「親の体調が思わしくない」とき何ができる?

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「親の体調が思わしくない」とき何ができる?

認知症をはじめとして、高齢者はさまざまな病気を抱えるリスクが高まっていますが、本人の意識や周囲からの働き掛けによっては、その発症を防いだり、進行を遅らせたりすることができます。「親の体調が思わしくない」と感じたとき、子どもをはじめとする家族や周囲の人にできることとして知っておいてほしいポイントをまとめて解説します。 

1.「認知症かな?」と思ったら…… 

認知症の高齢者は、団塊の世代が全員75歳以上を迎える2025年において全国で約700万人、高齢者全体の約2割を占めると推計されています。認知症は特に高齢になると誰もがかかる可能性のある病気ですが、「もしや?」と思ったときに適切な対応をすれば、症状の抑制やその後の介護負担の軽減につなげることができます。 

1-1.「物忘れ=認知症」とは限らない 

一般的に、高齢になると「物忘れが多くなる」「何度も同じことを聞く」といったことが多くなり、周囲も「認知症かもしれない」と心配になります。しかし、こうした加齢変化は自然なことです。年齢相応の物忘れと認知症の記憶障害は同一ではないことに注意しましょう。 

年齢相応の物忘れは、体験の一部を忘れるだけで物忘れは自覚しているのに対し、体験したこと自体を忘れ、忘れたことを自覚していないのが認知症の記憶障害です。例えば、その日の昼御飯の献立を思い出せないのが年齢相応の物忘れ、昼御飯を食べたこと自体を忘れるのが認知症の記憶障害です。 

その他の典型的な認知症症状としては、「自宅近くで道に迷う」「簡単な計算を間違える」「今まで好きだったことに関心がなくなる」「身だしなみを構わなくなる」「それまでと性格が変わったり、怒りっぽくなったりする」などがあります。ただし、これらの症状が現れた場合、うつや別の病気が疑われることもあり、いずれにしても素人判断は危険です。「不安だな」と感じたら、本人に早めの受診を促しましょう。 

1-2.早めの診断の重要性 

認知症を疑ったら、できるだけ早く専門機関を受診することが大切です。脳の画像診断を受けることで、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫といった、手術で改善できる病気が判明することもあるからです。 

また、今の医療技術では認知症を根治することはできませんが、認知症の薬を早期から服用することで、症状の発現を抑えたり、進行を遅らせたりすることが期待できます。さらに、家族が認知症への理解を深め、適切な対応を学ぶことで、本人の気持ちが安定し、激しい症状が抑えられることも分かっています。 

1-3.認知症疑いの場合の受診方法 

認知症の診療科は「物忘れ外来」「精神科」「心療内科」「神経内科」などがありますが、「物忘れ外来」を掲げたクリニックに必ずしも認知症を熟知した専門医がいるとは限りません。かかりつけ医がいる場合は、認知症専門医に紹介状を書いてもらうことをおすすめします。かかりつけ医がいない場合は、保健所など自治体の相談窓口で専門医療機関を尋ねるか、インターネットで認知症専門医を検索すると良いでしょう。 

本人が認知症だと思っていない場合や、認知症であることを認めたくない場合、受診を促すのは難しいものです。無理やり病院に連れて行くことで関係がこじれる心配もあります。そのような場合は、あらかじめ病院と相談し、「病院から健康診断の知らせが来たから受診しよう」と声をかけたり、持病がある場合は「違う病気の心配が出てきたから検査をしよう」などと持ちかけたりすると良いでしょう。受診の際には、本人の自尊心を傷つけるような表現は避け、医師に伝えたいことがある場合は本人が見ていないところでメモを渡すなどしましょう。 

2.健康状態の悪化を防ぐ介護予防 

2-1.基本チェックリストを受けてみよう 

認知症に限ったことではありませんが、介護が必要になりそうな高齢者を早期に発見し、状態の悪化を防ぐため、多くの市区町村は「基本チェックリスト」による判定を実施しています。このチェックリストは厚生労働省が作成したもので、運動、口腔、栄養、物忘れ、うつ症状、閉じこもりなど25項目について「はい/いいえ」で回答し、介護の原因となりやすい生活機能の低下のリスクがないかどうかを判定します。 

判定の結果、生活機能の低下がみられ、要支援・要介護状態となるおそれのある方には介護予防事業への参加を、生活機能の低下がない元気な高齢者には、現在の状態を維持することを目的に、健康教室や講演会への参加を促しています。 

