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SDGsの17項目とは?掲げる目標や今私たちが取り組めること

SDGsの17項目とは?掲げる目標や今私たちが取り組めること
セゾンのくらし大研究 編集部

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豊かなくらしに必要な「お金」「健康」「家族」に関する困りごとや悩みごとを解決するために役立つ情報を、編集部メンバーが選りすぐってお届けします。

近年、「SDGs」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、SDGsとはいったいどのようなものか?また、具体的にどのような項目が掲げられているのか?を理解している方は少ないのではないでしょうか。この記事では、SDGsの概要を説明するとともに、SDGsが掲げる17項目について、わかりやすく解説します。あわせて、今日からできるSDGsの取り組みも紹介しますので、是非参考にして下さい。

1.SDGsとは?

まずは、SDGsがどういうものかを解説していきます。

1-1.SDGsの概要

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略語で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」という意味です。SDGsとは「誰一人取り残されない」を理念として、国連加盟国193ヵ国が合意した17の項目および169のターゲットのことを指します。内容は、貧困や衛生問題など、途上国における社会問題の解決だけではありません。気候変動やジェンダー問題といった、先進国・途上国共通の課題の解決も挙げられています。いずれも2030年までに達成すべき目標として制定されています

参考:SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省

1-2.SDGsが生まれた背景

世界中には環境破壊や気候変動などさまざまな課題があり、このままの状態が続けばこの地球上で皆が平和に暮らすのは難しいと懸念されています。そこで、世界各国で話し合い、課題を整理し、具体的な解決策を打ち出したのがSDGsです。

SDGsのルーツは、第二次世界大戦後に勃発した「経済対策と環境対策の対立」にあります。その後1972年、スウェーデンで開催された国連人間環境会議において「人間環境宣言」が採択されました。さらに1992年には、リオデジャネイロにて環境と開発に関する「リオ宣言」が採択されたことで、世界全体で環境対策について深く考える動きが活性化しました。

その後、2000年にはSDGsの前進となる「MDGs」が国連ミレニアムサミットで採択されました。MDGsは、環境問題に加えて途上国の貧困問題解決、ジェンダーレス社会の実現など8つの目標を2015年までに達成することを目標に制定されました。

しかし、2015年を迎えても、MDGsは満足な結果を達成することはできませんでした。そこで、2030年までの目標達成を定めて誕生したのがSDGsです。

2.SDGsが掲げる17項目とは

ここからは、SDGsが掲げている17項目について、わかりやすく解説します。

1.貧困をなくそう

現在、食べ物・水、衣服などの最低限の生活基準が満たされていない「絶対的貧困」の割合は、世界中で10人に1人とされています。また、現在健康で満ち足りた暮らしをしていても、将来的に自然災害やパンデミック、紛争や世界的金融ショックで貧しくなってしまう可能性もあるのです。そのような被害に遭ったとしてもすべての人々が自力で生活を立て直せる力をつけ、あらゆる場所において、あらゆる形の「貧しさ」に終止符を打つことが最終目標になっています。

2.飢餓をゼロに

2018年の時点で、約8億2000万人の方が飢餓に苦しんでいます。飢餓は、「飢饉(ききん)」と「慢性的飢餓」の2種類に分かれており、「飢饉」は、紛争や自然災害などによって一時的に食料不足に陥ること、「慢性的飢餓」は長らく食料を手に入れられない状態が続くことで、慢性的に栄養不足に陥ることです。SDGsでは、持続可能な農業を開発して飢餓の連鎖に終止符を打ち、食料の安定的な確保と栄養状態の改善をゴールとしています

3.すべての人に健康と福祉を

世界中には、医師や病院が不足しているため、医療体制が万全ではない国がたくさんあります。そこで、すべての方が支払い可能な費用の範囲内で、治療や予防などの基礎的な医療サービスが受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カレッジ」の仕組みを構築・維持することが必要です。世界中のあらゆる年代の方たちの健康的な生活を保証して、福祉を推進することが重要となります。

4.質の高い教育をみんなに

ジェンダーや貧富の差、民族を超えて、すべての方たちに質の高い教育を提供して教育格差をなくします。そのためには、経済的なサポートはもちろんのこと、大人のための職業訓練・生涯教育・オンライン教育などさまざまな取り組みを行うことが重要です。

