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iDeCoに加入して税金を節約しよう!シミュレーションもご紹介

セゾンのくらし大研究 編集部

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iDeCoは掛金の全額を所得控除できるなど、税金の節約ができます。利息や運用益も非課税になり、掛金が大きいほど税の負担が軽くなるのも嬉しいポイントです。このコラムでは、iDeCoへ加入する税制上の有利な点についてご紹介します。

1.iDeCoに加入すると税金を節約できる場合がある

iDeCoとは個人型確定拠出年金のことで、確定拠出年金法に基づく私的年金の制度です。任意で申し込み、好きな運用方法を選んで掛金を運用できます。60歳を過ぎたら、積み立てた掛金と運用で得た利益を、年金または一時金で受け取る仕組みです。

確定申告で全額所得控除できるなど、税制上の優遇制度が設けられています。それでは、iDeCoの仕組みや加入対象者などを見ていきましょう。

1-1.iDeCoは老後に備えて資産形成する仕組み

日本の年金制度は建物に例えられ、1階部分にあたる国民年金は国民全員が加入します。2階部分になるのは会社員や公務員が加入する厚生年金です。3階部分には一部の企業で導入されている企業型確定拠出年金や、確定給付型年金や公務員の年金払い退職給付があります。

これに加え、2001年に登場したのがiDeCoをはじめとする確定拠出年金です。掛金を自ら運用して資産を増やすという点がこれまでの年金と異なります。「人生100年時代」といわれる時代に、老後に備えて積極的に資産を形成する仕組みです。

iDeCoは60歳未満のすべての人が加入できます。具体的には、自営業者など国民年金の被保険者、厚生年金に加入している会社員や公務員、専業主婦など国民年金の第3号被保険者が対象です。

加入区分加入対象者加入できない場合
国民年金第1号被保険者20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生など・農業者年金に加入している場合 ・国民年金の保険料納付を免除・一部免除されている場合  
国民年金第2号被保険者60歳未満の厚生年金被保険者(会社員、公務員など)・企業型確定拠出年金に加入している場合(規約で同時加入を認めている場合を除く)
国民年金第3号被保険者20歳以上60歳未満の厚生年金加入者の被扶養配偶者 

なお、2022年5月に行われるiDeCoの法改正では、iDeCoの加入年齢は原則として65歳まで拡大され、企業型確定拠出年金との同時加入の要件も緩和される予定です。

会社員が企業型確定拠出年金に加入している場合でも、本人が掛金を上乗せ拠出することができるマッチング拠出を選択しなければ、基本的にiDeCoも同時に入れるようになるのです。

2.iDeCoにおける税制上の3つのメリット

iDeCoの大きな特徴は、税制上のメリットがあることです。掛金の全額が所得控除の対象になり、所得税や住民税の節税ができます。

また、利息や運用により得た利益は非課税になり、受け取りのときも一定額まで税金の優遇措置が設けられています。老後に向けた資産形成ができるだけでなく、現在の節税効果も得られるのです。では、iDeCoにおける税制上のメリットを3つご紹介しましょう。

2-1.全額所得税から控除できる

iDeCoの掛金は「小規模企業共済等掛金控除」の対象になり、全額を所得控除できます。これにより、所得税や住民税を減らすことが可能です

所得税や住民税の計算は、収入から経費や給与所得控除をはじめとした所得控除を差し引いた課税所得をベースにします。課税所得が大きいほど税金は高くなるという仕組みです。

iDeCoの掛金を全額控除することで課税所得が減り、所得税や住民税を減らせます。個人で掛金を支払っている場合、所得控除を受けるには年末調整や確定申告が必要です。

iDeCoの年末調整については、「iDeCoは年末調整で税金が戻る?手続きや必要書類などを解説」で詳しく説明しています。

2-2.運用益は非課税で再投資される

預金や投資信託などの運用で利息や利益を得た場合、通常は20.315%の税金が課せられます。しかし、iDeCoの場合はこの税金が非課税になるのがメリットです。

10万円の利益が出た場合は20,315円の税金が差し引かれますが、iDeCoは非課税のため引かれることはありません。そのまま運用に回し、複利効果を得ることも可能です。

2-3.受け取り時も節税できる

iDeCoは60歳から受け取れますが、受け取り方法は一時金か年金、もしくは併用のどれかを選択できます。いずれの場合も税金の優遇措置が設けられ、一定額まで課税されません。

