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ゼロゼロ融資で倒産件数増加!回避策はある?倒産を防ぐ資金調達法をご紹介

ゼロゼロ融資で倒産件数増加!回避策はある?倒産を防ぐ資金調達法をご紹介
セゾンのくらし大研究 編集部

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コロナ禍で資金繰りに苦しむ中小企業にとって、実質無利子・無担保で融資を受けられるゼロゼロ融資は魅力的な選択肢に見えるかもしれません。しかし、ゼロゼロ融資には実は大きな落とし穴があり、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産件数が急増していることをご存じでしょうか。

この記事では、ゼロゼロ融資のリスクと倒産の現状、過去行われた融資と返済状況について詳しく解説します。倒産を防ぐためにどのような資金調達方法が有効なのかもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読んでわかること
  • ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産件数は2023年には前年の約1.4倍に増加
  • ゼロゼロ融資利用後の倒産が多い産業はサービス業、建設業、卸売業、製造業、小売業、業種は飲食店、総合工事業、職別工事業、道路貨物運送業
  • 日本政策金融公庫によるコロナ融資の返済開始時期のピークは2021年6月から2022年6月に到来しており、政府系のコロナ融資は借り換え可能
  • 倒産のリスクを回避するための資金調達戦略は、収益力改善支援や公庫融資借換特例制度、コロナ借換保証の利用、不動産担保ローンの活用
不動産担保ローン
不動産担保ローン

ゼロゼロ融資利用後の倒産状況(2023年)について

ゼロゼロ融資利用後の倒産状況(2023年)について

ゼロゼロ融資とは、コロナ禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資する仕組みです。政府系金融機関や民間金融機関が提供しています。元本は国が財政面を支援している信用保証協会によって保証され、一定期間の利子についても利子補給制度で補填されるため、安心して融資を受けることが可能なはずです。

しかし、実質無利子・無担保と得に見えるかもしれませんが、実は危険な罠が隠されています。

株式会社東京商工リサーチの調査によると、2023年のゼロゼロ融資後の倒産件数は631件で前年比39.2%、実に約1.4倍に急増しました。これは、ゼロゼロ融資が始まった2020年以降、最も多い倒産件数です。

では、なぜゼロゼロ融資を利用した企業が倒産に追い込まれるのでしょうか。産業別や業種別の状況を見ていきましょう。

参照元:東京商工リサーチ|2023年「ゼロゼロ融資」利用後の倒産状況

産業別状況

ゼロゼロ融資利用後の倒産件数は、産業別に見るとサービス業が最も多く2023年には221件と前年比67.4%増、全体の3割超を占めます。

コロナの5類移行後、人流とインバウンド需要の回復で客足は戻ってきましたが、食材費や光熱費の急騰、人手不足に伴う賃金上昇などのコスト高が経営を直撃した形です。そのため、ゼロゼロ融資を利用したにもかかわらず売上が回復せず、返済期限が迫り倒産に至るケースが多いと見られています。

次に多いのは建設業で128件、前年比67.4%増でこちらも全体の3割超を占めました。建設業でもゼロゼロ融資を受けた後に経営が改善せず倒産する、コロナ融資後倒産が急増しています。コストアップへの打開策が見つからず業績回復が進まないことが要因の一つです。

その他の産業では、卸売業が84件(前年比15.0%増)、製造業が83件(同9.2% 増)、小売業が56件(同30.2%増)となっています。これらの産業にも共通するのが、コロナ禍で需要や収益が減少し、ゼロゼロ融資を利用しても倒産を回避できなかったことです。

業種別状況

ゼロゼロ融資利用後の倒産件数は、業種別に見ると飲食店が最も多く、83件でした。飲食店は、緊急事態宣言や自粛要請などで営業時間や客数が制限され、売上が激減した業種です。コロナの影響で経営が苦しくなった上、原材料や人件費、光熱費などのコストが高くなったため倒産に至るケースが多いようです。

次に多いのは総合工事業で、61件です。資材の値上がりや入手困難に加え、労働力不足にも悩まされています。職別工事業も同様の理由から42件の倒産です。これらの業種は、仕事の受注が減るという潜在的課題も抱えていました。

その他、道路貨物運送業は燃料の値上がりにより経営が圧迫され、倒産件数は22件でした。

過去行われたゼロゼロ融資の種類

過去行われたゼロゼロ融資の種類

過去にはさまざまなゼロゼロ融資が実行されてきました。利息や保証料が免除され、特に資金繰りに困難を抱える企業や個人事業主に対して提供されてきた資金調達手段です。

具体的には、経営安定化を目的とした特別融資や、特定業種や事業規模に応じた融資などが挙げられます。これらは一時的な財政的圧迫を軽減し、事業の継続や企業の存続に貢献しました。

