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おしどり贈与とは?メリット・デメリットから手続き方法まで徹底解説

おしどり贈与とは?メリット・デメリットから手続き方法まで徹底解説
セゾンのくらし大研究 編集部

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おしどり贈与を活用することで、不動産や金融資産などの財産をスムーズに移転し、相続時の税金負担を低減することができます。特に配偶者に住まいを残してあげたい方や配属者への贈与で、相続税の金額を減らしたい方におすすめです。この記事ではおしどり贈与のメリット、デメリットだけでなく必要な書類や手続きなどを知ることができます。

この記事を読んでわかること
  • おしどり贈与を利用できる最も重要な要件は夫婦の婚姻関係が20年以上であることです
  • 自宅売却時の譲渡所得税をコストダウンできるなどのメリットがあります
  • 贈与を受けた配偶者が先立つと相続税がかかるなどのデメリットがあります
相続対策サポート
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おしどり贈与とは

おしどり贈与とは

おしどり贈与とは、贈与税の配偶者控除の通称です。この制度により、一定の要件を満たす居住不動産を配偶者に贈与した場合、最高で2,000万円まで贈与税が非課税になります。控除額は2,000万円で、基礎控除110万円とも併用可能です。

これにより、合計で2,110万円までの贈与が非課税となります。配偶者にまとまった財産を渡したい方や必ず住まいを渡したい方におすすめです。また、配偶者への生前贈与で相続税の課税額を減らしたい方にもおすすめです。

参照:国税庁|No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

おしどり贈与を利用できる要件

おしどり贈与を利用できる要件

おしどり贈与を利用するには3つの条件があります。すべての条件を満たさなければならないため、正しく理解する必要があります。

夫婦の婚姻関係が20年以上あること

ここで言う婚姻期間は通算であり、離婚後にまた同じ方と結婚して合計で20年経過していれば要件を満たすことができます。また、1年未満の端数は切り捨てになります。

よって19年10カ月の場合は19年とみなされて20年には満たないため、要件を満たすことができないので婚姻期間の算定には注意が必要です。加えて、事実婚や内縁関係にある妻は該当しない点にも注意が必要です。

財産が居住用不動産またはその取得資金であること

贈与された財産が居住用不動産(いわゆる自宅)であり、国内にあることも条件です。所有権だけでなく、借地権で住んでいる場合にも適用されます。

また、店舗兼住宅を贈与した場合でも、居住部分にはおしどり贈与を適用できます。居住用部分が全体の約90%以上であれば、すべて居住用不動産として計算することが可能です。

贈与後もその不動産に継続して住む見込みがあること

贈与を受けた不動産に継続して住むことも条件のひとつです。住み始める時期は、贈与を受けた翌年の3月15日までと定められています。住む家の条件は、贈与で受け取った家か、贈与で受け取ったお金で購入した家に限られます。

したがって、贈与後すぐに住み始め、長期間その家に住み続けることが求められます。

手続き方法と必要書類

手続き方法と必要書類

おしどり贈与を行うための条件をクリアした後、次に必要になるのが手続きの方法と必要書類の準備です。これからその具体的な手順について説明します。

必要書類

必要書類は以下の3つまたは、4つです。
自分が3つか4つのどちらに当てはまるのか確認しましょう。

ひとつ目は戸籍謄本または抄本です。
これは贈与を受けた日から11日目以降に作成されたものでなければなりません。
市区町村の窓口の戸籍課で取得することができます。戸籍課に電話するか、インターネットで申請方法を確認してください。

二つ目は戸籍の附票の写しです。
これも贈与を受けた日から11日目以降に作成されたものでなければなりません。
市区町村の窓口の戸籍課で取得することができます。戸籍課に問い合わせて確認してください。

三つ目は贈与を受けた居住用不動産の登記事項証明書です。
法務省のオンライン申請システムを利用するか、郵送で請求書を法務局に送付する方法、または法務局の窓口で直接申請する方法があります。

また、贈与した財産が居住用不動産であった場合には以下の四つ目の書類も必要です。

四つ目は居住用不動産の固定資産評価証明書です。
これは不動産の所在地によって取得できる場所が違います。所在地が東京23区の場合は都税事務所で、その他の場合は各市町村役場の資産税課の窓口で取得することができます。

