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ビワの正しい剪定方法や注意点は?栽培のポイントも紹介

ビワの正しい剪定方法や注意点は?栽培のポイントも紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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ご家庭でも比較的育てやすいとされているビワの木。しかし、育てやすい反面、背が高くなりやすいため、定期的なお手入れが必要となります。今回はビワの木が高くなり過ぎないように剪定する方法をご紹介。適当に剪定して次の年に実がならなくなるということを防ぐためにも、正しい剪定方法を解説していきます。ビワの実をおいしく楽しむ方法についてもご紹介しているので参考にしてください。

この記事を読んでわかること

ご家庭でも育てやすいとされているビワは背が高くなりやすい木です。増え過ぎた葉や枝を切り落とすことによって、日光や栄養を届けやすくし、実を収穫しやすくするためにもこまめな剪定が必要です。剪定するときには切断面を早く修復させるため、切れ味の良い剪定バサミを使い、切断面に癒合剤を塗るなどして、木が枯れることを防ぎましょう。ビワはひとつの枝で実を収穫してから次の実をつけるまでに時間がかかるため、いっぺんに多くの枝を剪定してしまうと、翌年にまったく実がならなくなるおそれもあります。剪定を行う場合は、花が終わってから実がなるまでの間に毎年少しずつ行うことがおすすめです。

ビワの基本情報

ビワの基本情報

まずはビワの基本情報について確認していきましょう。

日本でのビワの歴史

ビワは6世紀ごろから中国大陸で栽培されていました。日本におけるビワの歴史も古く、762年奈良時代に記された正倉院文書にすでにビワの記述があるとされています。

当時のビワは今の品種とは異なり実が小さいものでした。現在よく見られるような卵型のビワが日本に導入されたのは、江戸時代後期の1830年ごろ。長崎県の出島で中国ビワを中国人通訳から譲り受けた三浦シヲが、生家に種をまいたことが始まりとされています。

ビワの特徴

ビワはバラ科の植物で、1年中緑の葉がついて背が高い常緑高木という分類です。花は白く11月から12月に咲き、翌年の6月ごろに実をつけます。実が小さい時期に-3℃以下の低温になると若い種が死んで実が落ちてしまうため、冬場もあたたかい地域のほうが生育に適しています。冬場に-2℃以下になる地域ではハウス栽培にしたり、寒さに強い品種にしたりする工夫が必要です。

ここからは、日本でおもに栽培されている品種ごとの特徴をお伝えします。

茂木(もぎ)

長崎から伝わった中国ビワが普及し、西日本で多く栽培されている品種です。実は酸味が少なく、質が良いため日本ではもっとも多く栽培されています。長崎では5月下旬から6月にかけて実が熟します。

長崎早生(ながさきわせ)

茂木に比べて果実がやや大きく、みずみずしく柔らかい果肉と上品な甘さが特徴です。茂木よりもさらに寒さに弱いため、ハウスで栽培されることが多い品種です。露地栽培の場合はあたたかい地域が適しています。

田中

植物学者の田中芳雄氏によって、明治12年ごろに長崎から東京に渡った品種です。果実は、茂木の果重が40g程度なのに対して、田中の果重は60~70gと大きく、整った釣り鐘型をしています。光沢のある果実は完熟すると酸味と甘みのバランスが取れますが、早く収穫してしまうと酸味が強く、追熟しないため収穫時期を見極める必要があります。

ビワの木を剪定する必要性とは?

ビワの木を剪定する必要性とは?

ビワは家庭でも育てやすい木のひとつですが、背が高くなりやすいため、大きくなり過ぎてしまうと見た目が悪くなるだけではなく、高い枝についた実を収穫しにくくなってしまいます。また、おいしいビワの実を楽しむためには、実に栄養を充分に届けるように手入れすることがポイントです。

そのためには、多くなり過ぎてしまった葉や枝を剪定して、日当たりや風通しを良くすることが必要になります。

ビワの木を剪定するのに適した時期

ビワの木を剪定するのに適した時期

ビワの木の剪定はおいしい実を楽しむために必要な作業ですが、適当に枝や葉を落としてしまうと、2~3年にわたって実が付かなくなってしまうこともあるため注意が必要です。正しく剪定をするためにもビワの成長サイクルを知っておきましょう。

ビワは6月ごろに新しく伸びた枝の先に花芽が付き始め、秋から冬にかけてようやく花が咲き、その後春から初夏にかけて実を付けます。1年をとおして花から実へと成長するため、剪定時期の見極めが難しいかもしれません。一般的には、花が咲き終わってから実がなるまでの2月から3月にかけての時期が剪定に適しているとされています。

