お墓の管理は、故人を偲ぶ場所を大切に保つための重要なもの。この作業を専門的に行うのが寺院の住職や霊園管理者、または個人です。ですがお墓の管理は時間と労力を必要とします。この記事では、寺院の住職や霊園管理者、さらに個人が行うお墓の管理について詳しく解説します。
(本記事は2024年2月27日時点の情報です)
- お墓の管理は寺院の住職と霊園管理者、もしくは個人によって行われる
- 年間にかかるお墓の管理費用は公営霊園、民営霊園、寺院墓地によって異なる
- お墓を管理できないときは、親戚に頼んだりお寺に相談したり、また代行業者に依頼したり、永代供養へ変更したりするなどの手段がある
- 墓じまいする際には、行政への届け出が必要である
お墓の管理とは何をすること?
お墓の管理は、故人を偲び、その魂を慰めるために非常に重要な役割を果たします。この管理作業は、寺院の住職や霊園管理者によって行われることもあれば、お墓を建てた個人や家族によって行われることもあります。以下に、それぞれの管理作業について詳しく見ていきましょう。
寺院の住職や霊園管理者が行うお墓の管理
寺院の住職や霊園管理者が行うお墓の管理は、墓地の整備や清掃、墓石の修理や補修、さらには墓地の安全確保など、多岐にわたります。
これらの作業は専門的な知識と技術を必要とするため、一般の人々が自分で行うことは難しいです。また寺院や霊園は、お墓の周囲の環境を整え、訪れる人々が心静かに故人を偲ぶことができるようにする役割も果たしています。
個人が行うお墓の管理
一方、個人が行うお墓の管理は、以下のような内容を含みます。
- 草むしり・植木の剪定
お墓の周囲の草むしりや植木の剪定は、墓地を清潔に保つために重要。これらの作業は、季節や墓地の状況に応じて定期的に行う必要があります。
- お墓の掃除
お墓の掃除は、墓石や墓地を清潔に保つために不可欠です。これには、墓石の洗浄や、墓地の清掃が含まれます。
- 献花
献花は、故人への敬意を示す行為であり、お墓の管理の一部とも言えます。季節や訪れるタイミングに応じて、花を供えることが一般的です。
- お墓の維持費や管理費の支払い
お墓の維持費や管理費は、墓地の維持管理に必要な費用。これには、墓地のレンタル料、清掃費、修繕費などが含まれます。
以上のように、寺院の住職や霊園管理者と個人が協力して、お墓の適切な管理を行うことが重要です。それぞれが自分の役割を果たすことで、故人を偲ぶ場所を大切に保つことができます。
またお墓の管理は、故人への敬意を示すとともに、自分自身の心の整理にもつながります。お墓の管理を通じて、故人とのつながりを感じ、故人を偲ぶ時間を大切にしましょう。
関連記事:お墓の管理できない!放置した場合の行方や墓じまいについて
お墓の管理費用はどのくらいかかる?
ではお墓の管理には一体いくらぐらい掛かるのでしょうか?ここでは、お墓の管理費用に焦点を当て、公営霊園、民営霊園、寺院墓地の3種類に分けてその概要と特徴、さらには管理費用の支払いに関してご紹介します。
1年間にかかるお墓の管理費用
公営霊園、民営霊園、寺院墓地それぞれの特徴と管理費用は、以下になります。
- 公営霊園
公営霊園は、地方自治体が運営する霊園で、比較的低コストでの管理が可能です。年間の管理費用は数千円から数万円程度が一般的ですが、地域によって異なります。
- 民営霊園
民営霊園は、民間企業が運営する霊園で、設備やサービスの充実度によって費用が上昇します。年間管理費用は数万円から10万円以上になることもあります。
- 寺院墓地
寺院墓地は、寺院が管理する墓地で、年間管理費用は数万円程度が一般的です。しかし、宗教行事への参加費用や寄付を含めると、実質的な費用はこれより高くなることがあります。また、寺院によっては檀家費が必要となる場合も。
お墓の管理費用は誰が払うの?