ここでは、過去に行われたゼロゼロ融資について具体的に見ていきましょう。

新型コロナウイルス感染症特別貸付

日本政策金融公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付は、コロナ禍で影響を受けた企業や個人事業主を支援するための制度です。特に収入減少を経験した事業者を対象にしており、中長期的な業況回復が見込まれる場合に低利で資金を提供しています。

  • 年利:6億円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.5%、4年目以降は基準利率
  • 担保:無担保

参照元:日本政策金融公庫|新型コロナウイルス感染症特別貸付

特別利子補給制度

特別利子補給制度は、コロナ禍による経済的影響を受けた中小企業や個人事業主への支援策です。新型コロナウイルス感染症特別貸付と併用することにより、実質的な無利子を実現しました。

この制度では、既存の融資に対して利子の一部または全部を国が負担し、事業者の負担を軽減します。資金繰りに困っている事業者が低利で資金を調達しやすくなり、経営の安定化を図ることが可能です。なお、現在は取り扱いを終了しています。

  • 年利:(6,000 万円以下)当初3年間:基準(災害)-0.9%、3年経過後:基準(災害)
  • 担保:無担保

参照元:日本政策金融公庫|特別利子補給制度(実質無利子化)

民間金融機関の実質無利子・無担保融資

経済産業省は、信用保証制度を利用した都道府県等による制度融資に対して補助を行うことで民間金融機関においても実質無利子・無担保・据置最大5年の融資を可能としました。合わせて、信用保証料も半額またはゼロ。また、民間金融機関の信用保証付き既往債務の実質無利子融資への借り換えを可能とし、事業者の金利負担・返済負担を軽減する仕組みです。

特に、中小企業や個人事業主を対象に、実質的に利息負担がない融資を提供しました。これにより、事業者は資金繰りを改善し、経営の持続を図ることができたのです。

  • 年利:個人事業主(事業性のあるフリーランス含む、小規模のみ):保証料・金利ゼロ
       小・中規模事業者:売上高-5%で保証料1/2/売上高-15%で保証料・金利ゼロ
  • 担保:無担保(経営者保証は原則非徴求)

参照元:経済産業省|民間金融機関において実質無利子・無担保融資を開始します

商工組合中央金庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付

商工組合中央金庫が、新型コロナウイルス感染症による影響で業況が悪化した事業者に対し、危機対応融資による資金繰り支援を実施。信用力や担保によらず一律金利とし、融資後3年間まで0.9%の金利引き下げを実施しました。据置期間は最長5年、商工中金による危機対応融資の既往債務の借り換えも可能です。

  • 年利:当初3年間 基準金利-0.9%、4年目以降基準金利
  • 担保:無担保

参照元:経済産業省|商工中金による危機対応融資

ゼロゼロ融資の返済状況は?

ゼロゼロ融資の返済状況は?

コロナ関連融資の返済を開始する事業者は、大部分が2023年7月以降に集中しています。日本政策金融公庫によるコロナ融資の返済開始時期のピークは2021年6月~2022年6月に到来しましたが、政府系のコロナ融資は借り換えが可能です。民間ゼロゼロ融資の返済開始は2023年7月~2024年4月に集中しており、これは初期に融資を受けた者が返済を行ったためと考えられます。

参照元:中小企業庁|事務局説明資料p3

ゼロゼロ融資利用後の倒産を回避するための方法

ゼロゼロ融資利用後の倒産を回避するための方法

倒産を回避するための方法として、以下の4つが挙げられます。

  • 収益力改善支援を利用する
  • 公庫融資借換特例制度を利用する
  • コロナ借換保証を利用する
  • 不動産担保ローンを活用する

それぞれについて解説します。

収益力改善支援を利用する

中小企業庁が行っている収益力改善支援は、収益力低下や借入増大のリスクに直面している中小企業に対して行われる支援です。具体的には、収益力改善計画(収益力改善アクションプラン+簡易な収支・資金繰り計画)の作成を支援してくれます。

また、必要に応じて持続的・安定的な事業継続や、思い切った前向きな投資の実施に向けて必要な内部管理体制、経営の透明性確保に向けたガバナンス体制の整備に取り組む中小企業等を支援します。

