夏が近づくにつれ、蟻の行動も活発になります。室内で蟻を見かけて憂うつに感じる方もいらっしゃるでしょう。蟻を駆除するには、巣穴を壊し女王蟻を駆除するのが一番ですが、室内でできる対策もたくさんあります。このコラムでは、室内でできる蟻対策として、蟻の種類別、駆除方法に加え、蟻を室内に侵入させないためのコツを紹介します。ぜひ最後まで読んで、蟻対策に役立ててくださいね。
この記事を読んでわかること
- 蟻の駆除は市販のベイト剤や重曹など毒餌を設置し、蟻の侵入口をふさぎ、室内で見かける蟻には殺虫スプレーなどで対処すると効果あり
- 蟻には雑食性のものや吸蜜性のものと外来種がおり、種類に適した駆除方法を選んで対策するのがおすすめ
- 蟻に侵入されないためには、食べ物は密閉容器に入れ冷蔵庫で保管し、食べかすなどはこまめに掃除、生ゴミに気をつけ、巣を作りそうな場所を作らないことが肝心
- 蟻退治が難しい場合はプロの害虫駆除サービスにお願いする方法がよい
室内に侵入した蟻を駆除するには
室内に侵入した蟻の駆除はどうすればよいでしょうか。まず、効果的な蟻の駆除方法を解説します。
蟻の侵入経路に毒餌を置く
室内に侵入した蟻を退治するために、まずは蟻の侵入経路に毒餌を置くことがおすすめです。なぜなら蟻の繁殖力は凄まじく、エサのある場所には次々と働き蟻が送り込まれるため、巣全体にアプローチする必要があるからです。ここでは毒餌について市販のベイト剤と、手作りできる重曹の毒餌を紹介します。
市販のベイト剤
ベイト剤とは毒餌のことです。ベイト剤は遅効性毒餌で巣に潜む蟻に効果があるためおすすめの蟻の駆除方法です。
一度室内へ侵入しエサを見つけた蟻は、道しるべとなるフェロモンをつけて仲間を呼びます。そのため、毒餌を置いて蟻の巣全体にアプローチしなければ、次々と新たな蟻が侵入してきてしまうのです。毒餌は、巣穴の近くや家への侵入経路、とおり道になりそうな場所に複数箇所に設置します。
重曹と粉砂糖
ベイト剤を買いに行けない場合など、今すぐ対処したい時は、家にある重曹と粉砂糖を使って毒餌を手作りしてみるのもおすすめです。蟻は重曹を食べると体内の蟻酸と、重曹の主成分である炭酸水素ナトリウムが反応して死んでしまいます。
蟻は単体の重曹は食べません。しかし、粉砂糖をまぶしておくことで食べやすくなりますので、重曹と粉砂糖を混ぜて容器などに入れて蟻のとおり道に置いておき、巣に持ち帰らせます。
蟻の侵入口をふさぐ
家の外壁などに破損箇所があり、隙間がある場合は要注意です。蟻の侵入口になる可能性があります。床板や壁紙の隙間や、コンセントの周りなどは特に注意しましょう。ガラスサッシの隙間もしばしば蟻のとおり道になります。
もし蟻の侵入が見られる場合は市販のシーリング材やパテなどを使い、隙間を埋めます。蟻のとおり道がふさげば、室内に侵入する蟻を減らすことが可能です。
室内の蟻はつまみだすか殺虫剤で退治する
室内に蟻を見かけた場合は、ひとまず目の前の蟻を退治したいと思う方もいらっしゃるでしょう。目の前にいる蟻はつまみだすか、殺虫剤などで駆除します。
1~2匹でうろうろしている蟻を見かけた場合も見逃さず退治しましょう。この蟻たちは先遣隊の役割を持っており、一度エサを見つけると、道しるべとなるフェロモンを出して仲間を呼んでしまうのです。
ここでは室内に侵入した蟻を直接退治する方法を紹介します。
殺虫スプレー
室内で蟻を見かけた時は、殺虫スプレーを使うと簡単に駆除ができます。即効性があるため、今すぐ室内の蟻をなんとかしたい方には一番おすすめです。
蟻専用の殺虫スプレーの中にはノズル付きで巣や蟻に向けてダイレクトに薬剤を噴霧できるものもあります。
蟻が行列になっていて、大群で固まっている場合はエアゾールで吹き飛ばしてしまわないように気をつけます。広範囲に噴射できるタイプも販売されているので、家で見かける蟻に合わせたスプレーを試してみるのがおすすめです。
ただし、小さなお子さんやペットがいる家庭では、殺虫剤をなめてしまわないよう注意しなければいけません。
そのような場合には、環境や人に優しい天然由来の防虫成分を使った防虫スプレーがあります。殺虫剤が心配な方は試してみてください。
