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なぜ建設業は深刻な人材不足に陥るのか?業界の現状や今後の対策を徹底解説!

なぜ建設業は深刻な人材不足に陥るのか?業界の現状や今後の対策を徹底解説!
セゾンのくらし大研究 編集部

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現代の労働市場では、人手不足だといわれています。特に建設業界は、2024年問題、2025年問題も相まって深刻な人手不足が生じているだけでなく、今後も見込まれるでしょう。

この記事では、最新のデータを基に、建設業界での人手不足の実態やその原因、具体的な対策について解説します。建設業界の経営者や採用担当者の方はもちろん、労働市場のトレンドを押さえておきたい方もぜひ参考にしてください。
(本記事は2024年9月12日時点の情報です)

この記事を読んでわかること
  • 建設業界の就業者数は建設業就業者数は497万人、ピーク時から約30%減少
  • 建設業界において人手不足が深刻な原因は労働環境へのイメージ、離職者が多い、雇用が不安定なことに加え需要の高まり
  • 建設業においては2024年問題、2025年問題も深刻
  • 人材確保のためには待遇改善、環境整備、採用手段の検討が必要
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データからみる建設業界の人手不足の現状

データからみる建設業界の人手不足の現状

昨今、さまざまな業界において人手不足といわれています。建設業界も例外ではなく、人手不足は深刻な問題です。

ここでは、建設業界の人手不足の現状について解説します。

建設業における就業者数は減少傾向

建設業における就業者数は減少傾向にあります。国土交通省「建設業を巡る現状と課題」によると、建設業者数は令和3年度末では約48万業者で平成11年度末のピーク時からは約21%減少しました。また、令和4年度平均の建設業就業者数は497万人であり、平成9年のピーク時から約30%減少しています。

この傾向はさまざまな業界に影響を及ぼしており、深刻な人手不足が問題となっています。 建設業者の減少や人手不足により、「家が建てられない」「道路の補修が遅れてしまう」などの事態が多発する可能性があるでしょう。

建設業就業者の高齢化が進行

建設業就業者の高齢化も深刻な問題となっています。国土交通省の「建設業を巡る現状と課題」によると、建設業就業者全体の35.9%が55歳以上である一方、29歳以下の若年層はわずか11.7%にとどまっています。

さらに懸念されるのは、この傾向が年々強まっていることです。実数ベースで55歳以上の就業者が1万人増加する一方で、29歳以下は2万人減少しました。この数字は、建設業界における若手人材の確保が困難になっていることを如実に示しています。

このような高齢化の進行は、技術の承継に大きな課題をもたらしています。熟練した技術者が退職する一方で、その技術を受け継ぐべき若手が不足しているのです。このままでは、建設業界の将来における技術力の低下が懸念されます。

建設業界全体として、若手層の育成と確保に向けた施策が喫緊の課題となっています。技術の継承を確実に行うとともに、若い世代にとって魅力的な業界となるよう、労働環境の改善や教育体制の整備など、多角的なアプローチが必要不可欠です。

なぜ建設業は人手不足?考えられる4つの原因

なぜ建設業は人手不足?考えられる4つの原因

では、なぜ建設業は深刻な人手不足に直面しているのでしょうか。ここでは、建設業が人手不足となっている原因を 4つ解説します。

建設業の労働環境に対するイメージが悪い

建設業の労働環境は「3K」(キツイ、危険、汚い)というイメージが強く、これが若者にとって敬遠される原因の一つといえるでしょう。建設業は肉体労働が多く、週休二日制を取り入れている企業が少ないため、きついというイメージがあります。

