旅行先ではつい心も身体もリラックス、ご当地食材や人気のメニューを美味しくいただきたいものですが、豪華な食事でカロリーや塩分など気になったことはありませんか。
シニアの楽しみの上位に常にランキングされる「旅行」。現役時代にはなかなかできなかった長期旅行や、ご夫婦や気の合う友人同士で趣味や観光で行ってみたかった土地を訪れるなど、本当に楽しみですね。
一方で、シニアになると健康維持に向けた血圧や体重管理のためなどで、塩分や脂質、カロリー摂取量等について、気を配っている方が少なくないと思います。旅行中はせっかくだからとついつい、食べすぎや飲みすぎで体調を崩される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
旅先でも体調管理ができて美味しいヘルシーなメニューがあればとお考えの方に、今回は健康増進に取り組む企業とホテルとのコラボレーションによるヘルシーメニューへの取り組みをご紹介いたします。
1.健康支援サービスに取り組むタニタヘルスリンクとKKRのコラボレーション
体重計などの「健康をはかる」健康計測機器のメーカーであり、社員食堂のメニューでTVや雑誌で取り上げられ、2012年に「丸の内タニタ食堂」をオープンした「タニタ」は、皆さんよくご存じのことと思います。
そのタニタグループでは、企業経営のリスクとなる社員の「生活習慣病」など身心の健康の課題に向け「健康経営」に取り組んでいます。その過程で生まれた健康増進や医療費を適正化するノウハウをパッケージ化し、2014年より企業や自治体向けに集団健康づくりサービス「タニタ健康プログラム」の提供を開始。企業や健康保険の担当者からの問い合わせや相談も多く、『健康経営のアドバイザー』として「健康をつくる」サービスへと事業拡大を図っています。
そんな中、KKR(国家公務員共済組合連合会)からの組合員向け健康増進支援策の問い合わせを機に、タニタグループのタニタヘルスリンクとKKRが経営する宿泊施設(KKRホテルズ&リゾーツ)による地域の食文化に根差したお客様向けオリジナルヘルシーメニュー「タニタ監修メニュー」の開発に至ったのです。
2.組合員への健康増進支援策から、KKRホテルズ&リゾーツでのヘルシーメニュー提供へ
当初は国家公務員共済組合の組合員と家族への施策「KKR健幸ポイント」の一環として検討が開始されましたが、「タニタ監修メニュー」の開発という取り組みに触れ、施設内でレストランを展開する全国のKKRホテルズ&リゾーツに呼び掛けたところ、熊本・大阪など複数の施設が参加を表明。今回の一般のお客様への提供も含めての「タニタ監修メニュー」が誕生しました。
3.KKRホテル熊本「阿蘇自然豚のせいろ蒸し御膳」誕生
「タニタ監修メニュー」の最初の提供店となったのは、「熊本城に一番近いホテル」KKRホテル熊本のレストラン「日本料理 まつり」。当レストランでは、「ヘルシーでありながら美味しく楽しめる食事」による健康維持のサポートを目指し、地元の一押し食材を使った、タニタ監修メニュー「阿蘇自然豚のせいろ蒸し御膳」を今年5月より提供しています。メニューの提供を始めてみると、宿泊者のみならず地元のお客様の利用も多く、当初予想を上回るご注文があったようです。
3-1.想定より難しかったヘルシーメニュ―作り
当レストランでは、以前にも熊本大学や県との取組みで総カロリーや塩分を一定以下に抑えたヘルシーメニューを提供していましたが、今回の取り組みではタニタが考える健康的食事の目安となる塩分量と美味しさのバランス調整に一番苦労したとおっしゃっていました。
メニュー作成にあたっては、1食当たりのカロリー(500~600kcal)、主食や野菜の量、塩分量など、タニタのレシピ基準に基づき細かな審査が実施されます。料理長からは、これまでメニュー作りでカロリーや塩分量は気にしたことがなかったので、予想以上にオーバーしてしまい、管理栄養士の資格を持つタニタとタニタヘルスリンクの両担当者からアドバイスを受けながら最終調整したという苦労話を伺いました。昨年11月の試作メニュー作成から審査を経て、メニュー完成まで約4か月を要したとのことでした。
3-2.料理長の一番のおすすめ料理は「9種の野菜汁」
今回のメニューの中で一番のポイントはとお伺いしたところ、「9種の野菜汁」とのこと。根菜を中心にカボチャや大根、ブロッコリーなど素材そのものの味を楽しむために、かつおだしを効かせた薄めの味付けにし、よく噛むことで満腹感を得られるよう野菜は大き目にカット、さらに火を通し過ぎないことでしっかりと噛み応えがあるようにほど良い硬さを残しています。アツアツの状態で提供されボリュームも満点です。