食器用洗剤
殺虫スプレーが家にない時は、食器用洗剤と水を1:2の割合で混ぜたものをスプレーボトルに入れると代用ができます。食器用洗剤に含まれる界面活性剤が蟻の表面にある呼吸穴をふさいでしまうため蟻退治が可能です。また洗剤が道しるべフェロモンを洗い流し、蟻たちのコミュニケーションを阻害して室内への侵入を防ぐことができます。
酢
酢は蟻が嫌うにおいを出すため、蟻よけに利用できます。同量の酢と水をスプレーボトルに入れ、気になる場所へ吹きかけ、拭きあげます。ただし、酢のにおいが苦手な方や、ペットが嫌がる可能性もあるため環境に応じて利用してください。
巣に直接かけるタイプの薬剤を使用する
蟻の巣に直接かけるタイプの薬剤もあります。シャワータイプや粉剤など種類は多様ですが、蟻の巣穴がはっきりしていて、蟻を退治したい場合に有効な方法です。
蟻の種類別に適した方法で駆除しよう
蟻は種類によって好むエサや効果的な駆除方法が異なります。ここでは蟻の種類別の特徴や薬剤などを紹介します。
雑食性の蟻
家に侵入しやすいとされる雑食性の蟻には、イエヒメアリ、ヒメアリ、ルリアリ、トビイロシワアリがいます。これらの蟻は自然界では虫の死骸を好んで食べ、肉、魚、乳製品も食べることがあります。
雑食性の蟻には、顆粒タイプが有効です。エサを持ち運ぶ習性から、巣に持ち帰らせ、巣ごと全滅させることができます。ただし、見かける蟻のサイズが2〜3mm程度と小型である場合は、顆粒の餌が大きすぎて持ち運べないこともあります。その場合は、細かい粉状に加工して撒いておくと良いでしょう。
吸蜜性の蟻
吸蜜性の蟻であるアミメアリやトビイロケアリ、ムネアカオオアリなどが家屋へ浸入する例が見られます。吸蜜性のアリはアブラムシから分泌される甘露や甘い砂糖を好むため、ジェル状の薬剤が効果的です。
しかし吸蜜性か雑食性かどうか見分けるのは難しい場合もあります。その時は、顆粒タイプの毒餌とジェル状の毒餌がミックスされた混合タイプの毒餌を使用するとよいでしょう。
外来種
外来種の蟻で特に日本でよく知られている種類は、アルゼンチンアリとヒアリです。アルゼンチンアリは一つの巣穴に複数の女王がいて繁殖力が強く、広範囲に巣を作ることで知られています。そのため、通常の蟻用の殺虫剤で一部を退治したとしても、広いコロニーの仲間が欠けた蟻の分をカバーするため全滅させることが難しいのです。
アルゼンチンアリは頻繁に仲間のグルーミングやエサの交換を行います。そのため、巣に持ち帰らせる遅効性の外来種用のベイト剤が効果があります。
ヒアリは、海外から来たコンテナなどから日本へ渡来しており、港湾付近で見かけるアリです。住宅街で見かけることはあまりないようですが、もしヒアリの個体を見かけた場合はヒアリに効くワンプッシュ式の殺虫剤で対処するようにしましょう。
ヒアリの集団や巣を見つけた場合は行政へ連絡が必要です。環境省ヒアリ相談ダイヤルや都道府県の環境部局、市区町村に相談してください。
シロアリ
シロアリは厳密に言えば蟻の仲間ではありません。元々は森林で枯れ木や朽ちた枝を食べて暮らす生き物です。しかし、人間にとっては家屋の柱や梁を食べてしまう害虫です。日本には主にヤマトシロアリとイエシロアリが住んでおり、食欲が強く木材の被害面積が多いのはイエシロアリといわれています。
シロアリの被害に遭うと家屋は甚大な被害を受けてしまい、地震などが原因で倒壊してしまうことも。目につく個体を駆除できたとしても、家の内部の奥深くに潜んでいる場合があって全ての駆除は難しいことです。シロアリを見かけた場合は害虫駆除のプロに依頼しましょう。
蟻の駆除は予防から!室内に侵入させないために
蟻対策は、室内へ蟻を侵入させないことが一番の対策です。ではどうすれば、蟻が侵入しない家になるのでしょうか。ここからは蟻を室内に侵入させないための方法を紹介します。
食べ物は密閉容器や冷蔵庫へしまう
蟻はエサのにおいに敏感に反応します。彼らはエサのにおいをたどって室内に侵入し、道しるべフェロモンを出して仲間に知らせるのです。食べ物や調味料は密閉容器などにしまい、冷蔵庫などで保管し、蟻を呼び寄せるにおいのもとを断つようにしましょう。
