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介護のお悩み相談QA(Part2):介護を始める

セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

介護は早めの準備が大切。親の小さな変化にも目を光らせ、疑問に思ったり困ったりした時は、すぐに専門家に相談しましょう。読者の皆さんから寄せられたお悩みに、専門家がQ&A形式でお答えします。今回のテーマは、「仕事と介護の両立」「住環境」「認定調査」「介護サービスと費用」の4つです。ぜひご自身の状況に置き換えて、考えてみてください。

【相談】母親が半身麻痺に、仕事辞めるしかない?

突然の介護…わからないことだらけで不安

隣町で暮らす母(77)が突然、脳梗塞で倒れました。幸い、命に別状はありませんでしたが、右半身に麻痺が残り、現在病院に入院しています。

3年前に父が他界し、母はひとり暮らしです。私には妹がいますが、現在は海外で暮らしているので、母が頼れるのは私だけです。ただ、現在の職場は残業が多く、介護をしながら仕事を続けていく自信はありません。私は、会社を辞めるしかないのでしょうか?

介護保険制度のこともよくわからず、どうすれば良いのか困っています。

【回答】まずは上司に相談、働き続ける道を探って!

仕事を辞めたからといって、あなたが楽にはなるとは限りません。かえって精神的、金銭的な負担が重くなるケースもあります。まずは、職場の上司にお母さまのことを伝えましょう。そして、介護休暇や時短勤務など、職場の介護支援制度を活用しながら、働き続ける体制をつくることが大切です。

65歳以上の方でも、公的機関に申請しなければ、介護保険を利用することはできません。お母さまが入院している病院のソーシャルワーカー(MSW)に相談して、要介護認定の申請を行ってください。

あなたは、お母さまの介護をひとりで抱え込んでいる印象を受けます。時には息抜きも必要です。介護サービスを上手に使って、ご自身のための時間を持つようにしてください。

あなたはひとりではありません。困ったことがあれば、職場の上司や同僚、ご友人、ケアマネジャーをはじめとする専門職などに相談しましょう。

【相談】和式トイレに布団…古い家屋に不安

在宅介護に向けて、住環境を整えたい

同居する父親(82)が大腿骨を骨折し、現在、リハビリ病院に入院しています。退院後の在宅介護に向け、すでに要介護3の認定を受けていますが、ひとつだけ不安があります。

私たちが暮らす家は築40年の古い建物で、トイレは今だに和式なのです。また、両親はベッドを使っておらず、入院前も床に布団を敷いて寝ていました。

父親は、少しずつ杖で歩けるようになってきましたが、退院後の生活に不便を感じると思います。介護保険サービスを使って、何かできることはありますか?

【回答】福祉用具と住宅改修で住環境を整える

お住まいの環境を整えることは、介護するご家族の負担軽減にもつながります。介護保険サービスを活用しながら、退院前の段階で準備を整えておくことが大切です。

住環境を整備するためのサービスには、主に「福祉用具貸与」と「住宅改修」の2つがあります。「福祉用具貸与」を利用すると、介護ベッドや車椅子などが1~3割の自己負担で借りることができます。肌に直接触れるポータブルトイレや入浴用品など、レンタルが馴染まない福祉用具については、年100,000円までの購入費用のうち7~9割が補助されます。

一方の「住宅改修」は、手すりの取り付けや段差の解消、便器の交換(和式から洋式へ)など、家屋の改修費用が補助される制度。こちらは、200,000円までの工事費用の7~9割が介護保険から支払われます。

これらのサービスを利用するためには、ケアマネジャーを通した手続きが必要です。病院のソーシャルワーカーにも相談しながら、入院中に担当のケアマネジャーを探しましょう。そして、病院の理学療法士のアドバイスも生かしながら、お父さまの身体の状態に合った動線を確保し、室内での転倒を防ぐことが大切です。

サービスの利用に当たって、担当のケアマネジャーや理学療法士らを交えた事前調査(家屋調査)が行われることもありますが、介護休暇などを活用して、できるだけ立ち会うことをおすすめします。

【相談】認定調査、単身赴任の息子が同席すべき?

プライドが高い父、調査員に嘘をつくのでは…

まもなく78歳になる父親のことでご相談があります。

先日、妻が“におい”に気づき、事態が発覚しました。どうやら尿漏れのようです。父はプライドが高く、汚してしまったズボンを数ヵ月前から隠していました。最近、物忘れも増えてきたので、これを機に介護保険を申請することにしました。4年前に母が亡くなって以降、一家で父の面倒を見てきましたが、2年前に私が単身赴任となってからは、妻と長女に任せっきりの状況でした。

実は来週、認定調査があります。父は直前まで、介護サービスの利用を拒んでいたので、調査員に嘘をつくのではないかと心配です。やはり仕事を休んででも、息子の私が立ち会うべきでしょうか?

【回答】同居者が立ち合いを、普段の様子伝えて!

お父さまは、認知症を発症している可能性があります。

おっしゃる通り、認知症の方は、認定調査の際に平静を装うことがあります。ただ、一緒に暮らす奥さまの方が、最近のお父さまの言動をご存じだと思います。奥さまが立ち合い、普段のご様子を伝えていただく方が望ましいでしょう。

目の前で認知症について話すと、ご本人のプライドを傷つけるおそれがあります。調査員の方をこっそり呼んで、帰り際に伝えるのもひとつの手です。介護認定は、調査から2~3週間後に判明しますが、介護の必要度が高い場合、認定前にサービスを暫定利用できることもあります。ぜひ、お近くの地域包括支援センターにご相談ください。

【相談】介護保険が使えない?金銭面が心配

民間の介護サービスを利用したいけど…

先日、同居する父親(79)が胃がんの手術を受け、胃を全摘しました。順調に回復し、まもなく退院する予定ですが、退院後の介護に不安を感じています。

がん患者でも、身体に不自由がなければ、介護保険を利用できない場合があると聞きました。私は仕事が忙しく、いつも帰宅時刻が遅いので、容体が安定するまでの間、父親の世話をしてくれる方が必要ですが、民間の介護サービスは高額なイメージがあります。何か良い解決方法があれば、教えてください。

【回答】認定受けずに利用できるサービスも

お父さまの見守りの必要性が高ければ、介護保険の認定が下りる可能性もあるので、まずは、お近くの地域包括支援センターに相談してみましょう。仮に介護保険を利用できない場合、自治体が提供する介護サービスの中に、要介護・要支援者の認定を受けなくても利用できる「介護予防・生活支援サービス」というものがあります。

日常生活のご様子や身体機能、栄養状態などを確認する25項目の「チェックリスト」に回答し、サービスの該当者になれば、買い物や掃除などの生活支援サービスを受けることができます。住民のボランティアによる見守りや配食サービスなどもありますが、自治体によって内容が異なるので、お住まいの自治体の窓口や地域包括支援センターに相談してみましょう。

民間の介護サービス(自費)は高額なイメージがありますが、サービスの利用回数を増やして単価を下げるなど、うまく活用すれば、出費をある程度抑えることもできます。気になる方は、無料介護相談にお問い合わせください。

ちょっと気になる親のコト。大丈夫かな?と思ったら

「離れて暮らす両親が心配…」「親はまだ元気だけど、介護について知っておきたい」「介護保険って、誰でも使えるの?」などお悩みがありましたら、「わかるかいごbiz」無料の相談窓口をご利用ください。専門のスタッフが状況に応じたアドバイスをいたします。

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