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法定相続情報証明制度とは?注意点や利用が向いているケースをご紹介

法定相続情報証明制度とは?注意点や利用が向いているケースをご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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相続が発生したときの手続きは、相続登記や預金払い戻し、相続税の申告などさまざまですが、共通しているのが「戸籍書類一式」が必要な点です。戸籍書類一式とは、被相続人や法定相続人の戸籍謄本や戸籍抄本などのことですが、揃えるのに時間や費用がかかるだけでなく相続人間のトラブルの原因にもなりかねません。そこで、便利な制度が「法定相続情報証明制度」です。

この記事では、法定相続情報証明制度の注意点や利用が向いているケースをご紹介します。相続手続きに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
(本記事は2024年1月31日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 法定相続情報証明制度では法定相続人とその相続分を証明する概要を提供し、相続手続きを簡素化できる
  • 制度を利用するためには、被相続人の戸除籍謄本や住民票の除票などの必要書類を集める必要がある
  • 申請処理に要する時間や一部の銀行や保険会社では受け入れられない可能性など、課題や考慮事項がある
  • 多数の戸籍や複数の資産の名義変更が必要なケースでは、特にこの制度の利用が時間や労力の節約に役立つ
相続手続きサポート
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法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度とは?

法定相続情報証明制度とは、相続人が相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)とともに徐戸籍謄本などの束を法務局(登記所)に提出し、一覧図の内容が民法に定められた相続関係と合致しているかを登記官が確認した上で、その一覧図に認証文を付した写しを無料で交付する制度です。

この制度を利用すると、相続人が作成した「相続関係を一覧にした図」を、登記所で確認・認証することで、相続手続きの際に相続人の戸籍謄本などの提出が省略可能となります。相続分は入っていません。 

法定相続情報証明制度のメリットは、相続登記や被相続人名義の預金払い戻し、相続税の申告などの各種相続手続きに必要な「戸籍書類一式」の提出が省略できることです。戸籍書類一式を収集するには、時間と労力がかかります。

亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの除戸籍謄本、相続人全員の住民票や徐戸籍謄本など、相続人の数や関係によっては数十枚の束になることもあります。揃えるためには時間や労力だけでなく、費用もかかります。また、依頼しても書類を取りに行ってくれないなど、相続人間にトラブルが発生する場合もあります。

法定相続情報証明制度を利用すれば、1回戸籍書類一式を用意する必要はありますが、何度も戸籍書類一式を集めなくて済むようになりますので、効率的に相続を進めることができるでしょう。

法定相続情報証明制度利用の5つのメリット

法定相続情報証明制度を利用することのメリットは、以下の5つです。

  • 相続手続きに必要な「戸籍書類一式」の収集は1度のみにできる
  • 制度利用に費用がかからない
  • 焦らず順を追って手続きが進められる
  • 代理人に委任して申し出できる
  • 直接足を運ばなくても郵送でも申請可能

それぞれについて解説します。

相続手続きに必要な「戸籍書類一式」の収集は1回のみにできる

法定相続情報証明制度を利用し、認証文つき法定相続情報一覧図の写しを交付してもらうと、相続登記や預金払い戻し、相続税の申告、年金の手続きなどの各種相続手続きの際に戸籍書類一式を毎回集める必要がありません。

制度利用に費用がかからない

法定相続情報証明制度の利用は無料です。また、認証文つき法定相続情報一覧図の写しの交付は、必要な枚数無料で交付されます。ただし、郵送の場合には郵送料がかかるので、その点には注意してください。

焦らず順を追って手続きが進められる

法定相続情報証明制度を利用すると、5年間は情報が保管されます。その間であれば、再発行が何度でも可能なため、焦らず順を追って手続きが進められます。相続が発生したときにすべての手続きを一気に行うのは容易なことではありません。法定相続情報証明制度の利用により、手続きの効率化や正確性が向上するでしょう。

代理人に委任して申し出できる

法定相続情報証明の申出ができるのは相続人ですが、相続人自身が申請できない事情がある場合は代理人に委任できます。代理人として申出ができるのは、相続人の親族、税理士や司法書士などの専門家、法定代理人などです。相続人の中には、遠方に住んでいたり、高齢や病気で移動が困難だったりする方もいるでしょう。また、相続人間の関係が悪くて協力できない場合もあるかもしれません。

直接足を運ばなくても郵送でも申請可能

法定相続情報証明は管轄の法務局(登記所)へ申請しなければなりません。ただし、直接足を運ばなくても郵送で申請が可能なので、時間を節約できます。郵送での申請は、申請書と必要書類を登記所に送付するだけです。ただし、申請書に本人確認書類の写しを添付する必要がある点に注意してください。

