資金の調達を考えている方のなかには、リースバックについて興味を持っている方が数多くいます。リースバックは自宅に住み続けながら自宅を売却する方法であり、自宅を離れたくない方にとって魅力的な資金調達の方法だからです。しかし、リースバックは決してメリットだけの「魔法の裏技」というわけではありません。メリットや注意点も多く存在するため、注意点と利点をよく理解しておくことが非常に重要です。
- 「リースバックのメリットは?」
- 「リースバックを利用する際の注意点が知りたい」
そこでこのコラムでは、リースバックのメリットや注意点について詳細に解説していきます。リースバックを検討しているなら、このコラムを参考にしてみてください。

1.リースバックとは?
リースバックとは、不動産を活用した資金調達の手段になります。不動産の売却後も継続して不動産を活用することが可能なのが特徴です。例えば、リースバックを利用して自宅を売却したあとも、そのまま自宅で生活を続けることができます。このような特徴があるので、最近注目されている資金調達の手段です。
2.リースバックの仕組み
リースバックは不動産をリースバック会社に売却して、そのあと、リースバック会社と賃貸借契約を結ぶことで、引っ越しをせずに生活を続けることができる仕組みです。そのため、不動産は「所有」から「賃借」に切り替わります。リースバック会社に売却することになるため、通常の売買と比較してもすぐに現金を手に入れることができるなど、メリットが多くあるのでおすすめの資金調達の方法です。
セゾンのリースバックCM30秒 「家から得たもの篇」(音声が出ます。音量調整にご注意ください。)
3.リースバックのメリット
リースバックのメリットは、以下の6つです。
- すぐに現金化できる
- 売却後も継続して生活できる
- 資金の用途が制限されていない
- 固定資産税がかからない
- 引っ越し費用がかからない
- 将来的に買い戻すことができる
それぞれについて説明していきます。
3-1. すぐに現金化できる
リースバックは通常の売却手法よりもスピーディに売却金を得ることができます。リースバック会社が直接不動産を買い取るので、買い主を探す必要がないためです。そのため、売却の手続きを始めてから2週間程度で現金を手に入れることが可能になります。
一般的に、通常の売却方法の場合は、買主を探す必要があり、内見などを実施してお互いに納得したうえで売却するため、売却が完了するまで最短でも1ヵ月程度かかってしまうケースが多いです。このため、短期間でまとまった資金が必要な方は、リースバックの利用を検討してみてください。
3-2. 売却後も継続して生活できる
不動産を売却したあとも同じ不動産で継続して生活できます。買主と賃貸借契約を交わすことができる仕組みになっているためです。
この長年住み慣れた家で生活ができる仕組みは、リースバックの大きな利点になります。引っ越しをしないため、ご近所に余計な詮索をされることがないうえ、子どもが転校する必要もありません。そのため、まとまった資金の調達は必要だけど住み慣れた家を離れたくないという方は、リースバックがおすすめです。
3-3. 資金使途が制限されていない
リースバックの利点の一つに、資金使途が決められていないことがあります。融資ではなく、不動産を売って得た資金であるためです。
例えば、金融機関から事業用の資金を借りる場合には、事業にしか使うことができないなど資金使途が制限されているため、資金使途が自由であることはリースバックにとって大きな利点だといえます。老後の生活費や教育費、借金の返済に充てることを考えている方は、リースバックを検討してみてください。
関連記事:リースバックで家を現金化!売却と賃貸借の両立でそのまま住み続ける


3-4. 固定資産税がかからない
固定資産税は、不動産の所有者にかかります。リースバックは、不動産の所有者が自分自身ではなくリースバック会社になるので、固定資産税の支払義務はなくなります。
また、マンションの場合など、管理費用や修繕積立金についても不動産の所有者であるリースバック会社に支払義務があるため、リースバックを利用し賃借する場合には、管理費用や修繕積立金の支払義務はなくなります。こういった費用負担を軽減できることもリースバックの利点です。
3-5. 引っ越し費用がかからない
リースバックを利用すると引っ越し費用がかかりません。自宅を売却したあとも引っ越しをせずに継続して生活できるためです。また、住み替えや老人ホームの入居待ちなどの場合、リースバックは、有効な手段の一つです。
例えば、住み替えの場合はリースバックで現金化して、その資金を利用して新居を購入、新居に住める状態になるまで自宅で住み続けることが可能です。また、老人ホームの入居待ちで枠が空いた場合において、必要な入居金などもリースバックで得た資金で精算し、直ぐに引っ越しすることができます。
このように、臨機応変に対応できるところが、リースバックの大きなメリットです。
3-6. 将来的に買い戻すことができる場合もある
リースバックは将来的に物件を買い戻すことができる場合があります。ただし、契約するリースバック会社によっては物件の買い戻しができないケースや、買い戻せる期間が決まっているケースもあります。
しかも、買い戻す際の金額は、売却したときよりも金額が高くなるなどの場合もあるため注意が必要です。
4.リースバックの注意点