5.ジェンダー平等を実現しよう

ジェンダー格差やジェンダー差別は世界中で深刻な課題となっています。SDGsでは、ジェンダーの平等を達成し、あらゆる人たちの可能性を広げることを目標としています。身体的な性別だけではなくLGBTQの方たちの存在を受け入れることも、大切な取り組みのひとつです。

6.安全な水とトイレを世界中に

現在、世界の人口の約3分の1に当たる約22億人の方たちが、水道が整っていないために、「安全に管理された水」を使うことができません。また、約42億人の方がきれいなトイレを使用することができないのです。

国連広報センターは、2050年までに、4人に1人が水不足の国で暮らすことになると予想しています。安全な水が高価なものになってしまう前に、途上国の上下水道を整え、きれいな淡水を生み出す自然環境を回復・保護する必要があるのです。

7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに

現在、世界では、約7億9,000万人の方が電気のない生活を強いられています。また、私たちが使用している電気は石油や石炭などの化石燃料から作られ、発電する際に大量の二酸化炭素を排出するので、地球温暖化の原因となっています。今、世界が早急に取り組まなければならないのが、発電時に二酸化炭素を排出しない、風力・水力・太陽光などの再生可能エネルギーへの転換です。

8.働きがいも経済成長も

世界の人口の約半分の方が、1日200数円程度の給与しか得ることができていません。また、世界でも最も貧しい国々では、幼い子どもたちが兵士として働いたり、過酷な労働を強いられたりしています。本来なら学校へ行くべき時に働いているので教育を受けられず、大人になっても貧困から抜け出すことができないという負の連鎖が起きているのです

この連鎖を止めるためには、世界中のあらゆる方たちが、働き甲斐のある人間らしい仕事「ディーセント・ワーク」につかなければなりません。それぞれの国の状況に応じた、無理のない持続的な経済成長を目指すことが大切です。

9.産業と技術革新の基盤を作ろう

私たちの生活に欠かせないのが「インフラ」です。途上国の中には、このようなインフラがまだまだ整備されていない国がたくさんあります。そこで、SDGsが目指すのは、世界中のすべての方たちが安心・安全に暮らせるしなやかで強いインフラを作っていくことなのです。

10.人や国の不平等をなくそう

国や人の不平等をなくすためには、差別的な慣習・法律を見直して適切な政策を進めていくことが必要です。また雇用機会や所得の格差も減らし、さらなる不平等を生み出さないようにする仕組みづくりも大切になります。国家間においては、各国の議論の場に途上国が積極的に参加、発言できる機会を増やすことが重要でしょう。

11.住み続けられるまちづくりを

2030年には都市部に暮らす方の割合が、全人口の60%まで増加すると予測されています。都市部に人口が集中することによって、地方では将来的に消滅する可能性のある「消滅可能性都市」が増えてしまうのです。また、都市に人々が集まると、住宅が足りなくなったり、治安が悪くなったりする可能性もあります。

人々が長く快適に暮らすためには、自然災害に強い街であることが必須です。つまり、都市部と地方の繋がりを深めたり、自然災害に強い都市づくりを行ったりすることによって、世界中のあらゆる方たちが住んでいる土地を安全かつレジリエント(強靭)な街にすること、そしてそれを持続していくことが重要になります。

12.つくる責任 つかう責任

「2030年には地球が2つ必要になるだろう」といわれるほど、私たちは自然界のさまざまな資源を生産・消費して暮らしています。なかでも深刻なのが食品ロス問題です。また、食品以外にもあらゆる産業において、有害物質の排出や化学物質の使用による自然破壊が深刻化しています。

このような状況を打破するためには、生産者は限られた資源を効率よく使用し、地球に優しい方法でものづくりを行う必要があるのです。また、消費者は、ゴミを減らす(Reduce)、繰り返して何度も使う(Reuse)、資源を循環して使う(Recycle)の「3R」を意識することが求められています

13.気候変動に具体的な対策を

気候変動による大洪水や干ばつなど、世界中でさまざまな自然災害が増加しています。その理由のひとつが地球温暖化です。今後、世界の平均気温はさらに上昇すると予想されており、それに伴い自然災害や海面上昇、農作物への被害などが増える可能性が懸念されています。気候変動のスピードを緩めることは、世界共通で早急に取り組むべき課題です。

14.海の豊かさを守ろう

年間約800万トンものプラスチックが海に流出し、海の生物を死に追いやったり、海洋汚染の原因となったりしています。また、世界の漁獲量は年々増加しており、魚が減少傾向です。海の生態系が乱れると、地球全体のバランスが崩れてしまうでしょう。そのため、海を汚染する原因物資を減らす、魚を取る量を抑えるなどの活動が、世界各国で進められています。

