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初めての介護で気を付けることとは?介護保険・在宅介護についての完全ガイド

初めての介護で気を付けることとは?介護保険・在宅介護についての完全ガイド
セゾンのくらし大研究 編集部

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セゾンのくらし大研究 編集部

豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

親や配偶者の介護は、ある日突然始まるケースがほとんどです。高齢になると要介護となるリスクは高まり、いきなり介護が必要になることは珍しくありません。しかし初めて家族の介護をする時には、どこに相談し、まず何から始めたらいいのか分からない方がほとんどです。

そこでこのコラムでは、初めての介護で気をつけたいポイントや介護保険で受けられる介護サービス、困ったときの相談先などをご紹介します。すでに介護が始まった方はもちろん、将来の介護に備えて理解を深めておきたい方もぜひチェックしてみてください。

初めての介護でまず考えておきたいこと

家族の介護に携わる際にまず考えておきたいのは、介護のスタートからゴールまでのロードマップを理解しておくことです。最初に介護の全体的な流れについて押さえておくと、ご自身が現在どのステップに置かれているのかを把握しやすくなり、介護の進め方を決めたり、起こりうる出来事に備えたりすることができます。

介護の4ステップとは

介護のスタートからゴールまでのロードマップとして、主に以下の4つのステップがあることを把握しておきましょう。

  1. 混乱期
  2. 負担期
  3. 安定期
  4. 看取り期

介護を必要とする段階になると、普段の行動や会話に違和感を覚えたり、認知症の兆候が見られたりと、日々の変化に混乱する「混乱期」が訪れます。親や配偶者が介護を必要とする状態になったことを受け入れ、前向きに準備を進めていくためには気持ちを整理する時間も必要となるでしょう。

実際に介護を始めてすぐの段階では、介護に携わるご自身にとって大きな負荷が発生する「負担期」が訪れます。介護を受ける方にとっても、ストレスや疲労がたまり、できないことが増えてくることに対して絶望を感じることも多くあります。

認知症などの症状が進み、寝たきりの状態が続く段階になると、介護の負担や気持ち面が落ち着く「安定期」に入ります。介護を受ける方も現状を受け入れやすくなり、ご自身の状況を割り切って考えられるケースも出てきます。安定期の期間は人それぞれ違い、症状の進行が緩やかな状態が数ヵ月のみの場合もあれば、何年も続く場合もあります。

そして最期の時を迎える「看取り期」が訪れます。必ずやってくる別れの日に備え、延命治療や遺産相続などの話し合いも事前に進めておくことが望ましいでしょう。

手厚い介護支援サービスを利用しよう

家族が要介護状態になった際には、すべてご自身で負担を背負う必要はなく、国や自治体から手厚い介護支援サービスを受けることが可能です。

介護保険サービスを利用することにより、介護費用は1割〜3割の自己負担で済むため経済的に大きな負担が発生することは少ないです。また、要介護度によってはホームヘルパーや通所介護といったサービスも受けられるため、うまく活用することでご自身の負担を軽減できるでしょう。

ただし、手厚く用意されている介護支援サービスを受けるためには、まずお住まいの自治体の役所もしくは「地域包括支援センター」で申請を行う必要があります。そのため介護を必要とする段階になったら、早めに関係各所へ相談することが大切です。

まずは介護についての言語化・話し合いを

親や配偶者が介護を必要とする状態になった際には、「誰が中心となって介護を行うのか?」を家族全員で話し合っておく必要があります。また、介護に直接関わらない家族が、経済的にどれだけサポートするのかを明確にしておくと安心です。

介護について家族で話し合い、言語化しておかなければ、介護をきっかけに家族の関係にヒビが入ってしまう可能性もあります。その後の遺産相続の際に、介護負担の差で揉めることも少なくありません。そのため介護の中心となる方や経済的な支援、介護施設の利用などは早めに決めておくことが大切です。

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初めての介護で知っておきたい介護保険とは?

初めての介護で知っておきたい介護保険とは?

初めて介護に携わる際には、ご自身の介護負担を軽減できる「介護保険」について、しっかりと理解を深めておくことが大切です。ここでは介護保険サービスの内容・利用方法と申請の流れについて詳しくご紹介します。

介護保険で受けられるサポート内容

介護保険を利用すると、在宅介護を支援するためのさまざまな支援が受けられます。主なサポート内容として、以下の3つが挙げられます。

  1. 訪問介護サービス
  2. 通所介護サービス(デイサービス)
  3. 短期入所サービス(ショートステイ)

訪問介護サービスでは、自宅での介護支援を受けられるほか、買い物や掃除などの日常生活支援を利用することも可能です。また、在宅介護を始めるための介護リフォーム費用の補助を受けることもできます。

通所介護サービスは「デイサービス」とも呼ばれ、日中は施設で預かってもらいながらレクリエーション・入浴・リハビリなどのサービスを受けることができます。往復時には職員の方の送迎が受けられるため、送り迎えの手間も発生しません。

短期入所サービスは「ショートステイ」とも呼ばれ、日中のみではなく数日間の間、施設で預かってもらえるサービスです。家族の出張や冠婚葬祭などで在宅介護が難しい場合に便利です。ただし介護施設では受け入れられる利用者数に上限があるため、早めに予約を申し込まないと利用できないケースも多くなります。

