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異母兄弟も相続人の対象になる?相続割合やトラブルの回避方法を解説

異母兄弟も相続人の対象になる?相続割合やトラブルの回避方法を解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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離婚や再婚歴のある父が亡くなった場合、異母兄弟が相続に加わってくる可能性があります。もともと異母兄弟・姉妹を知っているケースもあるかもしれませんが、遺言書による認知ではじめて存在をするケースも少なくありません。異母兄弟も相続人なので遺産分割協議に参加することになりますが、相続順位や相続分の計算が複雑になるなどトラブルに発展することもあるので注意が必要です。

この記事では、異母兄弟がいる場合の相続について、相続順位や相続割合、起こりやすいトラブル事例、対処法などを詳しく解説します。相続時のトラブルを回避するためにも、ぜひ把握しておきましょう。
(本記事は令和6年1月31日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 父が死亡した場合、異母兄弟は第1順位の法定相続人になる
  • 異母兄弟の相続割合は、死亡した方や配偶者の有無によって変わるので注意が必要
  • 異母兄弟との遺産分割協議で起こりやすいトラブルは、連絡が取れない、感情的になってもめる、遺産分割決定後に異母兄弟の存在が発覚する、法定相続分の計算が複雑なことなど
  • 遺産分割協議でもめないためには父に遺言書を作成しておいてもらうのが賢明
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異母兄弟は法定相続人として第1順位

異母兄弟は法定相続人として第1順位

父と前妻の間に子がいるとき、あるいは婚姻関係にない第三者との間に子がいる場合でも認知されていれば父の法定相続人になります。母が異なることから異母兄弟・姉妹と呼ばれますが、父の血族であり相続権や法定相続分も同じです。

また、父が亡くなったのちに異母兄弟姉妹間で相続が発生するケースもあるので、相続分や相続順位は正確に把握しておく必要があります。

民法で定められた相続人を法定相続人といい、相続順位も以下のように指定されています。

  • 配偶者は常に相続人となる
  • 第1順位の法定相続人:被相続人の子
  • 第2順位の法定相続人:被相続人の親
  • 第3順位の法定相続人:被相続人の兄弟姉妹

父が死亡した場合、異母兄弟・姉妹は第1順位の法定相続人となるため、遺産分割協議を行う際には必ず参加してもらわなければなりません。法定相続人がひとりでもかけていると、遺産分割協議が成立しないからです。

子どもとして認知される方法は3つ

父と婚姻関係にない第三者との間に子がいた場合、つまり婚外子であっても認知されていれば異母兄弟・姉妹であり、法定相続人となります。認知には主に以下の3つがあり、必ず生前に認知されているとは限らないので注意が必要です。

  • 任意認知:父が自ら役場に認知届を提出する方法
  • 強制認知:子が調停や訴訟を起こして認知を成立させる方法
  • 死後認知:父の死後に子が認知を請求する方法、父の死後3年間請求が可能

関連記事:親族と呼ぶのはどこまでの範囲?呼び方の単位や分類、葬式の際のケースも紹介

ケースごとに見た異母兄弟の相続割合

ケースごとに見た異母兄弟の相続割合

では、異母兄弟・姉妹の相続割合は具体的にどのように決まるのでしょうか。以下3つのケースごとに見ていきましょう。

  • 親の遺産を分割する場合
  • 兄弟・姉妹が死亡した時に異母兄弟が相続権を持つ場合
  • 異母兄弟が死亡した時にご自身が相続権を持つ場合

親の遺産を分割する場合

父が死亡した場合、配偶者が存命の場合と死亡している場合によって相続割合は変わります。

【配偶者が存命の場合】

  • 配偶者:1/2
  • 子:合わせて1/2。子の人数(異母兄弟・姉妹を含む)で均等に分ける

【配偶者が死亡している場合】

異母兄弟・姉妹を含む子の人数で均等に分ける

兄弟・姉妹が死亡した時に異母兄弟が相続権を持つ場合

親がすでに他界し、兄弟姉妹の誰かが亡くなった場合、異母兄弟・姉妹にも相続権が発生するため、ご自身を含めた残りの兄弟姉妹と異母兄弟・姉妹で遺産分割を行うことになります。ただし、異母兄弟・姉妹の相続割合は、両親が同じ兄弟姉妹の1/2です(民法第900条4号)。

例えば、父の前妻との間に異母兄弟Aがおり、ご自身を含めた兄弟B・Cがいるケースで、Bが死亡した場合を考えてみましょう。

【Bに配偶者がいる場合】

相続人は配偶者とA、Cです。配偶者の相続割合は3/4、AとCで残りの1/4を分けますが、異母兄弟Aの相続割合はCの1/2となるため、相続割合はAが1/12、Cは1/6となります。