また、高所などの厳しい作業もあり、建設業界にとってイメージ向上は大きな課題です。業界全体で働きやすい環境づくりが求められています。

離職者が多い:企業と若手の認識のギャップ

建設業界では離職者の多さが大きな問題となっています。しかし、より深刻なのは企業側と若手技能者の間に存在する離職理由に関する認識の大きなギャップです。

国土交通省の「建設業の働き方として目指していくべき方向性」によると、企業側が考える若手技能者が定着しない理由は以下のとおりです。

  1. 作業がきつい
  2. 若手技能労働者の就業意識が低い
  3. 現場での人間関係の難しさ

一方で、実際に離職した若者が挙げる理由は全く異なります。

  1. 雇用が不安定
  2. 遠方の作業所が多い
  3. 休みが取りづらい

この認識のずれは非常に重要です。企業側は若者の能力や意欲の問題に原因を求めていますが、離職した若者たちは労働条件や環境の問題を指摘しているのです。

例えば、企業側が「作業がきつい」と考えているのに対し、若者側は「休みが取りづらい」と感じています。これは単に仕事の厳しさだけでなく、ワークライフバランスの問題を示唆しています。

また、企業側が若者の「就業意識の低さ」を問題視する一方で、若者は「雇用の不安定さ」を最大の懸念としています。これは、若者が安定したキャリアを求めているにもかかわらず、企業側がその要求を十分に理解していないことを示しています。

このような認識のギャップが、離職率の高さにつながっていると考えられます。企業が若手の本当のニーズを理解し、それに応える施策を講じない限り、この問題の解決は困難でしょう。

建設業界が人材確保と定着率の向上を図るためには、まずこの認識のギャップを埋めることから始める必要があります。若手の声に耳を傾け、彼らの求める労働環境や条件を整備することが、今後の人材戦略の鍵となるでしょう。

雇用が不安定

雇用が不安定なことも、建設業が人手不足になってしまう原因の一つです。

東京商工リサーチの調査によると、建設業の従業員の31.6%が日給月払い制となっています。建設業は現場作業を主体とする業務が多く、建設現場は雨や雪など天候によって作業が中止となる場合も多いです。

日給月払い制では、作業が中止になれば給与が減ってしまいます。約3割以上の労働者がこのような不安定な雇用形態で働いているんが実情です。 

建設業の需要が高まっている

老朽化したインフラのメンテナンス、高齢者施設の新規建設など建設業の需要は高まっています。しかし、それに対応するだけの十分な労働力が確保できていない状況が人手不足の一因です。

需要に追いつくためには、人材の採用と育成に重点を置くことが大切です。また、教育プログラムや研修の充実も必要でしょう。今後は業界の魅力を伝え、新しい人材をさらに引き込む戦略が求められます。

建設業における2024年問題とは?時間外労働の上限規制について

建設業における2024年問題とは?時間外労働の上限規制について

建設業における2024年問題とは、どのような内容なのでしょうか。ここでは、建設業界に迫る2024年問題と時間外労働の上限規制について解説します。

2024年問題とは

建設業の2024年問題とは、「働き方改革関連法」が適応開始される2024年4月までに建設業が解決するべき労働環境問題のことです。ここでいう労働環境問題とは、人手不足で長時間労働が常態化している事態を指します。 

これらの労働環境問題は短期間で解決するのが難しいため、一部の働き方改革関連法案の適用に5年間の猶予期間が設けられています。 猶予期間が終わり、2024年4月から建設業界においても働き方改革関連法が適用されるため、2024年問題といわれているわけです。

時間外労働の上限規制とは

時間外労働の上限規制については、働き方改革関連法案による改正後の労働基準法により、法定化されています。時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間 となり臨時的な特別の事情がなければ これを超えることはできません。

また、臨時的な特別の事情があり、労働者と使用者が合意する場合でも、時間外労働が年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満、時間外労働と休日労働の合計について2〜6ヵ月平均80時間以内、時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6回が限度などといった決まりを守らなければなりません。

この法改正により、36協定で定める延長時間の上限だけではなく、休日労働も含んだ1ヵ月あたり及び2〜6ヶ月の平均時間数にも条件が設けられたことに注意が必要です。企業においては、これまでとは異なる方法で労働時間管理を行わなければなりません。

今後人手不足が深刻化?2025年問題

今後人手不足が深刻化?2025年問題

建設業界が直面する「2025年問題」とは、2025年頃に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで、熟練技術者の大量退職が予想され、さらなる人材不足と技術継承の危機が懸念される問題です。

