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相続税の納付方法まるわかりガイド|申告までの流れや払えないときの対処法も解説

相続税の納付方法まるわかりガイド|申告までの流れや払えないときの対処法も解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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遺産を相続した場合、相続人は相続税を納付しなければなりません。しかし、相続税納付をどのように行えば良いのか、期限内にできないとペナルティはあるのかなど、不明な点も多いのではないでしょうか。

この記事では、相続とは切っても切れない相続税について、納付までの流れや具体的な納付方法、期限内に納付できない場合の対処方法などを解説します。
(本記事は2023年12月25日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 相続税の納付期限は「相続を知った翌日から10ヵ月以内」
  • 納付書は送られてこないため、ご自身で納付書を記入して提出する
  • 納付は原則現金一括だが、払えない場合には「延納」と「物納」の2つの方法がある
  • ただし「延納」と「物納」には利子税の納付も必要
相続税申告サポート
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相続税納付までの流れをおさらい

相続税納付までの流れをおさらい

家族や親族が亡くなると相続が発生し、それに伴い相続税を納付しなければなりません。まずは、相続税納付までの流れについて解説します。

相続が発生する

家族や親族などの被相続人が亡くなった日(亡くなったと知った日)に相続が発生します。

相続の発生に伴い、指定された期間内に死亡届の提出や年金の受給権者死亡届の提出などを行う必要があります。

被相続人の財産と相続人の確認をする

相続が発生した場合、どのような財産があるのか調べる必要があります。

土地、建物、株式や公社債などの有価証券、預貯金、現金などの他、金銭的に見積もることができるすべての相続財産が相続税の課税対象です。日本国内に所在する財産の他、日本国外に所在する財産も含まれます。

被相続人の死亡に伴い支払われる死亡保険金や死亡退職金などの「みなし相続財産」や借金、公租公課などのマイナスの財産の把握も欠かせません。

また、遺言書の有無も確認しておきましょう。加えて、相続人を漏れなく調べるために、被相続人の出生から死亡までの戸籍を集めておくことをおすすめします。

遺産分割協議を行う

遺産分割協議とは、相続人全員で相続財産(遺産)の分割方法を話し合う手続きです。被相続人の遺産は相続人全員の共有状態であるため、相続人全員が参加して行わなければなりません。

遺言書がある場合は、遺言書にしたがって遺産分割を行うのが原則です。遺言書に分け方が記載されている遺産については、遺産分割協議の対象から除外されます。

遺産分割協議が成立したら、その内容を遺産分割協議書にまとめて書面化しておきましょう。その後、遺産分割協議書の内容にしたがって遺産を分割し、各相続財産の名義変更などを行います。すべての相続財産の名義変更が完了したら、遺産分割協議は終了です。

相続税額を割り出す

相続税は、遺産総額から基礎控除額を引いた金額に対して課税されます。

相続税額の基本的な計算式は、以下のとおりです。

  • 遺産総額-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額
  • 課税遺産総額×各相続人の法定相続分×税率-控除額=各相続人の算出税額
  • 全相続人の算出税額を合算=相続税の総額
  • 相続税の総額×各相続人の相続割合=各相続人の実際の相続税額

税務署に相続税の申告をする

相続税額を割り出したら、期限までに被相続人の住所地を管轄する税務署に相続税の申告を行いましょう。

相続税の申告方法には、「直接持参」「郵送」「e-Tax」の3種類があります。

相続税を納付する

相続税の納付期限は、相続を知った翌日から10ヵ月以内です。そのため、期限までに申告書の提出と納付を完了しなければなりません。

しかし、税務署に申告書の提出をしても、納付書が送られてくることはない点に注意してください。相続税を納める方がご自身で納付書を記入し、手続きを行わなければなりません。

相続税の納付書は最寄りの税務署でもらうことができます。納税者1人につき1枚の納付書が必要ですが、相続人が複数いる場合は、他の相続人の分をまとめて取得することも可能です。

