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税務署から「相続税についてのお知らせ」が届いたらどうする?誰に届く?

税務署から「相続税についてのお知らせ」が届いたらどうする?誰に届く?
セゾンのくらし大研究 編集部

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家族が亡くなり、財産を受け継いでから約半年後、税務署から突然、「相続税についてのお知らせ」という通知が届くことがあります。この通知は放っておけば良いものではなく、決められたプロセスを踏んで対応しなければ最悪の場合、ペナルティとして税金が課せられてしまいます。この記事では、「相続税についてのお知らせ」とは何か、届いたら何をしなければいけないのかといったことについて、わかりやすく説明します。

この記事を読んでわかること

  • 「相続税についてのお知らせ」は、税務署から相続税が発生する可能性がある方に送られてくる通知
  • 相続税が発生するか計算し、支払う必要がなければ同封の検討表を返送、支払いが必要な場合は期限までに申告が必要
  • 通知が届いてから相続税の申告期限まで、期間はあまり長くなく、遅れた場合ペナルティもありうる
  • 相続税がかかることを見越した準備、もしくは専門家への相談を
相続税申告サポート
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「相続税についてのお知らせ」の送付対象となるのはどんな方?

「相続税についてのお知らせ」の送付対象となるのはどんな人

「相続税についてのお知らせ」は、家族の一員が亡くなった世帯すべてに送られてくるわけではありません。

この通知書は、「相続税の申告が必要な可能性がある」と税務署が判断した世帯にのみ送付されます。「相続税の申告が必要な可能性がある」とは具体的に言うと、亡くなった方の遺産の総額が基礎控除額を超える可能性があるということです。

ちなみに、相続税の申告が必要な可能性がより高い世帯には「相続税申告等についてのご案内」という別の通知が送られます。

では、税務署は一体どのようにして通知先を判別しているのでしょうか。

税務署が保有している「KSK(国税総合管理)システム」がその答えです。「KSKシステム」では、過去の申告状況や納税情報が一元管理されています。

このシステムによって税務署は個人の所得や保有する財産を把握することができ、それを基に相続税のかかる可能性がある世帯を見つけることができるのです。

誰かが亡くなると、残された家族は死亡から7日以内に市区町村に死亡届を提出することが義務付けられています。そして、死亡届を受理した市区町村は、そのデータを税務署に送ることになっています。市区町村が死亡届のデータを税務署に送ることは、相続税法第58条(市町村等の通知)にて定められたものです。

市区町村からデータを受け取った税務局は、「KSKシステム」内に管理されている情報を活用し相続税がかかりそうな方に目星をつけています。このようなステップを踏んで、「相続税についてのお知らせ」は送付されています。

また、「相続税についてのお知らせ」や「相続税申告等についてのご案内」が届かなかった場合でも、相続税申告は必要ないと確約されているわけではありません。

「相続税についてのお知らせ」はいつ税務署から届くか

「相続税についてのお知らせ」はいつ税務署から届くか

「相続税についてのお知らせ」は、多くの場合、相続の発生(被相続人が死亡した日)から約半年後に送られてきます。ここで注意しなければならないのは、相続税を申告する期限は、「相続が発生したことを知った日の翌日から10ヵ月以内」ということです。ほとんどの場合、「相続が発生したことを知った日」は「被相続人が亡くなった日」です。したがって一般的には、「相続税についてのお知らせ」が届いた時点で申告の期限まで3ヵ月~4ヵ月ほどしか残されていないということになります。

通知は半年後に届くとは限らず、相続の7ヵ月後、8ヵ月後になって届くということもあり得ます。加えて、相続税の申告は、ただ役所に行って書類を記入すれば良いというものではなく、資料の収集や財産の評価などさまざまな作業を行ったうえで申告書を作成してから提出する必要があります。

つまり、「相続税についてのお知らせ」が届くまで何も準備をしていなかった場合、かなり急いで申告書の作成を進めなければ期限までに申告が間に合わなくなってしまうのです。申告期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税といった追加の負担が課せられる恐れがあります。

