更新日
公開日

要介護認定で一番多い介護度とは|要介護度も解説!

セゾンのくらし大研究 編集部

執筆者
セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

ご家族に高齢者がいる方は、「要介護認定」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。言葉通り「介護が必要である」という国からの認定です。この認定があることにより、国からの支給額が変わります。さらに、要介護認定は介護度が分かれていて、段階によって介護の重さが違います。介護度が増えると状態は重く、介護の費用・時間がかかるでしょう。 

現在の日本で最も多い介護度とは、どの段階なのでしょうか。同時に、現在の要介護認定者の推移や認定基準による状態なども気になります。介護について一緒に見ていきましょう。 

要介護認定者数の推移は? 

要介護認定者数の推移は年々高まっています。寿命が伸びているため、要介護者数は増えているのでしょう。65歳以上から要介護者数が増えていますが、特に75歳以上の割合が増加傾向です。要介護者は、第1号被保険者の17.9%を占めています。この17.9%とは、決して少ない数字ではありません。 

要支援・要介護認定を受けた方の割合は、以下のとおりです。 

・65~74歳 

⇒要支援認定:1.4% 

⇒要介護認定:2.9% 

・75歳以上 

⇒要支援認定:9.0% 

⇒要介護認定:23.5% 

75歳以上になると、要介護認定を受ける方の割合が大きく上昇します。「ひとりで歩けない」「ひとりでトイレに行けない」「ひとりで食事がとれない」などが考えられます。年齢を重ねると、要支援・要介護認定を受ける可能性が高まるでしょう。 

介護が必要になった原因は、「認知症」が18.7%と最も多いです。男女別で見ると、男性は脳血管疾患が23.0%で、女性は認知症が20.5%です。男性より女性は寿命が長いため、原因は「認知症」が一番多いのでしょう。その次に多い症状は、脳血管疾患15.1%、高齢による衰弱13.8%、骨折・転倒12.5%です。 

参照元:要介護度別認定者数の推移  

参照元:内閣府 

要介護認定とは 

要介護認定とは、介護の度合いを客観的に判断し数値にしたものです。日常生活の中で、どのくらいの介護を必要とするのかをわかりやすくするものです。要介護認定には、要介護と要支援の2種類が存在します。要支援1〜2・要介護1〜5の段階によって、介護の度合いがわかります。どの段階の要介護認定を受けているかによって、どのような介助が必要か、どのくらいの費用がかかるかなどがわかるでしょう。 

要介護の認定基準とそれぞれの状態 

要介護の認定基準は、要支援1〜2と要介護1〜5があります。状態によって段階が分かれています。段階の違いによって、かかる費用や時間の目安にもなるでしょう。一番多い要介護度は「2」で、その次が「1」です。歳を重ねるにつれて、介護が必要になる方は多くなるようです。段階別にどのような状態で必要な介護は何かなど、参考にしてください。詳しい内容を一緒に見ていきましょう。 

要支援1 

「要支援1」はスムーズに立ち上がることは難しいですが、日常生活ではほとんど自立している状態です。ひとりで外出もできます。少しのサポートがあれば、旅行に行くことも可能でしょう。サポートというのは、日常の複雑な動作・部分的な介助のことです。部屋の大掃除をする、複雑な書類を書くなどが考えられます。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は50,320円です。タクシーの利用費として使用する方が多いでしょう。1日の介護に要する時間は、25〜32分未満です。そこまで負担と感じることはないでしょう。 

要支援1の場合、サポートを借りながら、運動したりご近所さんとコミュニケーションが取れたりします。積極的に行動し、健康を維持できるよう心掛けましょう。 

要支援2 

「要支援2」は起き上がりや買い物に支障があります。以前より身体が思うように動かせない状態です。すぐに座り込んでしまう、足が痛くて歩けないなどが考えられます。要支援1と比較すると、日常の複雑な動作の介助が必要になる場面が増えるでしょう。しかし、リハビリなどによって状態が軽くなる可能性があります。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は105,310円です。車椅子のレンタル、タクシーの利用などに使用できます。1日の介護に要する時間は、要支援1と同じ25〜32分未満です。 

大きな負担ではありませんが、要支援1と比較すると時間を要します。できないことが目立ってきて、気が滅入ってくるかもしれません。なるべく外の空気を吸って、身近な方と会話を楽しむなどを心掛けましょう。 

要介護1 

「要介護1」は、ひとりで起き上がるのが難しい状態です。身体の負傷や筋力・脳機能の低下が考えられます。起き上がれたとしても、たびたび道に迷ったり金銭管理のミスが目立ったりするでしょう。その他にも、問題行動を起こしたり会話がかみ合わなかったりします。ただし、自覚のない場合もありますので、介護側の方は責めたり怒鳴ったりしないよう注意しましょう。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は167,650円です。ホームやデイサービスの利用、車椅子の利用などに使用できます。1日の介護に要する時間は、32〜50分未満です。要支援2よりも、介護が大変だと感じることが多くなるでしょう。「支援」ではなく「介護」の段階です。家族の力を借りたり、ホームやサービスを利用したりしましょう。 