【Bに配偶者がいない場合】

相続人はAとCのみです。CはBと両親が同じなので相続割合がAの2倍となるため、Aの相続割合は1/3、Cは2/3となります。

異母兄弟が死亡した時にご自身が相続権を持つ場合

異母兄弟が死亡し、その異母兄弟に子がおらず両親も他界している場合、異母兄弟の相続人はその方の兄弟姉妹になりますが、義理の兄弟姉妹であるご自身にも相続権が回ってきます。

母が違っても同じ父の血族なので、たとえ今まで一度も連絡を取ったことがなくても相続人として遺産分割協議に参加しなければならない可能性があることに注意してください。

異母兄弟との遺産分割協議で起こりやすいトラブル事例

異母兄弟との遺産分割協議で起こりやすいトラブル事例

遺産分割協議は相続人全員で行わなければ成立しません。そのため、日頃交流のない異母兄弟・姉妹との間でトラブルに発展することも想定されます。ここでは、異母兄弟を含めた遺産分割協議で起こり得るトラブルを見ていきましょう。

異母兄弟と連絡がとれず遺産分割協議が進まない

父が後妻などに異母兄弟の連絡先を教えているケースは少ないため、父が亡くなり相続が発生しても異母兄弟と連絡が取れず、遺産分割協議がストップする恐れがあります。遺産分割協議には相続人全員が参加しなければならず、成立させるためには異母兄弟の連絡先をなんとか突き止めなければなりません。

仮に異母兄弟抜きで遺産分割協議を行っても銀行などの金融機関や法務局、税務署などの各機関は相続手続きに応じてくれないので、注意が必要です。可能であれば父の存命中に異母兄弟の居所や連絡先を確認しておきましょう。

感情的になってしまいもめやすい

後妻や父と後妻の子からすると、異母兄弟は自分たちの相続分を減少させる存在です。そのため、好意的に受け入れることができない可能性があり、そうするとお互い感情的になってもめてしまうかもしれません。

相続財産の内容が原因でトラブルに発展するケースもあります。例えば、主な相続財産が自宅だけだったとしましょう。相続人が後妻とその子だけであれば居住実態に鑑みて柔軟に遺産分割を進められる可能性が高いです。しかし、異母兄弟が法定相続分通りの分割を主張してくれば自宅を異母兄弟と共有する事態になり、トラブルが長期化しかねません。

また、異母兄弟に相続財産のすべてを明らかにせず、後妻と子だけで資産価値の高い財産を取得しようとするケースも見られます。しかし、財産隠しが発覚すれば遺産分割協議をやり直さなければならず、さらにもめる可能性が高まるでしょう。

遺産分割決定後に異母兄弟が発覚する

父が生前に異母兄弟を認知しておらず、遺言でも認知してなかった場合、遺産分割協議が決着した後になって異母兄弟の存在が発覚するケースもあります。父の死亡後子が認知請求を行う死後認知の場合も同様です。

遺産分割協議は相続人全員が参加しなければ成立しないため、遺産分割協議をやり直さなければなりません。加えて、すでに相続手続きに着手していてもすべてやり直さなければならず、長引く可能性もあります。

法定相続分の計算がわかりにくい

異母兄弟がいる場合、法定相続分の計算がわかりにくいこともトラブルに発展する原因のひとつです。被相続人が誰なのか、配偶者はいるのかによって複雑に変動します。

法定相続分の計算を間違うと遺産分割をやり直さなければならない事態に陥りかねないため、不明な点がある場合は司法書士や税理士、弁護士など相続の専門家に相談することが大切です。

異母兄弟との相続に関する相談は「セゾンの相続」へ!

異母兄弟との間で遺産分割を行う場合、相続割合が複雑になる、連絡が取れないなどトラブルに発展する可能性が高くなります。異母兄弟との遺産分割に関してご不明点がある場合は、「セゾンの相続 相続手続きサポート」にご相談ください。

セゾンの相続 相続手続きサポート」では、経験豊富な提携専門家のご紹介も可能ですので、生前の相続対策から相続手続き、相続後までサポートします。相続手続きに不安がある方、まずは相談だけしたい方もぜひお問い合わせください。

セゾンの相続 相続手続きサポートの詳細はこちら

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関連記事:遺産分割協議書作成後にトラブル発覚!?具体例と対処法をご紹介

遺産分割協議でのトラブルを回避するためにできること

遺産分割協議でのトラブルを回避するためにできること

異母兄弟がいると、法定相続分が複雑になるなど遺産分割協議でトラブルに発展する可能性があります。では、そうした事態を回避するためにできることはないのでしょうか。ここでは、異母兄弟がいる場合に遺産分割協議でのトラブルを回避するためにできることを解説します。

誰が相続権を持つのかを把握する

まずは、誰が相続権を持つのか、対象となる相続人を確認することが大切です。

異母兄弟の存在は、父の戸籍謄本を取り寄せれば調べることが可能です。父が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍謄本や除籍謄本、改正原戸籍謄本、戸籍の附票を取り寄せ、前妻との間の子や認知された子がいないか確認しましょう。