メインの阿蘇自然豚のせいろ蒸しも、野菜やレモンをふんだんに使い豚肉の脂身はカット、副菜には大豆ミートを使用するなど、あらゆるところに工夫が施されています。
熊本に訪れる機会があれば、是非復興が進む熊本城の天守閣がすぐ目の前に見えるKKRホテル熊本のレストラン「日本料理 まつり」で、ヘルシーなタニタ監修メニュー「阿蘇自然豚のせいろ蒸し御膳」を召し上がってみてください。
4.大阪ならではのKKRホテル大阪「船場汁の御膳」誕生まで
実は、全国にあるKKRホテルズ&リゾーツで一番に今回の企画に手を挙げたのは、KKRホテル大阪でした。レストランの大改装と合わせ今年7月から、「タニタ監修メニュー 船場汁の御膳」の提供を開始しました。
「大阪城に恋するホテル」KKRホテル大阪では、「レストラン シャトー」として30年以上営業してきたメインダイニングを、2022年6月25日『日本料理 聚楽庵』としてリニューアルオープン。KKRホテル大阪も大阪城が目の前に広がる素晴らしい立地で、もちろんレストランからも大阪城の四季折々の景色を眺めながらゆっくりと食事が楽しめます。
4-1.タニタの厳しい審査をクリアした大阪郷土料理「船場汁の御膳」
「船場汁の御膳」の一番のポイントは、何といっても船場汁の潮仕立てにした鯖から引き出された「だしの旨味」です。鯖の旨味がしっかり溶け出し、少ない塩分を補い深いコクとあっさりした後味になっています。お膳が運ばれる途中から美味しそうなだしの香りが鼻をくすぐります。船場汁とは、大阪の問屋街で忙しい商人に親しまれた郷土の家庭料理です。
船場汁の根菜類は歯応えを残し、追加で別皿の野菜を入れることによりシャキシャキの食感と食べ応えを創出。サラダには昆布締めで鯛に旨味を浸み込ませ、ドレッシングも自家製の松の実ドレッシングで風味とコクを足すなど、塩分が少なくても美味しく食べられるよう工夫が随所になされています。
当初作成したメニュー構成では、カロリー及び塩分が基準よりオーバーし、主菜の船場汁の塩分等を調整したほか、副菜2品はメニューを変更しての再挑戦でした。
「船場汁の御膳」https://www.kkr-osaka.com/restaurantmenu/pg4364315.html
4-2.ヘルシーメニューならではのお応えできないお客様からのリクエスト
健康に配慮した厳しい基準をクリアし美味しさも追求した「タニタ監修メニュー」ですが、唯一レストランのスタッフがお客様のリスエストに応えられなくて申し訳ないと話されていることがあります。それは、ご飯のお代わりと醤油やドレッシングなどの調味料を追加でお出しできないことです。塩分とカロリーを抑えつつも美味しく食べた満足感が持てるよう料理長が丹精込めて作ったメニューですので、是非そのまま召し上がっていただけたらと思います。
5.「タニタ監修メニュー」の基準と4つのコンセプト
タニタヘルスリンクの管理栄養士の方から、ヘルシーメニューを作るにあたっての基準と4つのポイントを伺いましたので、ご自宅でのメニュー作りの参考になさってください。
5-1.タニタ監修メニューの基準
- 1食あたり500~600kcal(デスクワークの一般成人向け)を目安とする ※
- 一汁三菜を基本とする
- 野菜150g以上
- 塩分3.5g以下
※1日あたり男性2,200~2,400kcal、女性1,800~2,000kcal
5-2.4つのポイント
- カロリーを抑えるコツ →肉や炒め物などの余分な脂・油を取り除いて調理する。調味料を正確に計るために0.1g単位の計量器を使う。
- 塩分を抑えるコツ →汁物ではだしをしっかりとり、旨味を出す。味のアクセントとなる香味野菜等を使う。
- 満足感を出すコツ →野菜は大きめにカットする。柔らかくしすぎず、よく噛むことで脳の満腹中枢を刺激する。
- 見た目の楽しさを出すコツ →目でも楽しめるよう彩りや盛り付けを美しくする。
おわりに
旅行先や外食では、どうしても塩分やカロリーが多くなりがちで、野菜は少なめになってしまいます。一般的なランチセットで天ぷらを食べるとカロリーは1500kcalを超えるとか。
旅行先でもこのような体調管理ができるヘルシーメニューの提供があると嬉しいですね。「タニタ監修メニュー」を選択肢の一つとして体験・活用してみてはいかがでしょうか。機会があればぜひお試しください。
KKRホテル熊本 http://www.kkr-hotel-kumamoto.com/
KKRホテル大阪 https://www.kkr-osaka.com/