要介護2 

「要介護2」は、歩行・身体を洗うこと・爪切り・薬の服用・金銭の管理などに介助が必要です。身体だけではなく、脳機能も低下している場合が多いでしょう。1日中座ったままの状態であったり、物忘れが多くなったりします。介護側は「時間が取られる」と感じることが増えるでしょう。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は197,050円です。ホームやデイサービスの利用、介護用のベッドのレンタルなどに使用できます。1日の介護に要する時間は、50〜70分未満です。 

ひとりで介護するのは大変ですので、ヘルパーの利用をおすすめします。要介護2の段階になると、介護側も体力・精神面で辛い場面があるでしょう。ひとりで抱え込まず、周囲のサポートを借りましょう。 

要介護3 

「要介護3」は、排尿・排便・口腔清潔・着替えなどに介助が必要です。認知症や脳血管疾患などが進行している状態です。この状態は介護の度合いが強いとされていて、「要介護3以上の方のみの受け付け」という施設も存在します。多くの時間を介護に要しますので、常に自宅に誰かがいる状態が必要です。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は270,480円です。介護施設の利用や自宅を介護用にリフォームする場合などに使用できます。1日の介護に要する時間は、70〜90分未満です。介護側の体力の消耗は大きくなりますので、介護しやすい環境や介護用品を活用し、負担を少しでも減らすことをおすすめします。介護する方から目を離せない場面が増えてきますので、複数人での介助やサービスの利用を検討しましょう。 

要介護4 

「要介護4」は、寝返り・両足で立つ・移動・洗顔・洗髪に介助が必要です。ベッドからひとりで立ち上がるのも困難な状態です。1日ベッドの上で過ごす日が多くなるでしょう。介護者は、1日に多くの時間を介護に費やします。そのため、介護者の負担はとても大きいです。ひとりで全てを抱え込まないようにしましょう。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は309,380円です。介護施設の利用や自宅で介護する場合は、訪問介護のサービスの利用などに使用できます。1日の介護に要する時間は、90~110分未満です。1日トータルで介護する必要があります。介護者のメンタルケアや健康管理にも注意が必要です。 

要介護5 

「要介護5」は、1日中ベッドの上で過ごす・排泄・食事・着替えにおいて介助が必要です。一番重度の状態といえるでしょう。1日のほとんどの行動に介助が必要です。場合によっては、話すことも困難な場合があります。介護者は膨大な時間を介護に費やします。介護用品・サービス・協力者など、できる限りの力を借りて介護しましょう。 

介護保険制度で支給される月の限度基準額は362,170円です。介護用品や介護施設、環境の整備など、介護に関わる費用全てに使用できます。1日の介護に要する時間は、100分以上です。付きっきりで介護が必要です。介護される側と介護する側が健やかに過ごすためには、あらゆるサポートを受ける必要があります。 

39歳以下の要介護認定 

39歳以下で要介護認定を受けても、介護保険・補助金・サービスは利用できません。39歳で要介護となっても、介護保険は未加入ですので使えません。介護保険の加入は40歳からと規定でなっているためです。39歳以下で介護が必要になった場合は、実費でサービスを受けなければなりません。 

介護を受けている65歳以上の方たちは、自治体から要介護認定を受けています。そして、介護サービスを受けています。年代が上がるごとに、手厚いサービスが準備されているのが現状です。訪問入浴やデイサービスなどを保険金で利用しています。そのおかげで自己負担は1割程度です。若年層にとっては深刻な問題ですので、今後制度の見直しがあるかもしれません。 

介護保険制度とは? 

介護保険制度とは、要支援・介護状態になった場合に該当の介護サービスを受けられる制度のことです。介護には膨大な費用がかかります。しかし、介護が必要になった状態では、資金の準備が難しいでしょう。介護保険制度があることにより、費用の負担が大幅に軽減されます。費用の負担が少ないことにより、家計が回らないということは避けられるでしょう。 

介護保険制度の支給額ですが、度合いによって変わってきます。段階が進むと支給額も増加します。支給額は交通費・介護用品・介護サービスの利用など、さまざまな費用に使用できるでしょう。段階による金額の違いは、以下のとおりです。 

段階  1ヵ月の支給限度基準額 
要支援1  ¥50,320 
要支援2  ¥105,310 
要介護1  ¥167,650 
要介護2  ¥197,050 
要介護3  ¥270,480 
要介護4  ¥309,380 
要介護5  ¥362,170 

おわりに 

要介護認定は、介護の度合いを客観的に判断し数値にしたものです。日常生活の中で、どのくらいの介護を必要とするのかを分かりやすくしています。介護を受ける方だけでなく、介護する方にも重要な制度です。現在国内では「要介護2」が多いとされています。 

介護認定は、どなたでも受けられるものではありません。状態によって段階が分けられ、必要な費用が支給されます。ご家族が「もしかしたら支援・介護が必要かも」と思われる場合は、一度地域の自治体に相談してみましょう。 

よく読まれている記事

みんなに記事をシェアする