法定相続情報証明制度利用の流れは?手続き方法のまとめ

法定相続情報証明制度利用の流れは?手続き方法のまとめ

法定相続情報証明制度を利用するまでの大きな流れは、以下の通りです。

  1. 申出

法定相続人の代表者または代理人が登記所に申請書と必要書類を提出します。

  1.  亡くなった方の徐籍謄本と相続人全員の戸籍抄本などです。
  2.  法定相続情報一覧図を作成します。亡くなった方や相続人の氏名や続柄、作成者などを記入します。
  3.  申請書を作成します。申出をする登記所は、以下の中から選択できます。
  • 亡くなった方の本籍地(死亡時の本籍)
  • 亡くなった方の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 亡くなった方名義の不動産の所在地
  1. 確認・交付

登記官が申請書と必要書類の内容を確認し、法定相続情報一覧図を保管し、認証文付き法定相続情報一覧図の写しを交付します。交付時に提出した戸除籍書類一式等が返却されます。

必要な枚数、手数料無料で交付されますので、手続きに必要な枚数を受け取れます。また、内容に不備があった場合には、登記官から書類の修正や追加の書類の提出を求められることがあります。申請は、郵送での提出も可能ですが、可能であれば、直接窓口でお手続きされることをお勧めします。

  1. 各種相続手続きへの利用

認証文つき法定相続情報一覧図の写しは、相続登記や被相続人名義の預金払い戻し、相続税の申告、年金の手続きなどの各種相続手続の際に、戸籍書類一式の代わりに利用できます。

参考:
法務局|法定相続情報証明制度について

申出に必要な戸徐籍謄本を準備する

相続手続きの最初のステップは、必要な資料を集めることです。必要書類には、故人の戸籍謄本や住民票、相続人全員の戸籍謄本や住民票などが含まれます。

申し出の手続に当たって用意する具体的な書類は、以下の通りです。

【必ず用意する書類】

書類名取得先
被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本
出生から亡くなられるまでの連続した戸籍謄本及び除籍謄本。
被相続人の本籍地の市区町村役場
被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票
被相続人の住民票の除票。
被相続人の最後の住所地の市区町村役場
相続人の戸籍謄抄本
相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本を用意する。
(被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要)
各相続人の本籍地の市区町村役場
申出人(相続人の代表となって、手続を進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類
以下に例示(※1)する書類のいずれか一つひとつ。
・運転免許証の表裏両面のコピー(※2)
・マイナンバーカードの表面のコピー(※2)
・住民票記載事項証明書(住民票の写し) など
※1上記以外の書類については、登記所に確認する。
※2原本と相違がない旨を記載し、申出人の記名をする。

【必要となる場合がある書類】

書類名取得先
(法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)
各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは、相続人の任意によるものである。
各相続人の住所地の市区町村役場
(委任による代理人が申出の手続をする場合)
⑥-1 委任状
⑥-2(親族が代理する場合)申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本(①又は③の書類で親族関係が分かる場合は必要ない)
⑥-3(資格者代理人が代理する場合)資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等
⑥-2について、市区町村役場
(②の書類を取得することができない場合)被相続人の戸籍の附票
被相続人の住民票の除票が市区町村において廃棄されているなどして取得することができない場合は、被相続人の戸籍の附票を用意する。
被相続人の本籍地の市区町村役場

参照元:法務局

法定相続情報一覧図を作成する

次に、法定相続情報一覧図の作成に移ります。これは、相続人の範囲を明確にするための図です。そのため、相続人の数や関係性を正確に記さなければなりません。誤りがあると手続きに支障をきたすため、正確さが求められます。専門家のアドバイスを受けながら進めると良いでしょう。

なお、図示する以外に被相続人及び相続人を列挙するだけの記載になる場合もあります。作成はA4の丈夫な白紙で、手書きでも明瞭に判読できるものであれば構いません。

ダイアグラム

中程度の精度で自動的に生成された説明

参照元:法務局

申出書に必要事項を記入し登記所に申し出する

最後に、申出書に必要事項を記入し、必要書類と共に登記所に提出します。申出書には、相続人全員の情報や相続の範囲などを記載してください。申出後、登記官の確認を経て、認証文つき法定相続情報一覧図の写しが発行され、戸籍謄本等は返却されます。

法定相続情報証明制度の注意点について事例をもとにチェック

法定相続情報証明制度の注意点について事例をもとにチェック

法定相続情報証明制度は便利な制度ですが、利用する際には以下のような注意点があります。

  • 亡くなった人や相続人の一部が日本国籍ではない
  • 相続放棄する相続人がいる
  • 銀行・保険会社によっては使えないケースもある
  • 申請後から受け取るまで約1~2週間かかる