「海の豊かさを守ろう」の詳細はこちらで解説しています。

関連記事:SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」|海洋の現状・課題や日本の取り組みを紹介

15.陸の豊かさも守ろう

世界の陸地のうち、森林が占める割合は年々減少しています。都市化や土地の農地化、産業の発達などがその原因です。森林が減ってしまうと、土地が砂漠化したり、多くの生き物たちの住む場所がなくなり、生態系が危機にさらされたりするリスクが増加します。今、世界各国で、森を正しく管理する、生態系を崩さないよう野生の生き物が暮らせる保護区を作るなど、陸地の豊かさを取り戻す活動が進められています。

16.平和と公正をすべての人に

世界のさまざまな土地で戦争や内戦が続いています。戦争以外にも犯罪やテロ、また家庭内暴力などに苦しむ方たちもたくさんいるのが現状です。そこでSDGsが目指すのが、すべての方が不当な扱いを受けることなく安心して暮らせる、戦争や暴力のない公正な社会になることです。そのためには、法律やルールが整備され、そして遵守されることが重要です。

17.パートナーシップで目標を達成しよう

世界中の国々と人々が協力し合い、一丸となって達成することが必要になります。各国でSDGsに独自に取り組むことも大切ですが、他の国々の抱えている問題を理解し、手を差し伸べることも重要です。特に途上国の問題は独自で解決することは難しく、先進国の協力が必要不可欠になります。

3.日本の取り組みと達成状況は?

現在、日本はどれくらいの目標を達成できているのでしょうか。また、どのような取り組みを行っているのでしょうか。わかりやすく解説します。

3-1.日本の達成度は世界第18位

2021年版の国別SDGs達成度ランキングによると、日本は第18位です。日本は、「気候変動」や「ジェンダー平等」においては、まだまだ課題が残っています。しかし、その他の目標に対する評価はおおむね高く、特に「技術」や「教育」においては世界的に高評価を得ているといえるでしょう。

※参照元:Sustainable Development Report 2021

3-2.日本政府の取り組みは?

日本政府は、2016年5月にSDGs推進本部を設置しました。総理大臣を本部長、官房長官および外務大臣を副本部長として、以下の3つの取り組みを実施しています。

・SDGs実施指針を策定

日本が未達成である課題に取り組み、なおかつSDGsの課題解決先進国として各国をけん引するために、2016年12月に「SDGs実施指針」を策定し8つの優先課題として定めました。

  1. あらゆる人々の活躍する社会・ジェンダー平等の推進
  2. 健康・長寿の達成
  3. 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション
  4. 持続可能で強靭な国土と質の高いインフラの整備
  5. 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会
  6. 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
  7. 平和と安全・安心社会の実現
  8. SDGs実施推進の体制と手順

・SDGsアクションプランの発表

8つの優先課題解決に向けた具体的な政策として公表されているのが「SDGsアクションプラン」です。SDGsアクションプランは、半年ごとに内容が改定され最新版が公表されます。しかし、アクションプランの基盤となる以下の3つの方向性は変更されることはありません。

  • ビジネスとイノベーション ~SDGsと連動する「Society5.0」の推進~
  • SDGsを原動力とした地方創生、強靭かつ環境にやさしい魅力的なまちづくり
  • SDGsの担い手としての次世代・女性のエンパワーメント

・ジャパンSDGsアワードの設立

政府は、2017年より、SDGs推進本部を主催とする「ジャパンSDGsアワード」を設立しました。SDGs達成に向けて優れた取り組みを行う企業及び団体を表彰する制度で、対象は日本に拠点を持つ団体もしくは企業で、表彰部門は以下の4つです。

  • SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞
  • SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞
  • SDGs推進副本部長(外務大臣)賞
  • SDGsパートナーシップ賞

4.個人でできるSDGsへの取り組みは

SDGsの目標達成には、私たち一人ひとりの取り組みもとても大切です。ここでは、日常生活に取り入れることができる取り組みを、いくつかご紹介します。

以下記事でも、具体的な例をご説明していますので合わせてご覧ください。

SDGsの身近な例とは?国や企業、学校での取り組みをわかりやすく紹介!

