まとまったお金が必要な予定がある場合に利用できる商品の1つが、不動産担保ローンです。不動産を担保にしてお金を借りる商品で、不動産の評価額次第では多額の借入も可能です。ただし、延滞・滞納が続くと不動産が競売にかけられる可能性があるため、注意しなくてはいけません。
今回の記事では、資金調達の手段として不動産担保ローンを検討する方のために、メリット・デメリット・利用シーンを中心に詳しく解説します。
この記事を読んでわかること
不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして借入を行うローンの一種です。会社の運転資金、税金・社会保険料の支払い、短期の借入をまとめるための借り換えなど、さまざまな用途に使えます。個人・法人を問わずに利用でき、不動産の評価額次第では多額の借入も可能です。また、資金使途も比較的自由で、長期にわたる返済ができるため、ご自身の希望に合わせて利用できます。ただし、担保価値がない不動産と判断された場合は、借入自体の審査に不合格になったり、借入可能額が低く提示されたりするので注意が必要です。

1.そもそも不動産担保ローンとは

最初に、不動産ローンとは何かについて、詳しく解説します。混同されがちなリバースモーゲージ、フリーローンとの関連についても触れておきましょう。
1-1.不動産担保ローンについて
不動産担保ローンとは、文字どおり、家や土地などの不動産を担保にしてお金を借りるローンのことです。
個人が生活資金に充てるために使ったり、法人が事業資金を調達するために使ったりと、さまざまな場面で活用されています。
住宅ローンが使えない不動産(セカンドハウスや別荘など)を購入するための資金を貸し出す商品として不動産担保ローンを設けている金融機関もあるくらい、広く使われている商品です。
1-2.不動産担保ローンとリバースモーゲージの違い
不動産担保ローンとよく似たものとして、リバースモーゲージがあります。リバースモーゲージとは、自宅を担保にして、住み続けながら融資を受けるローンのことです。
リバースモーゲージと不動産担保ローンを含めた一般的なローンでは、元本返済のタイミングが大きく異なります。まず、一般的なローンでは、元本と利息を合算した額を、契約期間が終了するまで払わなくてはいけません。
一方、リバースモーゲージでは、契約者の死亡後もしくは契約期間終了後に、担保不動産を売却するか、相続人(例:契約者のご家族)が手元資金で一括返済するかのいずれかの方法で返済するのが大きな特徴です。
存命中または契約期間中は、毎月利息のみを返済します。このような仕組みのため、毎月の金銭的負担が少なく、住み慣れた家に住み続けられることから、シニア層向けに広く用いられています。
1-3.不動産担保ローンとフリーローンの違い
フリーローンとは、借入金の使い道に制限が設けられていないローンのことです。原則として使い道は自由ですが、事業用資金には使えないなど、一定の制限が設けられている商品もあります。
フリーローンと不動産担保ローンの大きな違いは、担保の有無です。フリーローンのほとんどは、無担保型の商品であるため、利用するにあたって担保を用意する必要はありません。例えば、持ち家ではなく賃貸マンションなどに住んでいたとしても、利用できます。
また、担保を用意しない前提であるため、最大借入限度額も数百万円程度と比較的低めに抑えられています。詳しくは後述しますが、不動産の評価額次第では1億円を超える高額借入も可能な不動産担保ローンとは、大きく異なる点です。
2.不動産担保ローンを利用するメリット