このように、「相続税についてのお知らせ」から相続税申請までの猶予は長くありません。そのため、「お知らせ」が届いた場合はできるだけ早く申告の準備を進めていく必要があります。

「相続税についてのお知らせ」が税務署から届いたらすること

「相続税についてのお知らせ」が税務署から届いたらすること

ここからは、実際に「相続税についてのお知らせ」が届いたときに何をするべきかを解説していきます。

相続税がかかるか計算して確認

「お知らせ」が届いて最初に行うべきことは、本当に相続税が発生するのかどうかを計算して確認することです。先述しましたが、相続税が発生する条件は被相続人の遺産の総額が基礎控除額を超えていることです。基礎控除額は以下のように計算できます。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、父、母、息子の3人家族で父が亡くなった場合、法定相続人は母と息子の2人となるので、基礎控除額は次のように算出されます。

3,000万円+600万人×2人=4,200万円

この例の場合、遺産の総額が4,200万円を超えた場合に相続税が発生します。

遺産総額の計算は、預金や有価証券の他に、不動産を持っている場合はその物件の相続税評価額も確認する必要があります。

土地の相続税評価額は、国税庁のホームページで公表されている「路線価」に従って算出します。路線価が定められていない土地の場合は「倍率方式」という方法を使います。この際も、国税庁のホームページから評価倍率を確認して計算することができます。

遺産総額を計算する際に注意しなければいけないのは、「名義預金」、「みなし相続財産」といったわかりづらい相続財産です。

名義預金とは、他人名義の預金口座で管理されている本人(被相続人)のお金のことです。名義上は他人の口座でも、通帳や印鑑を被相続人が管理して貯金をしている場合、名義預金とみなされる可能性が高いです。

例えば、被相続人が自分のお金を子や孫名義の口座に貯金していた場合、税務署がそれが名義預金と判断するとその預金金額を遺産総額に加えなければいけません。

みなし相続財産とは、民法上は相続財産とされない(亡くなった日の時点ではその方の財産ではない)ものの、被相続人の死亡によって家族が得られる相続財産として相続税法でみなされている財産です。代表的な例としては、被相続人の職場からの死亡保険や、本人にかかっていた生命保険契約の保険金といったものが挙げられます。

このような遺産は、相続税とは関係ないと勘違いされがちなので注意しましょう。何が名義預金やみなし相続財産に該当しているのかよくわからない場合は、専門家に相談することをおすすめします。

支払う必要がなければ「相続税の申告要否検討表」を税務署に返送

「相続税についてのお知らせ」には、「相続税のあらまし」「チェックシート」などと一緒に「相続税の申告要否検討表」というものが同封されています。遺産総額を算出した結果、それが基礎控除額を下回っていれば相続税を支払う必要はありません。

「相続税の申告要否検討表」は、「お知らせ」が送られた世帯の中で相続税を支払う必要がない場合に返送が求められているものです。

しかし、検討表は相続税無申告者のチェックの一環であり、「相続税についてのお知らせ」が届いたということは税務署から相続税発生の可能性があるとみなされていることを意味しているため、無申告・申告漏れではないことを税務署に確認してもらうためにも、返送しておいた方が無難です。

相続税の納税義務があるのに返送しなかった場合

「相続税の申告要否検討表」の提出は納税者の任意であり、必ず返送しなければいけないと決められているわけではありません。

したがって、相続税がかかることがわかっており「お知らせ」が届く前から準備を進めている場合や、「お知らせ」が届いてから検討表にしたがって遺産を算出したところ相続税が発生することがわかった場合は、「相続税の申告要否検討表」を返送する必要はありません。

ただし、これらの場合には期限(相続開始の翌日から10ヵ月)までに必ず相続税の申告を行わなければいけません。期限までに申告が間に合わなかった場合、追加の税金などのペナルティが課されることになってしまいます。

関連記事:相続税の申告に対するペナルティとは?よくある申告漏れパターンやばれる仕組み

「相続税についてのお知らせ」が届く前にできること

「相続税についてのお知らせ」が届く前にできること

ここまで説明してきたように、「相続税についてのお知らせ」が届いてから相続税が発生するかを計算し、申告の準備を行と非常にタイトなスケジュールとなってしまい、さらには、「間に合わなくなってしまうのではないか」という不安も付きまといます。