基本チェックリストは、市区町村によって、65歳以上の高齢者すべてに配布されるケース、判定を希望する高齢者が高齢者担当課や地域包括支援センターの窓口に申し出るケースがあります。 

2-2.介護予防事業や健康教室に参加しよう 

生活機能の低下がみられる高齢者が参加する介護予防事業、元気な高齢者(一般高齢者)が参加する健康教室などの内容は、実施する市区町村によってさまざまです。 

通所型介護予防事業としては、運動機能向上プログラム(転倒や骨折につながる筋力低下などを予防するため、ストレッチや有酸素運動、筋力トレーニングなどを行う)、栄養改善プログラム(低栄養や偏った食事を改善することを目的に、栄養指導や食事のアドバイスを受ける)、口腔機能の向上プログラム(かんだり飲み込んだりする機能の強化や、口の中を清潔に保つ方法の指導を受ける)などが提供されています。また、訪問型介護予防事業として、保健師や看護師、歯科衛生士が、閉じこもりやうつ、認知機能の低下などで外出するのが困難な高齢者を訪問してケアや指導を行っています。 

一般高齢者対象の健康教室としては、体力維持や腰痛・膝痛改善のための体操やウォーキングを行う体操教室、調理実習や栄養相談を行う栄養教室、生活習慣病予防や転倒予防などについての講演会などが提供されています。 

3.親が遠方に暮らしていてもできること 

3-1.親の生活の様子や交友関係を知っておく 

高齢の親の様子が気にかかっていても、離れた土地で暮らしていると、足しげく訪ねるのは難しいものです。しかし、「突然入院することになった」「気付いたときには認知症が進行していた」という事態になってから慌てても、いつもどのような暮らしをしていたかを知らないと、充分なケアができないこともあります。そこで、親が元気なうちから、普段の暮らしや交友関係についてチェックしておくことをおすすめします。どのような生活リズムで暮らしているのか、生活する上で何を大切にしているのか、帰省の際に自然な会話で探ると良いでしょう。 

また、お金に関することは親子であっても尋ねにくいものですが、常時介護が必要になり、施設入所を考えたときに、資金が足りないということにもなりかねません。万が一のときはどうしたいのか、そのための蓄えは充分なのかというところから確認しておくと良いでしょう。 

3-2.事故が起こりにくい住まいの環境整備 

高齢者にとって、家の中は必ずしも安全な場所とは限りません。例えば、骨粗鬆症を抱えていると、転倒をきっかけに骨折して入院することになり、そのまま寝たきりになることもあります。「玄関や敷居の段差を解消する」「電化製品のコード類を結束して部屋の隅に寄せる」「階段を使わなくて済むよう2階の寝室を1階に移す」など、転倒を未然に防ぐ環境を整えていきましょう。 

また、高齢者の一人暮らしでは、火事や事故も心配されます。「石油ストーブをやめてエアコンやホットカーペットにする」「ガスコンロをIHクッキングヒーターに替える」など、器具の交換も考えたいものです。ただし、いたずらに高機能のものは使いこなせない場合もあるので、充分にリサーチして本人の意向を聞いてから導入しましょう。 

3-3.安否確認サービスや認知症高齢者の支援制度を活用する 

脳卒中の発作が起こったり、転倒して意識を失ったりというような緊急時の対応についても考えておく必要があります。活用したいのが安否確認のサービスです。地域によっては町内会による見守りや、ゴミ収集などの際の定期的な安否確認などの取り組みを行っているほか、自治体が緊急通報装置の貸し出しを行っているケースもあります。電気ポットの使用の有無で安否を確認し、確認できない場合はスマートフォンに通知してもらうシステムなど、民間でもさまざまな安否確認サービスが開発されています。 

また、先々のために知っておきたいのが「日常生活自立支援制度」や「成年後見制度」です。地域の社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援制度は、日常的なお金の出し入れの管理などに関して認知症の高齢者をサポートするものです。成年後見制度は、認知症などで判断能力が不十分になった人の財産管理や介護サービスなどの契約締結を支援するため、後見人を定める制度です。本人の判断能力が不十分になってから裁判所に後見人を申し立てる「法定後見」、本人に判断能力があるうちに自らが任意後見人を決める「任意後見」があります。今すぐに活用することはなくても、今後の親の生活を考える中でさまざまなケースを想定し、制度の概要を理解しておくことが必要です。 

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