ビワの剪定に必要な道具

ビワの剪定に必要な道具

剪定によって、枝を切った切り口から病原菌が入り込みやすくなり、木が枯れる原因ともなるので、剪定した切り口に気をつける必要があります。切り口がいびつになることで切断面がふさがるのに時間がかかるため、切り口が早くふさがるように、切れ味の良い剪定バサミを使いましょう。

また、枝を切り落とした後にも手入れが必要です。切断面から病原菌の侵入を防ぎ、保護するためにも、傷薬の役目を果たしてくれる癒合剤を準備してください。

ビワの木の剪定方法

ビワの木の剪定方法

ビワの剪定方法には間引き剪定と切り戻し剪定の2種類があります。目的に応じてこの2つを使い分けながら剪定していきましょう。また、ビワの木は枝がまっすぐ上に伸びて成長するタイプと、横に広がって成長するタイプがあります。タイプによって剪定の手順が異なるため、剪定方法とビワの木のタイプを確認して進めてください。

ビワの間引き剪定

混み合っている枝葉を減らすために、枝を木の根元から切り詰める方法が間引き剪定です。木の成長で重なり合う枝を落とすことで、より多くの葉に日光を当てることができます。枝が何本にも分かれている場合には、1ヵ所あたり2、3本ほど残すように間引くと良いでしょう。この時、枝の根元ぎりぎりを切るのではなく、少し上で切り落とすと上手に剪定できます。

ビワは収穫を迎えたころには、すでに次の年に咲く花の芽が付いているため、一度に多くの枝を剪定しようとすると翌年に実がならなくなってしまうおそれもあります。そのため、一度に全体の剪定をするのではなく、毎年少しずつ整えていくことがポイントです。

ビワの切り戻し剪定

切り戻し剪定は、木のかたちを小さく整えるために枝の途中から切る方法です。切り戻し剪定をするときのポイントは花芽を落とし過ぎないこと。花芽は枝の先についているため、よく観察して切る枝を選んでください。

また、一度に多くの枝を切り戻すことによって、次の年に太く長い枝が成長して実が付きにくくなってしまうため、特に太い枝を切り戻す場合は50cm程度におさめるように意識すると良いでしょう。

枝がまっすぐ上に伸びる種類の仕上げ方

次に成長タイプごとの仕上げ方法を見ていきます。枝がまっすぐ上に成長するタイプは、木が高くなりやすいため、まずは主幹を整えます。上に伸びるタイプは木の中心である主幹を切ることで高さの調節が可能です。その次に主幹から伸びている枝を切っていきます。枝同士が重ならないようにバランスを見ながら切り落としましょう。

枝が横に広がって伸びる種類の仕上げ方

横に広がって成長するタイプは、高さを整える必要があまりないため、主幹を切る必要がありません。ただし、広がった枝同士が重なりやすいため、主幹から伸びている主枝が重ならないように、左右入れ違いになるよう切り落とします。木全体がどっしりとした盃のようなかたちになることを意識してみると良いでしょう。

ビワの剪定で気をつけるポイント

ビワの剪定で気をつけるポイント

実際にビワの剪定をするときにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。ここからは気をつけたいポイントをお伝えします。

強剪定のし過ぎに注意

剪定は大きく分けると、花や実をたくさんつけるために枝先の実を切る弱剪定と、木の成長を促すためにばっさりと切る、切り戻し剪定のような強剪定があります。

ビワの木は強剪定をすると、かえって実がつきにくくなってしまうおそれがあるので注意が必要です。また、剪定のし過ぎによって、幹の水分が奪われ、直射日光による温度の上昇に耐えられず幹焼けしてしまう可能性もあります。

そのままにしておくと木が枯れてしまう原因にもなるので、剪定は少しずつこまめにするのがおすすめです。

予備枝を残す

ビワの木は一度実を付けた枝に再び実が付くまでに時間がかかります。そのため、その年に実を付ける枝とは別に、予備の枝を残すようにすると翌年も実を付ける可能性が高まります。効率よく実を育てるためにも予備枝を残して剪定するようにしましょう。

癒合剤を塗る

枝を剪定すると、切断面から病原菌が入りやすくなります。木が病気になるのを防ぐためにも、剪定後の切断面には癒合剤を塗っておくことを忘れてはいけません。

癒合剤の多くは、塗布した癒合剤の下に表皮を形成するタイプです。癒合剤は人間でいう絆創膏のような役割をしてくれるため、癒合剤の下に表皮が形成されたら剥がすのがベターです。切り口から雑菌が侵入しやすいのは剪定から1ヵ月ほどとなるため、1ヵ月を目安に癒合剤を剥がしましょう。

ご自身での剪定が難しい場合はプロに任せよう!