平成25年に相続税法が改正され、基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」へと大きく引き下げられました。以前までは一般の方々には縁がないように思えた相続税も、今では多くの世帯に課されるものになっています。

以下では、「相続税についてのお知らせ」が届いてから焦ることのないように、事前に行っておくことができる準備について解説します。

相続税の申告が必要かどうか計算する

被相続人の遺産総額を計算し申告書を仕上げるためには、かなりの時間と労力がかかります。申告期限の間近になってから急いで取りかかることがないようにするため、事前に計算しておくと良いでしょう。

「面倒だし、相続税がかかるかも分からないのに…」と思われるかもしれませんが、気がつかないまま相続税の申告を行わずにいると、罰則として追加の負担がかかることになります。

「相続税についてのお知らせ」が送られた世帯から期限までに申告もなく、「相続税の申告要否検討表」の返送もなかった場合、税務署はその世帯に対して「税務調査」を行う可能性があります。調査によって無申告が発覚した場合は、ペナルティとして延滞税、無申告加算税、悪質な隠ぺいと判断された場合は重加算税といった追加の税金を課せられてしまいます。

このような事態に陥らないようにするためにも、相続の発生後はできるだけ早期に相続税の申告が必要かどうかを計算しておくことが重要です。もっとも、喪に服している最中で、さらには葬儀や行政手続きなどもあり、遺産総額について計算する時間と体力がないということもあるでしょう。そうした場合、専門家に相談して力を借りながら進めていくと負担を軽くすることができます。

生前から遺産総額を把握しておく

相続税の有無を調べる際には、やはり遺産総額の把握が大きな壁となってきます。

インターネットが発達した現代では預金通帳や株式に関わる証明書などがオンライン上のさまざまなサービスで管理されており、さらに、それらの情報は原則として契約する本人だけが知っているパスワードで守られています。

インターネット上に埋もれた財産を被相続人が亡くなってから残された家族がゼロから探し出し、その価格までも明らかにすることは困難です。

被相続人の生前から遺産総額の把握を進めておくことで、このような問題を解消することができるでしょう。

相続人である家族と被相続人が協力して、どのような財産があり、その価値はどのくらいで、証明はどこにあるかといった情報を整理しておくことで、相続が発生してからの作業にかかる家族の負担を大幅に減らすことができ、相続税の申告が遅れてしまう事態を防ぐことができます。

また、生前贈与を活用することによって、相続によって受け継がれる財産を減らすことができます。生前贈与にもさまざまな注意点がありますが、上手く生前贈与を使うと遺産の総額を基礎控除の枠内におさめることができる可能性もあります。

関連記事:相続税対策には生前贈与を活用!節税方法と注意点を解説

「相続税についてのお知らせ」が届いたら専門家に相談を

「相続税についてのお知らせ」が届いたら専門家に相談を

相続税の計算や、資料集めなど、手続きは大変複雑です。

一方で、これまで説明してきたように申告までの期限は短く、早急な準備が求められています。間に合わなかった場合はペナルティを課せられてしまう点も、とても大きな不安材料であると思われます。

セゾンの相続 相続税申告サポート」では、相続に強い提携専門家のご紹介ができ、複雑な作業を少ない労力で、確実に進めることができます。「相続税についてのお知らせ」が届いてどうすればいいかわからない、そんな方は一度専門家への相談をご検討ください。

セゾンの相続 相続税申告サポートの詳細はこちら

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おわりに 

「相続税についてのお知らせ」とは何か、通知が届いたらどうすればよいのか、といったことについて、相続税申告が間に合わなかった場合のペナルティや事前にできる対応策などとともに説明しました。相続税は今や裕福な人だけに関係するものではなく、多くの方が課税の対象となりうる税金です。大切なご家族の思いがこもった遺産を損なわれることのないように受け継ぐため、相続についてできるだけ早い段階から話をしておく、専門家に相談するなど、できることから準備を進めておきましょう。

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