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花冷え対策のお灸~お花見で体調を崩したときはツボで対処~

花冷え対策のお灸~お花見で体調を崩したときはツボで対処~
瀬戸 郁保 鍼灸師・登録販売者・国際中医師

執筆者
瀬戸 郁保 鍼灸師・登録販売者・国際中医師

1970年神奈川県箱根町出身。青山学院大学経営学部卒業後、日本鍼灸理療専門学校にて学び、鍼灸師・按摩指圧マッサージ師免許を取得。さらに北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で中医学・漢方薬を学び、国際中医師を取得。2004年東京の表参道に源保堂鍼灸院を開院し、その後漢方薬店薬戸金堂も併設。『黄帝内経』『難経』などの古医書を源流にした古典中医鍼灸を追究しながら、併せて漢方薬や気功など、東洋医学・中医学を幅広く研究し、開業以来多くの患者様のからだとこころの健康をサポートしてきている。さらに現在は東洋遊人会を主宰し、後進の指導にもあたっている。(株)薬戸金堂の代表取締役。著書に『長生きをしたければ、「親指」で歩きなさい』(学研)がある。

3月も後半に入ってくると、日本各地から桜の開花が報告されてきます。日本人は古来より桜を文学や絵画、意匠などに取り入れてきましたが、この現代にあっても桜はとても多くのことを私たちの心に投げかけてくれています。そのため、桜の開花情報は心躍るところがあり、それを聞くと今すぐにでも花見をしたくなるという方も多いのではないでしょうか。そのはやる気持ちに水を差すようですが、お花見は注意して楽しんでいただけたらなと思います。

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気温差による風邪

気温差による風邪

“暑さ寒さも彼岸まで”という言葉があるように、春分の日のあたりから極端に寒い日はなくなってきます。ダウンを着るような極寒はありませんが、でも、うすら寒さを感じることはあるかと思います。2月3日の節分から少しずつ暖かくなっていくなかで、身体は春仕様になってきているため、このようなうすら寒さの方がかえって寒さを感じやすくなっています。お花見をする時期は、まだこのうすら寒さがあり、意外に寒さとして身体は捉えてしまうので注意が必要です。

またもうひとつ注意するべきは、日中と夜の気温差です。気温差は自律神経が対応しますが、この時期の激しい気温差に追いつくために自律神経は右往左往していきます。こういった自律神経への負担は免疫力にも影響を与え、寒さを感受しやすくなります。

以上のことから、お花見の時期は風邪を引きやすい傾向があります。ここで体調を崩しますとこじらせやすいので、ツボを使って風邪を予防しておくことがおすすめです。
そこでご紹介したいツボが外関(がいかん)です。外関は三焦経という経絡の上にあるツボなのですが、身体の温もりと関係し、免疫力を高めてくれるはたらきがあります。ぶるぶるっと背筋に悪寒が走ったときは風邪の兆候です。外関を使って養生しましょう。

外関

押し方:じわっとゆっくりと圧が入るように押しましょう。1回5秒を3~5セットで。温もりが大切なので、ドライヤーで温めるとより効果的です。

また、日中は暖かく春の日差しも手伝ってか、春の薄手の服でお出掛けし、そのままお花見に参加するというパターンもあると思います。しかしお花見は日中から夕方にかけて行われるため、薄手の服では寒いことも。夜桜見物をする方などは、夜は冷え込みますのでさらに着ていく服にも注意が必要ですね。選ぶ服は、帰りの気温を想定してください。

アルコールによる肝臓

お花見に欠かせないのがお酒ではないでしょうか。解放感も手伝ってか、ついついアルコールの量も増えてしまうという方も。寒かった冬から暖かい春へと移行する、そういった晴の場への移行期でもありますから、こういった解放感を満喫するのも悪くはありません。

しかし、そのまま量を増やしたままを放置していては肝臓に負担がかかってしまうばかり。東洋医学では、肝臓と腱(アキレス腱など)がつながっていると考えていますので、アルコールの摂りすぎは足がつりやすくなったり、また目と肝臓がつながっていると考えていますので、目の疲れや充血などが発生します。

以上のようなことが起きないように、できたら入念に、飲酒の前後にツボを押して肝臓の解毒機能を高めておくことをおすすめします。そのために使いたいツボが、足臨泣(あしりんきゅう)になります。足の小指と薬指の間を上にたどっていった凹みにあるツボです。ここは肝臓の兄弟である胆のうにつながるので、肝臓にも効果的で、解毒機能と関係すると考えられています。

足臨泣(あしりんきゅう)

押し方:じわっとゆっくりと圧が入るように押しましょう。1回5秒を3~5セットで。

暴飲暴食による胃腸の疲労

暴飲暴食による胃腸の疲労

古来より、“花より団子”と称されるように、アルコールよりも食事の方が楽しみという方も多いのではないでしょうか。ここぞとばかりに豪華なお弁当を用意する方もいますし、また屋台などのテイクアウトを楽しむ方も多いのではないでしょうか。アルコール類と同様に、食べ物もついつい量が多くなりがちで、その内容も脂っこいものや味が濃いものなどが多くなってしまう方もいるでしょう。

このような食事が多くなりますと、胃腸にも負担がかかってきます。アルコールをはじめとする飲み物は、胃酸を薄めてしまったり、胃腸内の水分が過剰になるため消化不良を引き起こしたりすることになります。

このような胃腸の疲労を改善するためのツボとしてお薦めなのが、足三里(あしさんり)です。ここは胃と繋がっているツボとして有名で、実際に足三里を押すと胃の動きが活発になるということが証明されています。この足三里も、宴会がはじまる前後に押しておくと、より効果的となります。

足三里

押し方:足三里はとても力の強いツボですので、強めに押しても大丈夫です。ぎゅっと強めに圧をかけて押してくみてください。1回5秒を3~5セットで。

免疫力低下による花粉症悪化

以上のようなことが重なると、免疫力のバランスが崩れてきます。免疫力のバランスが崩れると生じやすくなるのが花粉症です。桜が咲くころはスギ花粉飛散のピークとも重なります。なかには花粉症は薬を飲んでいるから大丈夫と思っている方も多いかもしれませんが、こういった生活のひずみが重なってしまうと、いくら薬を飲んでも効果が出にくくなることが往々にしてあります。ここで花粉症を悪化させてしまうと風邪もひきやすくなりますし、皮膚にも症状が出たりと厄介なことも。この時期の養生を怠ると、4月以降体調を立て直すのが難しくなりますので、ある程度自覚してほしいところではあります。

そこで花粉症へのツボをひとつ紹介しておきます。
そのツボは通里(つうり)です。
手の小指側の側面をたどっていき、手関節の横紋を越えたところにあります。この通里は、花粉症による炎症をやわらげるはたらきがあるとされています。炎症をうまく処理してあげるだけでも、花粉症は楽になりますので、通里を使って養生してください。

通里

押し方:ここは柔らかいところにありますので、やさしく、軽く押してください。1回3秒くらいを3~5セット 

花冷えを侮りますと、風邪や花粉症をこじらせて長引くことがあります。そうなってしまうと、せっかくのお花見も残念な会になってしまいますね。春の訪れを思いっきり楽しむことも心身の養生につながりますが、度を超すと体調を崩すこともあります。すでに身に覚えのある方もいるかもしれませんが、ここは自分のため、楽しむためにもツボを使って養生してみてください。

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