「家計の管理が上手くできず貯蓄が増えない」という悩みを持つ夫婦は少なくないでしょう。収支を管理せず、なんとなく毎月収入を使い切ってしまうと、何年経ってもお金が貯まりません。夫婦の働き方や家族の状況に合った家計管理を取り入れて、貯蓄ができるように変えていく必要があります。
今回は、無理なくお金が貯まる家計にするための、家計管理や家計見直しの方法、忙しい人でもできる家計簿のつけ方などを紹介します。
- 夫婦でお金を管理する方法には複数の方法があり、世帯の状況に合ったやり方を選ぶべき
- 夫婦でお金を管理するにはまず、貯蓄の目標と毎月の貯蓄額を決める
- クレジット決済は支出の記録が残り、家計簿アプリと連携すると入力の手間がかからない
お金の管理が上手くできない夫婦の特徴は?
「無駄づかいをしているつもりはないのになぜかお金が貯まらない」などの悩みを持つ夫婦のほとんどは、お金の管理が上手くいっていません。お金の管理が上手くできない夫婦の特徴について解説します。
家計状況を共有していない
お互いに忙しい共働き夫婦によくあるのが、家計状況を共有しないケースです。夫婦でお金のことで細かい取り決めをすることに抵抗を感じたり、面倒だと思ったりする人もいます。
そのような人は頭では話し合う必要性をわかっていても、「とりあえず生活していけているから」とつい先延ばしにしてしまいがちです。パートナーの収入や貯蓄額を知らない人もいるでしょう。家計状況を共有しない家計管理のスタンスが、後になって大きな問題を生んでしまうかも知れません。
収入は多いが支出も多い
家計管理のルーズな共働きの夫婦は収入も多い反面、支出も多くなりがちです。たとえば、仕事で疲れたからと外食が多くなったり、何に使ったのかわからないグレーな支出が多くなったりするケースです。
使えるお金が多い人は、ラテマネーのような少額の支出をあまり気にしない傾向があります。しかし、そのような支出も積み重なると1ヵ月に数万円となり、家計を苦しめる原因となるのです。
貯蓄は相手任せ
お金の管理ができない夫婦は、貯蓄についても「パートナーが貯めているだろう」と甘く考えてしまいます。実際にパートナーが堅実にお金を貯めていれば問題はありませんが、確認もせずに思い込んでいるだけでは危険です。
本来、貯蓄や家計の管理は夫婦の連帯責任です。貯蓄を相手任せにするツケは、将来の家計破たんにつながりかねません。
夫婦のお金の管理はどうする? 3つの方法を紹介
夫婦のお金の管理方法にはいくつかのやり方があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。なるべく負担の少ない、長続きしやすい方法を選びましょう。ここでは、3つの方法を紹介します。
1.どちらかが家計担当になり全体を管理する
1つめは夫婦のどちらかが家計担当となり、家計全体を管理する方法です。この方法では、以下の2パターンが考えられます。
・家計管理は夫で生活費を妻に渡す
夫が収入を管理し、生活費を妻に渡す方法です。共働き世帯では妻の収入を貯蓄に回し、専業主婦世帯では貯蓄も夫が担当します。妻は渡された生活費の範囲内でやりくりし、働いている場合は収入の多くを貯蓄します。どちらかというと、夫婦の収入が同程度の共働き世帯に向いた方法です。
この方法のメリットは生活費が一定になり、家計に規律が生まれる点です。貯蓄も着実に積み上がり、特に共働き世帯ではしっかりお金が貯まるでしょう。
ただ一方、妻は自分のお小遣いも夫に管理されるため、不満を感じる恐れがあります。
この方法を成功させるには、家計を管理する夫が自分の収入や貯蓄状況を妻に開示すること、妻が不公平に感じない配慮が必要です。
・家計管理は妻でお小遣いを夫に渡す
妻が家計全体を管理して夫にお小遣いを渡す方法は、専業主婦世帯に多く見られる家計管理のやり方です。妻が夫婦の収入全てを預かり、生活費のやりくりも貯蓄も担当します。
妻ひとりが家計管理をすることで、節約や計画的な貯蓄がやりやすくなります。その一方で、妻がきちんと管理できなければ貯蓄もできなくなる点に注意が必要です。また、夫はお小遣いに不満がなければ、家計について無関心になるでしょう。
この方法を上手く運営するには定期的に家計状況を夫婦でチェックし、問題点を話し合う機会を持つことが大切です。
2.費目ごとに役割分担して管理する
2つめは「家賃・光熱費は夫、食費は妻」のように、費目ごとに担当を分ける方法。この方法はそれぞれに収入のある共働き夫婦が、自然に取り入れやすい方法でもあります。夫が家賃・保険料などの固定費、妻が食費・日用品費などの変動費を受け持つ世帯が多いようです。
この方法では自分の役割を果たせば、残りのお金の使い道を管理されることはありません。そのため、分担のバランスに不公平感がなければ、お互いに不満が出にくい点がメリットです。ただし、これだけでは家計全体を把握できず、お互いがいくら貯蓄しているかがわかりません。
このリスクの対策として夫婦でどのように貯蓄していくかを取り決め、定期的に状況確認していくと良いでしょう。
3.家計管理用の銀行口座で管理する
3つめは、家計管理用の銀行口座を作り、生活費や貯蓄をまかなう方法。夫婦それぞれが口座に入金する金額を取り決め、残ったお金は自由に使えます。お互いの収入に応じて、入金する割合を調整すると良いでしょう。
この方法では家計支出をひとつの口座で管理できるので、夫婦それぞれが世帯の収支を把握できます。自由に使えるお金も確保できるため、不満が出にくい点もメリットです。入金分の一定割合を貯蓄していけば、お金も貯まります。