父が健在の間に父自身に取得してもらっておくとスムーズです。死亡後は相続人が申請できますし、遠方であれば郵送による取得もできます。

異母兄弟と手紙で連絡をとる

遺産分割協議のために異母兄弟と連絡する際は、電話やメールよりも住所を調べて手紙を送るのがおすすめです。電話やメールのほうが便利ではありますが、面識のない異母兄弟の電話番号やメールアドレスを調べるのは非常にハードルが高いでしょう。SNSで連絡が取れる可能性もありますが、同姓同名の別人である可能性もあるので、不安が残ります。

この点、住所は住民登録に基づき戸籍と紐づけられているので、連絡が取れる可能性が高まります。面識のない異母兄弟の住所は、戸籍の附票で確認することが可能です。戸籍謄本で異母兄弟の本籍地を確認し、本籍地の市区町村役場で戸籍の附票を取得してください。

住所がわかったら、まずは戸籍の附票の住所に手紙を送りましょう。住所がわかったからといっていきなり自宅を訪ねるのは禁物です。警戒されてその後の話し合いもスムーズにいかなくなるリスクがあります。

参考までに面識のない異母兄弟への手紙の例文をご紹介します。事情を丁寧に説明し、相続手続きに協力してほしいことを伝えましょう。

山田和夫様

拝啓

突然お手紙を差し上げる失礼をお許しください。

私の父、田中一郎(住所:東京都〇区△1丁目2-3、生年月日××年〇月〇日)が、かねて病気療養中のところ令和□年◇月◇日に永眠いたしました。

父の相続手続きにあたり必要書類を揃えていたところ、山田和夫様も相続人であることがわかりましたのでご連絡させていただきました。ご連絡が遅くなり大変申し訳ございません。

相続手続きには相続人全員の合意が必要であり、山田様のご協力が不可欠です。お気持ちを伺ったうえで、相続人全員が納得できるよう手続きを進めて参りたいと考えております。

つきましては、このたびの経緯と今後必要な手続きにつきまして、ご説明の機会をいただきたく存じます。大変恐縮ではございますが、一度私、田中健次郎(電話番号:090-△△△△-△△△△)までご連絡をいただけないでしょうか。または、同封の封筒にて山田様のご連絡先電話番号をお知らせいただければ、私からご連絡差し上げます。いずれかの方法で今月中にご連絡いただけますと幸いです。

ご多用中の中大変お手数をおかけいたしますが、何卒ご協力いただけますようお願い申し上げます。 

敬具

令和6年〇月〇日

田中健次郎        

郵便番号247-××××   

神奈川県鎌倉市○○3丁目4-5

親に遺言書の作成をお願いする

親に遺言書の作成をお願いする

異母兄弟の存在を知っており、のちのちトラブルが発生しないように事前に取り計らえるのは、この場合、被相続人である父だけです。そのため、生前に父に対して遺言書を作成してもらっておくことが有効な方法として挙げられます。

遺言書がないと、被相続人の死亡後、相続人が全員集まって遺産分割協議を行わなければならず、合意ができなければ相続争いに発展する可能性があります。遺言書で誰に何をどのくらい相続させるのか具体的に指定していれば、遺産分割協議を行う必要もありません。

遺留分を侵害しないよう注意を促す

遺言書を作成してもらう場合、相続人の遺産の最低限の取り分である「遺留分」を侵害しないよう注意を促しましょう。

父が亡くなり、異母兄弟が相続人になる場合、子として遺留分が保証されています。ただし、異母兄弟のひとりがなくなり兄弟姉妹が相続する場合は、兄弟姉妹に遺留分はないため、法律上問題はありません。

なお、遺言書は自筆でも作成できますが、遺言の内容や文章は専門家に依頼し、公証役場にて公正証書遺言にしておく方が安心です。

異母兄弟へ相続放棄を打診してみる

異母兄弟が長年にわたって父と疎遠に出会った場合、父の遺産に固執していない可能性もあります。その場合は、相続放棄を打診してみても良いでしょう。

相続放棄を行うと被相続人の財産を一切相続しなかったことになるので、遺産分割協議に参加してもらう必要もありません。

ただし、相続放棄を了承してもらう代わりに相続放棄手続きに必要な司法書士や弁護士に支払う費用などは負担するなど、異母兄弟の心情も理解し不快な思いをさせないよう十分配慮することが大切です。

おわりに 

異母兄弟の存在を知っている方もいるかもしれませんが、父が亡くなって相続が発生してはじめてその存在を知るというケースも多いです。異母兄弟も父の相続人ですから遺産分割協議に参加してもらわなければなりませんし、相続割合が複雑になるなどトラブルに発展する可能性もあります。

遺産分割をスムーズに行うためには、父に遺言書を作成してもらうなどの対処法があるので、相続に備えたい方は「セゾンの相続 相続手続きサポート」などの専門家への相談も活用してみてはいかがでしょうか。


関連記事:家族信託の契約書は公正証書にした方が良い?公正証書にするメリットや手続きの手順を紹介

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