お墓を守り、維持するためのこの費用は、基本的にお墓の継承者が負担することが一般的です。お墓の継承者とは、故人の遺族や親族で、お墓の維持管理に必要な費用を負担する義務があり、これには墓地のレンタル料、清掃費、修繕費などが含まれます。
継承者が複数いる場合、つまり、兄弟や親族が多数いる場合には、お墓の管理費用は相続人全員で分担することが一般的です。この際には、公平に分担することで、各人の負担を軽減することが可能となります。
しかし、このような分担がスムーズに行われるかどうかは、家族の状況や関係性にもよります。例えば、遠方に住んでいる継承者がいる場合、物理的な距離が管理費用の分担を困難にすることもあります。また、家族間の不和がある場合、費用の分担についての合意を得ることが難しくなることもあります。
さらに、お墓の管理費用の支払いが滞った場合の対策として、事前に家族会議を開き、将来の計画を立てることも大切です。例えば、年齢を重ねた親が子供たちにお墓の維持管理費用について伝え、将来的に負担が発生しないように早期から準備をすることもあるでしょう。
このように、お墓の管理費用の支払いに関しては、家族間でのコミュニケーションが非常に重要です。お墓の維持には、家族全員の理解と協力が欠かせません。それぞれの家庭で適切な方法を見つけましょう。
お墓の管理費用を支払わなかったら?
お墓の管理費を支払わない場合、お墓は撤去され合祀墓に移される可能性があります。これは、管理費用が墓地の維持管理に必要であるためで、霊園や墓地の管理者が設定したルールに基づくものです。したがって、お墓を引き継ぐ際には、管理費用の支払いを確実に行うことが求められます。
以上のように、お墓の管理費用は墓地の種類や継承者の状況により異なります。お墓を選ぶ際や継承する際には、これらの費用を考慮に入れ、適切な計画を立てることが重要です。
関連記事:墓じまいの費用が払えないときの対処法3選!総額の目安も解説
お墓を管理できないときは?
お墓の管理は、故人を偲び、遺族の責務とされています。しかし、遠方に住んでいたり、高齢や健康上の理由でお墓参りが難しかったりする場合、お墓の管理をどうするかは大きな問題です。こうした状況に直面した際の対処法について、以下で解説します。
親戚に依頼する
遠方に住んでいるためにお墓の管理ができない場合、近くに住んでいる親戚に依頼する方法もあります。しかし、無理に依頼すると親戚間のトラブルの原因となる可能性もあります。たとえば、管理費用の負担やお墓の維持方法に関する意見の相違が生じることがあるかもしれません。依頼する際には、事前に十分な話し合いを行い、理解と協力を得ることが大切です。
お寺に相談する
お墓を管理しているお寺に相談してみると、多少掃除などをしてくれる場合もあります。しかし、お寺も多くの墓地を管理しているため、一つ一つの墓地に行き届く管理を行うことは難しい場合があります。
そのため、お寺に依頼する場合も、具体的な依頼内容やサービス内容について、事前にしっかりと話し合うことが重要です。
墓参りやお墓掃除の専門会社に代行を依頼する
遠方に住んでいる、高齢になり行くのが大変などの理由で墓参りやお墓の掃除ができない場合は、代行サービスにお願いする方法もあります。専門の会社に依頼することで、定期的な墓参りやお墓の掃除を確実に行ってもらうことができます。
とはいえ人によっては、第三者にお墓参りを任せることに抵抗を感じる方がいるかもしれません。しかし、お墓が遠いゆえに直接掃除ができず無縁仏に近い状態になるより、専門会社に任せたほうが持ち主や故人にとっても良いことです。料金は作業内容にもよりますが「10,000〜50,000円程度」が目安です。
