療に専念すること
障害等級1級・2級程度  国民年金法施行令に定める障害等級1級または2級に認定
参照元:ライフネット生命「就業不能保険 働く人への保険3」

これはあくまで一例ですが、妊娠・出産や精神疾患により療養している場合は、就業不能状態と判断されないケースが散見されます。加入する前に、商品説明書を読んだり、営業担当者から説明してもらったりなどして、就業不能状態を含めた内容を理解しておきましょう。

就業不能保険に加入するメリット

「医療保険があれば就業不能保険はいらない」という方もいますが、就業不能保険に加入することには、一定のメリットや必要性があります。ここでは、具体的なメリットとして以下の3点についてご紹介します。

  • 不足する生活費をカバーできる
  • 万が一の際の経済的不安を抑えられる
  • 加入している限り受給できる

不足する生活費をカバーできる

就業不能保険に加入することで、医療保険や公的保障で不足する部分をカバーすることができます。

医療保険や公的保障を利用すると療養中の医療費・生活費の一部を賄うことはできますが、決して十分な額とはいえません。そこに就業不能保険を組み合わせれば、保障を増やすことができるため、ご自身やご家族の生活費にもゆとりができます。

万が一の際の経済的不安を抑えられる

病気やけがで長期療養を余儀なくされた場合の経済的不安を抑えられるのも、就業不能保険のメリットです。

貯蓄が少なかったり、住宅ローンなどを返済していたりした場合、長期療養により起きる経済的不安は大きくなりがちです。しかし、就業不能保険に加入していれば、毎月一定額を長期間受け取れるため、経済的不安も抑えられるでしょう。

なお、住宅ローンの中には団体信用生命保険に就業不能保障特約を付加できるものもあります。ご利用を検討する場合は、クレディセゾンとiYellが提携している「住宅ローンの相談窓口」で一度相談してみるのもおすすめです。

住宅ローンの相談窓口はこちら

住宅ローン相談窓口
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加入している限り受給できる

加入している限りは給付金を継続して受け取れることも、就業不能保険の強みです。すでに触れたとおり、公的保障や医療保険には、受給期間に制限があります。

例えば、傷病手当金は最長1年6ヵ月までしか受け取ることができません。しかし、就業不能保険は契約期間は受け取り続けることができますので、保障が途中で途絶える心配から解放されます。

就業不能保険に加入するデメリット

就業不能保険は便利な一方で、注意すべきデメリットもあります。

ここでは、具体的なデメリットとして以下の3つについてご紹介しましょう。

  • 免責期間の長さ
  • 精神疾患は支払い対象外になっていることも
  • 支払条件・保障範囲が複雑で選択が難しい

免責期間の長さ

就業不能保険には免責期間が設けられていますが、長い商品が多いため注意が必要です。例えば、免責期間が180日だった場合は、病気・けがの療養で働けない状態が181日以上にならないと給付金が受け取れないことになります。

会社員や公務員の方の場合、傷病手当金を受け取ることができるため多少長くても問題ありません。しかし、自営業やフリーランスの方の場合は、傷病手当金を受け取れないため、できれば免責期間が短い商品の方が望ましいです。ただし、免責期間が短い商品の場合、保険料が高くなる点に注意しましょう。

精神疾患は支払い対象外になっていることも

うつ病などの精神疾患は支払い対象外になっている就業不能保険が多いです。しかし、一部の就業不能保険では、精神疾患についても支払い対象になっています。

精神疾患で休職・退職を余儀なくされる方は決して少なくありません。貯蓄があまりなかったり、お子さんの学費がかかりそうだったりなど、備えを強固にしたい場合は、精神疾患が支払い対象になる就業不能保険を選ぶことも重要です。

支払条件・保障範囲が複雑で選択が難しい

就業不能保険は、支払条件・保障範囲が複雑で選択が難しい点にも注意しましょう。

ご自身やご家族の状況にあった就業不能保険を選ぶ際には、相応の知識や経験がないと難しい部分があります。適宜、専門家のアドバイスを仰ぐことも重要です。

就業不能保険を選ぶ際のポイント

就業不能保険を選ぶ際には、いくつか気をつけるべき点があります。ここでは、具体的に気をつけるべきポイントとして、以下の点についてご紹介します。

  • 現状の把握
  • 各保険会社の支払い条件や加入条件をチェック
  • 給付期間や給付回数の確認も忘れずに

現状の把握

すでに触れたとおり、全ての方に就業不能保険が必要になるとは限りません。会社員・公務員で保障が十分に受けられたり、相応の貯蓄があったりする場合は、無理に加入しなくても問題ないケースが散見されます。

そのため、まずは現状を把握し、本当に就業不能保険を契約する必要があるのかを把握しましょう。現在の貯蓄や収入・支出、ご自身の職業でもらえる公的保障などを確認し、手薄になりそうな部分があれば、補完するために就業不能保険を使うのも選択肢のひとつです。

各保険会社の支払い条件や加入条件をチェック

同じ就業不能保険であっても、保険商品によって支払い条件や加入条件が異なります。

例えば、精神疾患による療養の場合に給付金が受け取れるか否かについては、保険商品によってまったく扱いが異なる部分のひとつです。ご自身やご家族にあったものを探すためには、複数の商品を比較検討しましょう。

給付期間や給付回数の確認も忘れずに

給付期間や給付回数も忘れずに確認することをおすすめします。保険商品によって、給付金の給付期間・回数はまちまちです。加入している限りは給付が受けられるパターンもあれば、期間・回数に制限があるパターンもあります。

制限がある商品の場合、途中で保障が受けられなくなる可能性があるため注意が必要です。一方、制限がない商品は保障が途絶えないというメリットがありますが、保険料は高くなります。保険料と保障を受けたい期間のバランスの観点から、適した商品を選びましょう。

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保険に詳しい方に保険の相談をしてみたいと思われた際は、オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」へご相談ください。保険業界でのキャリアが長く、豊富な知識を有している担当者が、お客様一人ひとりのお悩みを聞き、適切な提案をします。

今回ご紹介した就業不能保険など、特定の保険商品への加入に関する相談はもちろん、現状の把握もお手伝い可能です。「就業不能保険に興味はあるけど、何から始めれば良いかわからない」という場合は、ぜひ一度、オンラインFPショップ「セゾンのマネナビ」へご相談ください。

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おわりに

就業不能保険は、病気やけがで長期療養を余儀なくされた場合に備えられる非常に便利な商品です。しかし、審査に通らないケースがあったり、商品によって就業不能状態の捉え方が異なったりなど、利用するうえでの注意点もあります。

重要なのは「ご自身やご家族に合った商品を選ぶこと」です。就業不能保険を検討する際は、まずはご自身やご家族の状況を鑑み、必要性があるかを探りましょう。そのうえで、複数の商品を比較検討し、ひとつに絞って加入することをおすすめします。ご自身やご家族のみでの判断が難しい場合は、専門家のアドバイスを仰ぐのも効果的でしょう。

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