手続き方法

次におしどり贈与の手続きとやり方について見ていきましょう。 

ステップ1|夫婦間で居住用不動産の贈与を行う

まず初めに夫婦間で居住用不動産の贈与を行います。この時、贈与の証明のために「贈与契約書」を作成し夫婦それぞれで管理しておくとよいでしょう。

ステップ2|法務局に贈与登記の申請を出す

次に法務局に贈与登記の申請を出します。贈与登記の申請では贈与契約書、登記申請書が必要になります。

また、この他に贈与者は登記済権利証または登記識別情報通知、印鑑証明書(発行から3カ月以内のもの)、固定資産評価証明書(贈与登記する年度のもの)を準備しなければなりません。
受贈者は住民票の写しが必要になります。

贈与する側なのかされる側なのかで、準備する書類も手続きも変わってくるので確認をしてしっかりと準備を進めましょう。

ステップ3|贈与税の申告書を作成し税務署に提出する

最後に贈与税を計算して申告書を作成し、それを期限内までに税務署に提出します。
贈与税の申告書は国税庁のホームページからダウンロードか最寄りの税務署の窓口でも入手することができます。
申告期限は贈与を受けた年の翌年3月15日と定められているため、それまでに申告書を作成してください。

【申告書の書き方】

  1. 贈与を受けた方の個人情報などを記載したら、贈与された財産の内容を記載します。
  2. 暦年課税分の一般贈与財産分の欄に贈与した方の住所や氏名、財産内容の記載をします。
  3. 配偶者控除額を記入します。
    控除額は最高2,000万円まで記載し、最終的な課税価格を計算します。居住用不動産またはその取得資金として2,110万円以下を贈与された場合、課税価格は発生しません。しかし、居住用不動産やその取得資金が2,110万円を超える場合などは贈与税が発生することがあります。この場合は贈与税額を計算し、申告書に記載します。

【申告】

申告する場合は必ず贈与を受けた方が居住する管轄の税務署に行かなければなりません。
申告の期限は贈与を受けた年の翌年の2月1日~3月15日までです。
また、贈与税が発生する場合は、納税も期限内に済ませる必要があることに注意です。

おしどり贈与を利用するメリット・デメリット

おしどり贈与を利用するメリット・デメリット

続いておしどり贈与をした場合のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

相続税対策ができる

おしどり贈与をすると相続財産を減らすことができ、相続税の課税額も低くすることができます。財産が多い配偶者から少ない配偶者に最高2,110万円分(基礎控除110万円を含む)の財産を一度に移転でき、これにより相続財産を2,110万円分減らし、相続税の課税価格を低くすることで相続税の負担を軽減できます。

生前贈与の加算が不要

生前贈与では、年間110万円までは基礎控除として贈与税がかかりません。しかし、2024年1月以降の贈与から相続開始前7年以内の贈与は相続時に加算されることになりました。(それ以前は3年以内)しかし、おしどり贈与は相続開始前7年以内の生前贈与加算が不要であり、相続税を低減する効果があります。

配偶者の住居を保持できる

残された配偶者がそのまま自宅に住み続けられる利点があります。おしどり贈与を活用して配偶者に自宅の権利の全部または一部を移しておくことで、相続が発生しても配偶者は他の相続人に対し「ここは今、自分が所有して住んでいる家である」と主張できます。これにより、自宅をめぐる相続トラブルを軽減することができます。

自宅売却時の譲渡所得税をコストダウンできる

自宅の所有権を移転し、共有名義にすることで、売却時に夫婦それぞれに3,000万円の譲渡所得控除を適用できるメリットがあります。例えば、夫所有の自宅をおしどり贈与で妻と共有名義にし、1億円で売却する場合、譲渡所得が6,000万円とすると、夫婦それぞれが3,000万円の特別控除を適用でき、税金がゼロになります。これに対し、おしどり贈与を利用しない場合、夫は3,000万円の特別控除を受けても3,000万円に対して426万円の税金がかかります。おしどり贈与を活用することで、426万円の税金を節約し、手元に多くの資金を残すことができ、老後資金や住み替えの資金に充てることができます。

デメリット

贈与を受けた配偶者が先立つと相続税がかかる

贈与された配偶者が先に亡くなることで、せっかく「おしどり贈与」をしても、逆に相続税がかかってしまう場合もあります。例えば、夫から妻におしどり贈与をした場合、妻が先に亡くなると、妻名義の財産は相続税の課税対象になります。