亡くなった人や相続人の一部が日本国籍ではない

亡くなった方や相続人の一部が日本国籍ではない場合には、法定相続情報証明制度は利用できません。法定相続情報一覧図を作成するには、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの連ながりのある戸徐籍謄本が必要です。また、相続人全員の現在の戸籍謄本が必要になります。戸籍は、生まれてから亡くなるまでの親族関係などを登録公証するもので、日本国民のみが編成されます。つまり、外国籍を取得した方は、日本の戸籍からは除籍されてしまうのです。そのため、法定相続情一覧図の作成ができないのです。

その場合には、「相続関係を説明する図」を作成し、亡くなった方や相続人全員の戸籍謄本などを収集し、提出することになります。

相続放棄する相続人がいる

法定相続情報一覧図は、申出人が作成しなければなりません。相続人の範囲を明示するために作成しますが、ここで誤りがあると手続き全体に影響を及ぼす可能性があります。

正確な一覧図を作成するには、相続人同士の関係を明らかにできる詳細な情報が必要であり、手間がかかる作業だといえるでしょう。特に、家族構成が複雑な場合や相続人の中に外国籍の方がいる、相続放棄をする方がいる場合などは、専門家のアドバイスが必要になることも多いです。

例えば、相続人の中に、相続放棄する人がいる場合には、実際には相続はしないものの、法定相続情報一覧図は戸籍謄本などをもとに作成するので記載が必要です。

この場合、相続税申告等、実際に使用する際には、相続放棄に関しての書類も必要になります。

銀行・保険会社によっては使えないケースもある

法定相続情報証明制度は、2017年(平成29年)から始まった新しい制度であるため、まだ対応していない銀行や保険会社も存在します。例えば、ある銀行では認証文つき法定相続情報一覧図の写しを提出するだけで口座凍結の解除が可能ですが、他の銀行では追加の書類が求められることもあるでしょう。

保険金の請求においても同様で、全ての保険会社がこの制度に対応しているわけではありません。受け付けてもらえない事態を回避するためにも、関連する金融機関や保険会社にあらかじめ確認しておくことが重要です。

申請後から受け取るまで約1~2週間かかる

登記所に申出後、認証文つき法定相続情報一覧図の写しがすぐに交付されるわけではありません。書類に不備がなければ2~7日で交付されますが、実際に受け取るまでに1~2週間程度見込んでおいた方が良いでしょう。

急いで手続きを進めたい場合でもこの時間は短縮できません。待ち時間が生じることも考慮に入れて手続きを進めましょう。

こんな方はぜひ法定相続情報証明制度を利用しよう

こんな方はぜひ法定相続情報証明制度を利用しよう

法定相続情報証明制度をぜひ利用していただきたいのは、特に以下のような方です。

  • 戸籍書類を集める作業を1回で済ませたい方
  • 取引銀行数・名義変更する遺産が複数あるなど手続きの回数が多い方

以下、それぞれについて解説します。

戸籍書類を集める作業を1回で済ませたい方

本来、各種相続手続きには亡くなった方の戸籍謄本、除籍謄本、相続人全員の戸籍謄本など、多数の戸籍関連書類が必要です。しかし、手続きのたびにこれらの書類を集めるためには大変な時間と労力がかかります。

法定相続情報証明手続きは、申出の際に1回戸籍書類一式を集める必要はありますが、認証文つき法定相続情報一覧図の写しを交付してもらい、その後の相続手続きは、何通もの戸籍書類に代えて提出することが可能です。これにより、相続手続きの効率化を図ることができます。戸籍書類を集める作業を1回で済ませたい方、相続人の人数が多い方は、ぜひこの制度を活用してください。

取引銀行数・名義変更する遺産が複数あるなど手続きの回数が多い方

取引銀行の数が多い、名義変更が必要な遺産が多数ある場合、それだけ手続きの回数が増えます。複数の銀行口座や不動産、車、株式など多くの資産の名義変更を行う必要がある場合、一つひとつの手続きが負担となりかねません。

法定相続情報証明制度を利用することで、個別に戸籍謄本類を提出しなくて良くなるため、大幅な時間短縮と効率化が実現します。

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おわりに

法定相続情報証明制度は相続手続きを効率的に進めるために非常に有効な方法です。一方で、申出の際に法定相続情報一覧図の作成など大変な部分もあります。自分のケースは法定相続情報証明制度を利用した方が良いのか分からない、具体的な進め方を相談したい方は、「セゾンの相続 相続手続きサポート」などプロに相談してみてはいかがでしょうか。

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