ファクタリングは資金繰り改善の有効な手段ですが、デメリットも存在します。この点を理解せずに利用すると、かえって資金繰りが悪化する危険性もあるので注意が必要です。この記事では、ファクタリングのデメリットと注意点を紹介します。
ファクタリングのデメリット
ファクタリングとは、一般に債権(売掛金など)を、期日前に一定の手数料を差し引いて買い取る資金調達の手段です。期日より早く売掛金を現金化したい事業者に適しており、法的には債権の譲渡(売買)契約(利用者が売主、ファクタリング会社が買主)となります。
ファクタリングには、主に「2者間ファクタリング」と「3者間ファクタリング」の2種類があります。
2者間ファクタリングは、利用者(債権の売主)とファクタリング会社(債権の買主)の2者で契約を結ぶ形式です。手続きに売掛先が関係しないため、短期間で契約できます。一方、売掛金は利用者が受け取ってからファクタリング会社に支払われるため、ファクタリング会社にとっては3者間より高リスクな取引となります。
3者間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社、売掛先(債務者)の3者で契約を結ぶか、債権譲渡の事実を売掛先に通知、あるいは売掛先から承諾を得るファクタリングです。売掛先は、ファクタリング会社に対して直接売掛金を支払います。
ファクタリングの大まかな仕組みを押さえたところで、デメリットを確認していきましょう。
手数料が高い
資金調達の際、注意しなければいけないのが手数料です。一般に、ファクタリングの手数料は高いとされています。
ファクタリングの手数料の相場は、2者間ファクタリングでは10%から20%程度、3者間ファクタリングでは1%から9%程度です。2者間ファクタリングは、3者間ファクタリングに比べ、特に手数料が高くなっています。
手数料は、ファクタリング会社が事業者に代わって売掛金の未回収リスクを負う代金であるため、売掛先の信用状況などが悪いと高く設定されます。
債権二重譲渡の心配がなく、売掛先の信用状況も精査できる3者間の手数料が2者間より低いのはそのためです。
手数料が高すぎると、かえって資金繰りが悪化する危険性があるため、注意が必要です。
売掛金を上回る資金調達はできない
ファクタリングでは売掛金を超える資金調達はできず、調達可能な額は売掛金から手数料を差し引いた額に限られます。あくまで売掛金の範囲内でしか資金調達できないことを認識しておく必要があります。
取引先に資金繰り困難と見られるおそれがある
ファクタリングで資金調達している事実が取引先に知られた場合、資金繰りが困難なのではないかと不安を感じさせ、取引条件を見直されるおそれがあります。そのためファクタリング利用者には、取引先に知られたくないというニーズがあるでしょう。
2者間ファクタリングの場合、基本的に取引先にファクタリングの利用を知られるリスクはありません。
しかし、2者間ファクタリングでは、二重譲渡を防ぐために債権譲渡登記を行うケースがあります。
「債権譲渡登記」とは、法人が貸付金や売掛金などの「債権」を他者に譲渡した事実を記録する手続きです。その債権がいつ、誰から誰に譲渡されたのかを第三者に示すために行われます。
登記情報は誰でも閲覧できるため、取引先に知られる可能性はゼロではありません。
3者間ファクタリングは、取引先も当事者となるため、債権譲渡については取引先の知るところとなります。
悪質なファクタリング会社が存在する
貸金業を行うには財務局長または都道府県知事の登録を受ける必要がありますが、ファクタリング事業にはそのような法令による規制がありません。免許や登録がなくても営業できるため、ファクタリングを装ったヤミ金融業者の存在が確認されています。
債権額と比べて著しく低い金額しか調達できない場合、ファクタリングを装った高金利の貸付が疑われるため、利用を避けるほうが賢明です。
例えば、支払期限まで60日の売掛金1,000万円をもとに900万円を調達したとすると、手数料率は以下のように計算されます。
手数料:1,000万円(売掛金額)-900万円(調達額)=100万円
年間の日数365で年率換算すると、この取引の手数料率は
(手数料100万円÷売掛金額1,000万円)×(365日÷60日)=約60%