セゾンカードでおなじみのクレディセゾングループ会社「くらしのセゾン」では、「お墓参り・お墓掃除代行サービス」を提供しています。全国どこでも対応可能で、「故人の好きだったお花をお供えしたい」といったお客様ごとの細かいご要望に柔軟に対応するのが魅力です。「お墓が遠方にあってなかなか行くことができない」「仕事や家事・育児でお墓参りの時間がつくれない」「お墓の掃除が体力的に困難になってきた」など、さまざまな理由でお墓参りやお墓掃除ができない方に代わって「墓守り」を代行いたします。また、作業完了後は「写真付き報告書」を送ってもらえるので、お墓の様子を確認できて安心です。
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永代供養へ変更する
先祖代々のお墓から永代供養墓に変更することで、お墓の管理にかかる負担を軽減することが可能です。永代供養には、最初から合祀する場合と、個人で墓を作り一定期間が過ぎたら合祀という方法を取るパターンなどがあり、永代供養にすれば、お寺で供養し続けてくれるメリットがあります。
永代供養の費用は、大体10万円~150万円程度です。具体的な費用は寺院や霊園によって異なりますが、50万円〜70万円程度と見ておくとよいでしょう
個別墓タイプ
個別型の永代供養墓では、埋葬後も遺骨は戻せます。ただし、一定期間(三十三回忌など)を過ぎると遺骨が合祀される場合が多いのを忘れてはいけません。相場は30万円以上と、合祀型よりは高めです。
集合墓タイプ
集合墓は、ご遺骨を他の方と同じスペースへ管理します。集合墓にかかる料金は1人あたり20万円〜50万円となっており、個別に遺骨を保管するスペースが必要な分、合祀墓よりは費用が高くなります。
合祀墓タイプ
合祀型の永代供養は、他の遺骨と混ざり埋葬されるため、個別に取り出すことができません。費用は3万円~20万円程度です。
具体的な費用やサービス内容は、各寺院や霊園に直接お問い合わせください。
先祖代々の墓を墓じまいするときの手順
先祖代々の墓を墓じまいする際には、慎重に進める必要があります。家族間の感情や意見の相違を尊重し、故人に対する最後の責任をしっかりと果たしましょう。墓じまいの際には、以下の手順を参考にしてください。
親族間で墓じまいについて話し合う
墓じまいは、故人を偲ぶ場所を変える大きな決断です。そのため、親族間で意見が分かれやすく、トラブルの原因になることも。墓じまいを考えている場合は、まずはじっくりと親族間で話し合うことが重要です。故人の意志を尊重しつつ、現在の状況や将来のことを考慮に入れて、最善の選択をすることが求められます。
墓じまい後の新しい納骨先を決める
墓じまい後の新しい納骨先を選ぶ際のポイントは、引き継ぐ人がいるか、合祀にするかどうか、お墓の形態、運営主体などです。
例えば、永代供養墓や合祀墓は、管理費用の負担が少なく、遠方に住んでいる場合や高齢者にも適しています。また公営霊園や民営霊園、寺院墓地など、運営主体によってもサービス内容や費用が異なります。
行政に関する手続きを行う
お墓に納められている遺骨を勝手に取り出して別の場所に納骨したり、廃棄したりすることは法律で禁じられています。そのため墓じまいをするときには、自治体に相談する必要が。また、改葬の手続きも必要。これらの手続きは、故人の遺骨を適切に扱うため、そして新しい納骨先での供養を円滑に行うために重要です。
新しい納骨先に移動する
新しい納骨先に移動するためには、お墓を改装する工事会社を選び、遺骨を取り出して更地にしてから、新しい納骨先に移す必要があります。この工程は専門的な知識と技術を必要とするため、信頼できる業者に依頼することが大切。
おわりに
お墓の管理は、故人を偲ぶと同時に、生きている私たちにとっても大切な役割を果たします。寺院の住職や霊園管理者による専門的な管理と、個人が行う丁寧なお手入れが合わさることで、故人が安らかに眠れる環境が維持されるのです。
遠方に住んでいる、高齢になり行くのが大変などの理由で墓参りやお墓の掃除ができない場合は、お墓参り・お墓掃除代行サービスを利用するのもひとつの手段です。
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