一括で受け取る一時金は退職所得控除の対象になり、分割で受け取る年金は公的年金等控除の対象です。

掛金の一部を一時金で受け取り、残りを年金にする方法もあり、その場合は退職所得控除と公的年金等控除の両方が適用されます。

税金を含むiDeCoのメリットについては 「iDeCoのメリットは節税効果があること!注意点や始め方を解説」 で詳しく説明しているため、ぜひ参考にしてみてください。

3.iDeCoで税金が控除されるシミュレーション

iDeCoは月々5,000円から始められ、金額は1,000円単位で任意に設定できます。年金の加入区分により掛金の上限額が定められており、国民年金第1号加入者は68,000円まで、厚生年金加入者は12,000円〜23,000円、第3号加入者は23,000円までが限度です。

ここでは、サラリーマンと自営業者について、iDeCoの加入によりどのくらい税金が控除されるのかシミュレーションをご紹介します。

  • サラリーマンの場合

40歳で課税所得200万円のサラリーマンが、月額2万円を積み立てた場合についてシミュレーションしてみましょう。

満期までの20年間、同じ課税所得である前提で計算します。課税所得とは、年収から給与所得控除と基礎控除、社会保険料など各種控除を引いた額です。

所得税の計算では、所得が多いほど税率が高くなる累進課税制度が採用されています。住民税の税率は、収入の額にかかわらず10%(区市町村民税6%、道府県民税・都民税4%)です。

  • 課税所得が200万円の場合に適用される税率:所得税率10%、住民税率10%で合計20%
  • (月額20,000円の年間掛金240,000円)×20%=48,000円

毎年48,000円の税金を軽減でき、60歳になって受け取るまでには96万円の節税になります。

  • 自営業の場合

次に、50歳で課税所得350万円の自営業者が上限の68,000円を積み立てた場合をご紹介しましょう。

満期までの10年間、同じ課税所得である前提で計算します。自営業の課税所得は、年収から必要経費と基礎控除、社会保険料控除など各種控除を引いた額です。

  • 課税所得が350万円の場合に適用される税率:所得税率20%、住民税率10%で合計30%
  • (月額68,000円の年間掛金816,000円)×30%=244,800円

毎年244,800円の税金を軽減でき、60歳になって受け取るまでには2,448,000円の節税になります。

iDeCoの法改正では2022年5月から加入年齢が拡大され、原則として65歳まで積み立てができます。5年延長されることで、節税の効果はさらに高くなるでしょう。

4.iDeCoに加入することで税金を損する場合もある?

iDeCoは税制上大きなメリットがありますが、場合によってはメリットを受けにくかったり、損をしたりする場合もあります。

まず、所得控除は年末調整や確定申告をしなければならず、手続きをしなければ節税効果は得られません。また、掛金によっては、節税よりも口座維持などの手数料が多くなる可能性もあります。ここでは、iDeCoの加入で税金のメリットを受けられない場合について見ていきましょう。

iDeCoは課税の繰り延べ

iDeCoで税金の負担が軽減されるのは、所得税や住民税の支払いが免除されるわけではありません。退職金や年金として受け取るときまで先送りにされているだけです。受け取る額が大きい場合、受取時に課税される場合があります。そのため、年末調整や確定申告で控除の手続きを忘れると二重に税金を納める結果になってしまうでしょう。

また、課税所得が低く所得税・住民税の負担が少ない場合、掛金の額によっては口座維持や投資信託の手数料の方が高くなることもあります。

掛金に対してどのくらいの節税効果があるか、よく確認してから金額を設定するのが良いでしょう。また、運用で投資信託を選ぶ際には、手数料や運用管理費用などのコストがかかります。節税効果よりも高くならないかをチェックし、できるだけコストのかからない商品を選ぶことが大切です。

特別法人税は復活するか

年金積立金には、もともと特別法人税が1%ほど課税されていました。この特別法人税は、1999年度から凍結されており、少なくとも2023年3月31日までは凍結が継続します。

しかし、その後は復活する可能性もあり、所得の額や所得税の税率によっては、iDeCoのメリットが得られない場合もあるでしょう。

なお、iDeCoは掛金や運用益の範囲で受け取れる有期年金です。国民年金の受け取りだけで不安な自営業者は、iDeCoに加入する前に終身年金である国民年金基金の加入を検討してみるのも良いでしょう。国民年金基金は社会保険料控除の対象になり、iDeCoと同じく税額軽減のメリットもあります。

おわりに

iDeCoは掛金を積み立てながら運用し、老後に一時金か年金で受け取る私的年金です。全額所得控除できるなどの税制上のメリットがあり、税金の負担を抑えてその分も運用に回し、複利を得ることもできます。上手に利用することで、老後の資産を形成しながら税の優遇を受けるという、メリットの多い制度です。

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