ご自身での剪定が難しい場合はプロに任せよう!

ビワは背が高くなりやすいため、あっという間に剪定が難しい高さまで成長してしまいます。あまりに背の高くなった木はケガや転落のリスクが高まるため、ご自身での剪定は危険です。ご自身で対応できる基準は高さがおよそ3mまでで、幹周りの直径は20cmほどを目安としてください。難しい場合には無理をせず、プロに任せましょう。

くらしのセゾンでは、庭木のお手入れサービスを行っています。2m~3mの高中木から、幹周り30cm〜60cmになる高木まで剪定可能です。お見積もりも無料で追加料金も発生しないため、安心してご依頼いただけます。庭木1本からでも対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

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ビワを上手に栽培するために気をつけたいお手入れ方法

ビワを上手に栽培するために気をつけたいお手入れ方法

ビワを健康に育て、おいしい実を付けるには、正しい剪定方法だけではなく、普段のお手入れも大切です。

ビワの好む環境づくり

ビワは日当たりの良い場所を好みます。そのため、ビワを栽培する環境は家や他の庭木の影にならないような場所を選ぶなど、日当たりを考えることがベターです。地植えの場合、こまめな水やりは不要ですが、晴れの日が続いた夏の日などは土が乾きやすいので、たっぷりと水をあげましょう。

環境を整えて、水やりをしっかりしていてもビワの実がなかなか付かないといった場合には、栄養が不足しているのかもしれません。その場合には、有機質肥料や速効性化成肥料を与えてみましょう。肥料を与えるタイミングは、花が終わって実が付き始める2月ごろ、実が終わって花芽が付く6月ごろ、開花前の9月ごろを目安としてください。

おいしい実を収穫するためのひと手間

ビワの剪定や環境づくりに加え、さらにひと手間加えるとおいしいビワの実を楽しむことができます。まず、花芽を摘み取ることによって、残った花芽に栄養をしっかりと届けることのできる摘蕾(てきらい)です。

10月下旬の開花前を目安に花の数を減らすと、残った実に栄養を集中して届けられるようになります。花の房の根元と先端から花のつぼみをちぎり、中段の3、4房を残すようにすると収穫できる実が大きく甘くなります。

また、せっかく育ったビワの実を鳥や強風から守るためにも、袋がけをしておくことがおすすめです。あたたかくなると害虫もやってくるので、3月ごろを目安に、できるだけ早く袋がけをしましょう。傷がなく形が良いものを選び、1ヵ所に果実が3、4個になるよう摘果して袋をかけます。ネットをかけるのであれば、網目の細かいものを選ぶようにしてください。

害虫にも注意

ビワは成長が早い木であるため、健康に育てやすいと思われがちですが、害虫に弱い一面もあります。害虫はおもに、ダニやカメムシ、バッタや蛾の幼虫などが挙げられます。つぼみや花、実を食べられることが多いため、定期的に害虫がいないか観察して、実が付いたらすぐに袋がけをすることが大切です。大量発生してしまった場合には殺虫剤散布が必要になります。

ご自身での殺虫剤散布が難しいという方は、くらしのセゾンの害虫駆除がおすすめです。実を楽しみたいビワにも安心な成分を用いた製品での害虫駆除も可能です。防除作業監督者の資格を持った経験豊富なプロが対応いたしますので、安心してお任せいただけます。

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おすすめ!ビワのおいしい食べ方

おすすめ!ビワのおいしい食べ方

ビワの実がなったら、いよいよ収穫。皮にハリがあり、産毛が密なものが食べ頃です。ビワは追熟しないので、しっかり熟したものを収穫してください。

ビワの実は低温保存に向かないため、収穫後に冷蔵庫で保存してしまうと味や風味が損なわれるおそれがあります。日持ちもしないため、食べる分だけ収穫して、室内の冷暗所で保存するのがベターです。冷たいビワを楽しみたいときには、食べる分だけを2時間ほど冷蔵庫で冷やすのが良いでしょう。

たくさん収穫したときにはコンポートやジャム、ビワ酒などに加工するのがおすすめです。加工が面倒であれば、冷凍保存することもできます。洗って水気を切ったビワを金属のバットに並べ、冷凍。凍ったビワはジッパーつきの保存袋に入れて1ヵ月ほど楽しめます。

おわりに 

家庭でもおいしいビワを栽培して収穫するためには、こまめな剪定やお手入れが必要です。ビワはその成長サイクルから実を付けるまでに時間がかかる果物であるため、適当に剪定して枝や葉を落としてしまうと、そこから数年実を付けないという可能性もあるので注意しましょう。正しい剪定をしておいしいビワの実を楽しんでください。

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