リースバックの注意点は以下の3つです。
- 住宅ローンの残債が売却金より多い場合は利用できない
- 不動産の所有者ではなくなる
- 賃貸借契約を更新できないケースがある
それぞれについて説明していきます。
4-1. 住宅ローンの残債が売却金より多い場合は利用できない
多額の住宅ローンが残っている場合は、リースバックを利用できないケースがあります。売却金で住宅ローンが返済できないと、借入先の金融機関が抵当権を外してくれない場合があります。抵当権が残ってしまう場合には、リースバックを利用することができません。
そのため、金融機関と交渉して抵当権を外してもらうようにするか、資金を用意して住宅ローンを完済する必要があります。特に住宅ローンの残債が多い場合は、あらかじめリースバック会社に相談するようにしてください。
4-2. 不動産の所有者ではなくなる
リースバックを利用することで不動産の所有者ではなくなります。リースバック会社に不動産を売却するためです。不動産の所有権は、ご自身からリースバック会社に移ります。マイホームでリースバックを利用する際は、所有者でなくなることを理解したうえで、利用するかを検討してみてください。
4-3. 賃貸借契約を更新できないケースがある
リースバックでは、リースバック会社との間で不動産売買契約とともに、賃貸借契約を締結します。賃貸借契約は、「普通借家契約」または「定期借家契約」があり、リースバックの場合は、「普通借家契約」であることが多いです。普通借家契約の場合、借主が希望する限り、基本的には同一物件に住み続けることができます。ただし、「家賃を何度も滞納している」などの場合は、更新を拒絶される場合がありますので気を付けましょう。
事前に、リースバック会社に賃貸借契約がどのような契約形態になるか事前に確認しましょう。
5.リースバックの活用事例
リースバックの活用事例として以下のものが挙げられます。
- 老人ホームへの入居費用などの資金
- 住宅ローン返済のための資金
- 事業用の資金
- 借金の返済
- 住み替えのための資金
- 大学などの教育費
上記のなかでも老人ホームに入居する際の費用の調達方法として、リースバックは非常に向いています。老人ホームはすぐに入居できるケースが少なく、入居待ちをしなければならないためです。そのため、資金を得たあとでも自宅で住み続けることができるリースバックは有効な手法になります。
6.リースバックと任意売却の違い
リースバックと任意売却は全く異なる資金調達の方法になります。任意売却は住宅ローンの返済が難しくなった場合に、通常の不動産売却と同じ手法で物件を売却して売却金額を返済にあてる方法です。そのため、不動産を売却したあとに住み続けることはできません。
7.リースバックとリバースモーゲージの違い
リースバックと似た資金調達の方法として、リバースモーゲージが挙げられます。どちらの方法も自宅を利用して資金を調達しますが、以下の違いがあるのでよく理解しておくことが重要です。
リバースモーゲージの特徴として以下が挙げられます。
- 不動産を売却せずに不動産を担保として融資を受ける
- 家賃を支払うのではなく利息を支払う
- 資金の利用用途に制限がある場合がある
8.リースバックに関するよくある質問
リースバックに関するよくある質問について、それぞれに回答していきます。
8-1. リースバックの家賃は事前に分かるの?
リースバックの家賃は、契約前に確認することができます。リースバックの利用を検討しているリースバック会社に契約前に事前に確認するようにしましょう。
8-2. リースバックには審査が必要ですか?
リースバックを利用するためには審査が必要です。審査内容はリースバック会社によって異なります。以下の内容に該当した場合はリースバックを利用できません。
- 売却金額で住宅ローンが返済できない
- リースバック会社が対応していないエリアに不動産がある
- 不動産に大きな欠陥がある
- 事故物件である
- 名義人全員の了承がとれてない
- 家賃保証会社の審査に通らない
8-3. リースバックした物件は買い戻しできますか?
基本的に買い戻しすることは可能です。買い戻しを希望する場合は、契約前にリースバック会社にあらかじめ問い合わせておくことが重要です。
8-4. 住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか?
リースバックを利用して住宅ローンの残債が完済可能な場合は、利用することができます。ただし、売却金で完済できない場合はリースバックを利用できない可能性が高いです。
8-5. どれぐらいの期間住むことができますか?
「普通借家契約」であれば、家賃滞納などがない限り、借主が希望すれば住み続けることができます。ただし、リースバック会社によるので、長期間住み続けたい場合は事前に確認するようにしてください。
8-6. リースバックを利用すると固定資産税はどうなりますか?
リースバックを利用すると固定資産税を支払う必要はありません。
9.リースバック利用までの契約の流れ
リースバックを利用するまでの契約の流れは以下になります。
- リースバック会社のWEBサイトや電話で問い合わせを行う
- 簡易査定を行い、おおよその買取価格と家賃を提示する
- 面談と現地調査を行なって正式な買取価格と家賃を提示する
- 条件面に納得できたら不動産売買契約と賃貸借契約を行う
上記のような手順で契約を行います。例えば、セゾンのリースバックの場合は最短2週間で契約を完了することが可能です。
10.リースバックはこんな方におすすめ
リースバックは以下の方におすすめです。
- 急遽現金が必要な方
- 老後の資金に不安を持っている方
- 住み替えを考えている方
- 住宅ローンの支払いが苦しい方
- 資金が必要だけど自宅に住み続けたい方
上記のような方はリースバックを利用することで資金的な余裕が生まれ、無駄な経費を削減することができます。売却後も自宅に住み続けられる仕組みをお探しの方はリースバックがおすすめです。
関連記事:【リースバックの活用事例7選】うまく活用するためのポイントを解説


おわりに
以上、リースバックのご紹介をいたしました。自宅を活用した資金確保の方法として注目されている手法です。リースバックのメリットと注意点をあらかじめ理解したうえで、豊かな老後に役立てていただけれたらと思います。