注意点としては、収入に変化があった場合には見直しが必要なことです。どちらかの収入が増えたのに、入金額をそのままにすると無駄づかいにつながりかねません。昇給などの際にはその都度パートナーに申告し、入金額を変更するようにしましょう。
夫婦できちんとお金を管理!家計管理方法は
世帯のお金を管理して着実に貯蓄をしていくには、夫婦で家計管理のサイクルを回していく必要があります。ここでは、夫婦で賢くお金を管理するポイントを解説します。
ライフプランと毎月の貯金額を決める
挫折せずに家計管理を続けていくには、貯蓄の目標設定が大切です。夫婦でこれからのライフイベントを話し合い、必要な金額を見積もります。ライフイベントには子どもの誕生や進学、住宅購入などがあり、それぞれに大きな支出を伴います。
夫婦で考えておくべきライフイベントの例と、かかる費用の目安は以下のとおりです。
- 出産費用:約47万円
- 子ども1人あたりの教育資金(幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立の場合):約992万円
- 住宅購入費(建売住宅):約3,719万円
- 老後の生活費:毎月約27万円
- 介護費用:毎月約8万円
上記以外にもしものときの予備資金として、生活費の半年分程度(毎月の生活費が20万円なら120万円)を準備しておきましょう。
いつまでにいくら準備するか目標を定めたら、毎月の貯蓄額を計算します。毎月の貯蓄額は収入から取り分け、残ったお金で生活をやりくりします。
収支を把握する
目標とする貯蓄額を捻出するため、家計の収支の把握が必要です。収支の把握のためには、数ヵ月家計簿をつけます。レシート読み取り機能のある家計簿アプリを利用すると、簡単に記録できるでしょう。
家計簿の収支と実際のお金の残高が合わない分が、使途不明金です。使途不明金が多い場合、何に使っているのか原因を突き止めましょう。また、支出の中で見直せるものがないかも検討します。
予算を決め生活費を仕分けする
収入から貯蓄分を差し引いた残りの仕分けをし、それぞれの仕分け項目ごとに予算を決めて、やりくりしていきます。仕分けは細かく管理してもかまいませんが、手間がかかりすぎると続かなくなるかもしれません。一例として、以下のような分け方があります。
費目 | 内容 |
固定費 | 住居費・水道光熱費・通信費・保険料など |
食費 | 食料品費・外食費の合計 |
食費以外の変動費 | 日用品費・医療費・交通費など |
教育費 | 学費・塾代など |
臨時費用 | 車検代・旅行費用など毎月発生しない支出の枠 |
「臨時費用」は発生しない可能性もありますが、一定額を割り振り、使わない分をプールしておきましょう。臨時費用が貯まっていれば、急な出費があっても蓄えを取り崩さずに済むでしょう。
家計簿を付けて管理する
目標や予算が決まったら、家計簿をつけながら家計を回していきましょう。効率的に管理していくには現金払いよりも、支出が記録されるクレジットなどのキャッシュレス決済が便利です。
また、家計簿アプリと連携すれば、入力の手間が省けます。アプリによっては夫婦でデータを共有できたり、予算に対する実績を確認できたりするものもあります。便利なツールを活用し、手間をかけずに家計を管理しましょう。
お金の管理に困ったら専門家に相談しよう!
自分たちに合ったお金の管理の仕方がわからない場合、FP(ファイナンシャルプランナー)のようなお金の専門家に相談するのも解決策のひとつです。
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家計の状況を客観的に確認してもらえるので、まずは気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
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夫婦でお金を管理して貯蓄するコツは?
夫婦で協力して家計を管理できるようになれば、貯蓄用に取り分けたお金を貯めていきましょう。最後に、堅実な貯蓄のコツを解説します。
毎月貯蓄できる仕組みを作る
毎月決められた金額を着実に貯めるには、貯蓄できる仕組み作りが大切です。忘れずに貯蓄できる仕組みがないと貯蓄するのを忘れたり、使ってしまったりする恐れがあるためです。
銀行の自動積立定期預金や勤務先の財形貯蓄などを利用すると、貯蓄が苦手な人でも自動的にお金を貯められます。自分たちが利用しやすい貯蓄の仕組みを考えましょう。
貯蓄は生活費と別で管理する
貯蓄用の口座と生活費の口座は別々に管理します。それは貯蓄専用の口座であれば、貯蓄の目標額や進捗状況がわかりやすくなるためです。また、貯蓄用の口座には引き落としの設定はせず、入金だけするようにすると、むやみにお金を引き出せなくなります。
定期的に夫婦で収支を見直す
家計の管理は随時行い、定期的に収支の見直しをしましょう。見直しは頻繁に行う必要はありませんが、年に1回程度は時間を作りましょう。
定期的な見直しの他、子どもの誕生やマイホーム取得など、大きなライフイベントがあったときも見直しが必要です。収支を見直すことで、お金以外の夫婦の将来の夢や計画を話し合うこともできるでしょう。
おわりに
貯蓄ができないまま家計を放置しておくと、ライフイベントに必要なお金を準備できない恐れがあります。できるだけ早く夫婦で話し合い、自分たちに合ったストレスのない方法で家計を管理するようにしましょう。
さらにお金についての話し合いを持つことで夫婦の相互理解が深まり、コミュニケーションも円滑になる効果も期待できます。お互いの仕事が忙しくない時期などに定期的に状況確認の機会を作ると良いでしょう。