不動産担保ローンには、さまざまなメリットがあります。具体的なメリットとして、以下の5点について解説します。
- 他のローンよりも低金利の傾向にある
- 借入限度額が大きい傾向にある
- 長期の返済ができる
- 資金使途が比較的自由
- 連帯保証人が不要の場合も
2-1.他のローンよりも低金利の傾向にある
不動産担保ローンは、他のローンよりも低金利の傾向にあります。金利は、債権者(例:金融機関)が負うリスクと深い関係を有しています。
つまり、債権者側からみて元本が回収できる保証が低ければ低いほど、金利は高くなる仕組みです。そのため、カードローンやキャッシングなどの無担保ローンは、総じて金利が高めになっています。
一方、不動産担保ローンは延滞・滞納があったとしても、最終的には担保となった不動産を競売できます。元本を回収できる保証が確保されているため、金利も低くなると考えましょう。
例えば、セゾンファンデックスの不動産担保ローンは、金利が年2.75%〜9.9%の間で設定されているため、ビジネスローンの中には、金利が年18.0%に達する商品もあることを考えると、低く設定されているのが分かります。
2-2.借入限度額が大きい傾向にある
不動産担保ローンの特徴として、借入限度額が大きい傾向にあることも指摘できます。無担保ローンの場合、一般的な最大借入限度額は1,000万円程度です。
しかし、不動産担保ローンは、担保とする不動産の評価額によって最大借入限度額が変動します。具体的な扱いは、借入先となる銀行などの金融機関によっても異なりますが、1億円を超える大きな金額の借入も可能です。
2-3.長期の返済ができる
不動産担保ローンでは、長期の返済をすることも可能です。金融機関によっても細かい部分は異なりますが、返済期間を20年程度と長期にし、契約することができるケースもあります。
返済期間が長期にわたれば、毎月の返済額を少なくできるため、負担にはなりません。ただし、利息を含めた総支払額が大きくなるため、毎月返済に回せる額とのバランスで返済期間を決めましょう。
2-4.資金使途が比較的自由
不動産担保ローンの資金使途は比較的自由です。新たな設備投資の資金や社内研修用の費用に充てるなど、必要に応じて借入した資金を使うことができます。ただし、資金使途の扱いは、金融機関によっても異なるため、事前に確認するのが望ましいでしょう。
資金使途が制限されている不動産担保ローンで融資を受けたものの、制限から外れた目的に資金を使った場合、トラブルのもとになります。状況次第では、目的外利用を理由とした利用規約違反として、強制解約および残債の一括返済を求められることもあります。
2-5.連帯保証人が不要の場合も
不動産担保ローンでは、連帯保証人が不要となるケースが多いです。連帯保証人は利用者本人が返済できなくなった場合に、本人と同じ立場で返済する義務を負う人のことを指します。
金融機関は融資の際に連帯保証人を立てることで、利用者本人が返済できなくなったとしても、残債(ローンの残額)を回収できる可能性を確保していると考えましょう。
一方、不動産担保ローンであれば、最終的には担保になっている不動産を競売にかけることで、残債を回収できます。残額を回収する方法が用意されている仕組みのため、連帯保証人を用意する必要はありません。
3.不動産担保ローンを利用するデメリット

不動産担保ローンは便利な反面、以下に掲げるデメリットもあるので注意が必要です。
- 不動産を手放すことになる場合がある
- 融資までに時間がかかる
- 諸費用が発生する
- 不動産によっては担保にできない
- 抵当権が設定されている間は不動産を売却できない
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
3-1.不動産を手放すことになる場合も
不動産担保ローンを契約したものの、何らかの事情で返済ができなくなった場合は抵当権が実行され、最終的に手放すこともあります。不動産担保ローンの返済を滞納してから、競売に至るまでの流れは以下のとおりです。
- 金融機関が督促を行う
- 期限の利益を喪失する
- 代位弁済が行われる
- 競売申立・開始決定がなされる
- 裁判所の執行官による訪問を受ける
- 競売情報が一般公開される
- 入札・開札がなされる
- 所有権移転がなされる
- 強制退去に至る
万が一、不動産担保ローンの返済が難しくなった場合は、返済条件の変更を前提に金融機関に相談しましょう。
3-2.融資までに時間がかかる
不動産担保ローンは、融資が実行されるまでに時間がかかります。具体的な所要期間は金融機関や個々のケースによって異なりますが、最短でも3営業日程度、多くの場合は1〜2週間はかかります。
時間がかかる理由は、利用希望者に関する調査だけではなく、担保とする不動産の調査も行うためです。また、高額の借入となる場合が多いので、利用希望者に返済能力があるかも精査する必要があることも関係しています。
3-3.諸費用が発生する
不動産担保ローンの利用にあたっては、諸費用が発生します。諸費用の具体例は以下のとおりです。
- 金融機関への手数料
- 収入印紙代
- 抵当権または根抵当権の登記費用
- 不動産の調査・鑑定に関する費用
かかる費用と金額については、事前に確認しましょう。
3-4.不動産によっては担保にできないことも
不動産担保ローンでは、融資の可否および融資額は不動産の資産価値によって決定される仕組みです。
そのため、担保とする不動産によっては審査に落ちたり、融資額が低かったりする可能性が出てきます。
また、すでに抵当権が設定されている不動産を担保にする(二番抵当)場合、融資してもらえないケースもあるため注意が必要です。ただし、この辺りの扱いは金融機関によって異なるため、不動産が二番抵当に入っていたとしても、不動産担保ローンが使えるケースもあります。事前に確認しましょう。
3-5.抵当権が設定されている間は不動産を売却できない
担保にしている不動産を売却したい場合は、ローンを完済する必要があります。ローンを完済しないと、抵当権抹消登記は行えません。抵当権が付されたままでは、不動産を売却できません。
理論上は抵当権が付されていても不動産は売却できますが、実際には購入者からみると他者の債務が残っているので、いつ差し押さえられるかわからないため、売却は不可能でしょう。
4.不動産担保ローンの手続きの流れ

