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要介護・認知症になると旅行に行けない?ヘルパーを依頼して家族旅行を楽しむ方法

要介護・認知症になると旅行に行けない?
セゾンのくらし大研究 編集部

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家族が要介護や認知症になった場合、一緒に家族旅行には行けないと感じる方が少なくありません。旅行先での介護や移動の際の不安など、さまざまなリスクを考える方も多いでしょう。

しかし美しい景色や温泉、グルメを楽しめる旅行は、要介護・認知症となった家族にとってリフレッシュの機会になります。今回のコラムでは、要介護・認知症の家族と一緒に旅行するための、介護ヘルパー付き旅行についてご紹介します。

要介護になると旅行に行けないと感じる方が2倍に

観光庁が実施した調査によれば、家族が要介護状態になる前と後で、旅行頻度が大きく低下していることがわかります。たとえば介護開始前に国内宿泊旅行を「まったく行かない」と回答したのは19.4%ですが、介護開始後になると45.7%に上昇します。

つまり、家族の介護を始めることにより、旅行に行けないと感じる方が2倍以上に増えていることを意味します。「年に2回以上」「年に1回程度」と回答する方も大きく減少しており、介護が始まったことで旅行に行けなくなる方が増加していることが分かります。

出典:平成 26 年度ユニバーサルツーリズム促進事業報告書|観光庁

しかし家族旅行は介護を受ける方にとっても、介護に携わる方にとっても、貴重なリフレッシュの機会となります。日々のストレスを発散できる場になるほか、家族と一緒に旅行先で過ごすことでコミュニケーションの機会も増えるでしょう。

要介護の家族と共に旅行へ行くのは決して簡単ではありませんが、起こりうるトラブルを把握してて安全に旅行するコツを押さえ、介護サービスをうまく利用することで快適で楽しい旅行を満喫することも可能です。

要介護・認知症の家族と旅行に行くと起こりうるトラブル

要介護・認知症の家族と旅行に行くと起こりうるトラブル

要介護や認知症の家族との旅行では、旅行先での思わぬトラブルが最も心配される点でしょう。ここでは旅行先で起こりうるトラブルとして、以下の3つについてご紹介します。

  • 体調への負担・ケガ
  • 同行者の疲労・ストレス
  • 認知症による記憶障害

それぞれ解説しましょう。

体調への負担・ケガ

要介護・認知症の方が旅行に行く際には、体調への影響やケガを防止するための配慮が必要になります。

車いすの事故や転倒によってケガをしてしまったり、不慣れな環境で体調を崩してしまうこともあるでしょう。いきなり長期・遠方へ旅行に行くことは避け、まずは日帰り旅行や近場への宿泊旅行から始めると安心です。

同行者の疲労・ストレス

家族のサポートを行う同行者の方にとっても、慣れない場所での介護は負担になります。

同行者の方が疲労・ストレスによって旅行を楽しむことができなかったり、要介護の家族にとって罪悪感や申し訳なさにつながってしまっては元も子もありません。事前に同行する方のみで旅行の下見に行くなど、家族旅行に行くすべての方が快適に過ごせる旅行プランを立てる必要があります。

認知症による記憶障害

認知症の方と一緒に旅行へ行く場合、記憶障害による混乱に注意しなければなりません。

認知症の方は環境の変化に敏感で、不安や心配を抱きやすい傾向にあります。旅行に訪れていることを忘れてしまい、混乱したり暴れたりすることもあるでしょう。旅館やホテルの宿泊中に徘徊し、行方不明になってしまうリスクもあるため細心の注意が必要です。

要介護・認知症の家族との旅行を安全に楽しむコツ

続いて、要介護・認知症の家族と一緒に旅行を楽しむためのコツとして、以下の5つのポイントをご紹介しましょう。

  • ゆとりを持った旅程を組む
  • 休憩スポットを確保しておく
  • バリアフリー施設やグリーン車を選ぶ
  • 医療施設を確認しておく
  • 介護旅行の支援サービスを利用する

それぞれの内容について詳しく解説します。

ゆとりを持った旅程を組む

介護が必要な家族との旅行を楽しむ際には、可能な限りゆとりあるスケジュールを組むようにしましょう。

窮屈なスケジュールで家族旅行を計画してしまうと、介護を受ける方も、介護をする方も疲労が蓄積してしまいます。移動のペースが遅れたり、トイレ休憩が増えることも考えられるため、細かく予定を組むのは避けると良いでしょう。

休憩スポットを確保しておく

トイレ・ベンチがある施設や公園などの休憩スポットを事前に確認しておくことも大切です。

不慣れな旅行先では、誰もが身体的にも精神的にも疲労する可能性があります。そのため事前に旅行先を下見しておくなど、実際に足を運んで休憩できそうな場所をリストアップしておくと安心です。