収益力改善計画の策定にかかる費用は原則として無料です。また、収益力改善計画の成立後には、定期的なモニタリングが行われ、必要に応じて他の支援策に移行できます​​​​​​。収益力の低下や借入の増大に悩む多くの中小企業にとって、経営の安定化や持続的な成長に向けた重要なサポートとなり得るでしょう。

参照元:中小企業庁|収益力改善支援

公庫融資借換特例制度を利用する

公庫融資借換特例制度は、日本政策金融公庫が提供する、特にコロナ禍や東北大震災などの影響により経済的影響を受けた中小企業者向けの制度です。経営安定や自助努力による企業再建の支援を図るため、既往公庫融資の借り換えなどを行います。

既存の融資条件をより有利に変更し、返済負担を軽減することが可能です。例えば、既存の高利融資をより低利の融資に借り換えることで返済負担を減らし、資金繰りを改善できます。経営の安定化を図り、将来的な倒産リスクを低減することが期待できるでしょう。

参照元:日本政策金融公庫|公庫融資借換特例制度

コロナ借換保証を利用する

コロナ借換保証は、中小企業庁が提供する制度です。

コロナ禍の影響の長期化や物価高など、多くの中小企業が引き続き厳しい状況にある中、積上がった債務の返済負担への対応にとどまらず、事業再構築などの前向きな取り組みの促進など、個々の事業者の実態を踏まえた支援が必要です。コロナ融資の借り換え保証制度を創設することで、返済負担の軽減に加え、新たな資金需要にも対応するとしています。

具体的には、一定の条件を満たした中小企業者が金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成した上で、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時の信用保証料を大幅に引き下げます。

  • 保証限度額:1億円
  • 保証期間:10年間
  • 据置期間:5年以内
  • 金利:金融機関所定
  • 保証料(事業者負担):0.2%等(補助前は0.85%等)

なお、取扱期間は2024年3月31日までを予定しています。

参照元:中小企業庁|民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。

不動産担保ローンを活用する

不動産担保ローンは、不動産を担保にして融資を受けるローンです。自分名義の不動産(自宅、別荘、賃貸住宅、駐車場、土地など)はもちろん、親や配偶者など本人以外の名義でも名義人が担保として提供してくれれば利用できます。

不動産を担保にするため借入可能額が大きい傾向があり、返済期間は長め、金利は低め、使途目的は原則として自由なローンが多いのが特徴です。そのため、毎月の返済額を抑えられる目的が限定されないローンだと考えてください。ただし、不動産があれば必ず利用できる訳ではありません。あくまで不動産の担保価値を評価し、その評価の範囲内で融資を受けられます。

不動産担保ローンは一般的に返済期間が長いため、資金繰りの柔軟性が向上しますが、不動産の価値が下落するリスクや返済が滞った場合に担保に入れた不動産を失うリスクがあります。そのため、不動産担保ローンを活用する際には、これらのリスクを十分に考慮し、慎重に判断してください。

セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンがおすすめな理由

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セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンは、法人や代表者が所有する不動産だけでなく、その親族が所有する不動産も担保にすることが可能。二番抵当も可能で、抵当権の順位に関わらず対応が可能です。急な運転資金が必要な場合や税金支払いなどさまざまな資金ニーズに対応いたします。

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銀行とは異なる審査基準に対応

セゾンファンデックスは、赤字決算や創業間もない企業など、通常の銀行では対応が難しいケースにも独自の審査基準で対応いたします。事業計画や返済計画を重視することで、決算内容だけでなく将来性を考慮した柔軟な審査が可能です。

不動産担保力を重視している

セゾンファンデックスでは、不動産担保力を重視しています。二番抵当の不動産や住宅ローン返済中の不動産でも、担保余力を評価して融資の可能性を判断させていただきます。これにより、銀行で融資が難しいケースにも対応が可能です​​。

全国対応している

また、全国対応しており、都心だけでなく地方の物件でもご融資の検討が可能です。地方にある物件をお持ちの方、金融機関の支店が近くにない方も、担保不動産の流通性を評価して融資を検討いたしますのでぜひご相談ください。

おわりに

ゼロゼロ融資は実質無利子・無担保という魅力的な融資ですが、融資後の企業倒産が増加するなどリスクも伴うのが実情です。倒産を回避し、持続可能な成長を達成するためには、慎重な資金管理と戦略的な計画策定が欠かせません。自社の状況に合わせて収益力改善支援や不動産担保ローンなどの活用も検討し、長期的な安定と成長を目指しましょう。

※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。

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