ただし、相続税は相続人それぞれが納付する必要があるため、本人以外の支払いとなる「肩代わり納税」は贈与とみなされます。また、相続人のうち1人でも相続税を納付しない場合、他の相続人に納付義務が課せられる「連帯納付義務」なので、注意してください。

相続税の支払い方法は、原則として現金一括払いです。

相続税の納付方法は4パターン

相続税の納付方法は4パターン

相続税の納付方法は、以下の4種類です。

【相続税の納付方法】

  • 所轄税務署で納付する
  • 金融機関で納付する
  • コンビニで納付する
  • クレジットカードで納付する

各納付方法とメリット・デメリットを解説します。

所轄税務署で納付する

被相続人の住所地を所轄する税務署の窓口で納付する方法です。

メリット:安心して手続きできる

手続きに不備が生じた場合や不明な点がある場合にも安心して手続きを済ませることが可能です。また、申告と納付を同時に行えば、一度で済みます。

デメリット:現金を持ち歩かなければならない

納付できる税務署が決まっているため、金融機関やコンビニに比べると不便に感じるかもしれません。また、現金一括納付のため多額の現金を持ち歩かなければならない点は大きなデメリットです。

さらに、受付は平日のみなので、都合をつけて税務署に行かなければなりません。

金融機関で納付する

最寄りの銀行や郵便局、信用金庫などの金融機関の窓口へ納付書を提示して納付する方法です。

メリット:現金の持ち歩きリスクがない

口座から現金を引き出してそのまま納付できるので、現金を持ち歩くリスクを軽減できます。

デメリット:営業時間が限られている

税務署同様、金融機関も営業時間が限られているため、都合をつける必要があります。金融機関によって対応している時間が異なるので、事前に確認してください。

コンビニで納付する

コンビニでの納付は、バーコードがついた納付書が必要です。あらかじめ納付書を税務署に提出し、バーコードがついた納付書を入手しておきましょう。

なお、電子申告による場合は、国税庁のホームページからQRコードの作成を行い、コンビニに設置してある端末で読み取ることでバーコードがついた納付書を発行することが可能です。

メリット:納付に行くハードルが低い

店舗数が多く、24時間365日営業しているため、納付に行くハードルが低いです。また、ATMで現金を引き出してそのまま納付できるため、現金を持ち歩くリスクも軽減させられます。

デメリット:納付額に上限がある

コンビニ納付の場合、納付額が300,000円以下の方が対象と上限がある点はデメリットです。また、バーコード付の納付書の入手またはQRコードの作成をする必要があるため、手間がかかります。

クレジットカードで納付する

インターネット上のクレジットカード支払機能を利用して、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners Club、TS CUBIC CARDにて、国税の納付の立替払いを委託することにより国税を納付する方法です。

メリット:好きなタイミングで手続きできる

インターネット上で手続きするため、利用可能時間は24時間といつでも都合の良いタイミングで納付が可能です。クレジットカード会社によっては、ポイントを貯めることも可能です。

デメリット:手数料が発生する

クレジットカードでの納付の場合、他の方法と異なりクレジットカードの決済手数料が発生します。決済手数料は納付税額に応じて変わるため、以下の表で確認してください。

納付税額決済手数料(税込)
1~10,000円83円
10,001円~20,000円167円
20,001円~30,000円250円
30,001円~40,000円334円
40,001円~50,000円418円
以降も同様に10,000円を超えるごとに決済手数料が加算されます。

また、クレジットカード納付は、1度の手続きにつき納付額が1,000万円未満、かつご利用になるクレジットカードの決済可能額以下の金額(決済手数料を含む)の場合に限ります。