不動産担保ローンを利用する際の具体的な流れは以下のとおりです。
- 問い合わせをし、問題がなければ申し込みをする
- 担保不動産を審査に出す
- 審査後、評価額に応じて融資が実行される
- 元本・利息分を返済する
セゾンファンデックスの不動産担保ローンは、最短3営業日のスピード審査で、お急ぎでの資金調達のご要望にもお応えしています。また「二番抵当に入っている不動産を担保に使いたい」「税金滞納中で新規で融資を受けられない」などお悩みがある場合でも、ご対応が可能です。
お申し込みはWebにて承りますので、ご来店いただく必要はございません。なお、「とりあえず話を聞いてみたい」という場合は、お電話にてご相談を承っておりますので、まずは一度お問い合わせください。

5.不動産担保ローンの活用シーン

不動産担保ローンは、さまざまなシーンで活用できます。ここでは、具体的な活用シーンとして、以下の4つを紹介します。
5-1.会社の運転資金として
不動産担保ローンは、会社の運転資金として利用することが可能です。取引先からの入金が遅れたなど、資金繰りに影響を及ぼすトラブルがあった場合に、資金ショートを防ぐため利用してもよいでしょう。また、これから起業する場合は、独立開業資金を確保するための手段としても利用できます。
5-2.短期の借入をまとめる手段として
短期の借入をまとめる手段としても、不動産担保ローンは利用できます。短期の借入をまとめる具体的な手順は以下のとおりです。
- 不動産担保ローンを契約し、融資を受ける
- 銀行口座に振り込まれた現金を使い、複数の短期の借入を一括返済する
- 不動産担保ローンの返済を毎月行う
複数の短期の借入がある場合、返済日もさまざまであることから、管理が煩雑になりがちです。不動産担保ローンに一本化することで、管理が簡単になります。
5-3.相続トラブル解消のために
不動産担保ローンを使って代償分割金や遺留分の支払いをすることで、相続トラブルも解消できます。
代償分割とは、どなたか一人の相続人が財産を取得して、他の相続人に代償金を支払うことによって清算する遺産分割の方法です。つまり、財産を受け取れない相続人には、代わりに現金(代償分割金)を払わなくてはいけません。
また、遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪えない一定割合の相続財産の留保分のことです。被相続人(亡くなった方)からみて、配偶者、子ども、父母、祖父母に当たる方に対し認められます。該当する相続人から遺留分を支払うよう請求(遺留分侵害請求)があったら、遺留分侵害額に相当する金銭を支払わなくてはいけません。
5-4.納税資金として
社会保険料や税金の支払いに充てるためにも、不動産担保ローンは利用できます。社会保険料や税金は、本来の支払期限に遅れると延滞税や延滞金などのペナルティーが科されるため注意が必要です。資金を確保した上で、期限通りに支払うようにしましょう。
おわりに
不動産担保ローンは、担保にできる不動産さえあれば、まとまった資金の借入ができる便利な方法です。ただし、延滞・滞納が長引くと、最終的には担保にした不動産が競売にかけられるため、強制的に手放さざるを得ないことになるでしょう。他のローンと同様、本当に必要な額を借りて、予定通りに返済することが重要です。
また、不動産担保ローンはさまざまな金融機関が手掛けています。「信頼できる金融機関が提供しているか」も重視し、商品内容を理解してから利用するようにしましょう。