元本100万円以上の貸金の上限金利は「利息制限法」により年15%と定められています。それと比較しても60日早く資金を調達するために非常に高い手数料を支払っていることがわかります。
先述の手数料の目安(2者間ファクタリングでは10%から20%程度、3者間ファクタリングでは1%から9%程度)を参考に、かけ離れて高い手数料ではないかをチェックしましょう。
また、契約書に「債権譲渡契約」と明記されていても、実態として貸付とみなされる取引は、ファクタリングでなく貸金業にあたる可能性があります。
具体的には、期日までに支払われなかった場合に債権の売主が債権回収をする決まりになっているような場合です。回収できなかった場合には債権を買い戻すか、ファクタリング会社に自分の資金で支払いをしなければならないといった契約内容の取引です。
ファクタリングのトラブル事例は、次章以降で紹介します。
悪質なファクタリング会社には、以下のような不審な点がみられます。
- 契約書の作成を拒否する
- 口頭での説明と契約書の内容が異なる
- 担保や保証人を要求する
- 取引開始を急ぐ
詳細は「ファクタリングでトラブルに遭わないために」を参考にしてください。
偽装ファクタリングについては、金融庁もホームページで注意喚起しています。
ファクタリングのトラブル事例
安易なファクタリングの利用はトラブルの元です。近年では、コロナ禍で資金繰りが悪化した事業者に対する偽装ファクタリングも多発していました。トラブル事例を参考に、注意すべき点を確認しておきましょう。
売却した債権の買戻しが前提となっていた事例
銀行から融資を受ける代わりに資金調達しようと「2者間ファクタリング」を利用した事業者の事例です。この事業者は、売掛先の信頼を損ねて事業を継続できなくなる懸念を抱えていました。そこで、資金繰り悪化を売掛先に悟られないために、期限までに買い戻すつもりで、ファクタリングをうたう事業者に債権を売却します。
この偽装ファクタリング会社は、利用者の切迫した状況につけ込んで貸金業の上限利息を大きく超える利益を短期間に得ており、2022年、札幌高裁は公序良俗に反しているとしてこの契約を無効としました。
実質的には債権担保貸付だった事例
貸金業法違反などを繰り返して2016年に関西で摘発されたヤミ金融業者の事例です。売掛金の回収が進まず資金繰りに窮していた社長が「ファクタリング」事業者に320万円の売掛債権を譲渡し、同じ事業者から20万円を借り入れました。
社長は債権の売却代金を受け取れないまま、借りた20万円に対して利息込みで31万円を返済し、その後債権は社長の手元に戻ってきます。
実質的に債権を担保とした無登録の貸付であり、同様の手口を繰り返していたとして、犯人グループが逮捕されました。
ファクタリングでトラブルに遭わないために
トラブルの多くは、事前に回避することが可能です。トラブルに遭わないためのポイントを、以下で紹介します。
事業者の信頼性を精査する
ファクタリングには、法令などによる規制がありません。つまり、どのような企業でもサービスを提供することができます。不要なトラブルに巻き込まれないためにも、サービスを提供している事業者について、しっかりと確認するようにしましょう。
適法な貸金業者は金融庁のホームページ等にリストがありますが、ファクタリング事業者の適法性を確認する資料はありません。
事業者の信頼性は、ホームページ上の企業情報やファクタリング実績などで確認しましょう。財務情報や業務内容に関する記述が詳細かどうかはひとつの目安になります。実際に利用した方の口コミによる評価も参考にするとよいでしょう。
「審査なしで即日資金化」などと宣伝している事業者は違法である可能性が高いため、利用を避けるべきです。
契約内容を確認する
信用できそうな事業者であっても、サービス内容が自社のニーズに合っているとは限りません。ファクタリングを装って貸付を行っているケースもあります。ファクタリングと貸付を見分けるには、契約内容のうち、主に以下の項目をよく確認する必要があります。。
- 債権譲渡契約か
ファクタリングの性質上、債権譲渡契約と定められていることは最低限必要です。
ただし、債権譲渡と書かれていても、実質的に貸金と同様の機能を有する取引もあるため、他の項目の確認は必須です。 - 償還請求権は付されていないか
ファクタリングには原則として償還請求権がありません。