相続税の申告・納付が期限内にできなかった場合のペナルティ

相続税の申告・納付が期限内にできなかった場合のペナルティ

相続税は、相続を知った翌日から10ヵ月以内に申告・納付をしなければなりませんが、期限を過ぎるとペナルティを受ける可能性がありますので注意しなければなりません。

【相続税の申告・納付が期限内にできなかった場合のペナルティ】

  • 延滞税が加算される
  • 無申告加算税がかかる
  • 重加算税を課せられる

延滞税が加算される

期限内に納付ができないと、延滞税が課せられます。

延滞税は、納税が「遅れた金額」と「遅れた日数」に応じて算出されるため、納税が遅れるほど額が増えていきます。

また、延滞税の税率は年によって異なり、納期限の翌日から2ヵ月以上遅れると税率が高くなる仕組みです。遅れた場合は、なるべく早く支払った方が良いでしょう。

無申告加算税がかかる

正当な理由がなく相続税の申告が遅れた場合には、無申告加算税が課税されます。

無申告加算税は、納付すべき税額に税率をかけて計算します。500,000円までは15%、500,000円を超える税額に対しては20%が原則です。ただし、自主的に期限後申告をした場合は、5%に軽減されます。

重加算税を課せられる

重加算税とは、意図的に申告内容を仮装したり、事実を隠ぺいしたり、と客観的に判断され、脱税の事実があった場合に課されるペナルティです。

税務調査で重加算税の対象となった場合、不足分の税金(追加本税)に加えて、重加算税と延滞税も支払う必要があります。

関連記事:相続税が払えない!延納する場合の条件や期間、手続きについて詳しく解説

納付期限までに相続税を払えないときの対処法

納付期限までに相続税を払えないときの対処法

納付期限までにまとまったお金を準備できない場合や、現金がなく納付できない場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。

【納付期限までに相続税を払えないときの対処法】

  • 延納(分割納付)する
  • 物納する

延納(分割納付)する

延納とは、相続税額が100,000円を超え、金銭で納付することを困難とする場合、納税者の申請によって納付困難な金額を限度として担保を提供することにより、年賦の方法(年払い)で納付することです。

延納を申請する場合は、以下の要件を全て満たさなければなりません。

  • 相続税額が100,000円を超えること。
  • 金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額の範囲内であること。
  • 延納税額および利子税の額に相当する担保を提供すること。
  • 納付期限までに申請書を提出すること。

ただし、延納税額が100万円以下、かつ延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。

延納期間が3年以上、納税額が100万円以上の場合には担保を用意しなければならない点、延納する場合には利子税もかかる点に注意が必要です。

物納する

物納とは、相続税に限って、延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合に、納税者の申請により納付困難な金額を限度として一定の相続財産による納付ができる方法です。

物納を申請するためには、以下の要件を全て満たす必要があります。

  • 延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること。
  • 物納できる財産から選定されたもので、申請の順位を満たすこと。(物納に充てる財産には優先順位があります。)
  • 納付期限までに申請書を提出すること。

物納にも延納同様に利子税の納付が必要となるため、注意しましょう。

相続税の納付方法や流れの不明点は「セゾンの相続」で解決!

相続税の納付方法や流れの不明点は「セゾンの相続」で解決!

相続の手続きをご自身で行う場合、被相続人の財産や相続人の確認、書類の準備、納税などやるべきことが多いです。手続きが複雑なため、時間と手間もかかるため不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

ご自身での相続税申告が難しいとお考えでしたら、「セゾンの相続 相続税申告サポート」をご活用ください。相続税申告に強い税理士と提携しておりますので、無料相談や最適なプランのご提案が可能です。生前の相続対策からお亡くなり後、遺産相続後までサポートいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

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おわりに

相続が発生した場合には相続税の申告・納付をしなければならず、期限が過ぎるとペナルティが課されるため注意が必要です。ただし、相続税の計算や申告・納付手続きは複雑なので、ご自身だけで行うのは難しいかもしれません。事前準備とともに、税金の専門家に相談することも検討してみてください。

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