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身体を温めるお茶とは?身体を冷やしてしまうお茶もご紹介【薬膳】

身体を温めるお茶とは?身体を冷やしてしまうお茶もご紹介【薬膳】
瀬戸 佳子 国際中医薬膳師・登録販売者

執筆者
瀬戸 佳子 国際中医薬膳師・登録販売者

早稲田大学理工学部卒、同大学院理工学研究科修了。北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)薬膳科卒業。会社員を経て、東京・表参道の「源保堂鍼灸院」併設の薬戸金堂で、漢方相談を行いながら東洋医学に基付いた食養生のアドバイスを行う。雑誌やWEBセミナーの講演などでも幅広く活躍。 『1週間で必ず体がラクになる お手軽気血ごはん』『季節の不調が必ずラク~になる本』(共に文化出版局)が好評発売中。

寒くなってくると温かい飲み物がおいしくなってきますね。

日本茶や紅茶だけでなく、最近はハーブティや野草茶など多種多様な茶葉が手軽に手に入るようになりました。お茶は手軽にできる薬膳のひとつです。普段何気なく召し上がっているものでも、お茶の種類によってさまざまな特徴があります。

飲み物にも身体を温めるもの、冷やすものがある

飲み物にも身体を温めるもの、冷やすものがある

温度が低い飲み物は身体を冷やし、温度が高い飲み物は身体を温めます。それだけでなく、飲み物の種類によって身体を冷やしたり、温めたりするものがあります。

これは温度によって変わるものではなくお茶が本来持つ性質なので、実際に身体を冷やすか温めるかは、その飲み物の(実際の温度)×(温めるまたは冷やす性質)と考えるとわかりやすいでしょう。

例えば、身体を温める性質を持つ飲み物は、温度が高ければ非常に身体を温めます。逆に温度が低ければ身体を温める効果は下がります。身体を冷やす飲み物でも温度が高ければさほど身体を冷やしませんが、冷たい状態で飲めば非常に身体を冷やします。

身体を冷やす飲み物で有名なのは、コーヒーです。冷え性の方は、例えホットコーヒーでも冬場にたくさん飲んでしまうと身体を冷やす原因になります。もちろん、冷たい状態で飲めばなおさら冷えるので気をつけましょう。

寒い時期は控えたい、身体を冷やす飲み物

東洋医学では、寒い時期は身体を温めるものを積極的に摂り、身体を冷やすものを極力控えることが大切です。冬に身体が冷えると、単純に手足が冷えるだけでなく、免疫力が下がりカゼを引きやすくなったりします。他には、腰痛、肩こり、頭痛、関節痛、足腰の弱り、下痢、頻尿、夜間尿、気分の落ち込みなどの原因にもなります。

全体的な傾向として、発酵する食べ物は発酵が進んでいるものほど身体を温める作用が強くなります。緑茶は身体を冷やす作用がありますが、同じ茶葉でも発酵させた紅茶やプーアール茶は身体を温める作用があります。

例えば、夏の暑い時期は緑茶を飲むと熱感がとれやすくなるので、夏に飲むことがおすすめです。一方で冷え性の人が冬に緑茶を飲むと身体が冷えやすくなります。冷え性の人が冬場飲むなら、紅茶やプーアール茶の方がおすすめです。

また、煎ったものはそのままのものよりも、身体を冷やす作用が緩和されていたり、身体の湿気の排出を促す作用が強くなったりします。特に穀類のお茶(玄米茶やはと麦茶など)は胃腸の調子を整えるものが多いです。

緑茶

緑茶

緑茶は茶葉を発酵させていないお茶です。暑気あたりの予防になったり、暑さや考え事のし過ぎで頭がのぼせたり、目が熱くなったりするのを冷ましてくれる作用があったりします。

暑さで頭がすっきりしないときに飲めば、暑さも吹き飛び頭もすっきりし、爽やかな気分にしてくれます。

裏を返せば、身体を冷やす作用が強い飲み物といえます。また、胃腸が弱い人、冷え性の人は濃いお茶を飲んだり、たくさん飲んだりすると胃腸を傷めたり身体を冷やしたりしてしまいます。

緑茶に入り玄米を加えた玄米茶は、胃腸を冷やす作用が緩和されており、入り玄米の胃腸を元気にする作用もあり、冷えやすい人、胃腸が弱い人は玄米茶の方がおすすめです。また、ほうじ茶は炒ってある分、冷やす作用が和らいでいますので、冷え性の人にも飲みやすいものです。寒い時期は緑茶からほうじ茶に切り替えるのも良いでしょう。

麦茶

麦茶

麦茶は大麦を炒ったものを煎じたお茶です。夏によく飲まれるものですが、カフェインレスのため年中飲まれる方もいらっしゃるでしょう。大麦には、胃腸の調子を整えたり、喉の渇きを止めたり、お小水の出を良くしたりする効果のほか、余分な熱を取り除く作用もあります。

身体を冷やす性質があるので、大麦を煎じて煮出した麦茶も夏によく飲まれるのには納得のものです。余分な暑さを取り除いてくれ、喉の渇きを抑えてくれ、熱中症の予防になりますし、穀類のお茶ですから胃腸の調子を整えて元気をつけてくれるので、夏バテ予防にもなります。