室内を小まめに掃除して食べカスを作らないようにする
蟻は小さな食べカスなどにも寄ってくることがあります。そのため室内はこまめに清掃し、食べカスなどをそのままにしないことも蟻対策に有効です。
食べ物のゴミもしっかり洗浄・密封
見落としてしまいがちなのが、生ゴミや食べ物のゴミです。生ゴミはにおいが強いため、蟻を引き寄せてしまいます。ゴミの袋は縛るなどして密封するのがおすすめです。
蟻が嫌がるものや忌避剤を置く
蟻が嫌がるものや忌避剤を置くのも蟻を遠ざけるために有効です。ここでは手作りできる忌避剤と市販の忌避剤について解説します。
レモン汁
レモン汁と水で作ったスプレーを蟻のとおり道に噴射して拭き取っておくと、蟻を遠ざけるのに有効です。蟻は道しるべフェロモンやエサのにおいを頼りに目的地へ向かうため、レモンのにおいで蟻を混乱させ、蟻を遠ざけることができます。
ハッカ油やミント水
ハッカ油やミント水を含ませた布を置いておいたり、とおり道を拭いたりするのも蟻よけに効果があります。蟻はミントのにおいを嫌うため、蟻が侵入しなくなるのです。しかしにおいの成分が揮発してしまうと効果がなくなるので定期的に使用する必要があります。またペットを飼っている家庭ではミントが苦手な動物もいるため要注意です。
忌避剤
市販の忌避剤も蟻よけに有効です。蓋を開けて設置するだけで効果のある置き型タイプや、天然由来の防虫成分でできたスプレータイプのものなど、さまざまな種類がありますので、ご家庭の環境に合うものを選んで試してみましょう。
蟻の巣を作らせないために
蟻が巣を作りやすい場所は、なるべくなくしましょう。地面に直接置かれた植木鉢や、玄関マット、ゴミ箱の下などは蟻が巣を作りやすい場所です。外壁やコンクリートの割れ目や隙間に巣作りする種類の蟻もいます。室内に侵入し、室内の壁や床の穴の中など快適な場所を見つけると巣ごと引っ越しする蟻もいるため注意が必要です。
蟻の巣を作らせないためには、地面に直接物を置かないようにし、割れ目や穴などの破損があればその都度修理するようにしましょう。
室内のしつこい蟻に困ったら
対策をいろいろと講じても、蟻がなかなかいなくならないと悩む方もいらっしゃるでしょう。実は蟻の駆除はうまくいかない場合も多いのです。ここでは室内のしつこい蟻に困った場合、どうすれば良いのかを紹介します。
蟻の駆除は難しい
地上に出ている蟻を駆除できても、巣の中から次々と蟻が出てきてなかなか退治できないということはよく起こります。実は地上に出ている働き蟻は蟻のコロニー全体の数の一部に過ぎません。
それに加え、巣の中に棲む女王蟻は働きバチより寿命が長く、多くの種類で10年以上生き、長い寿命の中で膨大な数を産卵します。
蟻を完全に駆除するには女王蟻を仕留めなければなりません。しかし蟻の種類によってはひとつの巣穴に複数の女王蟻がいるものもおり、それら全てを駆除することは難しいこととされているのです。
害虫駆除のプロに任せれば安心
対策をしてそれでもしつこい室内の蟻に困っていませんか?市販の薬剤などで対処しても、蟻を駆除しきれないことはよくあります。困った時は害虫駆除のプロに依頼してみませんか?「くらしのセゾン|害虫駆除サービス」なら、出張見積もりは無料で、お住まいの環境や蟻の種類に合わせた方法でしっかりと対応してくれます。
対象サービスエリアは東京都と神奈川県です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
おわりに
蟻は女王蟻が生きている限り働き蟻が次々と生まれ、集団でエサを運んで子育てをする社会性昆虫です。そのため見かけた個体だけにアプローチしてもなかなか駆除できず、巣全体を意識した駆除が肝心なのです。市販のベイト剤や殺虫剤を使い、蟻を退治した後は、蟻の忌避剤や蟻が嫌がるにおいのものなどを利用して蟻を侵入させないようにしましょう。
食べかすや食べ物のゴミにも注意が必要です。駆除が難しい場合はプロに相談することをおすすめします。ぜひご家庭にあった蟻の駆除方法を試してみてください。