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【医師監修】いびきの原因はなにがある?慢性的ないびきは病気の可能性あり!

【医師監修】いびきの原因はなにがある?慢性的ないびきは病気の可能性あり!
磯野 志真 医師

監修者
磯野 志真 医師

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会所属の耳鼻科の女性医師です。大学病院、市中病院などでの勤務経験に基づき、一般的な耳鼻科疾患から、小児の難聴・中耳炎、成人の頭頸部癌まで幅広く診療した経験があります。他にもAGA外来、一般内科、健康診断科等の幅広い勤務歴があります。高いエビデンスに基づいた分かり易い内容をお伝えできるように努めます。

いびきは寝ている時に発生するので自覚しにくいです。朝起きて喉が痛くなっていたり、口をゆすいだ時に出血したりしていることはありませんか?それはいびきをかいている合図かもしれません。いびきは放置するとさまざまな悪影響を引き起こすので、いびきをかいているようでしたら早めに対処しましょう。

このコラムではいびきの原因と対処法について解説します。すでにいびきで悩んでいる方、もしかしたらいびきをかいているかもと悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

いびきは病気の危険信号!放置しない!

いびきは病気の危険信号!放置しない!

いびきには『単純性いびき』と『習慣性いびき』があります。単純性いびきは、鼻詰まりや疲労、飲酒、風邪などが原因でいびきが一時的にのみ発生しますが、原因が解消すれば一緒にいびきも改善するのが特徴です。一方で習慣性いびきは体調など関係なく毎日習慣的にいびきをかいている状態をさし、しかもいびき自体が騒音となっている場合が多く、治療をしない限り治らない特徴があります。

習慣性いびきを放置しておくと、『睡眠時無呼吸症候群(SAS)』を引き起こす可能性が高くなります。睡眠時無呼吸症候群を放置すると、眠りが浅く、日中にひどい眠気や疲労感があったり、集中力や記憶力が低下したりしてしまい、日常生活に大きな支障をきたします。しかも、ひどい場合には心疾患や高血圧などの合併症を起こすケースもあるので、いびきだからといって軽くあしらって放置しないようにしてください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群とは睡眠中に呼吸が止まったり、止まりかけている状態が繰り返される病気です。 

睡眠時無呼吸症候群が重症化すると死亡率が上昇してしまうといわれています。なぜなら、睡眠時無呼吸症候群になると日中に強い眠気に襲われたり、集中力の低下を招いたりすることによって交通事故などの危険性が高まるからです。さらに、睡眠時無呼吸症候群が発症している時は血液中の酸素が不足するので、高血圧や不整脈を引き起こしたりする可能性も高まります。 

いびきを引き起こす原因

いびきを引き起こす原因

いびきの原因によっては改善できる場合もあるので、睡眠の質を高めるためにもご自身のいびきの原因を把握しておきましょう。基本的にいびきは、のどの通り道が何かの原因で狭くなるとそこを空気が非常に通過しにくくなり、せまいのどを空気が高速で通るときに振動することでいびきを引き起こします。

 【いびきを引き起こす原因】

  • 肥満
  • 鼻詰まり関連のアレルギー
  • 疲労
  • 一時的な要因・病気によるもの

肥満

肥満の方は脂肪が身体に付きやすい特徴があり、のどにも同様に付きやすいです。のどの周囲に脂肪が付くと、気道が非常に狭くなりいびきが発生します。のどの脂肪はご自身では確認できないので、『健康診断などで肥満と判断されている&いびきをかいている』という条件が揃ったら、まずは肥満が原因のいびきを疑ってください。 

鼻詰まり関連のアレルギー

睡眠時に鼻呼吸をしていると、いびきをかきにくくなるのですが、鼻が詰まって口呼吸になると空気がのどをさらに通るようになるのでいびきをかきやすくなります。いびきをかくと喉が乾燥して炎症を起こしやすくなり、さらに気道が狭くなっていびきを引き起こしやすくなる悪循環に陥ることもあります。

鼻詰まり関連のアレルギーは花粉症による季節性のものだったり、ハウスダストによる通年性のものだったりとさまざまな原因があるので、まずは耳鼻科に行ってアレルギーを治療・改善するように努めることを推奨します。 