介護保険の利用方法と申請の流れ

介護保険サービスを受けるためには、まずお住まいの自治体の役所または地域包括支援センターでの申請が必要です。

申請が通ると職員がご自宅を訪問してヒアリングを行い、医師の診断結果などをもとに要介護度を決定します。

要介護度が決定すると、介護支援専門員(ケアマネジャー)の方とともに、具体的にどのようなサービスを受けるかを決める「ケアプラン」を作成します。受ける介護保険サービスは、このケアプランをもとに決定します。

なお、ケアマネジャーは介護の専門家として、介護を続ける上では最も身近な相談相手となります。そのためしっかりとコミュニケーションを取ることが大切で、場合によっては自治体に相談してケアマネジャーの変更も依頼すると良いでしょう。

初めての介護では在宅介護と老人ホームのどちらを選ぶべき?

同居する家族が要介護になった際には、住み慣れた自宅で介護をする「在宅介護」と、老人ホームなどで預かって介護をしてもらう「施設介護」のどちらかを選択することとなります。どちらを選ぶかによってご自身の負担や発生する費用などが異なるため、それぞれのメリット・デメリットをまとめてご紹介しましょう。

在宅介護のメリット・デメリット

在宅介護では、ご自身の自宅で介護を行い、介護に携わるのは主に同居する家族です。

介護を受ける方にとっては、住み慣れた自宅にそのまま住み続けることができるため、環境の変化が少なく負担が軽減できるメリットがあります。介護に携わる方にとっても、小さな変化にすぐ気づいて対処できるメリットが得られるでしょう。

一方で、介護に携わる同居の家族の負担が大きくなりやすく、ご自身のための時間が取りづらくなる点がデメリットです。また、在宅介護を行うにあたって介護リフォームを必要とする場合には、大きな費用負担が発生する可能性もあります。

老人ホームのメリット・デメリット

老人ホームでの施設介護では、介護施設において介護・看護の専門家が利用者の介護を行います。

老人ホームの場合、介護・医療の専門家が見守ってくれるため持病がある方や体調を崩しやすい方でも安心して任せられるメリットがあります。また、他の利用者との共同生活となるため、コミュニケーションの回数が増え、レクリエーションを通じて新たな楽しみが生まれたりすることもあります。

ただし施設介護では、入居する施設によっては高額な費用負担が毎月発生する点がデメリットです。特別養護老人ホームに入ることができれば費用負担は抑えられますが、民間の介護施設を選んだ場合、毎月100,000円以上の費用を要するケースもあります。そのため年金や親族からの支援を踏まえ、慎重に資金計画を立てなければなりません。

初めての介護で困った時の相談先

初めての介護で困った時の相談先

初めての介護では、まず何を用意してどう行動すればいいのかわからないことも多いでしょう。そんな時には、介護の相談を受け付けている地域の窓口を頼ることが重要です。ここでは介護について相談できる窓口として、以下の3つについてご紹介します。

  1. 地域包括支援センター
  2. 医療機関
  3. 居宅介護支援事業所・ケアマネジャー

それぞれ解説しましょう。

地域包括支援センター

地域包括支援センターとは、地域の高齢者を支援するために自治体が設置している窓口です。社会福祉士や保健師、主任ケアマネジャーなどが在籍し、介護についてトータルにサポートしてもらうことができます。地域によっては「高齢者あんしん相談センター」など、別の名前で呼ばれることもあります。

相談料は無料で気軽に利用できますが、管轄エリアが決まっているためお住まいの地域を担当する地域包括支援センターを利用すると良いでしょう。

医療機関

病気などで通院している医療機関がある場合には、受診の際に介護について相談できる場合もあります。かかりつけ医に介護について相談することで、適切な窓口を紹介してもらえる可能性も高いです。病院によっては「地域連携相談室」などを設置しているケースがあるため、受付や医師に声を掛けてみると良いでしょう。

居宅介護支援事業所・ケアマネジャー

居宅支援事業所とは、ケアマネジャーを派遣し、ケアプランの作成や受けるサービスの調整を行ってくれる事業者を指します。要介護認定を受け、介護をスタートした後は居宅介護支援事業所のケアマネジャーが主な相談先となります。

介護の悩みや不安についてケアマネジャーに相談することで、適切なサービスの提案や医療機関の紹介なども受けることが可能です。そのため介護について何かあれば、まずは担当のケアマネジャーを頼るようにすると、安心して家族の介護を続けることができるでしょう。

おわりに

初めての介護では、まずは介護のスタートからゴールまでのロードマップを把握しておくことが大切です。そのうえで介護保険サービスを使って受けられるサポート内容を把握しておき、家族全員と話し合いながら介護の計画を立てることで、後悔のない介護を始めることができます。

初めての介護で不安がある場合や、介護の進め方で悩んだ場合には、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、ご自身の負担を軽減しながら介護を続ける方法を選ぶことが大切です。介護はひとりきりで悩むことなく、家族や親戚、福祉の支援などもうまく活用しながら付き合っていきましょう。

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