これにより、非課税で移した財産にも相続税がかかる可能性があります。特に、贈与された配偶者の固有の財産が相続税の基礎控除(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)を超える場合、相続税が発生するリスクがあります。配偶者控除として、1億6,000万円または法定相続分まで非課税となる制度もありますが、慎重な計画が必要です。

不動産で贈与する場合はコストが高い

不動産をおしどり贈与で渡す際には、不動産取得税と登録免許税のコストが高くなる点に注意が必要です。贈与で居住用不動産を渡す場合、不動産取得税は固定資産税評価額の3%(一定の要件を満たす場合には軽減制度あり)、登録免許税は2%が課税されます。

一方、不動産を相続する場合には、不動産取得税は非課税であり、登録免許税も0.4%と低く抑えられます。つまり、贈与による税負担は相続よりも重くなります。

相続税の配偶者控除が大きく、相続税の節税にならない場合が多い。

相続税の配偶者控除とは配偶者が相続する財産について1億6000万円または法定相続分のいずれか多い額まで相続税が課されない制度です。この制度とおしどり贈与を比べた時、おしどり贈与の方が相続税の配偶者控除よりも節税できる額が少ない場合があります。

例えば相続税の配偶者控除は、配偶者が法定相続分にあたる5億円を相続する場合、その全額が非課税となるため、相続税が発生しません。一方、おしどり贈与では、2,110万円までが非課税で、それを超える部分には贈与税が課されます。したがって、5億円のように高額な財産を相続する際には、相続税の配偶者控除が有利であり、おしどり贈与よりも大きな節税効果があります。

おしどり贈与を行う際の注意点とポイント

おしどり贈与を行う際の注意点とポイント

次におしどり贈与をする際の注意点とポイントについて詳しく見ていきましょう。

贈与税が発生しなくても申告書は必要

おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)を利用する際には、贈与税の申告書を必ず提出しなければなりません。特例を適用しても税金がかからないと分かっても、安心せずに申告書を正確に提出しましょう。

申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。贈与税の申告がないと、最大2,000万円の配偶者控除を受けることができないため、注意が必要です。

同一配偶者からの贈与は一度きり

おしどり贈与に関する特例は、同一の配偶者に対しては一生に一度しか適用できません。再婚しても、同じ配偶者に対しては1回のみです。ただし、別の配偶者との間では、20年以上の婚姻期間が必要ですが、適用は可能です。

一度目の適用から20年を経て再度適用することはできません。同一の配偶者でなければ、2回目の適用も可能ですが、20年以上の婚姻期間が条件です。この制度は、相続や所得税対策として有効ですが、2回以上の適用は現実的にはまれです。

二次相続も考慮しておく

おしどり贈与を利用する際には、二次相続も考慮する必要があります。二次相続とは、配偶者の一方が亡くなった後にもう一方が亡くなった際の相続を指し、贈与を通じて相続税を減らしたり増やしたりする可能性があります。

例えば、配偶者間での贈与により相続税を軽減した場合でも、次の相続で増えた相続財産が新たに課税対象となります。このように、おしどり贈与によっては相続税の負担が変わることがあります。

また、配偶者間の贈与によって財産を移転することで、将来的に子や孫が負担する相続税を減らすことができる一方で、増やす可能性もあります。これにより、財産の管理や相続税の最適化を計画する際には、二次相続まで含めた総合的な視点が重要です。

不安はセゾンの相続「相続対策サポート」に相談

おしどり贈与は、夫婦間での財産移転をスムーズにし、相続税の負担を軽減するための有効な制度です。しかし、適用には細かな条件や手続きが伴うため、正確な理解と慎重な計画が必要です。おしどり贈与を検討している方は、まず専門家に相談することをおすすめします。

セゾンの相続「相続対策サポート」では、不動産を含む相続全般に関する専門的なアドバイスを受けられるため、安心して制度を活用できます。財産管理や相続対策を考える際には、ぜひご活用ください。

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おわりに

おしどり贈与を活用すれば、配偶者への居住用不動産の贈与が非課税となり、相続税対策が可能です。婚姻期間や贈与する財産の種類、継続して住む見込みなどの要件を満たし、手続きや申告書を正確に準備する必要があります。

メリットには相続税軽減や住居保持があり、デメリットには贈与を受けた配偶者が先立つリスクや贈与コストが含まれます。専門家の助言を受けながら計画を進めることが重要です。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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