中高年になってから住宅の購入を考える方もいらっしゃるでしょう。これまで賃貸住まいだったけれど、老後のことを考えて持ち家に住むことを考える方もいれば、これまで住んでいた家を売って、新しい家を購入して住み替えを考える方もいます。住宅を購入するにあたって、住宅ローンを検討される方もいらっしゃると思いますが、住宅ローンの申込条件には年齢制限の項目があり、条件を満たさなければ申し込むことができません。
今回は高齢者の住宅ローンの借り入れについて取り上げます。一般的に高齢者が住宅ローンを組むことは難しいとされていますが、その理由である審査背景や年齢制限基準などについて解説します。これから住宅ローンを検討している高齢者の方はぜひ参考にしてください。
高齢者でも借りられる?住宅ローンの年齢制限とは
金融機関が提供する住宅ローン商品には、申込条件に年齢についての制限が記載されています。一般的に借り入れは70歳未満が目安となっており、さらに完済時の年齢を80歳未満としているところがほとんどです。
また、住宅ローンの審査基準において、どの項目を重視するかについて金融機関の回答で90%以上を占めたのは、以下の項目です。
- 完済時年齢(98.9%)
- 健康状態(98.5%)
- 担保評価(97.6%)
- 借入時年齢(97.1%)
- 年収(95.0%)
- 返済負担率(94.6%)
- 勤続年数(94.5%)
- 連帯保証(94.5%)
- 金融機関の営業エリア(92.2%)
この結果からも借入時年齢や完済時年齢を重視していることが読み取れます。銀行が融資を行う際に、高齢者は融資先としてリスクが高いと判断される傾向があります。
一番の理由は返済能力です。高齢になると退職までの期間も短くなります。退職することによる収入減は、充分な返済能力があるかどうかを審査する過程で不利になります。そのため60歳を超えると審査が厳しくなるといわれています。
また60歳以上になると健康上の理由により、住宅ローンの利用に必要な団体信用生命保険(団信)の加入審査も厳しくなり、場合によっては加入できない可能性があります。
民間の金融機関は住宅ローンの利用に関して団体信用生命保険(団信)への加入を必須条件としているため、もし団体信用生命保険に加入できなかったら、フラット35を利用するしか選択肢はなくなってしまいます。
高齢者が住宅ローンを利用する際の注意点
では高齢者が住宅ローンを利用しようと思った際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
上記で紹介したように、金融機関が審査において重視する審査項目には、「借入時年齢」や「完済時年齢」、「健康状態」、「年収」などがあります。審査基準は金融機関によって異なりますが、返済能力があるかどうかを判断するために見られる項目を知っておき、特に完済時年齢が条件を満たすかどうかと健康状態に注意しておきましょう。
また、老後の生活資金が不足しないような返済額に抑えることも大切です。老後は収入が少なくなりますが、車の購入費や維持費、余暇を楽しむための娯楽費など生活費以外にも費用がかかります。実際にそれらの費用が「いつ」、「どのくらい必要か」を把握しておき、そのうえで無理なく返済できる範囲の借入額を確認しましょう。
借りられる額と無理なく返済できる借入額は異なります。借りられる額の上限いっぱいまで借りてしまうと、返済の余裕がなくなり、最悪の場合、老後生活が破綻してしまいます。そのようなリスクがあることをしっかりと理解しながら、無理のない返済計画を考えるようにしましょう。
高齢で住宅ローンの利用を検討する際の方策
高齢で住宅ローンの利用を検討する場合は、以下の方法もあわせて考えるようにしましょう。
頭金の額を多めに用意する
頭金を多めに入れることで、借入額を減らせます。その結果、毎月の返済額を抑えることもできます。また借入金が少なくなることにより、審査に通りやすくなる可能性もあります。ただし退職金や余剰資金の全てを頭金に入れてしまうと、急な支出が必要になった際に対応できなくなりますので、緊急資金としてある程度の資金は手元に残しておくことを忘れないようにしておきましょう。
親子リレーローンの利用を考える
親子リレーローンを利用することで、返済の途中で返済者は親から子どもに切り替わります。親子リレーローンでは親か子どものどちらかしか団体信用生命保険に加入できませんので、どちらが加入するかはよく話し合って決めるようにしてください。
また、子どもが親子リレーローンの利用に合意していることも利用条件になります。親子リレーローンは全ての金融機関で取り扱っているわけではありませんので、取り扱っている金融機関を探し、条件を確認してみましょう。
また、住宅ローン返済中に亡くなった場合は負債として子どもに相続することになるため、いずれの場合もよく親子で話し合っておくことが必要です。
仮に相続の際に相続人が複数いる場合は、その住宅を相続人の法定相続割合で分ける必要がありますが、不動産は分割が難しいため相続人全員の共有にするか、誰かが代表して相続し、他の相続人には持分に応じた金額を支払うなどの方法があります。
他の相続人に金額を支払うには、まとまった金額が必要になりますが、その際にご利用可能なのがセゾンファンデックスの遺産分割ローンです。通常、親族間売買は取り扱わない金融機関が多いなか、セゾンファンデックスでは独自の審査基準でお客さまのニーズに対応しています。
リバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージとは、現在住んでいる自宅を担保にお金を借り、生存中は利息のみを支払い、死亡後に元本を一括返済するか、担保としている自宅を提供することで借り入れたお金を返済する仕組みです。住宅融資保険付きの「リ・バース60」などが該当します。
リバースモーゲージは契約者が亡くなった後に相続人が担保となっている自宅を売却することで完済となるため、相続人に迷惑をかけることについてあらかじめ了解を得ておく必要があります。
セゾンのリースバックであれば、住宅を売却することで生活資金を確保することができ、さらに賃料は発生するものの売却した家に住み続けられることから、相続人に負担がかかることはありません。
リースバックとは、現在住んでいる自宅を売却し、まとまった資金を得、その後は賃料を支払うことで売却した家にそのまま住み続けることができる仕組みで、不動産を活用した資金調達方法です。リバースモーゲージを検討する際には、セゾンのリースバックもあわせて検討してみましょう。