夏にとても良いお茶、ということは、冬には身体を冷やし過ぎてしまう、ということでもあるので、冷え性の方は気をつけましょう。

ドクダミ茶

ドクダミ茶

健康飲料として飲まれることも多いですが、熱をとったり解毒したりする作用があるので、基本的には身体を冷やす作用がとても強くなります。

ドクダミは「魚醒草(ぎょせいそう)」、「十薬」、「重薬」(どちらも「じゅうやく」)と呼ばれます。江戸時代に貝原益軒が書いた『大和本草』には、ドクダミについて「十種の薬の能ありて十薬となす」とあります。

ドクダミの効能は、「解毒、利尿、腫れをとる」などの作用があります。腫れ物や吹き出物、膿、虫刺され、痔、排尿痛、排尿困難などに良いとされます。

老廃物を排出したり、熱を取ったりする作用に優れ、利尿作用や通便作用もありますが、下痢をしやすい人や冷え症の人は寒い時期は控えた方が良いでしょう。長期間飲み続けるのは避けた方が良いです。

青汁

青汁

健康に気を遣っている人の中には、毎日青汁を飲むのが習慣、という方もいらっしゃるでしょう。しかし、この「健康」というのがどのような体質の人の健康を指すかで変わってきます。

血圧を下げる、血糖値を下げる、という様な作用があるものは、薬膳では「解毒作用」「気を下げる作用」などがあると考えます。その様なものの多くは、清熱作用といって熱を取り去る作用が含まれていることが多いです。また便通を促す作用のあるものも多いですが、便通作用のあるものは身体を冷やすことが多いです。

特に、ゴーヤや明日葉、桑の葉など一緒に含まれているものも身体を冷やすものが組み合わされていることが多いので注意が必要です。

青汁が体質的にあっているという方は、冬でも暑がり、体力に自信がある、胃腸が強い、脂っこいものが好き、肉や魚をたくさん食べる、という方です。逆に、冷え性の人、胃腸の弱い人、体力のない人には青汁に含まれる原料はあまりお勧めできません。日頃から野菜を多く食べていれば大丈夫ですので、冷えるのに無理に飲むということは控えましょう。

これらは比較的苦味が強いものです。コーヒーやビールもそうですが、苦い味のものは身体を冷やす作用があると薬膳では考えます。寒さを解消するために飲んでいるものが、実は身体を冷やす飲み物だった、ということはよくあります。どうしてもやめられない、という人は飲む回数を減らしたり、濃さを薄くしたり、と工夫をしてみましょう。

寒い時期でも大丈夫!身体を温める飲み物

身体を温めるには、もちろん温かい飲み物がおすすめなのはいうまでもありませんが、身体を冷やさず温める作用があるお茶を選ぶのが良いです。

プーアール茶

プーアール茶

緑茶と同じ茶葉の中でも、プーアール茶は茶葉を後発酵させたお茶です。一般に日本で売られているものは熟茶といわれるものです。プーアール茶には、胃もたれや消化不良を解消する、油脂の消化不良を解消する、むくみを解消するといった作用があります。

特にプーアール茶の熟茶は胃を温める効果があるので、冷え性の人や寒い時期にとてもおすすめのものです。また、脂っこいものを食べた後に食べると、胃もたれを予防したり、ダイエット効果があったりします。

よもぎ茶

よもぎ茶

婦人科系のトラブルがある人や冷え性の人に特におすすめなのがよもぎ茶です。よもぎはハーブの女王とも呼ばれ、非常にたくさんの効能があります。特に女性に嬉しい効果が多いお茶です。

経絡を温める作用が強いので、冷え症状が強い人は年間を通して飲むと良いものです。特に生理不順や生理痛にも効果があります。また、血液を補う作用、胃を元気にする作用もあります。お灸に使われるもぐさはよもぎが原料で、身体を温めるのにとても良いです。よもぎの葉を入浴剤として使えば、外からもしっかり身体を温めてくれます。

チャイ

シナモンやクローブなど身体を温めるスパイスが多く使われているので、冷えたな、と思った時に飲むとすぐに身体を温めてくれます。特にシナモンは冷え性の人におすすめのものです。体表の血流を高めて風邪を予防する作用もあります。また、生姜よりも胃粘膜を荒さないので、胃が弱い人でも使いやすいスパイスです。

ご自宅で作る場合は、シナモンだけでも十分効果あります。甘みを加える場合は、身体を温める作用のある黒糖を使うとさらに効果的です。ベースとして使われる紅茶も茶葉を完全発酵しているもので、身体を冷やしません。

寒い時期に身体を冷やさずに過ごせると免疫力も下がらず、カゼなどの不調が起こりにくくなります。しっかり体を温めて、忙しない時期も元気に過ごしていきましょう。

書籍紹介

野菜や魚たっぷりで食べ応えがあります。胃腸のお悩みだけでなく、なんとなく疲れが取れない、体力がない、という方におすすめです!家族みんなで胃腸を元気にして過ごしましょう。

気血スープ1週間で胃腸が必ずよみがえる

季節ごとに起こりやすい冷え、花粉症、熱中症、イライラ……などの心身の不調に対して、東洋医学の観点から「食べ方」や「暮らし方」を解説しています。「薬膳養生カレンダー」を参考にぜひ養生を始めましょう!

おうち薬膳養生12か月 瀬戸佳子

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