疲労

疲労が身体に蓄積すると、舌やのどの筋肉がゆるんで気道が狭くなるため、いびきをかきやすくなります。さらに身体が疲労している時は、身体が空気をより多く取り込もうと働くので、睡眠時の呼吸が鼻ではなく口からになりやすくなる特徴があります。そのため、気道が狭くなるのと相まっていびきをかく可能性が高くなってしまうでしょう。 

一時的な要因

風邪や飲酒のように一時的な要因でいびきをかく場合もあります。風邪は鼻詰まり関連のアレルギーと同様に、風邪による炎症で鼻の中がむくんで狭くなり、結果的に口呼吸になることでいびきをかきますが、風邪が治るのと並行していびきも改善していきます。

飲酒の場合は、アルコールの影響で一時的に舌やのどの筋肉がゆるみ気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。アルコールが抜けるといびきは改善するので、飲み会から帰ってきた時だけいびきをかくような場合はお酒が原因です。

病気によるもの

習慣性いびきのうちは病気によるものが原因であることが少なくありません。これに関しては病院で治療をしないと改善しません。習慣性いびきの原因となる病気は以下のようなものが考えられます。

【いびきの原因となる病気】

  • 鼻中隔弯曲症
  • 肥厚性鼻炎
  • 副鼻腔炎
  • 習慣性扁桃炎等による口蓋扁桃肥大
  • アデノイド肥大

少しでも疑いのある方は病院に行って検査・治療をしましょう。

いびきの対処方法

いびきの対処方法

いびきは改善できる場合がほとんどです。ご自身でできる場合もあれば治療が必要な場合もあるので、上記で説明した原因を参考に単純性いびきなのか習慣性いびきなのかを判断して、適切な改善方法を選択してください。

 【いびきの対処方法】

  • 通院
  • 減量
  • 横向きに寝る
  • お酒を飲み過ぎないようにする
  • 市販のいびき防止グッズを使ってみる

いびきは対処方法を実行すればほとんどの場合は改善します。いびきを放置しておいてもメリットは何もないので、なるべく早く対処するようにしましょう。

通院

いびきをかいていて、日中に疲労を感じやすくなっている場合はすぐに病院で検査・治療を開始しましょう。症状がいびきだけの場合は、のどに問題がある可能性が高いので初めは耳鼻咽喉科で診てもらうと良いでしょう。

しかし、いびきの症状以外に日中の過度な疲労感や呼吸関係への違和感があった場合は、のどだけではなく他の病気が原因の可能性も高くなるので、呼吸器内科で診てもらってください。呼吸機能検査やポリソムノグラフィー検査、MRIやCTなどの放射線検査で詳しく検査してもらえます。

病院によっては『いびき外来』や『無呼吸外来』などを設置しているところもあるので、いびきはかくけど原因がわからないといった時には、これらの外来に行ってみるのもひとつの方法です。

減量

『いびき&肥満』が当てはまる場合、肥満が原因の可能性が高いです。肥満が原因ならば、肥満を解消さえすればいびきも改善します。肥満を解消するには体脂肪率を活用して減量を試みましょう。

内部リンク:『体脂肪率 減らす』

横向きに寝る

疲労やアルコールが原因でいびきをかく場合は横向きに寝ると改善しやすいです。仰向けで寝ると重力で舌がのどに落ちやすくなり気道が狭くなるためです。横向きで寝れば気道が狭くなることを防げるので、いびきを発生させにくくなります。横向きで寝るためには枕の下にタオルや本を置いたり、背中にクッションを敷いたりすると睡眠中でも横向きを維持できます。 

市販のいびき防止グッズを使ってみる

最近では、いびき防止グッズの種類も豊富になってきています。口呼吸を防ぐグッズや鼻腔を広げて鼻呼吸を促すグッズなど種類はさまざまです。他にも、いびき対策として横向きで寝られるような枕もあったりするので、ご自身が使用しやすいものから使ってみると良いかもしれません。

おわりに

いびきは単純性と習慣性の2種類があります。単純性のものは風邪やお酒が原因で一時的にいびきが発生することが多く、原因がなくなれば改善します。しかし、習慣性いびきに関してはそういう訳にもいきません。習慣性いびきは病気が原因で発症していることが少なくなく、病気を根本から治療しないといびきが治ることはないでしょう。

また、習慣性いびきは放置し続けると睡眠時無呼吸症候群に移行する可能性が高くなり、寝ているのに疲労感が増したり、病気を引き起こすリスクが高くなったりするので、習慣性いびきの疑いがある場合は早急に病院で診てもらうことをおすすめします。

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