ファクタリングにおける償還請求権とは、ファクタリング会社が売掛金を回収できない場合に、元の債権者であるファクタリング利用者に対して損害分を請求する権利です。
もしファクタリング会社に償還請求権があると、ファクタリング利用者が売掛先の信用リスクを負うこととなり、調達した資金は実質的に借入金に該当します。
そのため、ファクタリング利用者は契約上「ファクタリング会社に償還請求権がないこと」を確認する必要があります。
- 分割払いを可としていないか
2者間の場合、売掛金を受領した利用者は、その資金を一括でファクタリング会社に支払う必要があります。分割払いは金利が発生して貸金とみなされるため、ファクタリングでは分割払いはできません。分割払いを認める事業者は、偽装ファクタリングを行う貸金業者である可能性が高いです。
契約内容を確認し、分からない点を質問した際に担当者の回答があいまいで腑に落ちないならば、契約を見送るという判断も必要です。
手数料を確認する
高額な手数料が資金繰りを悪化させるおそれがあることは、先述のとおりです。そうならないためにも、手数料が相場と大幅に違わないかを確認する必要があります。
貸金業者は利息制限法で決められた金利上限を守らなければなりませんが、ファクタリング事業者であると偽装しておけば、その義務を免れます。あまりにも高い手数料を求める事業者の場合、ヤミ金融業者を疑うようにしましょう。
低すぎる場合も、事業者がとりあえず契約させ、あとで手数料を引き上げる考えでいる可能性があるため、注意が必要です。
また、売掛金の額によって手数料が変わるケースもあるため、明確な料金体系を提示できる事業者を選択することが大切です。
セゾンファンデックスの「今スグまとめ払い」なら安心
ファクタリング会社やファクタリングサービスを選ぶのは難しいかもしれません。そこで、おすすめのファクタリング商品として、セゾンファンデックスの「今スグまとめ払い」を紹介します。
セゾンファンデックスは東京証券取引所プライム市場上場の株式会社クレディセゾンの100%子会社です。「利用条件」等もホームページに明記されているため、安心して利用できます。
「今スグまとめ払い」の特徴とは
「今スグまとめ払い」のご利用対象は原則として売上高1億円以上の法人です。
「今スグまとめ払い」は、2者間ファクタリングです。債権譲渡登記はしていただきますが、債権譲渡の事実についてセゾンファンデックスから取引先へ連絡することはありません。
ご利用者はセゾンファンデックスに請求データを送るだけで、売掛金見合いのまとまった資金を調達できます。ただし、請求日から売掛金の支払期限までが2ヵ月を超える取引は対象外です。「今スグまとめ払い」のおもなメリットは以下のとおりです。
請求・入金照合の業務を効率化
利用者から売掛先に請求データを送るだけで、セゾンファンデックスが請求・入金照合業務を行うので、請求業務が効率化されます。
手数料率が低水準
2者間ファクタリングの買取手数料は、10%から20%が相場ですが、「今スグまとめ払い」では、1.0%から6.0%です。
まとまった金額を現金化
「今スグまとめ払い」では売掛先をまとめて買取対象とし、まとまった資金を調達できます。買取金額は、原則として300万円以上1億円以内です。
スピーディーな入金
請求データを送りさえすれば、締め日から5営業日以内に資金化できます。
おわりに
ファクタリングは資金調達に便利なサービスですが、利用を検討される際は、メリットだけでなくデメリットも十分に理解しておく必要があります。
ファクタリングには一般に以下のようなデメリットがあります。
- 手数料が高い
- 売掛金を超える金額は調達できない
- 取引先に知られると資金繰り困難と見られる
- 法律の規制がないため、悪質な事業者を見抜く必要がある
登録や免許が不要なファクタリングでは、違法な取引をしようとする事業者が散見されます。評判等を確認のうえ事業者を選別し、契約書をよく読んで、トラブルを避ける注意が必要です。セゾンファンデックスの「今スグまとめ払い」は、安心して利用できるサービスで、手数料も低めです。ファクタリングによる資金調達を考えている方は、ぜひ利用をご検討ください。
※本記事は公開時点の情報に基づき作成されています。記事公開後に制度などが変更される場合がありますので、それぞれホームページなどで最新情報をご確認ください。