総務省統計局が2022年に発表した「労働力調査」によると、建設業の就労者の内、40歳未満が全体の約26%に対し、41歳以上が約74%を占めています。特に注目すべきは、65歳以上の就業者が約17%に達していることです。この数字は、建設業界の高齢化が他産業と比べても顕著であることを示しています。

2025年問題がもたらす影響は多岐にわたります。

  1. 技術継承の危機:熟練技術者の大量退職により、長年培われてきた技術やノウハウが失われる恐れがあります。
  2. 生産性の低下:経験豊富な技術者の不足は、工事の品質や効率性に影響を与える可能性があります。
  3. 人材不足の深刻化:若手の入職が進まない中で、ベテラン技術者の退職が加速することで、さらなる人手不足に陥る可能性があります。
  4. 競争力の低下:技術力や人材の不足は、企業や業界全体の競争力低下につながる可能性があります。

この問題に対処するために、以下のような対策が考えられます。

  1. 技術継承プログラムの強化:ベテラン技術者の知識や技術を効果的に若手に伝承するシステムを構築する。
  2. 定年延長と再雇用の促進:熟練技術者の経験を活かすため、定年を延長したり、退職後も継続して働ける環境を整備する。
  3. 若手人材の積極的採用と育成:業界のイメージアップを図りつつ、若手の採用を強化し、充実した教育・研修制度を整える。
  4. ICTやAIの活用:熟練技術者の知識をデジタル化し、AIやVR技術を用いて若手の教育に活用する。
  5. 多様な人材の活用:女性や外国人労働者の積極的な採用と、彼らが働きやすい環境づくりを進める。
  6. 業界全体での連携:個々の企業だけでなく、業界団体や行政とも連携し、人材育成や技術継承のための取り組みを推進する。

2025年問題は、建設業界にとって大きな転換点となる可能性があります。この危機を乗り越え、持続可能な産業として発展していくためには、今から具体的な対策を講じ、着実に実行していくことが不可欠です。業界全体が一丸となって取り組むべき重要な課題といえるでしょう。

時間外労働の上限規制の適用前に企業が対応するべきこと

時間外労働の上限規制の適用前に企業が対応するべきこと

ここでは、時間外労働の上限規制の適用前に、企業側が対応するべきことを3つ解説します。

勤怠管理体制の強化

働き方改革関連法案により規定された労働時間の上限を超えないために、企業は従業員全員の勤怠管理体制を強化しなければなりません。

厚生労働省が定めたガイドラインでは、従業員の労働時間を適正に把握するために客観的な記録を用いることが求められています。しかし、建設業においては従業員が直接現場に出勤し業務終了後は現場から直帰するケースも少なくありません。

そのため、労働時間の把握をすることは容易ではなく、勤怠管理体制の強化が必要です。

業務の生産性向上を図る

従業員一人ひとりの生産性を上げるという考え方も非常に重要です。

建設業界では、人手不足から少人数で厳しい納期の業務をこなさなければいけないケースも少なくありません。現場作業に加え、書類の作成など多くの業務があります。そのため、従業員の負担は大きくなり、労働時間も長くなりがちです。

人手不足の中、業務を効率化するためにICTを活用することも効果的な選択肢です。ICT導入により労働時間が減り、従業員の心身的な負担が軽減されれば、生産性の向上にもつながるでしょう。

雇用や労働環境などに詳しい専門家に相談する

法制度の改正に合わせて適切な対策を行うためには、法律の動向を追い、常日頃から知識をアップデートする必要があります。しかし、法律のような専門的な分野をカバーすることは容易ではありません。そこで、弁護士や社会保険労務士など専門家の力を借りることも大切です。

専門家に依頼することで、雇用関係に対するトラブルの未然防止策や、トラブルが生じた際の適切な対応についても相談できるメリットも得られます。

建設業界の人材確保のためにできる5つの人手不足対策

建設業界の人材確保のためにできる5つの人手不足対策

ここでは、建設業界の人材確保のためにできる以下5つの人手不足対策を解説します。

  • 労働時間や休日などの待遇改善
  • 給与・賃金の制度を改善する
  • 働きやすい環境を整える
  • 建設業のイメージアップを図る
  • さまざまな採用手段を検討する

