住宅ローンを利用する方は、何歳までに完済しているのでしょうか。35年など長期で借り入れたとしても、できるだけ早めの完済を考え、途中で繰り上げ返済を行うなどで返済期間を短縮している方は多いでしょう。
今回は住宅ローン完済時の平均年齢について取り上げます。一般的に返済期間が長期で設定されていることが多い住宅ローンですが、完済時の平均年齢などさまざまな切り口で解説します。
住宅ローン完済時の平均年齢はどのぐらい?
国土交通省が発表している「令和3年度 住宅市場動向調査報告書 国土交通省 住宅局」によると、住宅を取得したときの平均年齢は、住宅の種類別に以下のとおりとなっています。
- 注文住宅:40.0歳
- 分譲戸建て住宅:37.2歳
- 分譲マンション:39.5歳
- 中古戸建て住宅:43.2歳
- 中古マンション:43.6歳
そして、平均的な返済期間は、
- 注文住宅(建築):32.9年
- 注文住宅(土地):34.2年
- 分譲戸建て住宅:34.1年
- 分譲マンション:32.0年
- 中古戸建て住宅:29.2年
- 中古マンション:29.9年
これらのデータを総合して考えると、住宅ローン完済時の平均年齢は以下のようになります。
- 注文住宅:73.6歳
- 分譲戸建て住宅:71.3歳
- 分譲マンション:71.5歳
- 中古戸建て住宅:72.4歳
- 中古マンション:73.5歳
つまり、住宅ローンを利用して完済する年齢はほとんどの住宅種別において70歳を超えていることがわかります。
住宅ローン完済年齢に上限はある?
金融機関によって異なりますが、住宅ローンの利用条件の中に完済時の年齢も含まれています。そして多くの金融機関が完済時年齢を満80歳に設定しており、中には85歳と設定している金融機関もあります。
完済時の平均年齢は国土交通省のデータから見ると、どの住宅種別でも70代前半となっていますが、できれば定年退職時までに完済するのが良いといわれています。
最近では定年退職年齢も高齢化しており、70歳までの就業の機会を与えるという時代になっているものの、誰もが70歳まで働けるとは限りません。70歳まで働きたくても体力がついていかないなどでリタイアする方もいるでしょう。
住宅ローン完済年齢は金融機関が定めた上限もありますが、自身の中でライフプランを考えながらいつまでに返済するかを設定することも大切です。
住宅ローンの完済年齢を意識したライフプラン
では住宅ローンの完済年齢を設定する際にどのような点を意識すればいいのでしょうか。
老後資金を考慮して安定収入があるうちに完済する
リタイア後は基本的に年金収入のみになりますので、現役時代よりも収入が減少することは避けられません。そのため、安定収入を得られるうちに住宅ローンを完済できるような返済計画を最初から立てておくことが大切です。もちろん、毎月の返済に無理のないように借入金額を調整することも必要でしょう。
それでも完済年齢が70歳以上になってしまう場合は、家計の収支を見直し、できるところから支出を改善しましょう。リタイア後も住宅ローンの返済のために無理をして働いたり、年金を住宅ローンの返済に充てたりしていると、最終的に生活が破綻してしまう可能性もあります。
そのためには、リタイア後にどのくらい収入が減るのかを把握し、リタイア前からそのレベルで生活できるよう、生活レベルを下げる工夫を行うことが大切です。無駄な支出を減らして貯蓄に回し、まとまった金額になったときには繰り上げ返済などを利用して返済期間を短くすることも忘れないようにしてください。
親子リレーローンの利用
親子リレーローンの利用もひとつの方法です。返済の途中で返済者を子どもに切り替える仕組みですので、リタイアのタイミングで返済者を子どもに切り替えても良いでしょう。そうすることでリタイア後の返済を気にしなくてもよくなります。
とはいえ、親子リレーローンの利用には、同居が前提であることや、団体信用生命保険が親か子どもどちらかしか加入できないなどの条件があります。さらに子どもの同意が必須になりますので、事前に親子でじっくりと話し合って決めるようにしてください。
定年後の返済期間を短縮するために退職金による繰り上げ返済も検討
リタイア後の返済期間を短縮する方法として、退職金を利用した繰り上げ返済を検討しても良いでしょう。しかし、その際には、老後資金としてどれくらいの額を残しておくのか、事前にしっかりと計算しておく必要があります。退職金としてまとまった資金が入ったからといって、繰り上げ返済や一括返済を行うことで、その後の生活が苦しくなっては本末転倒です。
住宅ローンはできるだけ退職時までに完済することをおすすめしますが、何が何でも退職時までに完済しなければならないというわけではありません。リタイア後も住宅ローンが残る場合は、無理のない範囲で退職金の一部を利用し、繰り上げ返済に充てても良いでしょう。
住宅ローン完済年齢の利用要件は緩和傾向だが油断しない
現在、多くの金融機関では住宅ローンの完済時年齢を満80歳としていますが、寿命や就労年齢の延びにともない、85歳などに引き上げる金融機関も出てきています。
しかし、平均寿命は85歳程度に延びてはいるものの、誰の介助も受けずに健康でいられる年齢である健康寿命は70歳代です。そのため80歳から85歳に引き上げられたとしても、それまでずっと健康で働き続けられるとは限りません。
また、現在では1つの企業にずっと雇用されるのではなく、自身のスキルアップなどを目的として転職や独立などを考え、実行する方も増えています。独立となると退職金や賞与などはありませんので、事業の内容や景気によっては収入が変わり、生涯年収が下がる可能性があります。
リースバックを利用すれば売却金を住宅ローン完済に充てて住み続けられる
リタイア後にも住宅ローンの返済が残る場合には、リーバックの利用も視野に入れてみましょう。
リースバックとは、自宅をリースバック企業に売却してまとまった資金を得、その後はリースバック企業に賃料を支払うことで売却した自宅に住み続けることができる仕組みの、不動産を活用した資金調達方法の1つです。リースバックを利用して自宅を売却し、そのお金をもとにして住宅ローンを完済することもできます。ただ、住宅ローン残債が多い場合は、売却価格でも完済できないケースも考えられます。その際には、自己資金で残りの額を返済しなければなりません。
セゾンファンデックスではリースバックのサービスを提供しています。「セゾンのリースバック」は、事務手数料や調査費用、礼金、賃貸借契約の更新手数料は不要ですので、諸費用を気にせずご利用いただけます。また、リースバックを契約いただいたお客さまに対しては、契約後にご利用できるさまざまな特典や優待サービスをご用意しています。
リースバックで売却した家は将来買い戻すことも可能です。住宅ローンの返済に退職金を充ててしまい、退職金がほぼなくなったお客さまが老後資金の調達のためにご利用されたケースもございます。
住宅ローンの完済時年齢と合わせて、資金調達に悩んでおられる方はぜひセゾンファンデックスにご相談ください。