4-1.節電・節水、持続可能なエネルギーを利用

今すぐ実践できる取り組みのひとつが、節電・節水です。シャワーの水を出しっぱなしにしない、使用していない家電の電源を切るなど、資源の無駄遣いをストップすることを心掛けましょう。また、太陽光・風力などの再生可能エネルギーで電力供給を行う、電力会社を利用するのもひとつの方法です。

4-2.マイボトル・マイバッグの利用

買い物やカフェに行く際は、マイバッグ・マイボトルを持参してみませんか?プラスチックの袋やコップの使用を控えることで、プラスチック製品の使用が減り、ごみの削減へと繋がります。

4-3.公共交通機関の利用 

移動の際は、公共交通機関や自転車の使用や徒歩を心掛けましょう。自動車は走行時に温室効果ガスを排出するため、車を利用する方が多いほど、温室効果ガスの排出量も増加してしまいます。どうしても自動車が必要な場合は仕方ありませんが、それ以外は極力自動車の使用は控えると、SDGsへ貢献できるのです。

4-4.フェアトレード商品・認証商品を購入

公正・公平な貿易を意味する「フェアトレード商品」を購入するのもSDGsの取り組みのひとつです。フェアトレード商品を購入することで、途上国の製品や原料を適正価格で継続的に仕入れることができ、生産者および労働者の生活改善や途上国の自立促進に繋がります。また、労働環境や地球環境に配慮して作られた、FSC認証・MSC認証などの認証マーク入りの商品を購入するのも良いでしょう。

4-5.家事は平等に 

まだまだ「家事は妻の仕事」という考えが根付いている日本は、ジェンダー問題後進国といわざるをえません。ジェンダー平等社会を目指すために、まずは夫婦間で仕事や家事・育児を同じように分担することから始めてみましょう。

4-6.フードロスを減らす 

買った食材は使い切る、消費できる量だけを買うなどを意識して、フードロスを減らしましょう。また、スーパーでは賞味期限の近いものから買う、賞味期限が近い値引き商品などを購入するといった行動も、フードロス削減の第一歩になります。

関連記事:フードロスとは?問題点や日本の現状と社会・家庭でできる取り組みをチェック

4-7.災害に備える

各家庭が災害に対する備えをしておくことが、「災害があっても回復が早く、ずっと住み続けられる街づくり」へと繋がります。地震が起きても家具が倒れないようにする、飲料水や非常食を準備しておく、避難経路や避難場所を確認しておくなど「もしも」のときに慌てないように準備しておきましょう。

4-8.積極的にリサイクルする

積極的にリサイクルや再利用を行いましょう。リサイクルを行うことで、限りある資源を大切に使うことができ、ゴミを減らすことにもなります。「まだ使える」「もったいない」という意識で毎日生活することが大切です。

その他、SDGsの身近な例はこちらで詳しく解説しています。

関連記事:SDGsの身近な例とは?国や企業、学校での取り組みをわかりやすく紹介!

4-9.CO2排出量を可視化してオフセットする

クレディセゾンでは、DATAFLUCT社が展開する「becoz wallet」と連携して、CO2排出量を可視化できる日本唯一のクレジットカード「SAISON CARD Digital for becoz」の取扱いを開始しました。

白い大理石のようなテクスチャ画像の券面。中央やや左下にbecozのロゴが浮き出ているデザイン。右上にセゾンカードロゴ、右下にマスターカードロゴが配置されている。

このSAISON CARD Digital for becozは、従来では捉えきれなかった生活におけるCO2排出量削減アクションにより減ったCO2排出量をデータを元に可視化できるサービス「becoz wallet」と連携させることで、カードで買い物した利用明細情報からCO2排出量を算出が可能です。

このクレジットカードは、プラスチックカードは発行されません。スマートフォンアプリ「セゾンPortal」から、カード番号やセキュリティコードを確認して、オンラインショッピングが可能です。

SAISON CARD Digital for becozの詳細はこちら

人間が生活するうえで、CO2の排出は切っても切れない課題であることは、認識のとおりであり、今後のライフスタイルにおいては、暮らしの中でCO2排出がより少ないモノやコトを選んだり、オフセットすることで、気候変動に配慮したライフスタイルを実践していくことが、より求められていくものとなっていくでしょう。

おわりに 

2030年までにSDGsのすべての目標を達成するには、私たち一人ひとりの毎日の行動や考え方も大きなポイントになります。なぜ今SDGsなのかをしっかりと理解して、まず今から実践できることに取り組んでみてはいかがでしょうか。この美しい地球を守ることができるのは、他でもない、今ここに暮らしている私たちなのです。

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