「大変だけど、他人には任せられない。自分がやらなくてはいけない」と感じることの代表格、お墓参り。見守ってくれる先祖や故人に感謝を伝える大切な機会ではありますが、外出がしづらいコロナ禍の状況や体力的な部分からなかなかお墓参りができず、どこか後ろめたさを感じている――といった声も耳にします。
そんな悩みに応えるように、現在、全国各地で広まりつつある『お墓参り代行サービス』。ともすれば「他人に頼むなんて…」と抵抗も強そうなサービスですが、一度利用すると、リピートする方々も多いそう。
今回、くらしのセゾンが展開するお墓参り・お掃除代行サービス『墓もりくん』のお墓参りの現場を取材しました。お墓参りの様子をご紹介した前編に続き、後編では、『お墓参り』の現状や、代行サービスに関わるスタッフの方の言葉から、その秘密に迫ります。
『墓もりくん』サービスについてもっと知りたい方へ
『大切。だけど大変』今の「お墓参り感」
「お墓参りをする意味は何ですか?」この質問に対する答えは色々分かれるかもしれません。先祖への感謝を伝える、故人に会って自分の近況を伝える。人によって、目的は異なりますが、共通するのは「やはり、お墓参りは大切」ということ。
全国石製品協同組合(以下、全石協)の2021年度の調査でも、コロナ禍でも「お墓参りをすべき」と考える方が6割を超え、「行くべきではない」と答えた方の2割を大きく超えており、時代を問わず、お墓参りの必要性を感じる方が多いことを感じさせます。
(出展:コロナ禍におけるお墓参りの現状についてのアンケート調査概要(全石協,2021)より)
一方で、同調査で実際にお墓参りを1回以上行った、と回答したのはコロナ前と比較して25%減。コロナ下でのお墓参りの困難さを感じさせます。コロナ以外にも、『距離が遠い』『清掃が重労働』『段差が大変』など、お墓参りには様々なハードルが沢山。「お墓参りは、大切、だけど大変」というのは実は多くの方に共通する悩みではないでしょうか。
別の調査では、「自分はお墓参りに通うけど、自分が入った時には、子どもや家族には同じ思いをさせたくない」と回答した方が30%を超えるなど、お墓参りは悩ましい存在にもなっているのかもしれません。
自分がお墓に通うために、代行をお願いする使い方も
そんな中、広がっているのが、『お墓参り代行サービス』。文字どおり、思うようにお墓参りができない方に代わって、お墓参りと清掃を行うサービスです。実際には、どのようなシーンで使用されているのでしょうか。今回、実際にサービスとして清掃を実施しているスタッフのAさんにお伺いしました。
「やっぱり、ひとつはコロナで(交通機関の使用などが)難しくて、という方ですね」
行きたいと思いながらもなかなか向かうことが許されず、罪悪感があるなか、せめて綺麗にしてあげて「代わりに来てもらったよ」って(先祖や故人に)伝えてほしい、という気持ちからお願いをする、というケースです。でも、これ以外のご相談もあります。
「それよりも多いのは、自分や家族が近いうちに行くから、事前に綺麗にしてください、というものです」
例えば、遠方から来た親戚たちや家族と墓参りをするお彼岸や年末年始のタイミングや、故人の命日の前。事前に綺麗にしておいて、お墓ではゆっくりと故人との想いを馳せる方に時間を使う―――そんなお墓参りの為にサービスを使われる方も多いそう。
「もちろん、久しぶりに来る親戚の手前、しっかりと綺麗にしておいて、というのもありますが、ひとりで行くと全部清掃をやるのは大変だからある程度やってもらっておいて、というために、という方も少なくないです」
清掃の負担が少なければ、より気軽に、何回もお墓を行けるから、という気持ちでのサービスの活用も広がっていました。
『お墓参り代行サービス』従事者が大切にしていること
様々な目的や想いを背負って行う『お墓参り代行サービス』。サービスを行うにあたって大切にしていることはどんなことなのでしょうか。
「お墓参り、というものを、しきたり含めてしっかり理解して向かうことですね。お墓参りには一つひとつ意味がありますから」
例えば、お墓参り代行サービスは午後遅くになるにつれて基本的には行わないようにしているそうです。それは、「ご先祖様を後回しにしている」と思われないよう、早い時間にお参りをする、という古くからのしきたりを意識しているから。実際、作業の中でも、「他のお墓に触れない」などお墓参りで大切とされているマナーを気にしながら、丁寧に進めていました。
「後は、単にお墓を(サービスとして)磨きに来た、というのではなくて、自分がお墓参りに来た時と変わらないように、と意識しています」
サービスとして行ってしまうと、作業だけで終わってしまいがち。でも、Aさんは行きかう方に会釈をしたり、管理事務所とコミュニケーションをとったり、お墓から立ち去るときも最後に新しく飛んできた砂埃を払ったり、と本当に自分がお墓参りに来た時のように過ごしていました。単なる清掃ではなく、まさしく、お墓参りの代行。そんな姿を見て、横でお墓参りに来ていた別の家族から、別の日に新しく申し込みが入る、なんてこともあったそうです。
「単に作業をするだけでは、それで終わってしまいますから。(このサービスに取り組む他の)若い子達にも、研修などでしっかり伝えるようにしています」
他人ではなく、『自分の代わり』そんな姿勢が伝わって、リピートを呼んでいるのかもしれません。
お墓参りで大切にすること
今回、取材を通じて改めて感じたのは、依頼する方ごとにお墓参りへの想いはそれぞれ異なりますが、作業する方も含めて、全員がお墓参りをどこか大切なことだと感じていることは同じだ、ということ。お墓参りの代行の歴史は実は長く、移動が制限されていた江戸時代では「代参」という名前で活発に行われていたそうです。江戸時代の人も、「自分が行くのは難しいけど、お墓参りは大切だから行きたい」と、今と同じ葛藤をしていたのかもしれませんね。
「来たよ」って代わりに伝えてもらうこと、行けないからせめてお墓を綺麗に整えてもらうこと、親戚を迎える準備をしてもらうこと。お墓参りへの想いが沢山あるのと同じように、お墓参り代行サービスの活用方法も沢山あります。
コロナ禍の冬。お墓参りをしたい、と感じたら、ご自身に合った利用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
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「【任せていいの?】今、利用が広まる『お墓参り代行サービス』の現場に潜入(実態レポート)」
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今回ご紹介のサービスはクレディセゾングループである株式会社くらしのセゾンが提供しています。