バリアフリー施設やグリーン車を選ぶ

旅行先で訪れる施設や旅館・ホテル、移動手段は可能な限り介護がしやすいものを選びましょう。

車いすでも利用できる浴室・トイレを備えた宿泊施設を選んだり、車いす対応のトイレを利用できるグリーン車を予約したりすることで、より快適に旅行を楽しむことができます。観光先の施設では、駐車場の広さや階段・エレベーターの有無をチェックしておき、車いすでも利用できるか事前に問い合わせておくと安心です。

医療施設を確認しておく

家族の体調が悪化した場合などに備えて、旅行先の医療施設も把握しておくと良いでしょう。

万が一の際に連絡できる医療施設を調べておくことで、安心して旅行を楽しむことにもつながります。また、保険証やお薬手帳、常備薬なども忘れずに持参するようにしてください。

介護旅行の支援サービスを利用する

介護が必要な家族と一緒に旅行する場合、便利な支援サービスを利用するのもひとつの選択肢です。

介護旅行に詳しい「トラベルヘルパー」を依頼できるケースや、介護タクシーを利用できるケースなどもあるため、うまく活用することで家族・同行者の負担を減らしながら旅行を楽しむことができます。介護旅行を支援してくれるサービスについて、詳しくは次項でご紹介します。

要介護・認知症の家族との旅行で役立つサービスとは?

要介護・認知症の家族との旅行で役立つサービスとは?

要介護・認知症の家族と旅行へ行く際には、家族や親戚のみで旅行するのではなく、介護や旅行のプロに同行をお願いすると安心です。ここでは介護旅行を支援するサービスとして、以下の3つをご紹介します。

  • トラベルヘルパー
  • 介護付き旅行サービス
  • 介護タクシー

それぞれ解説していきましょう。

トラベルヘルパー

トラベルヘルパーとは、介護・旅行の2つの分野を専門とするスタッフのことを指し、宿の手配や旅行先の選定、旅行の際の食事・排泄などのサービスを受けることができます。

介護・旅行のプロに同行してもらうことにより、家族への負担を最小限に抑えながら旅行を楽しむことができるでしょう。旅行中に医療行為を必要とする方向けのトラベルヘルパーも存在するほか、結婚式や同窓会など、気軽な外出に対応してくれるケースもあります。

旅行の計画段階からアドバイスを受けることができるため、家族旅行をしたいと思ったらまずトラベルヘルパーに相談してみると良いでしょう。トラベルヘルパーの情報を得る際には、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーに問い合わせてみるのが確実です。

介護付き旅行サービス

介護付き旅行サービスは、旅行会社が提供する介護サービスが付属した旅行プランのことを指します。

旅行中の介助はもちろん、夜間の見守りや看護師による医学的管理など、旅行を安心して楽しめる介護サービスが充実している点が特徴です。バリアフリー仕様の旅館・ホテルの手配を依頼することも可能で、介護タクシーの予約も一任することができます。車いすや四点杖などの福祉用具がレンタルできるのも魅力です。

ご自身にとって必要な介護サービスを選択して申し込むことで、手頃な価格で介護旅行を実現できるメリットもあります。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、お住まいの地域で利用できる介護付き旅行サービスを検討してみましょう。

介護タクシー

介護タクシーとは、介護資格を持った運転手が目的地まで送迎してくれるタクシーのことをいいます。

家族が同乗するケースなどは保険適用外となり、利用料金が高額になるケースもありますが、介助を受けながら移動できるのは大きなメリットでしょう。近場への旅行であれば、介護タクシーを利用した車での旅行も選択肢になります。遠方への旅行の場合は、現地で介護タクシーの予約を済ませておくと安心です。

トラベルヘルパーや介護付き旅行サービスの事業者によっては、介護タクシーの手配も請け負ってくれることもあるため、事前に相談しておくと良いでしょう。

おわりに

要介護・認知症の家族がいる場合、旅行に行けないと感じる方は少なくありません。実際に要介護になる時期の前後で、まったく旅行に行かないと回答する方が2倍以上になるというデータもあります。

体調への負担やケガのリスク、同行者の疲労・ストレスなど不安な点は数多くあるかもしれませんが、ゆとりを持った旅程を組み、事前に下見して休憩スポットを調べておくことにより、安心して旅行を楽しめるようになるでしょう。

また、トラベルヘルパーや介護付き旅行サービス、介護タクシーなどの支援サービスを利用することにより、旅先で安全に快適な時間を過ごせるでしょう。介護旅行に行きたいと思ったら、まずは地域包括支援センター・ケアマネジャーに相談してみてください。

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