サイレントキラーと呼ばれる高血圧
歳を重ねると少しずつ高くなってくるのが血圧で、最大血圧が140mmhg以上、または、最小血圧が90mmhg以上の場合のものを高血圧と診断します。
高血圧症は、生活習慣病と呼ばれるものにも含まれますように、塩分の摂り過ぎや運動不足、飲酒など普段の生活の積み重ねによるものが多くあります。生活習慣に気をつけていても、年齢を重ねるにつれて血管は硬くなっていきますので、誰にでも起こる可能性があります。
そして高血圧が厄介なのは、高血圧そのものにはほとんど自覚症状がないことです。高血圧が直接身体に痛みを発するといったことはないため、「高血圧で何が悪いの?」と無自覚に放置してしまっている方もおられるのではないでしょうか。でも、無自覚だからといって何も起きていないわけではありません。明らかな症状はなくとも、水面下では少しずつ身体を蝕んでいることから、高血圧が「サイレントキラー」とも呼ばれる所以です。
「血圧が高めですね」と医師などに指摘された場合は、まずは生活習慣の見直しをするようにしましょう。
高血圧に伴う症状を緩和するツボ
まず最初にご注意ですが、ここでご紹介するツボは、あくまで高血圧に伴う症状の緩和であって、高血圧を治すものではありません。高血圧症という診断名が下った場合は、医師の指示に従ってお薬を飲み、生活習慣を抜本的に改善していくことを何よりも優先させてください。
今回ご紹介するツボは、高血圧症に限らず、それぞれの症状に対して使えるツボでもありますので、他の方が使っても副作用のようなものが起きることはありません。ただし、特に血圧が高いことで起きる諸症状を緩めるという観点でご紹介しておりますので、そういった視点でご参考になさってください。
頭がぼーっとしたり、重く感じるときやのぼせ
十宣(じゅっせん)
両手の指10本のそれぞれの先端にあるツボ。指先なので、敏感なツボです。強く押し過ぎると痛くなりますので、痛みが出ない程度に優しく押してください。10本の指で全てを押すとより効果的ですが、時間がないときは指一本で押しましょう。3~10秒くらいジワッと押します。頭がのぼせた感じや耳鳴りなど頭の症状が強いときに、のぼせ感を下に下げてくれる効果が期待できます。
動悸を感じる時に効くツボ
労宮(ろうきゅう)/ 大陵(だいりょう)
労宮は、手をグーに握ったときに中指が当たるところにあります。概ね、手のひらの真ん中あたりにあります。大陵は、手首内側のシワの真ん中にあります。労宮も大陵も、心包経という経絡上にあり、心臓を包む心膜とつながっていると考えられています。
身体に負荷がかかって血圧が高まり、動悸がするときに有効なツボです。高血圧の方は、緊張すると動悸が強くなることも多くなりますので、この2つのツボを覚えておくと良いでしょう。手のマッサージでもよく使われるツボですので、気持ち良い感じでリラックスを心がけて優しく押してください。3~10秒程度を数セットやるとより効果的です。
肩こり、頭痛を感じる時に効くツボ
澤田流合谷(さわだりゅうごうこく)または八会(はちえ)
ツボの中でも有名な合谷(ごうこく)というツボがありますが、大正から昭和初期に活躍されたお灸の名人・澤田健先生は、オフィシャルに知られている定位置の合谷ではなく、「澤田流合谷」という独自の合谷を使用していました。このツボは、中国の唐の時代に書かれた医学書である『備急千金要方』にも記載されており、そこには「八会(はちえ)」という名前で記されています。
このツボも高血圧に伴う諸症状全般に効果的ですが、経絡の流れから見ていくと、特に肩こりや頭痛などにより効き目があります。
【注意事項】
血圧が高くなると、慢性的に肩こりが強くなることがあります。こういった場合のときにこっている肩を直接強く揉んだりすると、かえって血圧を上昇させてしまうことがありますので、高血圧がある場合の肩の強揉みは控えてください。
めまい、耳鳴りなどを感じる時に効くツボ
翳風(えいふう)
血圧が高くなると、めまいや耳鳴りなど、耳に関係する症状が出てくることも多くあります。このようなときは、耳たぶの裏にある翳風(えいふう)というツボがおすすめです。ここは強く押しすぎないように、じんわりと圧が深く入るようにゆっくりと押しましょう。また、大なり小なりのぼせも伴っていることがありますので、最初にご紹介した十宣も併用しておくとより効果的です。
その他
高血圧の諸症状を緩和する漢方薬として、釣藤散(ちょうとうさん)、七物降下湯(しちもつこうかとう)といったものもあります。漢方薬はそれぞれの体質に合った処方が大事になりますので、漢方薬に詳しい医師や薬剤師、登録販売者などにご相談してみてください。
おわりに
すでに述べておりますが、高血圧症は自分が感じていないところでじわじわと身体に影響を与えていきます。食事や睡眠、運動といった生活習慣の見直しはもちろんのこと、医師の指導に基づいた服薬も必要なこともあります。服薬と自助努力、養生によって緩和していくことが多いですので、多面的に対策をしてみて下さい。