それぞれについて、解説します。

労働時間や休日などの待遇改善

待遇の改善は、労働者のモチベーション向上につながります。

国土交通省は、「建設業働き方改革加速化プログラム」の一環として、長時間労働を減らすために適切な工期設定と週休2日制の導入を進めています。労働時間の柔軟性や適正な休日の確保、ワークライフバランスの重視など、待遇の改善が人材の定着に寄与するといっても過言ではありません。

給与・賃金の制度を改善する

給与賃金の制度を見直し、建設業特有の日給制から月給制への変更など安定的かつ魅力的な収入体系を整備することも大切です。

月給制の導入は未だ一般的ではなく、建設業界全体での改善が求められています。給与・賃金の制度を改善することにより、労働者の離職率を減少させ、建設業界への定着を促進できるでしょう。

働きやすい環境を整える

労働条件を見直し、働きやすい環境づくりを行うことも重要です。また、無理のないスケジュールで働くためには、適切な工期設定も欠かせません。実際に、公共工事では余裕を持った工期が設定されていることも多いです。

特に、若者や女性が働きやすい環境を整え、多種多様な人材を受け入れる土壌を整備することも必要でしょう。

建設業のイメージアップを図る

建設業の「3K」(きつい、危険、汚い)というネガティブなイメージを払拭し、業界の魅力をアピールすることは、人材確保において非常に重要です。そのためには、業界全体でのイメージ向上の取り組みが必要不可欠です。

具体的な例として、一般社団法人日本建設業連合会(日建連)が実施している「けんせつ小町」プロジェクトが挙げられます。このプロジェクトは、建設業で活躍する女性技術者・技能者を「けんせつ小町」として紹介し、建設業における女性の活躍を広くアピールしています。

プロジェクトのウェブサイトでは、現場で働く女性たちのインタビューや、彼女たちの日々の業務の様子を写真や動画で紹介しています。これにより、建設業が男性だけの職場ではなく、女性にとっても魅力的なキャリアパスがあることを示しています。

また、国土交通省が推進する「i-Construction」(アイ・コンストラクション)の取り組みも、建設業のイメージ向上に貢献しています。ICTの全面的な活用により、建設現場の生産性向上と魅力ある建設現場を目指すこの取り組みは、建設業のデジタル化と近代化をアピールし、若い世代にとっての魅力を高めています。

さらに、大手建設会社の中には、VRやAR技術を活用した現場見学会を開催するなど、最新技術を駆使して建設業の魅力を発信する取り組みも増えています。これらの取り組みは、建設業が単なる肉体労働ではなく、先端技術を駆使する知的な仕事であることを示すのに役立っています。

このような多角的なアプローチにより、建設業は以下のようなポジティブなイメージを発信することができます。

  1. 多様性:性別や年齢を問わず、誰もが活躍できる職場
  2. 技術革新:最先端のICT技術を駆使する先進的な業界
  3. やりがい:社会インフラの整備を通じて、直接的に社会貢献ができる仕事
  4. キャリアパス:技術の習得により、着実にキャリアアップできる業界

安全で成長できる職場環境や、技術への挑戦の機会などを積極的に発信し、業界へのポジティブな認識を広める努力が、今後の人材確保において極めて重要になるでしょう。これらの取り組みを通じて、建設業が若者にとって魅力的で、やりがいのある職業選択肢の一つとなることが期待されます。

さまざまな採用手段を検討する

求人サイトやSNS を活用した幅広い採用手段を組み合わせ、多様な人材層にアプローチすることも大切です。建設業界に興味がある求職者の個々の思考やニーズに合わせた採用戦略を展開することで、 人材確保の可能性を広げることができます。 

採用にコストがかかるなら不動産担保ローンを検討するのもおすすめ

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おわりに

人手不足が深刻な社会情勢の中、各業界がその影響に直面しています。特に建設業界では労働力不足や高齢化の進行が顕著であり、適切な対処が求められています。人手不足の現状や原因、具体的な業界ごとの対策、将来的な課題を把握し、効果的な人材確保を進めていきましょう。採用コストが心配な場合は、不動産担保ローンの活用も視野に入れてみてください。

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